決算発表接近!実績が強く、好決算期待の中小型株を抽出

決算発表接近!実績が強く、好決算期待の中小型株を抽出

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/04/19

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日本株全般の上昇にツレ高も上値抵抗ライン突破の兆し

4/11(火)~4/18(火)の東京株式市場では、日経平均株価、東証グロース市場指数がともに2.6%上昇しました。

米国でCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)が総じて、インフレ鈍化を示唆する内容になったこと等もあり、NYダウは堅調に推移し、日本株でも株高要因となりました。著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が来日し、商社株の買い増しを明らかにしたことや、他の日本株の買い意向を示したことも追い風になりました。日経平均株価は4/7(金)~4/18(火)に8連騰となり、終値ベースの年初来高値更新となりました。それを受け、東証グロース市場もツレ安となりました。

ただ、図表1からも明らかなとおり、日経平均株価が年初来高値を更新したのに対し、東証グロース市場指数は、上値を切り下げる展開となってきました。バフェット氏の発言を受けて盛り上がりをみせたのはバリュー株が中心であったことから、グロース株はやや人気の圏外になりました。反面、チャート的には上値を結ぶ抵抗ラインを上放れつつあり、今後出遅れを挽回してきそうな形状にはなっています。

時価総額上位銘柄は、総じて上昇する銘柄が多くなりました。グロース市場全般の上昇を受け、主力銘柄に買いを入れた投資家が増えたようです。東証プライム市場への「市場区分変更」を申請しているANYCOLOR(5032)も上昇。4/11(火)に信用取引における日々公表銘柄への指定が解除となり、上昇基調へと転じました。

時価総額100億円以上の幅広い銘柄の中では、海帆(3133)の上昇が目立ちました。複数の外資系証券による空売りの増大が報じられていますが、取り組み妙味の増大を意識した短期的な売買が入っている可能性もありそうです。靴とファッションの通販サイトを運営しているロコンド(3558)も大幅高。4/14(金)に発表された24.2期の業績見通しでは、営業利益が76.6%増える見通しで、これが好感され、4/17(月)・4/18(火)と2営業日連続のストップ高となりました。

反面、YouTuber事務所のUUUM(3990)は4/13(木)のストップ安を交え、下落基調でした。第3四半期(22.12~23.2期)が若干の営業赤字に陥り、通期業績予想を大幅に下方修正したことが嫌気されました。ショート動画の再生回数が伸びる半面で、それを除く動画再生回数が想定を下回ったことや、同四半期以降の広告出稿意欲の低下他、業績下方修正につながる要因が多かったものとみられます。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 4/11(火)~4/18(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

決算発表接近!実績が強く、好決算期待の中小型株を抽出

4月下旬以降はいよいよ決算発表が本格化します。

決算発表については、東証が「45日ルール」を定めており、会計年度終了後45日以内に「決算短信」や「四半期報告書」を提出しなければなりません。また、翌月以内に発表することが望ましいとされます。このうち、企業の決算内容や業績予想の要点を示したものが「決算短信」です。「決算短信」は決算の速報に相当すると考えられ、これに対し確報的な存在となるのが「有価証券報告書」で、こちらは3ヵ月以内の提出が義務付けられています。

東証上場の4,282社(4/18時点のBloombergデータ)のうち、3月決算企業の割合は5割超、6月、9月、12月決算企業までも含めた割合は7割超(同上)を占めています。これら約3,100社の企業がおおよそ、5/15(月)(3月末から45日後)までに四半期決算または本決算を発表する予定になっています。今回の決算発表のピーク(社数ベース)は5/12(金)の予定ですが、4月下旬も主力企業の多くが発表を予定していますので、4月下旬以降はいつも以上に気が抜けない状況が続くことになりそうです。

今後、決算発表を経て、企業の収益(特に利益)が市場予想または前期実績を上回った、とか下回った等を材料に株価が大きく動く場合が多くなってきます。また、決算発表を待たずに、会社側による業績予想修正や、メディアの観測報道等により、株価が大きく動くケースもあります。この時期は、決算発表スケジュールや業績動向に対する注意が他の時期以上に必要と言えそうです。

今回の新興株ウィークリーでは、3月決算の中小型銘柄を対象に、第3四半期まで強い業績推移を示してきたことから、好決算の着地が見込まれる企業の抽出をこころみるべく、スクリーニングを行なってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証スタンダード市場または同グロース市場に上場
(2)時価総額100億円超1,000億円以下
(3)3月決算銘柄
(4)23.3期3Q累計の営業利益が前年同期比で黒字転換、または20%超の増益
(5)同Q累計の営業増益率が23.3通期の会社予想営業増益率を20%pt超上回っていること。ただし、同Q累計の営業利益が前年同期比で黒字転換の場合は、この条件を満たしているとみなす
(6)進捗率(3Q累計営業利益/23.3通期会社予想営業利益)が80%超
(7)4/17(月)まで過去20日間の1営業日当たり平均出来高が2万株超

