当面の国内株式市場は材料豊富!?その内容は?

当面の国内株式市場は材料豊富!?その内容は?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2023/09/26

日経平均は大幅反落。米長期金利の上昇が逆風に

9月第3週(9/19-22)末の日経平均終値は、前週末比1,130円68銭安(▲3.37%)と週足ベースで大幅反落。前週分の上昇分(926円25銭高)を全て打ち消した形です。

米長期金利の上昇により、日米両市場でハイテク株中心に売りが広った格好です。9/20(水)に結果発表があった米FOMC(連邦公開市場委員会)では、市場予想通り政策金利の据え置きが決定されました。一方、FRBメンバーによる24年末、25年末の政策金利見通しがそれぞれ前回(6月会合)から0.5%pt引き上げられ、市場では利上げ長期化懸念が広がっています。9/25(月)に、米10年債利回りは4.53%と、一時2007年以来の高水準をつけ、金利上昇が痛手となりやすいハイテク株にとって逆風が吹いている状態です。日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(9/15~22・図表8)では、情報・通信業や精密機器、電気機器等のグロースセクターの銘柄が多数を占める結果となりました。

一方、バリューセクターによる下支えが続いています。同期間TOPIXグロース指数は▲3.3%であったのに対し、TOPIXバリュー指数は▲1.1%でした。9月の配当取りが意識されたもようです。日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(9/15~22・図表7)では、割安・高配当の代表格である銀行業から3社、保険業から2社がランクイン。その他にも、個人投資家から高配当株として人気の高い、商船三井(9104)などの顔ぶれが並びました。

9月第4週の日経平均は5営業日ぶりの反発スタート。前週までの大幅続落を受けた自律反発や、海外短期筋による先物買いが入りました。また、9/27(水)は9月末配当実施企業の権利付き最終日のため、9/28(木)は配当落ちによる株価下落要因があります。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(9/15~22)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(9/15~22)

当面の国内株式市場は材料豊富!?その内容は?

今週は9/27(水)が9月末の配当権利付き最終売買日となり、翌28日(木)から実質的に10月相場入りとなります。現状、日経平均は31,000円台前半から33,000円台後半のレンジ推移が続いており、新たな方向性を見出すべく、材料待ちといった状況です。そこで本稿では、10月相場を睨みながら当面の国内で注目されそうな材料をご紹介します。

<経済対策2023>
まず、9/25(月)に岸田首相は、物価高対策などを含めた経済対策の方針を示しました。同経済対策は「経済成長の成果を適切に還元する」、「コストカット型経済から30年ぶりに転換する」ことを基本方針とし、とりわけ国民からの要望が強いとされる物価高対策を中心とした政策が行われると見られます。今後は10月にかけて経済対策の具体的な肉付けが行われ、その後、速やかに補正予算などの編成が行われると見られます。

もっとも、今回の経済対策に対し、今のところ国民の期待はそれほど高くないと思われます。物価高は何とかして欲しいところではありますが、現時点で日本経済が大きく落ち込むような状況ではない中で、財政出動を伴う経済対策の必要性があまり感じられないことが背景にあるのかもしれません。この点に関しては、今後、具体的な経済対策が決まる中で、国民の関心が高まるかもしれず、その動向を注目する必要がありそうです。

一方、今回の経済対策については、岸田首相が衆議院を解散し、総選挙へ打って出るための布石だと指摘する声が聞かれます。これまでも岸田首相は、いくどとなく衆議院解散・総選挙の可能性に言及しつつも、解散時期などの具体的な言及ななく、いまだに実現していません。衆議院解散・総選挙には、株価上昇のアノマリーがあるだけに、株式市場としては、こちらの動きの方が注目されやすいのかもしれません。

図表9 「経済対策2023」のポイント

  • ※各種報道をもとにSBI証券が作成

<日銀短観>
10月中旬以降、3月期決算企業の中間決算(23/4-9月期)など、決算発表シーズンに入りますが、それに先立って注目されるのが企業短期経済観測調査(日銀短観・9月調査)でしょう。同統計では、企業の業況判断DI(現状、先行き)が業種別で調査されています。前回の決算発表シーズン(23/4-6月期)では、業種別の業況判断DIが改善した業種において、その後の決算発表が好調だった企業も多く見られました。決算発表シーズンの行方を占う上で、日銀短観が大いに参考になると言えるでしょう。

9月調査の日銀短観では、訪日外客数の回復が続く中におけるインバウンドの動きや、円安、原材料高による仕入れコスト上昇に対する価格転嫁の進捗状況、このところ改善が続いている交易条件(輸出物価/輸入物価)を受けた輸出企業の輸出競争力向上、などを受けた関連業種の業況判断の改善具合が注目されると考えられます。

図表10 日銀短観(6月調査)における業種別の業況判断DI

  • ※BloombergのデータをもとにSBI証券が作成

<訪日中国人旅行者>
中国では9/29から10/6にかけて8連休の大型連休に入ります。今年は、国慶節に加え旧暦に基づいて日程が決まる中秋節が重なるため、例年に比べて連休が長くなります。中国は新型コロナによる経済封鎖から解放され、約3年半ぶりに海外旅行が解禁されており、海外に出かける中国人旅行者が多くなるでしょう。実際、一部報道によると、同連休中において、約2,100万人余りが、飛行機を利用するということです。

こうした中国人旅行者にとって、有望な訪問先の1つになるのが日本と考えられます。中国政府が今年8月に日本向けの団体旅行を解禁したことが追い風になるでしょう。一方、福島第一原発の処理水の海洋放出に伴う日中間の緊張が、訪日観光需要に水を差すとの指摘があり、それがどの程度の影響となるか見極める必要がありそうです。

とは言え、東京都百貨店売上高の推移を見ると、高級品(化粧品・貴金属・美術品・宝石など)売上高の伸びが8月に加速するなど、インバウンド需要の取り込みと見られる動きが出てきており、今後もこうした動きが一段と加速するか注目されると考えられます。

海外に目を向けると、依然として米国で長期金利の上昇が続いていることや、政府機関閉鎖の可能性など、国内株式市場にとっても重石となりうる材料が散見されますが、国内については、株価上昇が期待できるような好材料に恵まれていると言えるでしょう。

図表11 東京都 百貨店売上高

  • ※BloombergのデータをもとにSBI証券が作成

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