アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~決算序盤の注目銘柄!ネットフリックス、サービスナウ、IBMほか~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~決算序盤の注目銘柄!ネットフリックス、サービスナウ、IBMほか~

投資情報部 榮 聡

2024/01/29

先週は全体としては堅調な企業決算に加え、予想を上回る10-12月期実質GDPがソフトランディング期待を高めたことから、S&P500指数はじり高となり連日最高値を更新しました。今週の株価材料として、大手テクノロジー企業の決算発表、1月FOMC(米連邦公開市場委員会)、1月米雇用統計、などが注目されます。

今回は1/25(木)までに10-12月期決算を発表した銘柄から、ネットフリックス(NFLX)サービスナウ(NOW)インターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM)ラムリサーチ(LRCX)ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

「転換線」から反発、連日最高値を更新中です。下値支持ラインとなる「雲」の上限が4,700ポイントまで上昇して、「この先調整に転じたとしても一旦はここまでだろう」という安心感のある形になりつつあります。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
エネルギー 5.1% 0.6% -0.7%
コミュニケーションサービス 4.5% 8.9% 25.8%
金融 1.9% 2.6% 22.9%
S&P500 1.1% 2.5% 18.8%
情報技術 0.9% 5.9% 26.1%
資本財・サービス 0.9% -0.5% 17.7%
生活必需品 0.8% 1.0% 9.4%
公益事業 0.4% -3.4% 4.3%
素材 0.3% -3.6% 10.2%
ヘルスケア -0.2% 2.0% 13.1%
不動産 -0.5% -3.9% 19.3%
一般消費財・サービス -1.4% -2.9% 16.4%
騰落率上位(5日) 騰落率
ネットフリックス 18.1%
アメリカン・エキスプレス 10.0%
IBM 9.3%
キャピタル・ワン・ファイナンシャル 8.4%
ベライゾン・コミュニケーションズ 7.8%
騰落率下位(5日) 騰落率
テスラ -13.6%
3M -10.9%
インテル -9.3%
ギリアド・サイエンシズ -8.9%
ペイパル・ホールディングス -6.1%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.1%、NYダウは0.6%、ナスダック指数は0.9%の上昇でした。S&P500指数は1/19(金)に2022年1月につけた史上最高値を更新し、その日を含めて6営業日連続で取引時間中の最高値を更新中です。

10-12月期決算発表は、主要銘柄では好悪まちまちですが、S&P500指数採用銘柄全体としては市場予想を上回って堅調です。市場で注目度の高いネットフリックス、IBMなどが好調で相場を支える要因となる一方、2024年の販売鈍化が警告されたテスラ、1-3月期の業績見通しが予想を下回ったインテルは相場の足をひっぱりました。

経済指標では、10-12月期実質GDPが前年同期比+3.3%と同+2.0%の市場予想を大きく上回りました。個人消費が同+2.8%と、市場予想の同+2.6%を上回って堅調です。この結果は金利を押し上げる方向に働くと考えられますが、GDP統計から計算される物価の動きが落ち着いていたため、1/25(木)の米10年国債利回りは小幅に低下しました。

業種指数では、中東での紛争や強い米GDPを背景に上昇した原油価格を受けて「エネルギー」が上昇、ネットフリックス、ベライゾンコミュニケーションズの上昇が寄与した「コミュニケーションサービス」が上昇上位です。個別銘柄では、アメリカン エキスプレス(AXP)が上場来高値を更新したのが目立っています。1/26(金)に決算を発表して、2024年の売上が前年比9~11%の伸びになる可能性があるとして好感されました。

今週の米国株式

今週の相場を考えるうえでポイントとなるのが、1/26(金)にテクノロジー株の売りを誘ったインテルの決算をどう考えるかでしょう。

同社決算では1-3月期の売上ガイダンスが前年同期比+4%~+13%に相当する122~132億ドル(市場予想は142億ドル)として、ガイダンス中央値は10-12月期売上の同+10%を下回りました。台湾セミコンダクターの2024年売上見通しで沸いた市場に冷や水を浴びせた形です。

市場予想を大きく下回った原因として考えるられるのは、(1)PC、サーバー市場の回復が株式市場の期待ほどではない、(2)インテルのAMDに対する競争力回復が順調でない、(3)市場は回復しインテルの競争力も回復しているが、四半期など短期的な出荷動向には波があり、回復過程がアナリストの予想ほど一様ではない、があげられます。

いずれのケースなのか、1/30(火)引け後に発表されるCPU市場でライバルであるAMDの決算発表まではっきりしませんが、インテルは「AMDに対してもはやシェアを失っていない」とコメントしていることから、いまのところ(3)の可能性が高く、相場に決定的なマイナスにならないのではないかと考えられます。

今週の株価材料として、大手テクノロジー企業の決算発表、1月FOMC(米連邦公開市場委員会)、1月米雇用統計、などが注目されます。

今週は10-12月期決算発表の山場です。マイクロソフト、アルファベット、AMD、アマゾンドットコム、メタプラットフォームズ、アップルなど、「マグニフィセント7」のうち5銘柄が発表見込みです。

