なぜ今、ビットコインやゴールドなどの「無国籍アセット」を投資対象にするべきか?

提供:株式会社HashHub
2025/12/10
前回のコラムでは、ゴールドとビットコインは需要構造こそ異なるものの、アセットの性質としてはかなり似ていることを説明しました。
今回は、近年人気化する投資対象であるビットコインやゴールドなどの「無国籍アセット」について、なぜこれらを投資対象にするべきなのか、このトレンドがまだ持続する可能性が高い背景について解説します。
各国の財政規律が緩み、地政学が不安定化し、伝統的な60/40(株式を60、債券を40の割合を最もベーシックな資産運用ポートフォリオとする概念)の分散効果が低下するなか、「国家の信用」に依存しない無国籍アセット(ビットコインやゴールド、他シルバーやプラチナなどの貴金属)は、ポートフォリオのリスク源泉を根本から分散する“第3の軸”として再評価が進んでいます。以下、①国家債務・マネー供給、②地政学、③機関投資家・個人投資家の行動変化の3つの観点から、その必然性を整理します。
1.国家債務・マネー供給の構造的変化――「通貨の希薄化」リスクをどう受け止めるか
まず土台となるのは公的部門の持続可能性です。IMFの最新データベースによれば、世界の総債務はGDP比で235%超と高止まりしています。これはパンデミック後の財政・金融対応を経ても構造的に解消していないことを示します。
公的部門に絞っても、世界の政府債務は2024年に100兆ドルを突破し、今後も今十年末にかけてGDP比ほぼ100%に接近する見通しです。
最も顕著、かつ、その規模からもインパクトが大きいのがアメリカです。2024年の純利払いは8,800億ドルと過去最大、2025年度は1兆ドル規模が視野に入り、利払いが予算の“第二の科目”にのし上がっています。金利が高止まりする限り、この項目は景気循環にかかわらず伸びやすい“準固定費”であり、利払いのために借金をする典型的な自転車操業のような資金繰りになっています。
金融面でもM2(マネー供給)はパンデミック期に記録的に膨張し、その後のQTを経てもコロナ前比で約6兆ドル上乗せされた水準が続いています。量的側面のゆるみが恒常化した分、通貨希薄化に対するヘッジ需要は構造的に残ります。
政府債務が積み上がり、マネー供給が膨らんだ環境では、「誰かの負債(債券や預金)」ではない資産、すなわち無国籍アセット(ゴールドやビットコイン)の保有は、名目ベースの希薄化に対するバランスシート保険として機能しやすいと考える投資家が多くなっている理由です。
2.地政学の不確実性
次に地政学です。FRBのCaldara & IacovielloによるGeopolitical Risk(GPR)指数は、主要な地政学イベントで急騰し、近年は分断・制裁・武力衝突の連鎖で高止まりが目立ちます。IMF『GFSR(2025年4月)』も、地政学リスクと経済ブロック化が過去数十年で最も高い水準にあると指摘します。
世界の中央銀行は2024年に1,045トンの金を純買いし、3年連続で年1,000トン超の異例の積み増しを実行しました。特にロシアのウクライナ侵攻によって西側諸国がロシアの米国債を凍結したことを契機に、中国やグローバルサウス諸国の中央銀行は毎年ゴールドの外貨準備を増やす傾向が顕著になりました。 誰の負債でもない無国籍アセットは、制裁耐性と決済ネットワークからの独立性が評価されています。過去半世紀にわたって、米国債は無条件に世界で最も安全な資産でしたが、大きなシフトが始まっているのです。 しかし、逆説的には米国債が無条件に世界で最も安全なアセットであると信じられたのはニクソンショック以降の約半世紀に過ぎないのです。歴史的にはゴールドなどに裏付けされたアセットが信用されていた期間のほうが遥かに長いのです。
3.機関投資家の配分見直しと個人の投資ブーム
2024年1月、米SECが現物ビットコインETFを承認しました。長年のボトルネックだったアクセス手段が規制下で整備され、伝統的口座からワンクリックで無国籍アセットにアクセスできる体制が整いました。
結果として、ブラックロックのIBITは2025年10月に保有ビットコインが80万BTC超(時価数十兆円規模)に到達。ブラックロック以外の運用会社も含めたアメリカのビットコインETF全体では約134万BTCを保有するまでに拡大しており、ETFというラッパーを通じて機関・富裕層マネーが恒常的に流入する構図が定着しました。
足元でも米スポットBTC ETFへの資金フローは高水準で、金でも同様です。
歴史的に機関投資家はゴールドやビットコインなどの資産の保有量は少なく、その保有割合は5%未満でしたが、この割合が10%や15%になることで巨額な資金がこの無国籍アセットに流入し価格インパクトが大きくなります。
個人サイドでも裾野は急拡大しています。暗号資産の保有者数は2024年末に6.59億人、2025年上期には7.08億人へ増加しました。単なる一過性のブームではなく、オルタナティブ資産の一般化が進んでいると読むべきでしょう。
総括
ほとんどの先進国で国家債務および国債という資産クラスに疑念が持たれているのが現状です。加えて西側諸国と非西側諸国の対立で、国債の需給バランスが10年前と大きく変わってきており、その借金の引受先も変わっています。結果として、非西側諸国でも、中央銀行などの公的部門、個人単位の両方で、無国籍アセットの需要が高まっています。
国債の金利は上がっていますが、ソブリンリスクも上がっています。また、金利は上がっていても、インフレーション下では国債の利回りは物価上昇に相殺されて購買力を守れません。通貨価値が下落しているのです。
債券は金利を生みゴールドは金利を生まないとする見解や、金利上昇時にはゴールドが売られる等の相関は過去3年で崩れました。 債券の金利はインフレと相殺されることを投資家は知っており、債券利回りが上昇してもゴールドは買われています。 このことから、機関投資家も債券のポートフォリオの組入比率を見直す動きはあるでしょう。だからこそゴールドが選好されるのです。そして、それはBitcoinも同様です。
主要出典
・米CBO関連(利払い・債務動向)/PGPF(利払い概況)(AAF)
・FRED・St. Louis Fed(M2の推移・異例の拡大とその後の縮小)/Barron’s(コロナ前比の残高水準)(FRED)
・Caldara & Iacoviello(GPR Index)/IMF GFSR(地政学・分断の高止まり)(matteoiacoviello.com)
・World Gold Council(中銀買い:2024年1,045t/2025年サーベイ:43%が自国増配、73%がドル比率低下予想/価格と需給)(World Gold Council)
・SEC(現物BTC ETP承認)/The Block(IBIT 80万BTC)/Bitbo(米現物BTC ETFの総保有量)/Bloomberg・Yahoo(ETFフロー動向)(SEC)
・Crypto.com(暗号資産保有者数:6.59億→7.08億人)(contenthub-static.crypto.com)
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