新年度も期待!業績・株価上昇基調の主力株は?

新年度も期待!業績・株価上昇基調の主力株は?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2023/03/31

新年度も期待!業績・株価上昇基調の主力株は?

2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)が最終日を迎えました。日経平均株価は、ほぼ前年度末(22年3月末)の水準を維持して取引を終えています。同期間の米国株と比べ、相対的には堅調であったといえそうです。

人手不足を背景に賃金上昇圧力が強まった米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が2022年3月に、約2年ぶりに実質ゼロ金利を解除し、以降9会合連続で政策金利が引き上げられました。昨年2月以降、ロシア・ウクライナ戦争が続いたことで、エネルギーや食糧の供給問題が深刻化し、インフレ懸念が加速する状態でした。

一方、円安も手伝い、日本も輸入物価の上昇に苦しみましたが、日銀が金融緩和を続けたことに加え、COVID-19からの経済再開が進み、景気・企業業績の底割れは回避されました。さらに、岸田政権の資産所得倍増計画や、東証によるPBR1倍割れ銘柄を少なくしようとの方針も手伝い、日本株を下支える要因となりました。

2022年度の東京株式市場ではどのような銘柄の株価が上昇し、2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)はどのような銘柄が上昇するのでしょうか。今回の「日本株投資戦略」では、東証プライム市場の主力株を対象にスクリーニングを展開。業績拡大を背景に2022年度に買われ、当面の好業績が見込まれることから2023年度も株高が期待できるような銘柄の抽出を試みてみました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証プライム市場に上場

(2)時価総額1000億円超

(3)銀行、証券商品先物業、保険を除く

(4)2022年3月31日~2023年3月30日に株価が10%超上昇

(5)前期に純利益が前期比10%超増加

(6)直近四半期(3ヵ月)の純利益が前年同期比10%超増加

(7)今期市場予想(Bloombergコンセンサス)純利益が前期比10%超の増益

(8)来期市場予想(同上)純利益が前期比で増益

図表の銘柄は、(1)~(8)の条件をすべて満たしており、株価上昇率(2022年3月31日~2023年3月28日)順に並べられています。

図表1 新年度も期待!業績・株価上昇基調の主力株は?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価(3/30) 22/3末比 前四半期
純増益率
今期市場予想純増益率
現買
信買
チャート 追加 8111 ゴールドウイン 12,280 97.7% 27.8% 40.8%
現買
信買
チャート 追加 9697 カプコン 4,715 58.9% 66.4% 11.4%
現買
信買
チャート 追加 2267 ヤクルト本社 9,560 46.6% 17.7% 18.0%
現買
信買
チャート 追加 4527 ロート製薬 2,707 46.5% 36.7% 15.6%
現買
信買
チャート 追加 4812 電通国際情報サービス(12) 5,200 33.0% 19.9% 18.2%
現買
信買
チャート 追加 6141 DMG森精機(12) 2,196 31.2% 146.6% 31.4%
現買
信買
チャート 追加 9364 上組 2,745 24.8% 39.1% 13.1%
現買
信買
チャート 追加 3186 ネクステージ(11) 2,766 24.7% 28.3% 28.6%
現買
信買
チャート 追加 8593 三菱HCキャピタル 674 18.2% 49.0% 11.4%
現買
信買
チャート 追加 2651 ローソン(2) 5,570 19.1% 53.6% 30.9%
現買
信買
チャート 追加 4684 オービック 21,100 14.5% 16.0% 13.6%

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
※銘柄名右のカッコ付き数字は決算月を示しています。カッコ付数字がない銘柄は3月決算銘柄で、3/30(木)が権利落ち日となっています。
※ロート製薬(4527)は、2023年3月期から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。スクリーニング条件(5)は単純計算によるものです。

以下、一部の掲載銘柄について、ポイントをご紹介します。

ロート製薬(4527)~過去最高益&19期連続増配予想を背景に過去最高値を更新

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/3/31(日足) 11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■アイケア、スキンケア、内服に展開

アイケア関連(目薬、洗眼薬等)、スキンケア関連(外皮用薬、リップクリーム、日焼け止め、機能性化粧品等)、内服関連(胃腸薬、漢方薬、サプリメント等)を開発・製造・販売しています。カテゴリー別の主な売上高構成比(23.3期・第3四半期累計)は、アイケア19%、スキンケア61%、内服12%です。

1899年に大阪市で胃腸薬の販売により創業。1909年に当社ブランドイメージのもとになる「ロート目薬」の販売を開始しました。1975年にメンソレータム・ブランドを取得し、スキンケア分野に進出。1988年には米メンソレータム社を買収し、世界100ヵ国以上に広がるネットワークを獲得しました。

