「AI(人工知能)」で人気化期待の中小型株!

「AI(人工知能)」で人気化期待の中小型株!

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/04/05

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上昇基調継続も大型株にはアンダーパフォーム

3/28(火)~4/4(火)の東京株式市場では、日経平均株価が2.8%、東証グロース市場指数が1.4%、それぞれ上昇しました。引き続き、金融不安の後退を背景に堅調な動きが継続しました。日経平均株価については、3月決算銘柄等の権利付き最終日に当たる3/29(水)に、配当取りの駆け込みで大幅高した面もあり、東証グロース市場指数の上昇率を上回りました。

ご参考までに、2023年3月末終値を2022年3月末終値と比較した年度騰落率では、日経平均株価が0.8%、TOPIXが2.9%それぞれ上昇しました。それに対し、同期間の東証マザーズ指数は5.2%下落しました。東証グロース市場指数は2022年4月1日終値との比較で3.6%の下落です。同期間、米10年国債利回りは2.33%から3.47%に上昇しており、金利上昇に弱いグロース株がアンダーパフォームとなりました。

ちなみに、前年度に値上がり率の大きかった東証マザーズ指数構成銘柄と値上がり率を上位から羅列すると、第1位キャンバス(4575)691%、第2位東京通信グループ(7359)292%、第3位スポーツフィールド(7080)287%、第4位セルシード(7776)215%、第5位Macbee Planet(7095)209%となりました。

3/28(火)~4/4(火)の東証グロース市場時価総額上位銘柄では、JTOWER(4485)の上昇が目立ちました。3/31(金)付で、「子会社におけるファイナンス取引に関する契約の締結決定に関するお知らせ」と題するリリースを発表。「西日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社及び株式会社NTTドコモが保有する通信鉄塔の取得に関し、本件通信鉄塔の取得及びこれに関連する費用等に充当するため、本件資金調達を実施することといたしました」と説明しています。通信会社からの通信鉄塔取得は、大きなビジネスチャンスである一方、多額の資金を要するリスクがあります。翌営業日の4/3(月)に株価は大幅高しており、市場では順調な資金調達の進捗が好感された可能性がありそうです。

3/28(火)~4/4(火)の東証グロース市場指数構成銘柄(時価総額100億円超)で上昇率トップは、サイフューズ(4892)で40%超の大幅高となりました。バイオ3Dプリンティング技術を用い、再生医療・創薬分野で活躍期待の企業です。昨年12月に新規上場したものの、今年2/14(火)に通期利益の赤字転換を発表するなどして株価は右肩下がり傾向でした。信用規制対象銘柄でありましたが、4/3(月)の信用規制解除日に向け上昇に転じました。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 3/28(火)~4/4(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

「AI(人工知能)」で人気化期待の中小型株はコレ!?

AI(人工知能)が再び話題になっています。AIによる「ChatGPT」の文章作成能力に驚きが広がり、世の中のAI利用の段階が一段上がる可能性があると注目されています。

「ChatGPT」は、米国のOpenAI社が開発したAIによるチャットボット(チャットができるロボット)です。幅広い分野の質問に人が書いたような詳細な回答を生成でき、注目を集めています。アクティブユーザー数が1億人に到達する期間は史上最速の2ヵ月。これまでの記録は、TikTokが9ヵ月、Instagramが2年半ですから、それらに比べても圧倒的に短くなっています。

「ChatGPT」が有している、ネットの情報を背景とした知識量は、人間が到底敵わないと思わせるもので、実際に米国の医師資格試験、弁護士資格試験、MBAの試験などで合格ラインを突破したとの検証結果も出ています。

「ChatGPT」がみせる盛り上がりの背景には、体験できるAIであり、日本語で使え、人間の感覚に沿った形で強化学習してくれるアプリケーションであることが指摘されそうです。米国では、AI分野での覇権をめぐり、グーグル対マイクロソフトの競争に発展し、投資も増えているようです。このシステムの上で走るアプリケーションを開発する新興企業も増加。画像処理半導体の使用増加が予想され、2023年のエヌビディア株はすでに年初来で90%上昇(3月末現在)という驚異的なパフォーマンスをあげています。

日本では、どのような銘柄が注目されるのでしょうか。今回の「新興株ウィークリー」では、「AI(人工知能)」または、「チャットボット」に関連した新興株を抽出すべく、以下のスクリーニングを行いました。

(1)東証スタンダード、またはグロース市場に上場
(2)時価総額100億円超
(3)SBI証券のテーマ株投資ツール「テーマキラー!」で、「AI」または「チャットボット」関連銘柄としてご紹介。
   または事業内容的に「AI」、または「チャットボット」に関連しているとみられること
(4)今期会社予想営業利益が増益見通し(比較不能の場合は、この条件をスキップ)
(5)直近四半期累計営業利益が増益(比較不能の場合は、この条件をスキップ)

図表4の銘柄は、(1)~(5)をすべて満たし、銘柄の掲載はコード番号順となっています。
なお、プラスアルファ・コンサルティング(4071)、pluszero(5132)、tripla(5136)は、(4)と(5)が比較不能です。

