グロース市場本格反転?急反発に期待したい10銘柄

グロース市場本格反転?急反発に期待したい10銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/06/07

信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

ようやく出遅れ修正か

5/30(火)~6/6(火)の東京株式市場では、日経平均株価が3.8%、TOPIXが3.6%、東証グロース市場指数が4.7%それぞれ上昇しました。

同期間、米国株も上昇基調となり、日経平均株価は33年ぶりの高値水準を回復。東証グロース市場もその恩恵を受けました。米国で債務上限停止法案が上下院を通過したこと、6月FOMC(米公開市場委員会)で政策金利が据え置きとなる可能性が強まったこと等もあり、市場全般にリスクオンの空気が強まりました。

米金融引き締めの天井が意識され、米10年国債利回りが低下気味となったことで、出遅れ感の強かった東証グロース市場にも物色の矛先が向かい始めたようです。後段でご説明するように、東証グロース市場と近い動きをする東証マザーズ指数は、三角保ち合いを上に放れた形になっており、今後上昇が加速しやすい局面となってきました。冒頭に数字を示したように、東証グロース市場はようやく、日経平均やTOPIXに対しアウトパフォーマンスとなりました。

グロース市場全般が動意を示し始めたことで、同市場の主力銘柄は総じて高くなりました。時価総額トップのビジョナル(4194)についても、5/29(月)~6/6(火)に7営業日連続高となりました。ANYCOLOR(5032)も上昇基調となりました。6/1(木)に東証プライム市場への市場変更が承認されたと発表されたことも追い風となりました。

時価総額100億円超の幅広い銘柄群の中では、AI(人工知能)ソリューションを提供するヘッドウォータース(4011)の上昇が目立ちました。AI向けGPUで世界的大手の米エヌビディアが5/25(木)に好決算を発表。その後、市場ではAIや半導体に関連する銘柄が物色され、その流れに乗りました。6/1(木)には、マクニカホールディングス(3132)の子会社であり、エヌビディア製品について国内代理店を務めるマクニカとの協業を発表。事業拡大に対する期待から、6/5(月)・6/6(火)の2日間だけで、計34%高となりました。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 5/30(火)~6/6(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

グロース市場本格反転?急反発に期待したい10銘柄

東証グロース市場銘柄の値動きに近い東証マザーズ指数は、2021/11/17に当面の高値(取引時間中)を付けた後、下落に転じ、特に2022年前半は厳しい下げとなりました。世界的に金融引き締めムードが強まり、高PER・高PBR銘柄が多い東証グロース市場銘柄には逆風となりました。

その後、下げ(21/11/17~22/7/25)の「3分の1戻し」を少し上回る反発となりましたが、次第に高値が切り下がる一方で安値も切り上がる「三角保ち合い」のステージへ転じていきました。株式市場全般には堅調でしたが、割安株物色が一大潮流となり、グロース市場銘柄はやや物色の圏外に置かれました。

そうした中、東証マザーズ指数は三角保ち合いの局面から、6/5(月)には窓を開けて陽線を形成し、6/6(火)も続伸するなど上放れの様相が強まっています。テクニカル分析では「保ち合いは放れた方に付け」という考え方があります。今後、東証マザーズ指数、およびそれを構成する東証グロース市場銘柄の上昇ピッチが速まる可能性が出てきたと思われます。

日経平均株価が33年ぶりの高値水準を回復する中、東証グロース市場銘柄の出遅れ感が強まっていること、米政策金利の天井が近づき、世界的金融引き締め局面も終わりが近そうなこと等も、東証グロース市場銘柄の追い風になりそうです。

株式市場では、市場の本格的な反騰場面には、大きく下げた銘柄ほど急反発しやすい「リターン・リバーサル効果」があると考えられています。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、上記の21/11以降の下落率が大きかった銘柄の反発に期待すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。

(1)東証グロース市場に上場
(2)6/2(金)まで過去20日間の1営業日当たり平均出来高が2万株超
(3)株価下落率(21/11/16~23/6/5)が50%超
(4)今期会社予想営業利益が増益予想
(5)「継続企業の前提」に疑義が生じていないこと
(6)今期会社予想純損益が黒字

図表5の銘柄は、上記(1)~(6)の条件をすべて満たしており、掲載は(3)の株価下落率の大きい順になっております。なお東証マザーズ指数は21/11/16に終値ベースで当面の高値を付けた後、図表4で示した21/11/17に取引時間中高値を形成しました。このため、株価下落率は21/11/16を起点にしています。

図表4 東証マザーズ指数が中期的な「三角保ち合い」から上放れの兆し?

