アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~コカ -コーラ、ビザ、キャタピラーほか好決算銘柄~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~コカ -コーラ、ビザ、キャタピラーほか好決算銘柄~

投資情報部 榮 聡

2022/10/31

先週はテクノロジー大手の決算が不振となりましたが、10/21(金)に高まったFRBによる利上げペース緩和への期待が相場の基調を決めたとみられ、2週連続の大幅上昇となりました。今週の株価材料として、11月FOMC、7-9月期決算、米中間選挙に向けての議論、などが注目されます。

今回は先週の好決算銘柄から、コカ-コーラ(KO)ビザ A(V)キャタピラー(CAT)エンフェーズ エナジー(ENPH)アーチャー ダニエルズ ミッドランド(ADM)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

3,900ポイント近辺には、一目均衡表の「雲」の下限、50日、100日移動平均線が集中しており、上値抵抗を受けやすいと考えられます。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
資本財・サービス 6.7% 14.2% -1.0%
公益事業 6.5% 3.0% -8.9%
金融 6.2% 12.6% 1.4%
不動産 6.2% 2.1% -16.8%
生活必需品 6.1% 9.5% -1.5%
ヘルスケア 5.0% 9.7% 0.4%
情報技術 4.3% 9.2% -9.9%
S&P500 4.0% 8.8% -5.5%
素材 3.3% 9.9% -4.3%
エネルギー 2.8% 24.1% 14.5%
一般消費財・サービス 0.7% 0.9% -11.6%
コミュニケーションサービス -2.9% 1.6% -14.5%
騰落率上位(5日) 騰落率
ギリアド・サイエンシズ 16.9%
キャタピラー 15.3%
ハネウェルインターナショナル 12.1%
チャーター・コミュニケーションズ 11.5%
キャピタル・ワン・ファイナンシャル 11.3%
騰落率下位(5日) 騰落率
メタ・プラットフォームズ -23.7%
アマゾン・ドット・コム -13.3%
アルファベット -4.8%
マイクロソフト -2.6%
スターバックス -1.7%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で4.0%、NYダウは5.7%、ナスダック指数は2.2%の大幅続伸となりました。テクノロジー大手の決算が不振で、ナスダック指数の上昇は抑えられました。

10/24(月)、10/25(火)は、10/21(金)に金融当局者の発言やWSJ紙の記事を背景としてFRBの利上げペース緩和に対する期待が高まった流れが継続して続伸となりました。10/24(月)には米国のPMIが低下、10/25(火)には住宅価格上昇率の低下、消費者信頼感の低下など利上げが米国経済に影響を与えつつあることが確認され、米10年国債利回りは4.1%台まで低下しました。

10/26(水)、10/27(木)はマイクロソフト、アルファベット、メタプラットフォームズなどテクノロジー大手の決算が相場の重石になりました。10/27(木)発表の7-9月期実質GDPは前期比年率2.6%増と予想を上回り、深いリセッションに対する懸念を緩和したとみられます。また、GDP価格指数が前年同期比4.1%増と、4-6月期の同9.1%増から大幅低下、インフレ鈍化への期待が高まりました。

一方、10/28(金)には前日引け後に発表されたアップルの決算が光明となってS&P500指数は2.5%の大幅上昇となりました。アップルの7-9月期決算は売上が前年同期比8%増、EPSが同4%増で市場予想を上回りました。ただし、クックCEOは10-12月期について、製品ラインアップは強力だと自信を示しましたが、売上の見通しは示しませんでした。

業種指数では、キャタピラーなどが上昇した「資本財・サービス」がトップ、メタプラットフォームズなどが下落した「コミュニケーションサービス」がボトムでした。個別銘柄では、ギリアド サイエンシズ(GILD)の上昇が目立ちました。低調な業績が続いている同社ですが、7-9月期決算が市場予想を上回り(売上15%、調整後EPSが33%上回った)、証券会社から投資判断の引き上げが相次ぎました。

経済指標では、米国の8月ケースシラー住宅価格指数が前年比13.1%増まで低下しました。4ヵ月連続の伸び率低下です。6月までの1年間は、前年比18~21%増の間で推移していましたが、ここ2ヵ月はこのレンジをはっきりと下振れてきました。消費者物価指数の高止まりの主因になっている住居費の先行きの低下を示唆すると考えられます。

今週の米国株式市場

S&P500指数は、先週号で当面の上値目途とした3,900ポイントに到達しました。テクニカルに上値抵抗が強まりやすい水準と考えられ、ファンダメンタルズに重大な変化がなければ反落、あるいは同水準でのもみ合いとなりやすいでしょう。