(3)にある「テーマキラー!」では4/4(火)時点で、「AI」がアクセスランキングのトップ銘柄になっており、それに類似したテーマである「チャットボット」も第5位の人気になっています。最近はテレビ番組等でも「ChatGPT」が紹介されており、ホットな話題と考えることができます。

図表4 「AI(人工知能)」で人気化期待の中小型株はコレ!?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(4/4) AIまたはチャットボット関連銘柄としてのポイント
3773 3773 3773 3773 アドバンスト・メディア 1,762 コンタクトセンター向け音声認識ソリューションで国内トップ。大手企業を顧客とし、順調に業容を拡大
3993 3993 3993 3993 PKSHA Technology 1,817 用途特化型の対話型AIエンジン等を展開。AIに特化したスタートアップに投資するファンドを立ち上げ
4071 4071 4071 4071 プラスアルファ・コンサルティング 2,984 ビッグデータを、テキストまたはデータマイニング、自然言語処理、AI、機械学習を駆使し、見える化
4268 4268 4268 4268 エッジテクノロジー 990 社員が経験豊かなフリーランスと組み、顧客企業の課題を解決するAIソリューション等を提供
5132 5132 5132 5132 pluszero 7,320 人間のように意味を理解できる第4世代AI(AEI)を開発し、普及させることを目指す
5136 5136 5136 5136 tripla 2,611 宿泊施設に公式予約システム等を提供。AIが顧客からの問い合わせに自動で回答するチャットボットも
9753 9753 9753 9753 アイエックス・ナレッジ 957 システムインテグレーションが根幹。ルーティーンワークをAIロボットが代行する商品も取り扱う
  • ※Bloombergデータ、会社公表データ、各種報道をもとに、SBI証券が作成。

以下、図表4に掲載した銘柄の一部について、コメントします。

■PKSHA Technology(3993)~東大初のAIベンチャー

★週足チャート(5年)

  • ※データは2023/4/4(週足) 9:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※チャート上の年月日は、その株価が実現した週の初日を示しています。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■自社開発のアルゴリズムを大手企業等に提供

現社長の上野山氏が、日本のAI研究をリードする東京大学の松尾研究室で機械学習を学び、2012年に創業した企業です。

ソフトウェア自身がデータをみて学習する「機械学習・深層学習」技術を用いたアルゴリズム(問題を解くための手順・解き方)を提供しています。

トヨタ自動車、NTTドコモ他、日本の名だたる企業と取引し、17年9月に東証マザーズ市場に上場。22年9月に東証スタンダード市場へ指定替えとなりました。上場以来黒字計上を続け、成長しています。

同社は自社で開発したアルゴリズムを企業に提供。チャットアプリの自動対応、ECサイトで顧客の好みに合わせたリコメンドの実現、画像・映像認識ソリューションによる医療画像診断等を実現しています。


■株価は下落、業績は伸長

株価は19年6月高値7,280円から本年4/4(火)終値1,817円まで約4分の1に下落しました。しかし、営業利益は19.9期7.2億円から23.9期(会社予想)16億円まで2.2倍となっています。株価と業績の方向感が異なっています。

23.9期は売上高133億円(前期比15.6%増)、営業利益16億円(同2.2%増)が会社予想。しかし、2/13発表のQ1業績では、売上高31.9億円(前年同期比20.4%増)、営業利益4.7億円(同37.8%増)と順調なスタートです。SaaSなどのサブスクリプションサービスの成長を示す「AI SaaS」分野のARR(年次経常収益)は右肩上がりの成長が進んでいます。

4/3(月)付の日本経済新聞では、同社がAI開発に特化するスタートアップに投資するファンドを立ち上げたことが報じられました。日本政策投資銀行などが投資を決め、50億円程度の運用規模を確保したもようです。また、東京海上日動火災保険や三井住友銀行も出資を決め、12月までに100億円規模の資金を確保する予定です。

AI業界の拡大そのものが、当社の収益につながる可能性が出てきたと言えそうです。

■アイエックス・ナレッジ(9753)~中堅システムインテグレーター。今期業績は過去最高を達成見込み

★週足チャート(3年)

  • ※データは2023/4/4(週足) 15:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※チャート上の年月日は、その株価が実現した週の初日を示しています。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■中堅の独立系システムインテグレーター

「独立系」システムインテグレーターです。
日立系や野村系等、特定のメーカ企業やユーザー企業と特別な関係を持たずにシステムの開発・提供をしています。

対象業界は、金融から情報通信、製造、物流と多岐にわたります。NTTや、KDDI、日立製作所等の主要顧客上位5社が、全売上高の5割以上を占めています(22.3期)。

AI関連銘柄としては、ルーティンワークをAIロボットが代行する「WinActor (NTTグループが開発)」をRPA/BPRソリューションで取り扱っています。

■今期は過去最高で増収増益予定

今期3Q(10-12月)決算では、通期業績予想の上方修正、増配(1株当たり:25円▹30円)、株式償却(発行済み株式数の3.75%)の実施を発表。売上高・利益ともに過去最高を達成する見込みです。

同決算通過後、株価は大幅高となりました。4/4(火)時点では、過去3年の価格帯別売買高で最も層が厚い水準に位置しています。ここを抜けることができれば、株価もさらに一段高することができそうです。

市場で業績拡大への期待感が増す中、通期決算発表は5/12(金)に予定されています。

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