アナリストが強気で、好決算・上方修正期待の中小型株

アナリストが強気で、好決算・上方修正期待の中小型株

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/04/12

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米景気への不透明感から下落

4/4(火)~4/11(火)の東京株式市場では、日経平均株価が1.3%、東証グロース市場指数が1.5%、それぞれ下落しました。月初から、米国経済の減速、悪化を示唆する経済指標の発表が続き、「世界の景気敏感株」と評される日本株に逆風が強まりました。ただ4/7(金)発表の米雇用統計(3月)が底固い内容だったことから、4/10(月)以降の東京市場は落ち着きを取り戻しました。日銀の植田新総裁が金融緩和の維持を示唆したことや、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本への追加投資を示唆したことも追い風となり、この期間後半は下げ止まる展開となりました。

時価総額上位銘柄では、全般的に下落する銘柄が多くなる中、サンウェルズ(9229)の上昇が目立ちました。3月末基準で1対3の株式分割を実施し、権利落ち後は株価が下がって買いやすくなったとみられます。特に目新しい材料が出たわけではないですが、4月相場入り以降、上昇基調に転じました。

時価総額100億円以上の幅広い銘柄の中では、AI(人工知能)ソリューションを手掛けるヘッドウォータース(4011)の上昇が目立ちました。4/6(木)にエヌビディアのスーパーコンピューターに対応したエッジAI管理ソリューションを開発したと発表しました。4/7(金)はそれが好感されたことに加え、委託保証金率に関する臨時措置の解除も手伝い、ストップ高まで買われました。この日は取引終了後に、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供するIoTネットワークサービスのパートナーになったことも発表され、4/10(月)には大幅続伸となりました。

再生医療のステムリム(4599)も大幅高しました。4/10(月)に、23/7期の諸利益が黒字転換するとの見通しを発表。急性期脳梗塞を対象にした治療薬開発における開発マイルストーンを達成し、事業収益として計上できる見通しとしました。4/11(火)の取引開始後30分弱で寄り付いた後、売買が交錯する展開になりましたが、この日終値では結局、ストップ高となりました。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 4/4(火)~4/11(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

アナリストが強気で、好決算・上方修正期待の中小型株

強弱感が対立する東京株式市場ですが、4月下旬以降はいよいよ決算発表が本格化します。日銀短観(3月)をみる限り、新年度の上場企業は、全体として減益見通しになる可能性があり、投資家としては例年以上に慎重な対応が必要かもしれません。

ただ、米景気・企業業績への先行き不透明感が強まり、米長期金利がピークアウトの様相を強めています。米長期金利の低下自体は、グロース株には追い風になるため、過度の懸念は不要かもしれません。銘柄数ベースでは、東証グロース市場は、情報・通信、サービスを中心に、非製造業のウェイトが高いのが特徴です。その意味でも、決算発表に対する過度の警戒は不要なのかもしれません。

今回の「新興株ウィークリー」では、決算発表本格化を控え、好決算あるいは業績予想上方修正を期待できる銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行なってみました。

(1)東証スタンダード、またはグロース市場に上場
(2)純利益を予想するアナリストが2名以上
(3)3月、9月決算銘柄
(4)四半期(累計)営業利益が前年同期比増益で、通期予想営業増益率を上回る増益率
(5)四半期営業利益の進捗率が「標準」以上
(6)4/10(月)まで20営業日の1営業日当たり平均出来高が2万株超
(7)来期市場予想営業利益が増益予想