  • Quickデータを用いてSBI証券が作成

図表5 グロース市場本格反転?急反発に期待したい10銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(6/5) 21/11/16からの騰落率 業務概要
7379 7379 7379 7379 サーキュレーション 900 -82.6% 外部専門人材を紹介し課題を解決。11-1期は前年比営業増益
4167 4167 4167 4167 ココペリ 570 -79.4% 地域金融機関と連携した経営支援プラットフォーム(SaaS形式)
6580 6580 6580 6580 ライトアップ 1,067 -71.5% デジタル化を通じ、中小企業の経営改革、業績向上を目指す
4475 4475 4475 4475 HENNGE 851 -67.4% 企業のクラウドにシングルサインオン機能。1-3期は前年比営業増益
7082 7082 7082 7082 ジモティー 1,797 -66.1% 地域の情報を都道府県市町村に分類し、カテゴリに分類して掲載
7342 7342 7342 7342 ウェルスナビ 1,254 -62.6% 投資家から預かった資産をAIを活用し運用を一任するサービス
4173 4173 4173 4173 WACUL 600 -61.4% マーケティングDXを支援するソリューションを提供
7370 7370 7370 7370 Enjin 1,137 -58.0% 法人、医療機関に対するPR支援。また、顧客とメディアをつなぐ
7694 7694 7694 7694 いつも 813 -56.8% 各業界のブランドメーカーに対しEC事業を総合的に支援
7373 7373 7373 7373 アイドマ・ホールディングス 2,472 -53.7% 自社システム等を活用して法人営業のテストマーケティングを支援
  • ※各社株価データ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※HENNGE(4475)、ウェルスナビ(7342)は信用取引上の「注意喚起銘柄」になっていますので、ご注意ください。
  • ※ウェルスナビ(7342)の今期会社予想純損益については開示がありませんが、市場コンセンサス(Quickベース)が黒字であるので、条件を満たしているとみなしました。


以下、図表5に掲載した銘柄について、詳細をコメントします。

■ジモティー(7082)~地元に特化した掲載無料のプラットフォームを運営。103ヵ所の自治体と連携

★週足チャート(3年)

  • ※データは2023/6/7(週足) 10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■地元に根差したプラットフォームを運営

「ジモティー」という地元に根差した掲載料無料のプラットフォームサイトを運営する企業です。「売ります・あげます」の他、「メンバー募集」、「里親募集」、「求人募集」など多岐にわたったサービスを展開しています。

メルカリやラクマ等との一般的なフリマアプリと異なる点は主に2点あります。

1つ目は、収入源が主にサイト内の広告収入である点です。顧客対象は配信事業を行うアドネットワーク*企業であり、最大手顧客のGoogleは全売上高の36%を占めています(22.12期)。ただ、広告市況悪化に伴い、現在は同社が広告主を直接獲得する自社広告に注力中です。会社資料によると、自社広告の収益性は、第三者配信の場合の2倍としています。

*アドネットワーク・・・複数のWEBサイトやSNSに一括で投稿できる広告配信手法。広告会社は複数の媒体を1つのパッケージにさせて広告主に販売する。

2点目は、サイトの利用者同士が直接やりとりをする必要があるという点です。地元コミュニティ内でのやり取りが前提として想定されています。

NTTドコモが株式の15%超を保有する大株主です(22.12期)。

■自治体との連携強化

23.12月期1Q(23.1-3月)決算では、売上高4.5億円(前年同期比3%減)、営業利益1.6億円(前年同期は2億円の赤字)とわずかに減収ながら黒字転換を達成。CMを含んだ広告宣伝費を大幅に圧縮したことが奏功しました(22.12期:2.29億円▹23.12期:0.29億円)。

利益の追求に関しては今期(23.12期)以降の事業の目標として掲げており、自社営業によっての広告獲得を主体に変えてゆく方針を示しています。前述のアドネットワーク企業以外での業績拡大ができれば、全体の業績成長・株価の回復への大きな一歩となり得るでしょう。

更なるユーザー数拡大を図るため、自治体から回収した粗大ごみに着目しています。行政との連携を進め、全国103カ所の自治体とリユースに関する協定を締結中です(23.6.6時点)。

■いつも(7694)~「日本の未来をEC(電子商取引)でつくる」が企業ミッション

★週足チャート(3年)

  • ※データは2023/6/7(週足) 10:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■利益面ではEC事業支援が中心

「日本の未来をECでつくる」をミッションに掲げ、日本の中小から大手に至るまで幅広いメーカーへのEC事業の
総合支援を行う会社です。

顧客企業のEC事業を支援し、そのGMV(流通取引総額)の増加を図る事業(ECマーケットプレイス)が売上高の22%、売上総利益の62%(ともに23.3期)を占めています。契約期間に応じ安定的・継続的な収益が見込めるストック売上高が、同事業の93%を占めています。

その他、顧客事業のEC代行する事業が売上高の55%、自らメーカーとしてECを活用して商品を販売する事業が同23%を占め、両者を合計した事業(ECマーケティング)が売上総利益の38%(23.3期)を占めています。

■中期計画では27.3期に営業利益44億円

同社株は2020/12/22に3,610円の上場初値を付けた後21/1/4に5,670円付け、そこが現状では上場来高値になっています。その後は、22/10/31に577円まで90%弱の大幅下落となりました。

23.3期は売上高123億円(前期比5%増)、営業利益3億円(前期比48%減)と増収減益でした。しかし、四半期(3ヵ月ごと)の営業利益は1Q=1.1億円赤字、2Q=0.06億円黒字、3Q=2.2億円黒字、4Q=2.0億円黒字でした。後半にかけて黒字転換した形で、業績予想上方修正もあり、次第に株価も回復傾向になりました。5/8(月)に株価は1,310円まで上昇しました。
しかし、5/12(金)に本決算が発表されると、その後は再び下落傾向となり、6/2(金)には一時800円の安値を付けました。5/8にすでに通期見通しの上方修正が発表され、本決算発表で好材料出尽くしの形になりました。
24.3期は売上高142億円(前期比10%増)、営業利益4億円(同30%増)が会社計画。新規投資によるコスト増とのれん・減価償却費負担増3.5億円を加味しており、それを除けば、7億円超の予想になっていた計算です。

中期計画では25.3期に営業利益16億円、27.3期に44億円を目指す計画です。

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