図表5の銘柄は、上記(1)~(7)の条件をすべて満たしており、(4)の増益率順が高い順(ただし黒字転換が最上位)に並べられています。これらは、第3Qまでの実績が強い企業であり、すでに業績予想が上方修正されているケースがほとんどになっています。ただ、業績予想上方修正後の営業利益・増益率に対しても、(5)や(6)を満たしており、さらなる業績予想の上方修正も十分可能であるとみられます。

図表4 上場企業の決算発表スケジュール(国内株式・発表予定件数)

  • (出所)SBI証券Webサイト 2023/4/18 16:00時点の情報。発表予定社数は日々変化する傾向にあります。

図表5 実績が強く、好決算期待の中小型株を抽出

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(4/18) 3Q累計営業増益率(前年比) 23.3期会社予想営業増益率 業績修正年月日
7014 7014 7014 7014 名村造船所(5/11) 392 黒字転換 黒字転換 22/11/11
9675 9675 9675 9675 常磐興産(5/15) 1,220 黒字転換 黒字転換 23/03/23
8131 8131 8131 8131 ミツウロコグループホールディングス(5/10) 1,306 2178.6% 852.4% 23/02/07
4031 4031 4031 4031 片倉コープアグリ(5/15) 1,678 335.4% 122.5% 22/11/14
4080 4080 4080 4080 田中化学研究所(5/11) 1,428 291.5% 93.9% 22/10/28
6565 6565 6565 6565 ABホテル(5/10) 2,301 229.5% 181.5% 23/03/08
6246 6246 6246 6246 テクノスマート(5/12) 1,575 190.4% 40.0% 23/02/10
9888 9888 9888 9888 UEX(5/12) 1,279 141.8% 98.0% 23/02/08
6625 6625 6625 6625 JALCOホールディングス(5/12) 238 124.6% 93.2% 23/02/15
6658 6658 6658 6658 シライ電子工業(5/12) 733 113.1% 73.2% 23/02/10
8596 8596 8596 8596 九州リースサービス(5/10) 834 99.7% 53.8% 22/10/21
6614 6614 6614 6614 シキノハイテック(5/11) 4,045 98.4% 48.8% 23/02/10
6319 6319 6319 6319 シンニッタン(5/15) 237 89.7% 43.3% 23/02/13
7551 7551 7551 7551 ウェッズ(5/12) 673 72.0% 46.7% 23/01/30
7480 7480 7480 7480 スズデン(5/8) 2,520 71.3% 24.5% 23/01/31
6125 6125 6125 6125 岡本工作機械製作所(5/12) 4,940 63.9% 17.6% 修正なし
8920 8920 8920 8920 東祥(5/10) 1,271 59.7% -39.8% 23/03/08
7305 7305 7305 7305 新家工業(5/12) 2,064 54.6% 30.0% 22/08/05
4237 4237 4237 4237 フジプレアム(5/15)※ 399 47.9% 4.3% 23/02/09
7937 7937 7937 7937 ツツミ(5/12) 2,250 47.4% 16.6% 23/02/04
9308 9308 9308 9308 乾汽船(5/12) 1,798 26.4% -3.5% 22/08/10
  • ※Quickデータ・会社公表データをもとに、SBI証券が作成
  • ※銘柄名右横カッコ内の日付は決算発表予定日
  • ※進捗率は四半期累計(22.4~12期)を23.3期会社予想営業利益で割って求めた割合。
  • ※「業績予想修正」は、原則会社予想営業利益の上方修正。年月日は西暦下二けたと月日で表示しています。
  • ※フジプレアムの今期会社予想業績の修正は、売上高が下方修正で、純利益が上方修正。
  • ※決算発表予定日は予告なく変更されることもありますので、ご注意ください。


  • 以下、図表5に掲載した銘柄の一部について、コメントします。

■常磐興産(9675)~まだ間に合う!?出遅れ感のある経済再開銘柄。「スパリゾートハワイアンズ」を運営

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/4/19(日足) 11:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■ハワイアンズを運営。炭鉱資源を有効活用

フラガールで有名な「スパリゾートハワイアンズ」の運営をコア事業とする会社です。

同施設やゴルフコース等の運営を行う観光事業が事業の柱で、全利益の約90%を占めています(22.3期)。

同社の前身は常磐炭礦という炭鉱業を営む企業でした。福島県いわき市は、かつて石炭埋蔵量、本州一と謳われた「常磐炭田」の地でした。しかし、時代の需要は石炭から石油へ移行。事業に向かい風が吹く中、石炭採掘時に悩みの種であった温泉を逆転の発想で、資源として活用したのが「ハワイアンズ」です。

上述の沿革より、石炭部門・石油部門を傘下に持つ燃料商事事業を、現在に至るまで展開しています。他には、20.3期から、新たな成長に向けた新規事業としてアグリ事業を開始。常磐炭鉱跡の社有地を活用し、大規模農業施設で、高糖度のミニトマトを栽培してます。

■2Qに利益偏重。本格回復は24.3期から!?