図表4の銘柄は、(1)~(7)をすべて満たし、銘柄の掲載は(4)の四半期増益率の順番になっています。

図表4 アナリストが強気で、好決算・上方修正期待の中小型株

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(4/11) 四半期営業増益率 進捗率 今期予想営業増益率
6677 6677 6677 6677 エスケーエレクトロニクス(5/15)(9) 1,760 234.7% 32.1% 12.6%
6125 6125 6125 6125 岡本工作機械製作所(5/12) 5,000 63.9% 85.9% 17.6%
1717 1717 1717 1717 明豊ファシリティワークス(5/12) 764 36.9% 79.3% 6.3%
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート(5/11)(9) 9,990 34.5% 30.3% 25.6%
6145 6145 6145 6145 NITTOKU(5/12) 2,721 27.0% 75.9% -9.9%
4970 4970 4970 4970 東洋合成工業(5/12) 8,720 14.7% 75.0% 11.4%
  • ※Bloombergデータ・会社公表データをもとに、SBI証券が作成
  • ※銘柄名右横カッコ内の日付は決算発表予定日
  • ※上記の日付数値の右横に(9)とある銘柄は9月決算銘柄で、表記のない銘柄は3月決算銘柄
  • ※進捗率は四半期営業利益を今期予想営業利益(会社予想)で割った数値
  • ※進捗率の標準は、3月決算銘柄の場合75%で、9月決算銘柄は25%

以下、図表4に掲載した銘柄の一部について、コメントします。

■エスケーエレクトロニクス(6677)~ 大型フォトマスクで高シェア。第1四半期で早くも予想を上方修正。

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/4/12(日足) 11:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。


★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■大型フォトマスクで高シェア

大型フォトマスクを設計、製造、販売しています。フォトマスクに描画された微細なパターン線が転写され、液晶パネルや有機ELが製造されます。海外を中心に大手パネルメーカーが取引先で、大型フォトマスクの分野では高いシェアを誇ります。
2023.9期は好調なスタート。2/13(月)に発表された第1四半期は売上高74.8億円(前年同期比49.9%増)、営業利益13.8億円(同234.7%増)を確保。これを受け、会社側は、通期の予想営業利益を28億円から43億円(前期比12.6%増)に上方修正しました。

株価は3/10(金)の1,729円から、米金融不安を受けて、3/14(火)1,542円まで下げていましたが、その後は再び上昇し、4/3(月)に年初来高値を更新しています。

■好業績・好財務も低PBR・低PER

液晶パネルはITに加え、車載やVRデバイス等新しい市場が拡大。さらに、5G対応スマホ向けに有機ELパネルが伸びていることも好感されています。
今年度第1四半期末の純資産281億円に対し、4/10(月)現在の時価総額は200億円でPBRは0.7倍台にとどまります。また、上方修正後の会社予想1株利益240円75銭に対する予想PERも7.3倍程度にとどまっており、低PBR、低PERです。
一方、第1四半期末の流動比率は305%を超え、長短借入金が総資産に占める比率は5.8%と小さく財務は堅固にみえます。

低PBR、低PERにとどまっている理由は、株式の流動性とIR(情報開示)にあるかもしれません。割安感は強いとみられます。今上半期決算は、5/15(月)に発表される予定です。

■明豊ファシリティワークス(1717)~建設プロジェクトのプロ集団。隠れたテンバガー達成銘柄

★月足チャート(20年)

  • ※データは2023/4/11(月足) 11:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。


★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■建設プロジェクトのプロ集団。自治体、国、大手企業が顧客

顧客(発注者)に寄り添い、建設プロジェクトを成功に導くプロ集団です。

CM(コンストラクション・マネジメント)方式という建設生産・管理システムを主軸に事業を展開。CM方式とは、施工に関する各種マネジメント業務の全部又は一部を担う手法となります。

元来、CM方式自体は1960年代に米国で広がったシステムです。日本では、従来、元請業者がマネジメント業務を担う一括発注式が多用されていました。コストの透明化や計画効率化等の観点から、近年、日本でも関心が高まっています。

顧客はおもに、地方自治体や国、国内外含めた大手企業であり、国土交通省(9年連続受託)やJR東日本なども同社の顧客です。


■テンバガー銘柄!今期は過去最高業績を達成予定

2008-2011年に同社株式を取得した場合、テンバガー達成を享受できた方も多くいる銘柄です。

今期3Q(22.3-23.12期)決算では、売上高34億円(前年同期比12%増)、営業利益7億円(同37%増)と好調でした。

主力のCM事業では同決算発表時点で、11の地方自治体からプロジェクトを受託しています。また、民間企業でも大型案件で実績を重ね、既存顧客から継続的な引き合いが続きました。さらに、新規顧客からの引き合いも増加した模様です。

同決算と同時に、通期業績予想の上方修正と増配実施が発表されました。

今期(23.3期)は過去最高営業利益を達成する見通しです。今期本決算は、5/12(金)に発表される予定です。

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