アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~「ラッセル2000」の優位続く!!住宅関連のシンプソン マニュファクチャリングほかをご紹介~
投資情報部 榮 聡
2023/12/25
先週は12/20(水)に特段の材料が見当たらない中で急落する場面がありましたが翌日には反発に転じ、長期金利の低下を背景とする上昇トレンドは途切れていないとみられます。今週の株価材料として、サンタクロース・ラリーのアノマリー、米国市場の材料枯渇、来年の相場見通し、などが注目されます。
小型株指数の「ラッセル2000」の上昇が引き続き目立っていることから、今回も先週に続いてこれに関連するバンガード ラッセル2000 ETF(VTWO)、バンガード ラッセル2000グロース株 ETF(VTWG)、住宅関連のシンプソン マニュファクチャリング(SSD)、ネット中古車販売のカーヴァナ(CVNA)、ビットコイン採掘のマラソン デジタル ホールディングス(MARA)を選んで今週の5銘柄といたします。
図表1 S&P500指数のローソク足(日足、6ヵ月)
25日移動平均線からの乖離が大きくなって「高値波乱」となりましたが、上昇トレンドは崩れてはいないとみられます。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
コミュニケーションサービス | 4.1% | 2.8% | 10.7% |
エネルギー | 1.7% | 0.6% | -6.5% |
素材 | 1.1% | 6.0% | 8.6% |
ヘルスケア | 1.1% | 3.3% | 3.2% |
S&P500 | 0.8% | 4.3% | 9.6% |
資本財・サービス | 0.6% | 6.7% | 10.7% |
生活必需品 | 0.6% | 1.5% | 2.0% |
一般消費財・サービス | 0.5% | 6.8% | 11.6% |
金融 | 0.3% | 5.9% | 10.7% |
不動産 | 0.3% | 10.0% | 15.3% |
情報技術 | 0.1% | 3.7% | 16.0% |
公益事業 | -1.3% | 0.6% | -0.9% |
騰落率上位(5日) | 騰落率 |
アルファベット | 6.7% |
ファイザー | 6.6% |
CVSヘルス | 5.8% |
メタ・プラットフォームズ | 5.5% |
インテル | 4.0% |
騰落率下位(5日) | 騰落率 |
フェデックス | -11.8% |
ナイキ | -11.1% |
チャールズ・シュワブ | -3.4% |
USバンコープ | -3.3% |
アルトリア・グループ | -3.3% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で0.8%、NYダウは0.2%、ナスダック指数は1.2%の上昇でした。S&P500指数は2022年1月の史上最高値4,818.62ポイントまで1.3%、NYダウは先週も史上最高値を更新、ナスダック指数は2021年11月の史上最高値16,212.23ポイントまで8.1%の位置となっています。
先々週末より複数の金融当局者から市場の利下げ期待を抑える発言が出ましたが、米10年国債利回りは低下を続け、株式は12/18(月)、12/19(火)と上昇しました。一方、12/20(水)には、特段の材料が見当たらない中で急落しましたが、翌日には反発となり、「高値波乱」の様相でした。過去1ヵ月半の相場上昇を受けた利食いと、売り方の買戻し、出遅れた向きの新規買いが交錯しているとみられます。
経済指標では、NAHB住宅市場指数、住宅着工、中古住宅販売件数などが予想以上に堅調となり、経済のソフトランディング実現への期待を高めました。個別株では、貨物輸送のフェデックス(FDX)が貨物不況を受けて通期売上見通しを下方修正、ナイキ B(NKE)は中華圏の売上が市場予想を下回って嫌気された一方、半導体メモリーのマイクロン テクノロジー(MU)は、市場予想を上回る売上見通しを示して好感されました。
業種指数では、ネット広告を主な収入源とするアルファベット A(GOOGL)、メタ プラットフォームズ A(META)が揃って上昇した「コミュニケーションサービス」が大幅上昇となりました。両銘柄ともアルファベットの冴えない7-9月期決算を受けて10月下旬から12月半ばまで株価は相対的に低調でしたが、最近の「出遅れ物色」の流れの中で見直し買いが入っているとみられます。
今週の米国株式
S&P500指数は、史上最高値4,818.62ポイントまで1.3%に迫っており、これを意識した動きが想定されます。仮にこの水準に達したとして、2024年予想EPSを基準とした予想PERは19.8倍と計算できます。PERの水準としてはかなり高いものの、到達不可能ではないでしょう。
