株価上昇に期待!~四半期大幅増益の中小型銘柄≪前編≫

株価上昇に期待!~四半期大幅増益の中小型銘柄≪前編≫

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/02/08

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重要日程を大過なく乗り切る

1/31(火)~2/7(火)の東京株式市場では、日経平均株価が1.3%、TOPIXが0.4%、東証グロース市場指数が1.0%それぞれ上昇し、総じて堅調な動きになりました。2/1(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表およびパウエル議長会見、2/3(金)の1月米雇用統計発表等の重要日程を無難に通過した形です。

FOMCについては、米政策金利が0.25%引き上げられ、まったく市場予想通りの結果になりました。また、会合後にパウエル議長が記者会見で、インフレに対する見方を少し緩めるなど、ハト派方向へ転換する兆しも感じられました。それでも、2023年後半に利下げを期待する市場に対して、同議長が釘を刺したこと、1月米雇用統計が非常に強い結果となったこと等を受け、2/3(金)から2/6(月)にかけ、米10年債利回りは上昇し、金利上昇に弱いナスダック指数も続落するなど、グロース株には逆風が吹きました。

ただ、2/6(月)朝に、政府が雨宮氏に次期日銀総裁への就任を打診したとの一部報道があり、前述した米長期金利(10年債利回り)の上昇もあって、外為市場で円安・ドル高が進展。日経平均株価は、前週末までに上値抵抗ラインであった27,500円を超えた水準まで上昇し、結局4営業日続伸(2/1~2/6)となりました。こうした動きに下支えされ、東証グロース市場指数もプラス傾向を維持しました。

東証グロース市場の時価総額上位銘柄の中では、M&A総合研究所(9552)の下落が目立ちました。1/27(金)の好決算発表を好感し、1/30(月)と1/31(火)の2営業日で41.0%も上昇した後だけに、それ以降は利益確定売りが増加しました。時価総額100億円以上の幅広いグロース銘柄の中では、グローバルセキュリティエキスパート(4417)が大幅高。1/31(火)に大幅増益となった2023/3期・第3四半期決算と、実質増配を発表し、翌日以降上昇基調となりました。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 1/31(火)~2/7(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

株価上昇に期待!~四半期大幅増益の中小型銘柄≪前編≫

日米の金融政策に関する話題がおおむね一巡する中、上場企業の決算発表が佳境に入りつつあります。主要企業の動向を見る限り、景気・企業業績に対する不透明感を織り込み、業績予想を下方修正する銘柄が、上方修正する銘柄よりも、やや多くなっているとの印象です。

ただ、見方を変えれば、好業績銘柄は「少数派」になり、希少価値が強くなる可能性もありそうです。好業績銘柄の中には、予想外の上昇を演じる銘柄も出てくるかもしれません。また、今後決算発表が進捗し、銘柄の選別や入れ替えが進み、好業績銘柄が改めて買われる局面も期待できそうです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、2/3(金)までに決算発表を行った新興市場(東証グロース市場、または同スタンダード市場)銘柄の中から、四半期大幅増益銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行いました。

(1)東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場

(2)時価総額100億円超(2/6時点)

(3)1営業日当たりの平均出来高が2万株超(2/3までの20営業日)

(4)2/3(金)までに決算発表を終了

(5)3月決算銘柄

(6)2023/3期・第3四半期累計(2022/4~12期)の営業損益が前年同期比で黒字転換、または30%超の増益

(7)2023/3期・第3四半期(2022/10~12期)の営業損益が同黒字転換、または30%超の増益

図表4は、上記の条件をすべて満たしています。また、銘柄の掲載は(7)の増益率が高い順となっています。以下、掲載銘柄について投資ポイントをご紹介します。

図表4 四半期大幅増益の中小型銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(2/7)
今期Q3営業増益率 投資のポイント
2892 2892 2892 2892 日本食品化工 3,155 黒転 三菱商事の子会社。とうもろこし由来の糖化製品やでんぶん販売。値上げを進める。
4080 4080 4080 4080 田中化学研究所 1,435 3489.5% リチウムイオン電池正極材料。ニッケルやコバルトの国際相場高が貢献。
6366 6366 6366 6366 千代田化工建設 404 279.4% 三菱系のプラント大手。LNGプラントに強み。今期は経常・純利益予想を上方修正。
9115 9115 9115 9115 明治海運 657 174.3% 保有船舶は多種多様で、稼働増と円安が追い風。ホテル・リゾート事業は赤字縮小
4816 4816 4816 4816 東映アニメーション 12,860 138.4% 2022/4~12期は過去最高純益。「ONE PIECE FILM RED」がヒット。
6565 6565 6565 6565 ABホテル 2,293 116.5% 東祥(8920)傘下のビジネスホテル。稼働率は回復傾向だが2019年以下の状況
6257 6257 6257 6257 藤商事 1,382 109.5% パチンコ・パチスロ機を開発・販売。Q3に黒字転換。規制緩和とスマート機が追い風。
1972 1972 1972 1972 三晃金属工業 3,730 69.8% 長尺屋根トップ。建材、塗装等の製造、加工、施工、販売、工事も。受注堅調で値上げも貢献。
8018 8018 8018 8018 三共生興 511 49.8% 海外ブランドのライセンスビジネス他。今期予想営業益19→21億円に加え、配当も増額。
7480 7480 7480 7480 スズデン 2,456 46.4% 技術商社で、FA用制御機器が主力。今期業績予想上方修正も、1月は前年比減収。
5909 5909 5909 5909 コロナ 900 39.2% 石油暖房機器や住設機器を販売。寒波到来や停電発生で防災意識向上。値上げも寄与
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※「Q」は四半期を意味しています。たとえば、Q3は「第3四半期」を示します。
  • ※「今期Q3営業増益率」は2022/10~12期の前年同期比営業増益率です。