ファンダメンタルズの重大な変化となる可能性があるとすれば、11月FOMC後の会見で、12月FOMCで利上げ幅が縮小される可能性が示唆される場合でしょう。その場合は、上値抵抗帯を一気に上抜ける可能性が考えられます。

決算発表を受けてS&P500指数の予想EPSは、2022年、2023年とも下方修正が続いています(図表3)。ただ、年前半はEPSが上方修正される中、インフレ高進で株価は下落が続きました。年末にかけては反対に、EPSの下方修正が続く中でもインフレピークアウトを見込んで株価が上昇する可能性はあるでしょう。

今週の株価材料として、11月FOMC、7-9月期決算発表、米中間選挙に向けての議論、などが注目されます。

11/1(火)、11/2(水)に開催される11月FOMCでは、4回連続で0.75%ポイントの利上げがコンセンサスとなっています。12月FOMCでの利上げ幅が0.75%ポイントで続くのか、あるいは、0.5%ポイントへの引き下げが検討されるかが注目されています。

7-9月期の決算発表は、GAFAMが終わって質的にはピークアウト感がありますが、数的には今週がピークで、S&P500指数採用銘柄の約3分の1が発表されます。AMD、ファイザー、イーライリリー、クアルコム、ペイパルホールディングス、スターバックスなどが含まれます。

FactSet社の集計によるS&P500指数の予想EPS(発表済企業の結果と今後発表される企業の予想の混合によります)は前年同期比2.2%増の予想です(10/28(金)時点)。先週は同1.5%増でしたので、テクノロジー大手の決算が冴えませんでしたが、全体としては若干予想を上回ったことがわかります。

11/8(火)の中間選挙は、ここ数ヵ月でバイデン大統領の支持率が持ち直したことで、大きな波乱は想定されていない模様で、市場の関心はあまり高まっていないようです。ただ、一大イベントではあるため、どのような議論がでてくるか注目です。

経済指標では、10/31(月)にユーロ圏の7-9月期実質GDP(前年比2.1%増の予想、前期は同4.1%増)、11/1(火)に米国の10月ISM製造業景気指数(前月の50.9から50.0に悪化の予想)、11/2(水)に米国の10月ADP雇用統計(前月比18万人増の予想)、11/3(木)に米国の9月製造業受注(前月比0.3%増の予想)、米国の10月ISM非製造業景気指数(前月の56.7から55.1に悪化の予想)、11/4(金)に米国の10月非農業部門雇用者数(前月比19万人増の予想)、10月平均時給(前年比4.7%増の予想、前月は同5.0%増)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は先週の好決算銘柄から、コカ-コーラ(KO)、ビザ A(V)、キャタピラー(CAT)、エンフェーズ エナジー(ENPH)、アーチャー ダニエルズ ミッドランド(ADM) を選んでご紹介いたします。

図表3 S&P500指数の通期予想EPSは下方修正が続くが・・・

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

買付 チャート 銘柄 株価
(10/28)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートコカ-コーラ(KO)60.76ドル23.8

【オーガニック売上成長が16%】

・7-9月期は売上が前年比10%増(為替の影響は8%ポイントのマイナス)、オーガニック売上成長が同16%増(内訳は価格/製品ミックスが同12%増、販売数量が同4%増)、調整後EPSは同7%増と好調でした。パンデミックの影響からの回復を受けて、いずれの地域でも10%以上のオーガニック売上成長を記録しました。

・業績の好調を受けて通期のオーガニック売上成長を前年比15~16%増へ、調整後EPSは前年比5~6%増へ見通しを引き上げました。ノンアルコールパッケージ飲料の市場シェア(金額ベース)は、家庭内と家庭外の合計市場で拡大が続いています。ドル高や原材料コストの上昇など事業環境は厳しいものの、世界の炭酸飲料市場で45%のシェアをもつ優位性から相対的に堅調な業績拡大が期待されます。

買付チャートビザ A(V)209.3425.2

【海外旅行の回復から恩恵】

・7-9月期決算は、売上が前年同期比19%増(為替の影響を除いて同23%増)、調整後EPSが同19%増と好調でした。本国外でのカード利用で発生するクロスボーダー取引額は前年同期比36%増(為替の影響を除く)、欧州圏内取引を除いた場合は同49%増となって業績の伸びをけん引しています。業績好調を背景に取締役会は、四半期配当を20%増やして0.45ドルとし、新たに120億ドルの自社株買いプラグラムを承認しました。

・CEOは、「消費の強さ、eコマースの堅調、海外旅行の回復、といった2022年を通じて出ていたトレンドが7-9月期も継続した」「短期的な事業環境には不透明感があるが、消費者決済、新しいフロー、付加価値サービスにわたる長期的な成長に自信をもっている」とコメントしています。

