決算発表接近!好決算または上方修正期待の中小型株10選

決算発表接近!好決算または上方修正期待の中小型株10選

投資情報部 鈴木 英之

2023/10/11

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決算発表接近!好決算または上方修正期待の中小型株

10月の東京株式市場では、日経平均が売り先行となり、10/4(水)には一時5月以来の安値水準を付けました。10月第1週まで「週足」としては3週続落です。日経平均株価が続落となったもっとも大きな理由は、米10年国債利回りの上昇とみられます。

米国で強い経済指標の発表が総じて目立ったことで、政策金利が高止まりするとの懸念が強まりました。こうした中、金利上昇に弱いとされる東証グロース市場指数も10/4(水)に年初来安値を更新するなど、下落基調でした。相対的に底固く推移してきた東証スタンダード市場指数もツレ安となり、10/4には6月以来の安値水準まで下落しました。

しかし、10月第1週末の米国株(S&P500指数)は、前週末比で上昇しました。10/6(金)に発表された強い米雇用統計(9月)にもかかわらず、米10年国債利回りが上昇一服気味となり、米国では半導体株などハイテク株が買われました。

日経平均株価も10/4以降は反発基調で、10/10(火)は大きく上昇。中小型株もようやく下げ止まりの兆しをみせてきました。

今後はどうなるでしょうか。大きなポイントは米10年国債利回りの先行き見通しになりそうですが、強い雇用統計であったにもかかわらず、金利上昇が突き抜ける形で上昇せず、むしろその後は低下したこと等がヒントかもしれません。米債券先物市場でのカラ売り増加等もあり、米国経済のインフレ圧力を相当織り込んだように思われます。

今後東京市場では、決算発表が本格化することもあり、投資家の視点がマクロからミクロに移ろいやすいと思われます。好決算、または業績予想上方修正が期待できる銘柄に投資し、市場の本格的な反発を待つというのも有効な「作戦」ではないでしょうか。

今回の「新興株ウィークリー」では、好業績、または業績予想上方修正が期待できる銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。すでに2月、8月決算銘柄についてはご紹介しましたが、今回はいよいよ中核の3月決算銘柄の番です。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場

(2)10/6(金)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株超

(3)3月決算銘柄

(4)時価総額100億円以上1,000億円未満

(5)2023.4-6期(3月決算銘柄の1Q)営業利益が以下のすべての条件を満たしていること

   ・1億円超の営業利益

   ・前年同期比で黒字転換、または50%超の増益

   ・同四半期の前年同期比増益率が通期(2024.3期)会社予想営業増益率を上回っていること

   ・同四半期の通期会社予想営業利益に対する進捗率が30%超

(6)前期、および今期会社予想営業利益が3億円超

(7)日銀短観(9月調査)で、9月の業況判断指数(大企業)が6月時点での「先行き」を5%ポイント超上回った業種であること

(8)信用取引上の日々公表銘柄、注意喚起銘柄、貸株規制銘柄等に指定されていないこと

図表の銘柄は、上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は(5)の営業増益率順(ただし、黒字転換が上位)となっています。なお、(7)に関し、図表の銘柄は輸送用機器(自動車)、卸売業、小売、食料品に属しており、当該条件を満たしています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 10/3(火)~10/10(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 決算発表接近!好決算または上方修正期待の中小型株10選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  決算発表予定日 株価
(10/10・終値)
23.4-6期営業増益率 進捗率 今期会社予想営業増益率
7287 7287 7287 7287 日本精機 11/10(金) 1,116 黒転 65.9% 23.2%
7122 7122 7122 7122 近畿車輛 11/7(火) 2,021 黒転 35.3% 87.1%
7481 7481 7481 7481 尾家産業 11/10(金) 1,924 238.4% 35.2% 47.7%
9994 9994 9994 9994 やまや 11/10(金) 2,958 224.0% 34.2% 36.1%
8131 8131 8131 8131 ミツウロコグループホールディングス 11/7(火) 1,278 189.9% 38.4% -7.4%
2107 2107 2107 2107 東洋精糖 11月上旬 1,972 126.1% 39.8% 9.9%
7317 7317 7317 7317 松屋アールアンドディ 11/10(金) 667 124.6% 31.0% 19.3%
9828 9828 9828 9828 元気寿司 10/31(火) 5,030 94.6% 72.3% -16.5%
2924 2924 2924 2924 イフジ産業 11/9(木) 1,660 85.5% 41.4% 14.2%
2763 2763 2763 2763 エフティグループ 11/10(金) 1,339 58.2% 33.4% 1.1%

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■尾家産業(7481)~外食等へ食品卸を展開。コロナ前の利益水準をはるかに超え最高益更新

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/10/11(日足)11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■数万アイテムを仕入れ、メニュー等の提案も

外食業態(ホテル、レストラン、居酒屋、事業所給食等)、ヘルスケアフード業態(病院、高齢者施設等)、中食業態(テイクアウト・デリバリー等)を顧客とし、食品卸業をおもな事業としています。

食品メーカーから仕入れる数万アイテムの食材を単に卸売りしているのではなく、外食業態に対しては食材、メニューを提供し、ヘルスケアフード業態には「食べる人にも作る人にもやさしいメニュー」の提案を行っています。こうしたキメの細かいマーケティング力は当社の強みのひとつとみられます。