東映アニメーション (4816)~日本最大のアニメ制作会社。今期大ヒット作多数!過去最高益更新見込み

週足チャート(3年)

★通期業績推移(百万円)

■日本最大のアニメ制作会社。海外向けで業績拡大

日本最大のコンテンツ数を誇る世界的アニメ制作会社です。
日本初の長編アニメ『白蛇伝(1958年)』をはじめ、世界中で人気の『ワンピース』や『セーラームーン』などを手掛けています。

収益の柱は、版権事業で売上高の58%を占めています(22.3期)。当社は日本のIPビジネスの草分け的存在でもあります。

政府によるクールジャパン政策が始まった2010年代後半から海外向け売上高が拡大。海外売上高比率は、2012/3期は10%未満でしたが、2022/3期には62%と右肩上がりの推移です。

業績拡大に伴い、値がさ株となりました。東証が明示する「望ましい投資単位の水準(5万円以上50万円未満)」の基準外であることから、将来、株式分割の実施にも期待が持てます。

市場規模30.7兆円のグローバルアニメ市場をターゲットとしています(日本アニメ産業市場2.4兆円、会社資料より)。同社の直近売上高は570億円であるため、成長余地がまだまだあることがわかります。

■今期は超大型タイトルが大ヒット!『ONE PIECE』、『SLAM DUNK』、『ドラゴンボール』...etc

2021年にはコロナ禍の巣ごもり需要から株価は急騰していました。その後、一旦下落し、2022年に『ONE PIECE FILM RED』が世界的大ヒットとなり、投資判断等が引き上げられ、株価は徐々に回復傾向となりました。

今期(23.3期)は、ワンピースの他にもドラゴンボールや現在上映中のスラムダンクが大ヒットしています。そのため、1/30(月)の今期第3四半期決算で通期見通しの上方修正がなく、失望売りが見られました。

ただ、第3四半期単体では、過去最高益を達成。会社予想の通期見通しに対する進捗率は、売上高が85%・営業利益が93%となりました。通期ベースでの過去最高益更新に向け、非常に好調なペースです。
株価は直近決算を通過し、上方修正期待の短期筋の売りが一巡したタイミングが、通期決算発表に向け買い場なのではないでしょうか。

■藤商事(6257)~規制緩和が追い風

★日足チャート(6ヵ月)

★通期業績推移(百万円)

■パチンコ・パチスロ機器メーカー中堅。業績回復中。

同社は、パチンコおよびパチスロ遊技機の開発・製造・販売を行っています。大阪が本社で「リング」などホラーものが得意です。

売上高(2022/4~12期)の73%がパチンコ遊技機、同27%がパチスロ遊技機となっています。
今年度第3四半期累計(2022/4~12期)は、売上高が前年同期比60%近く増え、営業利益は前年同期25億円の営業損失から44億円の利益へ黒字転換しました。「パチスロ6.5号機」の登場など規制緩和が進み始めたことが追い風になっているようです。
足元の10~12月期についても好調を持続。パチンコ遊技機、パチスロ遊技機ともに新タイトルの投入を行っています。

第3四半期までの好調を受け、会社側は2023/3期の業績予想を上方修正し、予想営業利益を15億円→30億円、予想1株利益は53円58銭→111円63銭としています。

■業界的には2024/3期も上り坂か

同社は2/3(金)に前述の業績予想上方修正を発表しました。予想営業利益が2倍に上方修正されたことを普通に考えれば、その後の株価は上昇が続いても不思議ではない所です。しかし、株価は意外に上値の重い展開です。2/3(金)終値1,286円に対し、2/6(月)には取引時間中高値1,315円となったものの、終値は1,272円(前営業日比14円安)と下落。その後2/7(火)には高値1,400円まで買われていました。

今年度第3四半期累計の営業利益が44億円であるのに対し、通期予想営業利益は30億円です。逆算すれば、会社側は第4四半期を14億円の営業赤字と予想している計算になります。投資家の一部が「好業績は第3四半期がピーク」とみなした可能性がありそうです。

ただ、同業で業界大手のSANKYO(6417)の市場コンセンサス等を参考にすると、2024/3期は増益基調が続きそうです。パチンコ・パチスロ業界が規制強化から同緩和の方へ動き始めたことは大きな変化である上、今後はスマートパチスロ、スマートパチンコの普及等も想定されます。業界環境の改善を追い風に、当面は収益拡大が期待されます。

会社側の業績予想修正リリース(2/3)によると、「翌期以降の営業戦略を勘案し第4四半期のラインナップについて見直しを行い、一部機種の発売を翌期に繰り越すことといたしました」とあります。会社予想通り、第4四半期にいったん業績が踊り場を迎えた後、2024/3期に再び拡大する可能性が大きそうです。

会社予想1株利益111円63銭に対し、2/7(火)終値1,382円で予想PERは12.4倍であり、特に割高感もないようです。今後株価が下がるようであれば、押し目買い増加も期待できそうです。

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