訪日外客数急回復!期待の中小型インバウンド関連銘柄

訪日外客数急回復!期待の中小型インバウンド関連銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/04/26

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話題の中心がバリュー株に傾く中、グロース銘柄は冴えない展開

4/18(火)~4/25(火)の東京株式市場では、日経平均株価が0.1%、東証グロース市場指数が2.4%それぞれ下落しました。

米国市場では、企業業績への不透明感や、複数の地区連銀総裁による利上げ支持等を背景に、NYダウは伸び悩む展開となりました。そうした中、日経平均株価もこの期間は上値の重い展開となりました。ただ、著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が日本株を買い増しする可能性を示唆し、東京株式市場全体のムードが良くなったこと、PBR1倍割れ企業へ東証が対応を求めていること、インバウンド需要の回復が顕著であること等の事情が手伝い、日経平均株価の下げは限定的なものにとどまりました。

ただ、ウォーレン・バフェット氏の件にせよ、PBR1倍割れ企業の問題にせよ、またインバウンド需要の回復にせよ、話題の中心はバリュー系の銘柄になるとみられます。グロース系の銘柄は話題の圏外になった感があり、東証グロース市場指数の下げが日経平均よりも大きくなった理由も、ここにあるとみられます。

東証グロース市場の時価総額上位銘柄の中では、ティーケーピー(3479)の下げが目立ちました。4/13(木)に決算発表を実施し、それが好感される形で4/18(火)まで上昇しましたが、その後は反動安となりました。

時価総額100億円以上の東証グロース市場銘柄の中では、マイクロアド(9553)の上昇が目立ちました。4/18(火)に、現引き取引停止の解除日、および新規売り停止の解除日(貸株注意喚起は開始日)を迎え、信用規制の解除を好感したとみられる買いが4/20(木)~4/25(火)の大幅続伸につながったとみられます。ここもと、特に目新しい材料がない中、信用規制の解除等を契機に、動意づく銘柄が目立っています。

帝人を親会社(持株比率57.7%)とする再生医療のジャパン・ティッシュエンジニアリング(7774)も大幅高しました。4/19(水)に再生医療受託事業に係るノウハウを非独占的に使用する権利を帝人に許諾し、ライセンス供与の対価として、帝人が実施する再生医療受託事業の立上げ段階に応じたマイルストン対価(総額最大3.7億円)他を受領するとしました。これを好感した買いで4/20(木)~4/24(月)に大きく3営業日続伸した形です。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 4/18(火)~4/25(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

訪日外客数急回復!期待の中小型インバウンド関連銘柄

4/19(水)に日本政府観光局より「訪日外客数」(2023年3月推計値)が発表されました。外客数は181万人となり、外国からの個人旅行受け入れ再開(昨年10月)後での最高を記録しました。ただ、中国からの観光客等はいまだ回復途上であり、コロナ発生前の2019年同月との比較では、3分の2弱の水準にとどまっています。

ただ、こうした統計数値に頼らなくとも、大都市や主要観光地では、外国人観光客の姿がめっきり目立つようになりました。桜の開花が例年よりも早かったこともあり、たとえば、3月後半の浅草などは、仮に平日であっても、外国人観光客であふれるような状態になっていました。

そうした中、株式市場では、インバウンドや旅行・宿泊等に関する銘柄が人気を集めつつあります。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、中小型株の中からインバウンド関連を抽出すべく、以下のスクリーニングを行なってみました。

(1)東証スタンダード市場または同グロース市場に上場
(2)時価総額100億円超1,000億円以下
(3)SBI証券Webサイト銘柄検索ウインドウに「インバウンド」と入力して出力される銘柄(4/25時点)
(4)実際にインバウンド需要の回復が、業績に追い風になると見込まれる銘柄
(5)直近の四半期累計営業利益が前年同期比で増益
     (前年同期との比較ができない場合は黒字計上)
(6)継続性の前提に重要な不確実性が存在していない
(7)4/21(金)まで過去20日間の1営業日当たり平均出来高が2万株超
(8)信用取引に関する規制措置が行われていない