ただし、予想PERが20倍を超えてどんどん上昇することは考えづらいです。史上最高値を更新したとしても、短期的な投資戦略としてはある程度利食いを入れて、その後の調整を待つのがよさそうです。
今週の株価材料として、サンタクロース・ラリーのアノマリー、米国市場の材料枯渇、来年の相場見通し、などが注目されます。
米国の株式市場は年末年始に上昇することが多く、この傾向に「サンタクロース・ラリー」の名前がついています。米国のYahoo!financeに掲載された記事によると、サンタクロース・ラリーの期間は年末年始の7営業日を指し、今回は12/22(金)から来年の1/3(水)に当たります。1950年からの平均で1.3%上昇、上昇となった比率は79%です。
今週の米国市場では重要な経済指標や主な企業の決算発表がなく、ファンダメンタルズの材料が枯渇します。このため、上記のようなテクニカル要因に左右されやすくなると考えられます。
証券会社から来年の相場見通しが発表される時期で、市場での議論が注目される可能性があるでしょう。米国のYahoo!financeの記事(12/24(日)付)によると、2024年末のS&P500指数の予想値は米証券会社13社の平均で4,860ポイントで、最高は5,200ポイント、最低は4,200ポイントとなっています。12/22(金)終値の4,754.63ポイントに近い水準で、バリュエーションの高さから大きくは上昇しにくいところにあると判断されているようです。
今週の5銘柄
先々週、先週に続いて今週も小型株指数の「ラッセル2000」を取り上げます。
ラッセル2000指数は先週も2.5%上昇してS&P500指数の0.8%上昇を上回り、4週連続でのアウトパフォームとなっています。ラッセル2000指数採用銘柄に投資できるバンガード ラッセル2000 ETF(VTWO)、バンガード ラッセル2000グロース株 ETF(VTWG)に加え、10/31(火)~12/20(水)に指数の上昇寄与度が高い10銘柄(図表4)のうち先々週、先週に取り上げていない、シンプソン マニュファクチャリング(SSD)、カーヴァナ(CVNA)、マラソン デジタル ホールディングス(MARA)を選んでをご紹介いたします。
図表3 小型株指数の「ラッセル2000」がS&P500を猛追
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4 ラッセル2000構成銘柄を対象としたスクリーニング(10/31(火)~12/20(水)の指数寄与度上位10銘柄)
コード | 銘柄名 | 株価 (12/20) (ドル) |
株価騰落率 | 指数寄与度 |
SMCI | スーパー・マイクロ・コンピューター | 302.08 | 27.66 % | 0.72 % |
CVNA | カーバナ | 55.45 | 101.49 % | 0.64 % |
DUOL | デュオリンゴ | 234.75 | 63.75 % | 0.63 % |
SSD | シンプソン・マニュファクチャリング | 192.63 | 46.21 % | 0.62 % |
MARA | マラソン・デジタル・ホールディングス | 22.10 | 149.72 % | 0.58 % |
STNE | ストーンコー | 17.41 | 78.93 % | 0.53 % |
ELF | e.l.f.ビューティー | 144.65 | 40.23 % | 0.53 % |
MTH | メリテージ・ホームズ | 171.27 | 53.19 % | 0.52 % |
QLYS | クオリス | 201.88 | 33.65 % | 0.45 % |
BPMC | ブループリント・メディスン | 84.12 | 54.80 % | 0.43 % |
注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (12/22) |
予想PER (倍) |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|
買付 | バンガード ラッセル2000 ETF(VTWO) | 81.38ドル | - | 【小型株へのエクスポージャーを提供】 小型株のラッセル2000指数のパフォーマンスへの連動を目指すETFです。グロースおよびバリュースタイルに分散した米国小型株へのエクスポージャーを提供します。11月末の純資産総額は65.3億ドル、分配利回りは1.6%、経費率は0.1%です。 | |
