株価下落で投資好機の銘柄は? 好決算・上方修正発表期待の中小型株6選

株価下落で投資好機の銘柄は? 好決算・上方修正発表期待の中小型株6選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/10/04

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株価下落で投資好機の銘柄は? 好決算・上方修正発表期待の中小型株6選

9月相場が終わりました。日経平均株価は2.3%下落、TOPIXは0.4%下落、米国S&P500指数は4.9%下落しました。米国で長期金利が上昇(8月末4.10%→9月末4.57%)し、株価が下落した流れが日本にも影響した格好です。

物色方向は二極化しました。金利上昇に強いTOPIXバリュー指数は月間で2.2%上昇し、金利上昇に弱い同グロース指数は3.2%下げ、東証グロース市場指数も3.4%下げました。一方、東証スタンダード市場指数は月間で1%上昇しました。市場全体のPBRが1倍を切り、東証プライム市場以上にバリュー株の性格が強く、金利上昇を味方につけました。

今後はどうなるでしょうか。UAW(全米自動車労組)ストや、米新年度予算をめぐる混乱等もあり、リスク回避の空気が依然強いうえ、米長期金利の上昇傾向も続いています。このうち、米新年度予算をめぐる混乱については、10/3(火)に米下院のマッカーシー議長の解任決議が可決されるという事態が起きました。今後、米新年度予算成立は「難産」となることが確実視され、米国債への信認低下により、米長期金利の高止まりを助ける要因になりそうです。米国株・日本株ともに、下落傾向が続いています。

10/3(火)まで日経平均株価は4日続落となり、10/5(水)の寄り付きも大幅安となりました。9月と同様の相場展開が続いているといえそうです。ただ、米10年国債利回りの上昇ピッチが早すぎるとの印象があり、キッカケ次第で米長期金利が下落に転じる可能性もありそうです。

こうした中、東証グロース市場指数は10/3(火)に終値で900ポイントを割り、年初来安値を更新しました。東証スタンダード市場指数も続落基調です。まさに、全面安商状ですが、逆に買い場が接近しているのかもしれません。10月下旬からは国内上場企業の決算発表が本格化しますが、業績の裏付けがある銘柄であれば、押し目買いのチャンスを狙うこともできそうです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、好業績、または業績予想上方修正が期待できる銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場

(2)9/29(金)までの20営業日で平均出来高が1日2万株超

(3)2月決算、または8月決算銘柄

(4)決算発表予定日が10/11(水)~10/13(金)

(5)2023.3-5期(2月決算銘柄の1Q、8月決算銘柄の3Q)営業利益が以下のいずれかの条件を満たしていること

   ・前年同期比で黒字転換

   ・同四半期の前年同期比増益率が通期会社予想営業増益率を上回っていること

   ・同四半期(3ヵ月)の通期会社予想営業利益に対する進捗率が25%超

(6)通期会社予想営業利益が黒字。7月以降に同予想が下方修正されていないこと

(7)継続企業の前提に疑義が生じていないこと

(8)信用取引上の日々公表銘柄、注意喚起銘柄、貸株規制銘柄等に指定されていないこと

図表の銘柄は、上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は(5)の営業増益率順(ただし、黒字転換が上位)となっています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 9/26(火)~10/3(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 株価下落で投資好機の銘柄は? 好決算・上方修正発表期待の中小型株6選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(10/3・終値)
23.3-5期
営業増益率
進捗率 今期会社予想営業増益率
2687 2687 2687 2687 シー・ヴイ・エス・ベイエリア<10/11> 872 黒転 54.5% 287.7%
9264 9264 9264 9264 ポエック(8)<10/13> 936 324.1% 34.2% 31.4%
3558 3558 3558 3558 ジェイドグループ<10/13> 1,548 53.7% 30.8% 76.5%
9876 9876 9876 9876 コックス<10/11> 170 48.1% 79.2% 37.0%
3181 3181 3181 3181 買取王国<10/13> 1,042 23.1% 32.9% 7.7%
9270 9270 9270 9270 バリュエンスホールディングス(8)<10/13> 2,762 15.8% 33.4% 32.4%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※銘柄名右横に(8)と記載された銘柄は8月決算銘柄で、記載のない銘柄は2月決算銘柄
  • ※銘柄名右横の<>内の日付は決算発表予定日
  • ※進捗率は23.5期までの営業利益を通期会社予想営業利益で割った比率
  • ※ジェイドグループの23.3-5期営業増益率は、当期の連結営業利益を前年同期の単独営業利益で割った単純計算によるものです

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■ジェイドグループ(3558)~ファッションEC市場の成長をとらえる

★日足チャート(1年)

  • ※データは10/4(日足) 12:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「LOCONDO.jp」など「ECモール事業」が主力

