株価急落は過剰反応?「短観」から好決算期待業種を探る

投資情報部 鈴木英之
2026/10/13
日経平均株価は7万円回復後に反落
10/6(火)、日経平均株価終値は6/30(火)以来約3ヵ月ぶりに7万円を回復(終値ベース) しました。同じ日に米S&P500指数が高値を更新するなど、米国株の堅調が追い風になっています。9月中旬以降、原油先物価格が反落したことや、米国でPCE価格指数や雇用統計が下振れたこともあり、インフレ懸念がいったん後退したこともプラス材料になりました。
マイクロンテクノロジーやサムスン電子の好業績もあり、AI・半導体関連株の多くが堅調に推移しました。その流れを受けて東京市場でも、AI・半導体関連株が総じて堅調で、半導体製造装置大手で日経平均株価におけるウェイトトップ(10/9時点)のアドバンテスト (6857) は10/7(水)に過去最高値を更新しました。
ただ、10/7(水)以降の日経平均株価は反落傾向となっています。日経平均株価への影響が大きい米フィラデルフィア半導体株指数が反落傾向となったことが響いています。特に10/13(火)は日経平均株価が大きく売りが先行する展開です。中国企業のDRAM分野での技術革新を背景に、競争激化が懸念されたことが影響しています。ただ、新製品が世に出るには、生産面での歩留まりやサプライチェーン確保等の関門があり、株式市場の懸念はやや過剰反応とみられます。
そうした中、米国市場では10/13(火)より、上場企業の2026年7~9月期決算発表が本格化します。今週は金融株が中心ですが来週以降は事業会社の発表が本格化します。日本でも、10/22(木)のディスコ (6146) の決算発表日頃から本格化し、10月下旬には主要企業の発表が続く予定になっています。決算発表が市場の流れを変えることに期待したいと思います。
株価急落は過剰反応?「短観」から好決算期待業種を探る
10/1(木)に発表された日銀短観(2026年9月調査)では、業況を「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた業況判断指数が、大企業・製造業においてプラス24となり、前回から2ポイント良くなりました。
大企業・製造業の業況判断指数がこの数字まで増えたのは2018年3月調査以来です。図表1から見ていただいてもお分かりいただけるように、過去40年でも数えるほどにしかない高水準といえるかもしれません。
インフレが定着して値上げが通りやすくなったこと、インバウンド需要が高水準を維持していること、生成AIの急速な普及を背景に、すそ野の広い半導体業界が活況となっていること等が要因とみられます。ここからさらに業況判断指数が上昇してくると、平成バブル以来の記録が視野に入ります。
図表1 日銀短観 大企業・製造業の業況判断指数の長期推移(1986年9月調査~2026年9月調査)
図表2は業種別の大企業・業況判断指数を示しています。2026年6月調査の「先行き」(青い棒グラフ)に対し、9月調査の「最近」(オレンジの棒グラフ)が高くなっていれば、その業種は「6月時点で想定していたよりも9月の業況は良かった」ことになり、2026年7~9月期決算については多くの会社で予想を超える業績が期待できます。また、2026年9月調査の「最近」(オレンジの棒グラフ)に対し、9月調査の「先行き」(グレーの棒グラフ)が高くなっていれば、先行き(12月調査での)改善が期待できることを示しています。※
※業種としての傾向であり、必ずしも個別企業の業績が同じ傾向になるとは限りません。
もっとも、企業は将来の予想に対しては保守的になりやすいので、9月調査の「先行き」(グレーの棒グラフ)が低くなっても過度に気にする必要はないかもしれません。
ちなみに、AI・半導体で注目される半導体や電子部品は電気機械に入ります。半導体製造装置は主として生産用機械に入ります。両業種とも、「6月時点で想定していたよりも9月の業況は良かった」ことになりますので、多くの業績予想の上方修正が期待されます。自動車は改善傾向ですが、棒グラフが低いので、まだまだ苦しい企業も多いとみられます。「石油・石炭」は12月にかけての見通しも強く、インフレ傾向の根強さを印象付けています。
金利上昇が懸念される建設、不動産、AIに仕事を奪われると懸念される情報サービスですが、業況判断指数でみる限りは想定以上に強い状況となっており、決算発表での反応に注目したいところです。
図表2 業種別の大企業・業況判断指数
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