全国に営業拠点を展開。創業(1947年)は大阪市の個人商店ですが、現在は中日本、東日本への販売が8割超を占め、全国のニーズに幅広く対応できる営業拠点(全国44拠点)を有しています。

24.3期は中期5か年計画の2年目に当たります。「良い会社」を作るために、「生鮮強化」「ヘルスケアフード強化」「女性活躍」「社員満足度業界ナンバーワン」等の施策を実行過程にあります。

■「コロナ」をバネに利益水準が1ステージ上に

2014.3期~2019.3期に同社売上高は700億円台から1,000億円台に拡大しましたが、利益面では営業利益6~8億円で横ばい状態が長期化してきました。新型コロナの影響が出始めた20.3期から利益が減り始め21.3期には営業損益が18.4億円の赤字となりました。

取引先である外食産業等の業績悪化や、同社が得意とするきめ細かい顧客対応が新型コロナによる人流の制約等で失われたことが響きました。

しかし、コロナで苦しんだ21.3期に、例えばリモート商談やメール対応を駆使し、顧客先のコロナ対策を支援。また顧客への接触機会の喪失を埋めるべく「苦肉の策」ともいえる「オンライン提案会」を実施し、むしろ全国の多くの外食店から参加を受ける状況となりました。

業績はこれらの対策の成果と、外食店等の回復等を背景に、23.3期はまさに「V字回復」となり、営業利益は16億円と上記した14.3期~19.3期の期間の2倍を確保しました。

24.3期の1Q(4-6期)は売上高266億円(前年同期比22%増)、営業利益8.8億円(同238%増)と大幅増収増益。四半期の営業利益が14.3期~19.3期のピーク年間営業利益を上回る、収益力の底上げを印象付ける決算となりました。

会社側はこの決算を受け、通期(24.3期)会社計画売上高を970億円→1,030億円(前期比8%増)、同営業利益を17.5億円→25億円(同47%増)に上方修正しました。

株価はこれまで、2020/9の1,909円が過去最高値でしたが、本年9/26に2,151円の高値を付け、記録を更新しました。しかし、その後は株式市場全般の調整もあり、再び2,000円台を割り込みました。

図表の「業績推移」で示したように、通常は1Qの売上・利益は他の四半期に比べ低くなる傾向があります。上方修正後の通期予想営業利益に対しても進捗率は35%と高いため、業績予想の上方修正が続く可能性がありそうです。会社予想EPS(1株利益)175円73銭に対し、10/10終値で計算される予想PERは10.9倍であり、業績拡大モメンタムへの評価は不十分に感じられます。

24.3期Q2の決算発表は11/10(金)の予定です。

■元気寿司(9828)~海外店舗数が業界トップの回転寿司チェーンが「元気」を回復?

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2023/10/11(日足)11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「海外」が稼ぎ頭の回転寿司チェーン

1968年に「元禄寿司」のFC店として栃木県の県庁所在地宇都宮市にオープンし、90年に独立して「元気寿司」に社名変更しました。

現在は回転寿司の「元気寿司」(海外の中心ブランド)の他、回転はしないものの回転寿司と同様のお手頃価格で寿司を提供する「魚べい」(国内の中心ブランド)や、高級回転寿司「千両」等のブランドを展開しています。店舗数(23.3期末)は国内183、海外231店舗で、海外店舗数は回転寿司業界でトップとなっています。

稼ぎ頭は海外となっています。FC方式を中心に展開する海外231店舗のうち、米国14,香港88,中国55、インドネシア32、シンガポール21店舗となっています。前期(23.3期)の営業利益17.3億円のうち、国内は0.5億円の営業赤字であるのに対し、海外は15.9億円の同利益になっています。

他の外食チェーンと同様、同社も新型コロナの影響を受け、21.3期には4.5億円の営業赤字を計上し、22.3期にようやく営業黒字を回復しました。続く23.3期は人流の回復に加え、22年10月、11月、23年2月と3度の価格改定を行い、営業利益は17億円と大幅増益を達成しています。

■24.3期Q1は営業利益が前年同期比94%増と「好発進」

24.3期は売上高582億円(前期比6%増)、営業利益14.5億円(同17%減)が会社計画です。営業利益の9割弱は海外の予定です。中期計画では26.3期に売上高681億円、営業利益26億円を目指しています。同期の営業利益のうち12億円弱は国内から見込まれており、国内事業の再構築が中計達成に向けたポイントになりそうです。

そうした中、7/28(金)に発表された24.3期1Q決算では、売上高150億円(前年同期比18%増)、営業利益10.4億円(同94%増)と好調なスタートを切りました。特筆されるのは国内事業の採算改善です。同四半期の国内セグメント利益は5.7億円と前年同期比456%増となりました。

24.3期1Qの営業利益は、通期会社計画に対し進捗率が72%となっており、業績予想上方修正の可能性は大きそうです。

リスク要因としては、福島第1原発の処理水放出に絡み、中国が日本産海産物の輸入を禁止したことです。既述したように、同社は香港、中国に相当の出店をしており、影響が出ている可能性はあります。

ただ、影響は限定的との報道もみられます。また、9月に「魚べい」で開催された東北応援フェアが好評とのことで、10月にも同様の取り組みが計画されるなど、むしろ国内店舗の販売は活性化されているようです。魚べい(国内中心)等の既存店売上高は7~9月も好調に推移している模様です。

24.3期2Qの決算発表は10/31(火)の予定です。

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