図表4の銘柄は、上記(1)~(8)の条件をすべて満たしており、2月末(3月以降中国からの入国者に対する水際対策を緩和)以降の株価の騰落率が大きい順に並べたものです。

図表4 訪日外客数急回復!期待の中小型インバウンド関連銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(4/25) 2月末比の株価
6565 6565 6565 6565 ABホテル 2,569 21.8%
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート 11,080 11.1%
2780 2780 2780 2780 コメ兵ホールディングス 2,752 9.8%
9828 9828 9828 9828 元気寿司 3,250 6.0%
5136 5136 5136 5136 tripla 2,841 4.5%
2927 2927 2927 2927 AFC-HDアムスライフサイエンス 762 3.5%
9115 9115 9115 9115 明治海運 630 1.4%
2652 2652 2652 2652 まんだらけ 1,502 1.4%
9726 9726 9726 9726 KNT-CTホールディングス 1,599 -5.0%
6040 6040 6040 6040 日本スキー場開発 907 -6.1%
  • ※Bloombergデータ・会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※tripla(5136)は4/26(水)が権利付最終日、4/27(木)が権利落ち日です。


以下、図表4に掲載した銘柄について、詳細をコメントします。

■ABホテル(6565)~堅実経営でコロナ禍を乗り切り、今インバウンド需要拡大の恩恵を受ける

愛知県(14店舗)を中心に、本州・九州で計33店舗を展開するホテルチェーンです。コロナ2019の影響で営業利益が21.3期に0.4億円まで縮小しましたが、その後は稼働率を重視した営業により、22.3期の営業利益は9.5億円と回復しました。23.3期の会社予想業績は3/8(水)に上方修正され、予想営業利益は21億円→27億円(前期比181.5%増)となりました。今後、インバウンド需要回復の恩恵が大きく寄与しそうな反面、全国旅行支援終了後の反動には留意が必要かもしれません。

本決算発表予定日は、5/10(水)です。

■GMOフィナンシャルゲート(4051)~小売業のキャッシュレス化を推進。ホテル等の決済処理件数・金額が急増

GMOインターネットグループ(9449)の中で決済部門を担うGMOペイメントゲートウェイ(3769)の子会社です。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、ポイントなどによる対面型決済を行う決済端末や決済処理サービスの提供を手掛けています。決済デバイスから決済センター、入金業務までをワンストップでの提供が可能なことが強みです。入金業務の多様化、事業環境の変化、様々なニーズに対応して順次サービスを拡張しています。23/9期・1Qは売上高が前年同期比52.6%増、営業利益が同34.5%と順調に拡大。インバウンド需要の回復を受け、ホテル/旅行関連業界の決済処理件数・金額が急速に増えています。

中間決算発表予定日は、5/11(木)です。


■コメ兵ホールディングス(2780)~訪日外国人含めた来店者増で在庫充実

日本最大級のリユースショップを展開。主力である「ブランド・ファッション事業」では、宝石や貴金属、時計、バッグ等のブランド品を取り扱っています。アジアを中心として海外店舗も拡大中です。訪日外国人数を含めた来店者数の増加で店舗在庫が充実し、22.3期は売上高・営業利益ともに過去最高を達成。
23.3期も更新予定ですが、通期業績や足元での月次売上高の伸び率鈍化が嫌気され、株価は一服状態です。

本決算発表予定日は5/15(月)です。

■元気寿司(9828)~回らない寿司レストランチェーン『魚べい』が人気

『元気寿司』や『魚べい』などの寿司レストランチェーンを運営。国内180店舗以上、海外(9つの国と地域)200店舗以上を展開し、都心部への出店を強化中です。主力の『魚べい』は、高速レーンのみを使用する回らない回転寿司として人気を博しています。インバウンド需要の回復もあってか、4/4(火)に発表された月次売上推移(全店売上高)では、コロナ2019発生後、初の四半期全月で前年比120%超と好調でした(1月:122%、2月:133%、3月:125%)。