買付チャートキャタピラー(CAT)219.34ドル15.2

【需要は堅調】

・7-9月期決算は、売上が前年同期比21%増、EPSが同49%増で、市場予想をそれぞれ2%、24%上回って好調でした。売上増は販売価格引き上げのほか、ディーラーの在庫引き上げに加えて最終需要も堅調で販売数量も伸びました。部門別売上は建設が前年同期比19%増、資源関連が同30%増、エネルギー&運輸が同22%増でした。受注残は前年同期比94億ドル、2022年6月末比でも16億ドルの増加となりました。

・サプライチェーン問題、長期金利上昇、経済成長率の鈍化など向かい風は強いものの、最終需要の堅調、受注残の増加などを考えると2022年の二桁増益に続いて2023年も増益が可能と考えられます。

買付チャートエンフェーズ エナジー(ENPH)305.25ドル58.1

【太陽光発電の増加から恩恵】

・太陽光発電向けのマイクロインバータを生産している会社です。7-9月期決算は、売上が前年同期比81%増、EPSが同102%増、市場予想をそれぞれ3%、13%上回りました。売上は2022年4-6月期比でも20%増と、欧州が約70%増となってけん引しています。10-12月期の売上高見通しを6.8~7.2億ドルとして、市場予想の6.64億ドルを上回りました。

・北米での需要は堅調で、欧州やその他地域でもエネルギー価格高騰やロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け再生エネルギーの需要が増しています。売上のうちIQ8マイクロインバーターの割合が約5割に上昇、利益率向上に繋がっていることも好感できそうです。また23年下期に新たに米国内に製造ラインの増設を計画しています。米国政府の政策の追い風を受け事業拡大が継続しそうです

買付チャートアーチャー ダニエルズ ミッドランド(ADM)94.88ドル14.6

【世界2位の穀物メジャー】

・7-9月期決算は、売上が前年同期比21%増、EPSが同92%増、それぞれ市場予想を8%、29%上回って好調でした。調整後の部門営業利益は同58%増で、EPSの高い伸びには特損の減少も寄与しています。各部門の調整後部門営業利益は、需要堅調な中で穀物価格の下落で圧搾マージンが拡大した油脂種子部門が前年同期比74%増、経済再開の恩恵を受けたカーボハイドレートソリューションズ部門が同45%増、ニュートリション部門は同横ばいでした。

・カーギルに次ぐ世界2位の穀物メジャーで、油糧種子、とうもろこし、マイロ、オーツ麦、大麦 、ピーナッツ、小麦などの加工処理や、食料および飼料を最終用途とする作物の加工も手掛けます。また、バイオ燃料のエタノールの取扱いも行っています。2020年にロシアは小麦で17.6%、大麦で12.1%の輸出シェアを占めていることから、ロシアに対する経済制裁から恩恵を受けやすい立場にあります。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、ビザは2023年9月期、その他はいずれも2023年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
31(月) ・日本鉱工業生産(9月)
・中国製造業・非製造業PMI(10月)
・ユーロ圏実質GDP(7-9月期)

・ユーロ圏消費者物価指数(10月)
 
11月
1(火)
・財新中国製造業PMI(10月)
・米求人労働異動調査(9月)
・米ISM製造業景気指数(10月
アドバンストマイクロデバイセズファイザー、イーライリリー
シスコ
2(水) ・米FOMC政策金利
・米ADP雇用統計(10月)
クアルコム、アルベマール、エスティローダー
フォーティネット
3(木) ・チャレンジャー人員削減数(10月)
・米新規失業保険申請件数(10月29日に終わる週)
・米製造業受注(9月)
・米ISM非製造業景気指数(10月)
ワーナーブラザースディスカバリーコインベースグローバル
モデルナペイパルホールディングスバージンギャラクティック
ブロック
、スターバックス
4(金) ・ユーロ圏生産者物価指数(9月)
・米雇用統計(10月)
デュークエナジー
7(月) ・中国貿易統計(10月)
・COP27開催(エジプト、~11月18日)
・米消費者信用残高(9月)
パランティアテクノロジーズ、バークシャーハサウェイ(E)
8(火) ・米中間選挙(上院は約1/3議席、下院は全議席)
・NFIB中小企業楽観指数(10月)
ウォルトディズニーロイヤルティファーマ
9(水) ・中国生産者・消費者物価指数(10月) ユニティソフトウェアリビアンオートモーティブ
ビヨンドミートマルケタニオ
10(木) 米消費者物価指数(10月)
・米新規失業保険申請件数(11月5日に終わる週)
 
11(金) ・ミシガン大学消費者信頼感(11月、速報値)  

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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