意外と知られていない個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の落とし穴

2017年から対象となる加入者の範囲も広がった個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、税制の優遇など多くのメリットがあることで知られています。一方で、メリットだけではなく、少なからずデメリットも存在します。

今回は、iDeCoのデメリットや落とし穴を紹介していきますので、注意点を把握して賢く運用していきましょう。

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCoの最大のデメリットを挙げると「原則として60歳までは積み立てたお金を受け取れないこと」でしょう。つまりiDeCoで月々拠出したお金は、原則として60歳になるまでは一切使えないのです。これは確実に老後の資金を確保できるというメリットにもなりますが、結婚資金や住宅購入、養育費など、各ライフステージでいざお金が必要になった場合でも、iDeCoで運用しているお金は使うことができないので注意が必要です。

加入期間によっては、60歳を過ぎてもすぐには受け取れない場合もあります。具体的には、10年以上加入していれば60歳から受け取りが可能ですが、加入期間が10年未満の場合、受け取り開始年齢が延びる可能性があります。

iDeCoには手数料が発生する点も、デメリットの一つです。主な手数料としては国民年金基金連合会や委託先金融機関に支払う手数料、投資信託の場合は信託報酬、受け取り時の手数料などが挙げられます。

金額としては、国民年金基金連合会に支払う手数料が加入時に2,777円、事務手数料が毎月103円かかります。委託先金融機関への手数料は、月々数百円程発生するケースが多いです。投資信託に関しては、商品ごとに信託報酬が異なっています。給付を受ける場合には、月々500円前後の金額を設定している金融機関が多くなっています。

元本変動型商品で運用した場合、将来受け取れる金額が確定しないことにも、注意が必要です。儲かることもあれば損する可能性もあり、また、金額が確定していないということは将来の収支の予定が立てづらいということでもあります。

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iDeCo(イデコ)の落とし穴

iDeCoには、実は意外な落とし穴も存在しています。例えば保険商品のような元本保証商品に関しては、他の金融商品を購入するために途中解約してしまうと、元本割れを起こす可能性があります。これは解約のタイミングによっては、いわゆる解約ペナルティが発生してしまうためです。元本確保型商品とはいえ、計画的に運用する必要があります。

その他には、少し難しい話になりますが、iDeCoには制度上、特別法人税という税金が存在しています。ただし、現在こちらの税金に関しては租税特別措置法の適用期限延長が繰り返し行われており、課税は凍結中です。もし今後、この凍結が解除された場合、加入者拠出分を除いた年金資産残高に対して年1.173%が課税されるので、積み立てたお金から税金を支払わないといけない可能性があります。

iDeCoには拠出した金額の全額が所得控除になるというメリットがありますが、実は受け取り時に税金がかかる点には注意が必要です。税金がかかるといっても、iDeCoでは受け取り方法を一時金や年金、一時金と年金の併用などから選択することができ、その際には税優遇(退職所得控除や公的年金控除)があるので、普通に受け取るよりは有利ともいえます。

ただし、iDeCoと同時に退職金を受け取る方など、高所得が発生する場合には納税額が高額になる可能性もあるので、税理士など専門家とよく相談する必要があります。

メリットとデメリット両方を把握しよう

まとめると、以下のようになります。

・原則として60歳までは積み立てたお金を受け取れない
・諸々の手数料が発生する
・元本割れのリスクがある(元本変動型商品の場合)
・特別法人税が復活すると税金を払う必要が生じる

この機会にiDeCoのメリット・デメリットをともに理解し、賢い資産運用を目指してはいかがでしょうか。

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