IFAコラム

 
資産運用

ここまで進んでいる! 人工知能を活用した資産運用とその落とし穴とは?

アップル社を時価総額で抜き、世界一の企業となった米国のGoogle社。同社は今、多くの利益を人工知能(AI)の開発に投資しているそうです。2016年の3月にグーグルの研究部門が開発したAIが、囲碁の5番勝負で韓国のプロ棋士に4勝1敗で勝利したことが大きな話題となりました。ビックデータとディープラーニングによりAIの能力は急速に向上しています。

実は、資産運用もAIと無縁ではありません。AIを使ってアセットアロケーションを行うロボットアドバイザーが登場し、米国では顧客を増やしています。
そこで今回は、人工知能を活用した資産運用とその問題点について考えてみましょう。

資産運用とAIは親和性が高い

皆さんは「クオンツ運用」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。クオンツとは、Quantitativeという英語の「数量的・定量的」と言う意味の単語から派生した金融用語で、宇宙開発などに用いられる高等数学や数理モデルを取り入れた高度な金融工学を駆使して、数値化された過去の市場動向や企業業績の推移を分析し、予測する運用方法のことです。

1980年代、NASAでロケット開発に携わったような科学者がウォールストリートに転職し、彼らの数学や物理の知識が活かされるようになったのが始まりで、デリバティブ取引などで用いられてきました。
クオンツ運用では、大量のデータ処理をコンピュータが行います。そういう意味では、AIによる資産運用に非常に似ています。AIを活用した資産運用と聞くとすごく新しいような印象を受けますが、実は40年以上前から同じようなことは行われてきたのです。

米国では当たり前に

2016年1月、香港でAIがすべての取引を行うヘッジファンドが組成されました。このファンドを立ち上げたのは、ベン・ゲーツェルというAI研究の第一人者がチーフ・サイエンティストを務めるAidyia社です。このファンドではAIが米国株式を完全自動化された状態で売買していると言います。

また米国では、資産運用のためのAI「ロボ・アドバイザー」が、個人の資産運用の現場で急速に増えています。運用目的、資産状況、リスク許容度などをオンラインで伝え、それにピッタリ合うポートフォリオを自動生成してくれると言います。また、ゴールドマン・サックス、フィデリティ、チャールズ・シュワブ、ブラックロックなど大手金融会社がすでにAIを導入していることが伝えられるなど、資産運用の現場ではAIの存在が当たり前のようになってきました。

サブプライムローン問題が示唆したもの

しかし、本当に資産運用をAIに任せて大丈夫なのでしょうか。不安に思う人も少なくないでしょう。

ここに興味深い話があります。2007年、米国で住宅バブルが崩壊し、低所得者向けの住宅ローンである「サブプライムローン」の多くが焦げ付いて、世界的な金融危機が起こりました。実はこの時、大きな損失を被ったのがクオンツ運用のファンドでした。大手金融機関の大型なクオンツ運用ファンドが相次いで多額の損失を計上したのです。

その大きな原因はクオンツ運用の特性にありました。過去のデータに基づいてポートフォリオを組成、運用するクオンツは、過去になかったような市場の変化に対処することができません。また、元データがほぼ同じなので、別のファンドなのにポートフォリオの中身が類似してしまうのです。大型のクオンツ運用ファンドが揃って大きな損失を発生させたことが、サブプライムローン問題にさらに拍車をかけました。

クオンツ運用がAIによる資産運用に近いことを考えると、サブプライムローン問題は、AIによる資産運用の問題点を示唆しているように思えます。

ディープラーニングで広がるAIの未来と自己責任原則

ディープラーニングとは日本語で「深層学習」と訳されています。「深層学習」とは、機械が物事を理解する学習方法のことを指します。AIはその構造を人間の神経細胞のような構成にすることで、新しく入ってきた情報を過去の情報と照らし合わせながら、それが何かを自ら判断し、知識として習得することができるようです。

これまでは人間がAIに教えなければならなかったのですが、もはやAIは自己学習するのです。まさに人間の頭脳と変わりません。囲碁でプロ棋士に勝利できた背景には、このディープラーニングがあったと言います。そうなると、クオンツ運用で大きな損失を出してしまった時とは、状況がかなり変わってきました。人間よりもはるかに速く、的確な投資判断ができる優れたAIが登場する日もそう遠くないかもしれません。

しかし、資産運用で一番大切なことは、投資はすべて自己責任だということです。AIを使って行う株式の売買も良いでしょう。しかし、資産運用に失敗してもすべて自己責任になります。ここをはき違えると、本末転倒の話になってしまいます。近い将来にAIで資産運用するようになったとしても、この自己責任原則だけは忘れないで下さい。

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