本決算発表予定日は、5/12(金)です。

■tripla(5136)~宿泊業のDXを支援

宿泊業のDX(ITによる業務・ビジネスモデル等の改善)を支援。(1)triplaBook(公式サイト予約システム:前期売上構成比54.5%)、(2)triplaBot(AIで問い合わせに対応:同42.8%)等が主力製品です。2015年4月の設立の若い企業で、従業員(22年9月末・正社員数は71名)も世界15か国から集まっています。3/13(月)に発表された23.10期1Q決算では売上高は2.63億円、営業利益は0.54億円でした。決算説明資料の参考数値では、売上高が前年同期比49.4%増、営業利益は3.9倍と計算され、ともに「計画を大きく超過」と記載されています。通期会社予想営業利益に対する進捗率は1Q段階で、21.2%ですが、前年同期の16.5%からは、大きく改善していることになります。

■AFC-HDアムスライフサイエンス(2927)~健康食品・化粧品需要の回復に期待?

健康食品、化粧品の製造受託会社です。また、百貨店や自社サイトを通した販売も手掛けています。インバウンド回復に伴い、日本の健康食品や化粧品などの需要増が期待されます。
4/14(金)に発表された今期(23.8期)中間決算では、コロナ2019による影響からの立ち直りを背景に、売上高・利益ともに前年同期比2倍超となりました。

■明治海運(9115)~海運業を中心にホテル事業等にも展開

同社は、外航海運業(船舶保有業、船舶管理業)を主業務としています(22.3期・全売上構成比91.5%)。船舶保有業では、多種多様な50隻前後の船隊を保有し、国内外の有力海運会社や大手石油会社等と中・長期傭船契約を締結しています。船舶管理業では、東京、シンガポール、マニラ、インドに拠点を有し船舶管理、船員配乗、新造船建造監督等のサービスを提供しています。この他、ホテル関連事業(同7.4%)、不動産賃貸業(同1.1%)にも展開しています。
23.3期3Qは営業利益が前年同期比で134%増まで拡大。主力の外航海運事業の増益に加え、ホテル関連事業の赤字縮小も貢献した形です。会社側は通期の予想営業利益を71億円→87億円に上方修正(2/22)しています。

本決算発表予定日は、5/12(金)です。

■まんだらけ(2652)~今期はスタート(1Q)から絶好調。京都に新店オープン予定

まんがやアニメに関するあらゆる商品を国内外の顧客から仕入れ、販売する企業です。今年2月に発表された今期1Q(22.10-12月)決算では、営業利益4.5億円(前年同期比229%増・通期目標に対する進捗率71%)を達成。同決算発表を受け、株価は上場来高値水準まで急騰しました。インバウンド関連銘柄としては過熱感が既に生じてしまった面もあります。4/14(金)、今年10月半ばに京都での出店決定を公表。訪日外国人数の日本トップクラスの地での出店計画は、市場で好感された格好です。

■KNT-CTホールディングス(9726)~ 全国旅行支援やイベントの再開等を背景に黒字転換予定

近鉄GHD(9041)が親会社の旅行会社です。コロナ2019による行動制限や水際対策の影響等により22.3期まで継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象等が存在していました。
23.3期は3Q時点で、全国旅行支援やイベントの再開等を背景に黒字転換しています。ワクチン接種業務の受託※等で事業多角化が奏功したこと等で、23.3期は4期ぶりの黒字となり、過去最高水準の営業利益を更新する見通しです。

本決算発表予定日は、5/11(木)です。

※4/25(火)に同社はワクチン接種事業の過大請求の不祥事を受け、新社長内定を取り消すという異例の人事を発表しています。

■日本スキー場開発(6040)~スキーシーズンの決算発表(後半)はこれから!インバウンド需要の回復恩恵大

長野県に本社を置き、8つのスキー場を運営する企業です。そのため、2Qから3Q(11月~4月)が同社にとっての書き入れ時です。近年では、グリーンシーズンへの事業も拡大中です。今期2Q決算(22.8-23.1期)では、インバウンドの回復が追い風となり、過去最高の売上高、過去2番目の営業利益を達成。2-4月のスキーシーズンが該当する3Q決算発表予定日は6/9(金)です。4/7(金)に開示された月次速報では3Q(2-4月)は、ほとんどの施設で前年同期比プラスとなっています。

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