買付 | バンガード ラッセル2000グロース株 ETF(VTWG) | 183.71ドル | - | 【小型グロース株へのエクスポージャーを提供】 ラッセル2000グロース株指数のパフォーマンスへの連動を目指すETFです。同指数はラッセル2000インデックス構成銘柄のうち株価純資産倍率が高く、成長率の予想値・実績値がともに高い企業からなります。11月末の純資産総額は7.5億ドル、分配利回りは0.88%、経費率は0.15%です。 | |
買付 | シンプソン マニュファクチャリング(SSD) | 197.60ドル | 23.1 | 【木造建築の部材を生産する会社】 木造住宅の建築に使用される、木材用のコネクター、トラスプレート、ファスナーや、補強壁、コンクリート部材などを生産しています。米国の住宅建設事業者トップ30のうち、26社が同社の建築システムを採用しています。北米、欧州、環太平洋の同社が営業している地域での推定市場シェア(2022年)は、木材のコネクターおよびトラスプレートで54%、ファスナーで29%、コンクリートで23%と安定した事業基盤を築いています。会社は米国の住宅には約2百万戸の不足があると推定しており、長期金利がピークアウトしていることから、今後の市場改善が期待されています。住宅建設業者の景況感を示すNAHB住宅市場指数が改善していることが注目できるでしょう。 | |
買付 | カーヴァナ(CVNA) | 54.74ドル | - | 【中古車のネット販売】 中古車をネット販売する会社です。Eコマースプラットフォームを通じ、車両の調査、360度車両画像技術を使った検査、融資や保証の取得、車両の購入、配送や引き取りの予約などができます。国内の大都市に自前の流通ネットワークを有します。パンデミックによる需要急増を受けてコストベースが拡大し、2022年12月期は大幅な赤字を計上しました。一方、収益の改善に向けて中古車の調達基準を厳格化して販管費の抑制に務めており、業績の最悪期は脱したとみられています。7-9月期は売上が前年同期比18%減少したものの、粗利額は同34%増加、調整後EBITDA(利払い、税金、償却前利益)は前年同期の186百万ドルの赤字から148百万ドルの黒字に改善しました。 | |
買付 | マラソン デジタル ホールディングス(MARA) | 26.71ドル | - | 【ビットコインのマイニング企業】 ビットコインのマイニング(採掘)に2017年に参入して現在は専業で、従業員数は30人の会社です(2022年12月期)。同社の収益は採掘した暗号資産からなりますので、最近のビットコインの価格上昇を受けて株価が上昇しているとみられます。2024年にビットコインは半減期(マイニング報酬が半減し、コストが2倍)があると予想され、各社がハッシュレート(暗号資産を採掘するための計算速度)の上昇に注力しています。2024年12月期は営業黒字化が予想されています。「米国株式One Pager」がありますので、詳しくはそちらを参照ください。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、いずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
主要イベントの予定
経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
25(月) | ・米国市場休場(クリスマスデー) | |
26(火) | ・シカゴ連銀全米活動指数(11月) ・S&PコアロジックCS住宅価格(10月) |
|
27(水) | ・中国工業企業利益(11月) | |
28(木) | ・日本鉱工業生産(11月) ・米新規失業保険申請件数(12月23日に終わる週) ・米中古住宅販売成約(11月) |
|
29(金) | ・中国製造業・非製造業PMI(12月) | |
1月 1(月) |
米国休場(New Years Day) | |
2(火) | ||
3(水) | ・ワーズ自動車販売台数(12月) ・米ISM製造業景気指数(12月) ・米求人労働異動調査(11月) ・FOMC議事要旨(12月12日、13日開催分) |
|
4(木) | ・チャレンジャー人員削減(12月) ・ADP雇用統計(12月) ・米新規失業保険申請件数(12月30日に終わる週) |
ウォルグリーンブーツアライアンス |
5(金) | ・米雇用統計(12月) ・米貿易統計(11月) ・米ISM非製造業景気指数(12月) ・米製造業受注(11月) |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
おすすめ記事(2023/12/25 更新)
免責事項・注意事項
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
【手数料及びリスク情報等】
SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。