スパ施設の運営事業を主軸とする当社にとって、コロナ2019の影響は甚だ大きく、21.3期は2.8億円、22.3期は2.3億円の営業赤字となりました。直近10期での最高営業利益、14.3期の2.1億円を上回る規模です。

5/15(月)に本決算発表予定の23.3期は、3期ぶりに営業損益が黒字転化する予想です。

同社の利益は夏休みが含まれる2Q(7-9月)にかなり偏重しているという特徴があります。コロナ2019以前から3Q(10-12月)、4Q(1-3月期)と期末に近づくに連れ営業利益が減少する傾向です。

そのため、今期は3Q時点で8.8億円の営業増益を達成したのに対し、通期は5.5億円となる見通しです。なお、同見通しは、3/23(木)に、スパリゾートハワイアンズの集客並びに燃料商事事業の販売が好調に推移したことを背景に上方修正された数値です。

同社の書き入れ時である2Q(7-9月)は、23.3期はまだ行動規制や水際対策が厳重でした。そのため、売上高含め、本格的な業績回復が見込まれるのはこれから見通しが示される24.3期からです。インバウンド関連銘柄が物色される中、同社の業績と株価は低水準に位置していることから、割安感があります。

温泉施設の特徴上、原油価格の上昇がコスト増となり利益減要因となります。原油価格は2022年のピーク時から現在は約25%弱まで低下していますが、OPECプラスの減産発表等で2023年の再上昇を見込む市場参加者が多いです。同社業績にとっての懸念事項としてご留意ください。

■シライ電子工業(6658)~多様化するプリント配線板ニーズに対応し、過去最高益更新の見込み

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/4/19(日足) 11:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■多様化するプリント配線板需要に対応

1966年に創業して以来、プリント配線板の設計、製造、販売をメインビジネスとする企業です。

プリント配線板とは、電気を通さない絶縁体の板の上や中に導線の配線が施されたもので、電子機器には欠かせない部品となっています。

同社はプリント配線板の中でも、硬質のリジット配線板、その中でも両面プリント配線板、多層プリント配線板の分野を中心に展開。さらにプリント配線板外観検査装置等の販売を行っています。

近年は、自動車の環境への対応、自動運転の実現化等へ向け、センサー、通信、放熱など様々な分野でプリント配線板への需要が急増しています。反面、コロナ2019の感染拡大や半導体不足等需要のかく乱要因もあり、プリント配線板に対するニーズはかつてないほど多様化しています。

同社はこうした多様化するニーズに対し、各種プリント基板を提案して販売している他、顧客の海外進出に合わせ、現地法人等を通じた対応を行っています。同社は中国・香港を中心に海外展開しており、海外売上高比率(22.3期)が57%を占めるグローバル企業となっています。

■業績は堅調で、2月に業績予想を上方修正

同社は2/10(金)に23.3期3Q(累計)決算を発表しました。売上高は264億円(前年同期比26.4%増)、営業利益は23.6億円(同113.1%増)と増収・増益でした。

プリント配線板事業では、国内外において、自動車、家電、電子応用といった分野が堅調に推移しました。サプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰等がみられる厳しい事業環境の中、納期遵守の要請に応えたことや品質を維持したことで、顧客の信頼を獲得し、取引拡大につなげました。また、従来から進めてきた意思決定の迅速化と筋肉質な経営体質への転換も身を結びつつあるようです。

会社側はこうした好決算を受け、決算発表と同時に通期業績予想を上方修正し、予想売上高を315億円→330億円(前期比12.3%増)、同営業利益を20億円→27億円(同73.2%増)、同純利益を14億円→19億円(同43.1%増)にそれぞれ上方修正しました。

株価は2/10(終値は540円)の業績予想上方修正後、一時888円(3/9)まで買われましたが、4/18(火)時点では、そこから17%下げた水準になっています。また、2006年の過去最高値1,060円(株式分割を考慮した修正株価)からは約31%下げた水準です。業績予想修正後の今期予想1株利益136円97銭に対し、予想PERは5.4倍にとどまっています。割安感は強いといえそうです。

今期予想純利益は過去最高益を連続で更新する水準ですが、株価は最高値を大きく下回っています。
EV向け等の拡大で、24.3期に増益を維持できる見通しが強まれば、最高値を目指す展開も可能になりそうです。

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