決算シーズンスタート!業績見通しが株価方向性を決める!?

投資情報部 淺井一郎 鈴木英之
2023/04/25
8連騰後も底堅い展開
4月第3週(4/17~21)の日経平均終値は28,564円37銭となり、前週末比70円90銭高(+0.2%)と週足ベースで小幅ながら続伸しました。4/7(金)~4/18(火)まで8営業日続伸して計1,186円上昇し、4/18(火)に終値が28,658円83銭と年初来高値(終値ベース)を更新。週末の4/21(金)には一時28,778円まで上昇し、3/9(木)取引時間中高値28,734円を上回りました。週明けの4/25(火)にはさらに同取引時間中高値を更新しています。
インフレ懸念の後退等を背景に上昇してきたNYダウですが、4/14(金)を境に上値の重い展開になりました。この日発表されたミシガン大学消費者信頼感指数(4月速報値)で1年後の期待インフレ率が大きく上振れたこと、複数の地区連銀総裁から、5月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げを支持する意見が目立ったこと等、インフレ・金利上昇懸念がくすぶり続けました。一方で、景気・企業業績の悪化を示唆する材料も目立ち、スタグフレーションへの心配がちらつく週となりました。結局4月第3週のNYダウは前週比0.2%下落しました。
それでも、日本株への先高観はくずれませんでした。インバウンド需要の急速な回復に加え、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による商社株買い増しや、他の日本株に対する買い意向の表明後の好ムードが持続しました。対外・対内証券投資(財務省)によると、4月第1週(4/2~4/8)には海外投資家の日本株等の買い越し額が2.36兆円と過去最高額(2005年以降)に達し、第2週(4/9~4/15)も1.87兆円と大きな買い越しが続きました。
東京市場では、4/14(金)の米大手銀行決算が好調だったことも支援材料になりました。また、大手私鉄やJR各社が期間中、相次いで年初来高値を更新するなど強さが目立ちました。4/19(水)に発表された3月訪日外客数は181万人となり、2019年の同月からの下落率は34%(2月は43%減)に縮小してきました。早ければ夏にも2019年の同月水準を上回るとの分析も出ており、インバウンド関連株の高騰につながっています。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(4/17~24)

図表8 日経平均株価採用銘柄の下落率上位(4/17~24)

決算シーズンスタート!業績見通しが株価方向性を決める!?
4/24(月)に日経平均採用銘柄で3月期決算企業のニデック(旧日本電産:6594)が、23年3月期本決算を発表しました。その中で、新たに示された今期(24年3月期)会社計画では、営業利益が前期比2.2倍の2,200億円と過去最高益を更新する堅調な見通しが示されました。
また、7日に決算発表を行った安川電機(6506・2月期決算企業)は、実績(23年2月期)において4四半期ぶりに過去最高益を更新し、今期予想についても営業利益で過去最高益更新が見込まれています。ニデック、安川電機ともに、電気自動車(EV)向け製品の販売増加が見込まれております。これから、3月期決算発表シーズンが本格化するなかで幸先の良いスタートになったと言えるでしょう。
毎年、この時期の決算発表は、5月初旬のゴールデンウィーク(GW)の前後に分散される傾向があります。今週は、GW前のヤマ場の週であり、全体(プライム、グロース、スタンダード上場)の約12%の企業が決算発表を行う予定です。もっとも、日経平均採用銘柄については、全体の中でもやや発表日が早い傾向があり、今週は構成銘柄の中で約2割の企業が決算発表を行う予定で、堅調な業績見通しが続くかが注目されます。
図表9 決算発表企業数の推移

一方、図表10は日経平均と予想PER(12ヵ月先予想ベース)の関係を示したグラフです。昨年来、日経平均は予想PERが12から13倍台で推移する中、株価についてもボックス圏で推移してきました。予想PERについては、多くの主要国が金融引き締めを進め、世界経済の先行きに不透明感が指摘される中、水準が切り上がるような展開を臨むことは困難だと思われます。そうした中、日経平均が更なる上昇を目指すとすれば、昨年に伸び悩んだ予想EPSが、上昇し始めることだと考えられます。
EV関連の成長が期待される製造業や、インバウンドの取り込みに注力する内需系企業など、今回の決算発表を通じて、日経平均全体として明るい見通しが示されれば、予想EPSの成長期待を手掛かりとする日経平均の上昇が期待されると考えられます。
- ※東京証券取引所データをもとにSBI証券が作成
図表10 日経平均と予想PER(12ヵ月先予想ベース)の関係

- ※予想PERはQuickコンセンサス予想に基づいて算出された12ヵ月予想ベースのPER
- ※Quick Workstation Astra ManagerをもとにSBI証券が作成
おすすめ記事(2023/04/25 更新)

国内株式
実績重視!近く「自社株買い」を発表しそうな企業を探る
東京株式市場が堅調な値動きとなっております。日経平均株価は4/18(火)の終値が28,658円83銭となり、年初来高値(終値ベース)を更新し、昨年8月以来の高値水準を回復しました。欧米の金融不安が後退したこと、一時に比べ米国のインフレ圧力が...
投資情報部 鈴木 英之
2023/04/21

国内株式
決算発表接近!実績が強く、好決算期待の中小型株を抽出
4/11(火)~4/18(火)の東京株式市場では、日経平均株価、東証グロース市場指数がともに2.6%上昇しました。 米国でCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)が総じて、インフレ鈍化を示唆する内容になったこと等もあり、NYダウ...
投資情報部 鈴木 英之/栗本 奈緒実
2023/04/19
少ない資金で大きな利益が狙える先物・オプション取引って何?
相場が大きく動いたら?SBI証券なら多彩な商品群で取引チャンスを逃がしません!
信用取引のご注意事項
信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。
ご注意事項
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。
・必要証拠金額は当社SPAN証拠金(発注済の注文等を加味したSPAN証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。
・当社SPAN証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。
・SPAN証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、またはお客さまごとに変更することがあります。
・「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は原則新規建てしたセッションに限定されます。なお、各種設定においてセッション跨ぎ設定を「あり」とした場合には、プレクロージング開始時点の証拠金維持率(お客さま毎のSPAN掛目およびロスカット率設定に関わらず必要証拠金額はSPAN証拠金×100%で計算)が100%を上回っていれば、翌セッションに建玉を持ち越せます。「HYPER先物コース」選択時は必要証拠金額はSPAN証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・先物・オプションのSPAN証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
・日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は委託手数料を機関投資家から受け取ります。
・J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。