地域別売上高(23.3期・第3四半期累計)は日本57%、アジア(中国、香港、ベトナム他)29%、アメリカ7%、ヨーロッパ5%他となっています。

個別商品では、古くは目薬の他、メンソレータム、パンシロン胃薬等が知られた存在です。最近はニキビや肌荒れの防止に役立つ「メラノCC」や、保湿にこだわったスキンケア商品である「肌ラボ」などが人気商品となっており、インバウンドや越境ECの売上高も計上されています。

■23.3期は業績予想上方修正、連続増配へ

2/13(月)に発表された23.3期・第3四半期累計決算では、売上高1,762億円(前年同期比22.4%増)、営業利益285億円(同22.5%増)と増収増益を確保しました。

日本では23.3期・第3四半期累計で、消費マインドが回復する中、顧客ニーズに合った商品提案が奏功し、すべての製品カテゴリーで増収となりました。「メラノCC」や「肌ラボ」等の主力製品はコロナ前を上回る増収です。営業利益も前年同期比14.3%の増益となりました。

一方、海外では23.3期・第3四半期累計決算で、アジアが前年同期比30.8%増と大きく成長。香港の他、ベトナム、マレーシア、インドネシア等の東南アジアが高成長となりました。中国はロックダウンの影響が出ましたが増収を維持しました。アジアの営業利益は前年同期比37.5%増益となりました。

これらを受け会社側は、通期の業績予想を上方修正し、売上高を2,300億円→2,360億円(前期比18.2%増)、営業利益を310億円→330億円(同13.7%増)としました。売上高、営業利益、経常利益、純利益は過去最高を更新する見込みです。また、期末予想1株配当も10→12円に上方修正され、株式分割(22.12末1→2株)を考慮し、実質で19期連続の増配となる見込みです。

好業績や連続増配を背景に、株価は上昇基調です。3/30(木)に権利落ち日を迎えましたが、取引時間中に過去最高値更新となっています。短期的には、テクニカル的に「三角保ち合い」から上放れつつあるように見受けられます。

ローソン (2651)~コンビニ大手。本決算発表間近!業績・株価は回復の最中

★月足チャート(10年)

  • ※データは2023/3/31(月足) 11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■コンビニ大手。多種多様な店舗展開が特徴

コンビニ大手(国内店舗数第3位)で、親会社は三菱商事(8058)です。

国内コンビニ事業(売上構成比60%)を中核に、こだわり製品が人気のスーパー「成城石井」を運営する成城石井事業(同16%)や、中国を重点とした海外事業(同11%)などを展開しています(22.2期)。

国内コンビニ事業では、差別化戦略を図り、今期は「地域密着×個客・個店主義」をコンセプトに掲げ、店舗改装に邁進中です(25.2期からの新店・既存店改装の標準化が目標)。地域ごとの特産品を用いた商品の販売や、店内調理サービス「まちかど厨房」の導入数の拡大などにも注力しています。

他には、顧客ニーズにより深く寄り添うため、多様な形態の店舗展開をしている点が特徴です。健康志向型の商品が充実した「ナチュラルローソン」やスーパーのような品揃えを備えつつ、価格的には主に100円の「ローソンストア100」等があります。

昨年4月、コロナ禍で業績を急拡大した成城石井事業の上場申請を行いました。しかし、同年12月に欧米経済見通しの不透明感などを背景に、申請を取り下げています。

■今期はコロナ禍を上回る規模の増収予想。本決算発表間近!

今期(23.2期)の本決算は、4月13日(木)に発表予定です。

今期3Q(22.3-11月期)時点で、売上高7,373億円(前年同期比41%増・進捗率72%)、営業利益451億円(同17%増・進捗率85%)と順調なペースでした。

17.2期に過去最高の営業利益となって以降、減益が続き、さらにコロナが加わり軟調な業績が続いていました。それに伴い、同社株価推移も右肩下がりでした。

しかし、2022年半ばから、業績回復傾向がみられ株価はそれを織り込みつつあります。内需株が選好される市場の物色動向や行動規制の緩和が追い風となった形です。

来期(24.2期)見通しに関しては、今期業績の重荷となった中国ロックダウンが解除されたため、前向きな見通しが示されることにも期待できそうです。さらに、2月には中国事業で戦略的パートナーとの提携を検討しているとの報道がなされました。同事業は、今後の成長の要となるでしょう。

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