主力事業は「ECモール事業」で、売上構成比(23.2期)の69.8%を占めています。靴とファッションの通販を行う「LOCONDO.jp」などの自社モール、および楽天やPay Payに出品する他社モール等の運営を行っています。自社モールが「ECモール事業」に占める商品取扱高比率は83%(24.2期1Q)です。

この事業では、顧客がサイズ変更や返品送料を無料でできるのが特徴で、「試着ができる通販」としての強みを有しています。

プラットフォーム事業(23.2期売上構成比23.7%)は、ロコンドの運営のために築き上げた物流、およびITインフラを活用したB2Bサービスです。ブランドの自社公式EC支援(BOEM)、倉庫受託、店舗の欠品、品ぞろえ強化等のサービスを展開しています。

7/14(金)発表の24.2期1Q連結決算では、商品取扱高(内部取引相殺前)が74億円(単独決算であった前年同期との単純比較で33%増)、売上高34億円(同48%増)、営業利益5.3億円(同53%増)と順調でした。通期では売上高140億円(前期比33%増)、営業利益17.5億円(同76%増)を目指していますが、営業利益の進捗率は30.8%であり、順調なスタートといえそうです。

■30年度の営業利益100億円を目指す

主力事業である「ECモール事業」は4,000ブランドを公式に取り扱っており、販売された商品について、ブランド(メーカー)から徴収する受託販売手数料が売上の源です。

商品流通量や売上高が増えるほど、変動費がそれにつれて増える訳ではないので、利益率が上昇しやすいビジネスモデルです。したがって、商品の流通量をいかに増やすかが、重要な経営課題になります。

会社側では、主戦場である「ファッションEC市場」は、2030年には今の2倍、およそ3.5兆円の巨大市場に成長するとみています。現状の靴とファッションに特化したECサイトとしての高い集客力を生かせれば、この市場の成長を生かすことができそうです。

同社の他の強みとしては、ECとリアルをつなげる「オムニプラットフォーム」(実店舗とネットショップの境目をなくした新しいショッピングの形)を構築していることがあげられます。ブランド(顧客)が同社と契約すれば、通販用の在庫を実店舗の欠品に補充することができること等が一例です。すなわち、店舗とECの在庫をシェアすることで、在庫回転率を高めることができます。

会社側は中期計画で、商品流通量を2023.2期の236億円から年率20%で増やし、着地点である2030年度には1,000億円、同時点での営業利益を100億円にしたいとしています。10/3(火)終値時点での予想PER(Quickベース)は12倍台であり、中期計画が示した成長可能性はあまり織り込みきれていないとの印象です。

■買取王国(3181)~総合リサイクルの買取・販売。工具・トレカが伸長

★日足チャート(1年)

  • ※データは2023/10/4(日足)12:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■リサイクルの買取・販売。工具専門店が成長の立役者

総合リサイクルの買取・販売を行っている企業です。

本社のある愛知を中心に、三重・岐阜・大阪・京都で50店舗を展開しています(23.2期末)。

▹「買取王国」 24店舗

総合リサイクルショップです。2022年の社長インタビューによると、男性向けの古着やホビー(ミニカーなど)が売上の8割を占めてます。

▹「工具買取王国」 16店舗(うち、FC2店舗)

工具専門の店舗で、業績拡大の立役者です。プロ向けから一般向けまで幅広い層が顧客対象です。工具の売上高は、17.2期の770万円から22.2期には10億円とおよそ130倍の成長を遂げています。

上記の他には、買取専門の「おたからや」や、おしゃれなファッションブランドがメインの「WHY NOT」他を運営。

看板やちらし、SNSを利用しての宣伝がメインのため、販管費は抑制気味です。一方、粗利率は同業他社より低水準で、適正な価格付けを心掛けていると会社側は述べています。効率的な店舗運営を行うため“一人時間付加価値”を重要な指標として挙げています。

■月次売上高は既存店含め好調

前期(23.2期)は、売上高58億円(前期比18%増)、営業利益3.8億円(同98%増)と増収・増益です。売上高営業利益率は、21.2期:2.5%、22.2期:3.9%、23.2期6.7%と大きく上昇しました。

今期1Q(23.3-5期)時点での通期業績に対する進捗率は、売上高25%、営業利益32%と好調です。特に、品目別販売実績で、工具が前年同期比15%増、トレカが同225%増と牽引しています。トレカは、2022年9月に業務提携したテイツー(7610)のトレーディングカードAIシステム「TAYS(テイズ)」を導入したことが奏功した模様です。

9/7(金)に発表された上半期の月次売上高では、既存店含め毎月、前年同期比で110%以上の売上を達成。10/13(金)の決算発表に向け市場の期待感が高まっている状態です。

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