バフェット効果で注目されるまさか!の投資テーマとは?

バフェット効果で注目されるまさか!の投資テーマとは?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2023/04/18

右肩上がりの日経平均!米企業の決算発表が本格スタート

4月第1週(4/10~14)の日経平均は、前週末比975円16銭高(+3.5%)と週足ベースで大きく反発。週内全ての営業日で前日比プラスとなりました。同期間の米国市場の騰落率(S&P500+0.8%、NYダウ+1.2%)を上回っています。

同期間、東京株式市場では2つの出来事が上昇相場をけん引しました。
1つ目は、植田新日銀総裁が就任会見にて現行の金融緩和政策を維持する方針を示したことです。米欧の金融システムを巡る懸念は、中銀による金融引締めが元々の発端でした。市場では、長らく大規模金融緩和政策を続けてきた日銀が、新総裁就任を契機に金融緩和政策を修正するのではという見方も広がっていました。
日銀新総裁の初動と今後の方向感を見定めようとする市場関係者が大勢のなか、日銀が金融緩和の現状維持を示したため、一旦安心感が広がった模様です。ただ、会見では金融緩和について多くの副作用についても触れていました。よって、早期の政策修正こそないものの、任期である5年のうちには金融緩和政策の本格的な見直しがあると予想されます。市場関係者の間では、新総裁が述べた金融政策の現状維持はあくまでも一時的なものとする声が多いようです。


2つ目は、同期間に来日した著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が日本経済新聞社によるインタビューで、日本株の追加投資検討を示したことです。また、同時に従来より保有している商社株の追加取得を行ったことも明らかにしていました。日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(4/10~17.図表7)でも、大手商社が3銘柄がランクインしています。他には、バフェット氏が好みそうな割安株、低PBRかつ高ROEの海運株などが選好された模様です。

以上の2つが追い風となり、東京株式市場は一貫して右肩上がりの株価推移の展開でした。主に米国市場に連動して推移する東京市場には珍しく、独自要因により上昇相場が形成されました。

4月第3週(4/17~21)の日経平均は、小幅高でスタート。7日続伸で合計1,000円近く上昇したため、利益確定売りとみられる動きが上値を抑制しています。また、同週の米国市場は東京市場より一足早く1-3月期の決算発表シーズンを迎えています。今決算シーズンでは米企業の景気見通しに市場の注目が集まることが予想されます。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(4/10~17)

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(4/10~17)

バフェット効果で注目されるまさか!の投資テーマとは?

日経平均は4/17(月)に2万8,514円と、3/9(木)以来の2万8,500円処を回復しました。日経平均は昨年8月半ばに2万9,000円を割り込み、その後、何度か2万8,500円前後まで値を戻しましたが、その都度、跳ね返されてきました。今度こそその水準を超えて昨年来高値(昨年8/17・2万9,222円)を目指す展開となるか否か注目されます。

現状の株価上昇のきっかけは、11日に日本経済新聞が、著名投資家ウォーレン・バフェット氏との単独インタビューで、同氏が以前に投資した総合商社(5大商社)株の保有比率を高めたことを明らかにした上で、日本株の追加投資を検討したいとの見方を示した、と報じたことです。投資の世界においてもっとも有名なインフルエンサーとも言える同氏が日本株投資に前向きとあって、市場では同氏が注目しそうな「(業績の)質が高く割安」な銘柄探しが始まるなど、株式市場が賑わいを見せています。

もっとも、このインタビュー記事が相場に大きな影響を与えたことは事実ですが、国内市場ではそれ以前から、外国人投資家が日本の株式市場に回帰していることを示すニュースやデータが相次いでいます。例えば、4月1日に日経新聞が報じた“シタデル帰還、日本を「再発見」”との見出しニュースでは、ヘッジファンドの巨人といわれるケン・グリフィー氏が率いるシタデルが、08年の金融危機後に撤退していた東京に再び戻ってくると報じられました。また、サステナブル運用大手の英インパクス・アセット・マネジメントは日本市場に新規参入する目的で今年3月に東京拠点を設けるなど、海外運用機関による日本進出の動きが活発化しています。一方、海外投資家による日本株売買フローを見た所、対内株式投資(財務省発表)では、4月第1週(4月2日から8日)が2兆3,689億円の取得超と過去最大の買い越し(図表9)となっており、バフェット氏の記事が明るみになる前から海外投資家が日本株買いに動いています。

図表9 外国人投資家の日本株売買フロー(東証&財務省)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成


また、過去の国内株式市場の大幅上昇局面では、外国人投資家による日本株買いが大きな役割を担うことが度々あり、その動きを見過ごすことは出来ません。東京証券取引所が発表する投資部門別売買動向と日経平均の関係から外国人投資家による日本株買いのインパクトを試算すると、外国人投資家による1兆円の日本株買いが日経平均を3.3%押し上げる傾向があることが分かります(図表10

(ちなみに海外投資家による株式売買フローには東京証券取引所発表の投資部門別売買動向と、財務省発表の対内株式投資から見ることが出来ます。両統計の違いはhttps://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/06.htmlをご覧ください。※外部サイトに遷移いたします。)

図表10 海外投資家の日本株売買と日経平均騰落率のマトリクス

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成


国内では今週から3月期決算企業の本決算、および次期会社計画が発表されます。今回の決算シーズンにおける注目点の1つは、自社株買いの発表の有無でしょう。国内上場企業による22年の自社株買い金額は約9.4兆円と過去最高を記録するなど、株主還元を強化する動きが見られます(図表11)。今年は1月末に東京証券取引所が低PBR(株価純資産倍率=株価/1株当たり純資産)企業に対し、改善を要請したことは記憶に新しく、企業側としてはPBR改善策の一手として自社株買いを強化する可能性は高いと見られます。また、自社株買いが発表されるタイミングとなるのは、3月期決算企業が本決算を発表する4月から5月に集中しています。前述のとおり、バリュー投資家として認識されているバフェット氏が日本株に注目していることや、2010年代の米国相場において旺盛な株主還元策が、相場上昇を支える一助になっていたことを踏まえると、日本でも株主還元が当面の相場のテーマとなる可能性が高いと思われます。

図表11 国内上場企業の自社株買い発表金額

  • ※Quick Workstation Astra Manager よりSBI証券が作成

おすすめ記事(2023/04/18 更新)

信用取引のご注意事項

信用取引に関するリスク

信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。

信用取引の「二階建て」に関するご注意

委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。

ご注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。

・必要証拠金額は当社SPAN証拠金(発注済の注文等を加味したSPAN証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。

・当社SPAN証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。

・SPAN証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、またはお客さまごとに変更することがあります。

・「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は原則新規建てしたセッションに限定されます。なお、各種設定においてセッション跨ぎ設定を「あり」とした場合には、プレクロージング開始時点の証拠金維持率(お客さま毎のSPAN掛目およびロスカット率設定に関わらず必要証拠金額はSPAN証拠金×100%で計算)が100%を上回っていれば、翌セッションに建玉を持ち越せます。「HYPER先物コース」選択時は必要証拠金額はSPAN証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。

先物・オプションのSPAN証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)

・指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。

・日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。

・日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。

・日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。

・指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。

・未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。

・「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は委託手数料を機関投資家から受け取ります。

・J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。