AI関連事業への期待が強く年初の相場をけん引したマイクロソフト、上述したように市場予想を下回ったインテルの決算は個別要因なのか市場要因なのかを判断する上でも注目されるAMD、年初に投資判断の引き下げを受けたアップルなどの結果が特に注目されます。

1月FOMCでは、政策金利は据え置き見込みです。市場の注目は3月FOMCで利下げに転じるかどうかに関する手掛かりになるでしょう。FedWatchでは3月FOMCの予想は据え置きが52%、利上げが48%の確率と拮抗しています(日本時間29日(月)午前10時)。

2/2(金)に発表予定の1月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比18.0万人増の予想で、予想並みなら雇用鈍化のモメンタムがやや低下しつつある印象です。米経済のソフトランディング達成には悪いことではないでしょう。

経済指標では上記のほか、1/30(火)にユーロ圏の10-12月期実質GDP(速報値)(前年比+0.1%の予想、前期は同0.0%)、米国の1月コンファレンスボード消費者信頼感(前月の110.7から114.0に改善の予想)、1/31(水)に中国の1月製造業PMI(前月の49.0から49.3に改善の予想)、同非製造業PMI(前月の50.4から50.6に改善の予想)、米国の1月ADP雇用統計(前月比14.8万人増の予想)、2/1(木)に米国の1月ISM製造業景気指数(前月の47.4から47.5に改善の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は1/25(木)までに10-12月期決算を発表した銘柄から、決算の実績が市場予想を上回った銘柄を中心に、好内容で注目できる銘柄として、ネットフリックス(NFLX)サービスナウ(NOW)インターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM)ラムリサーチ(LRCX)ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)を選んでご紹介いたします。

図表3 10-12月期決算発表、序盤の注目銘柄(対象はS&P500指数採用銘柄)

銘柄(コード) 売上
予想比
(%)
EPS
予想比
(%)
売上
前年同期比
(%)
EPS
前年同期比
(%)
ネットフリックス(NFLX) 1.4 -3.4 12.5 1658.3
サービスナウ(NOW) 1.4 11.4 25.6 36.4
インターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM) 0.5 3.0 4.1 7.5
ラムリサーチ(LRCX) 1.5 5.3 -28.8 -29.8
ベライゾン コミュニケーションズ(VZ) 1.9 0.2 -0.3 -9.2

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(1/26)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートネットフリックス(NFLX)570.4233.0

【契約者の増加が順調】

・10-12月期の契約者純増が1,312万人(予想は891万人)と好調です。広告付きプランとアカウント共有対策の導入が効いているとみられ、好調が続く可能性が高いと考えられます。

・CEOは「今後、従来のTV放送からネットにつながる『コネクテッドTV』に多額の広告費が流れる。エンゲージメントが高い視聴者をもつ我々は、有利な立場にある」と自信を示しました。また、プロレスのWWEと提携して、人気番組の「RAW」を2025年から独占配信するとして、新しい客層へのアプローチとして注目されます。

買付チャートサービスナウ(NOW)769.44ドル58.2

【企業のAI対応で活躍が期待される】

・人事関連業務やIT関連業務の自動化を進めることができる企業向けソフトウェアを提供している会社です。AIとの親和性が高いことから、企業によるAI活用が活発化する局面で同社の売上が加速すると期待されます。1-3月期の売上見通しは前年同期比24%増で市場予想を上回り、2024年の売上見通しも前年比22%増で、市場予想をわずかながら上回りました。

・昨年後半にAI機能を付加して価格を引き上げた製品を投入しており、これが順調に拡大すれば、売上の加速が可能と期待されています。

買付チャートインターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM)187.42ドル18.6

【売上増加に安定感】

・同社は安定して増収を達成することが難しい時期が長らく続いていましたが、ここ1年は安定してプラスの売上成長を記録して、改善傾向が続いています。2024年12月期について、売上は「1桁台半ば」の伸び率になるとして、市場予想の約3%増を上回り、フリーキャッシュフローも約120億ドルとして、市場予想の109億ドルを上回りました。

・CEOは「私が話をするあらゆる顧客は、AIで生産性を高め、技術スタックを管理する方法について聞いてくる」と語り、AIが同社の売上を加速させる可能性がうかがえます。

買付チャートラムリサーチ(LRCX)839.04ドル28.8

【半導体製造装置市場が回復へ】

・半導体製造装置で世界4位の売上高で、成膜装置、エッチング装置、洗浄装置に強く、エッチング装置ではトップシェアを有します。最先端の3D NAND(メモリセルを垂直方向にも積み上げた3次元構造のNAND型フラッシュメモリ)の製造に必要となるエッチング装置に強く、中長期の成長をけん引すると期待されています。

・10-12月期決算は大幅減収減益ですが、市場予想を上回りました。ASMLの極端紫外線(EUV)リソグラフィー装置の需要が急増し、昨年10-12月の受注が前期から3倍増となったことは半導体製造装置業界の回復を示唆しています。

買付チャートベライゾン コミュニケーションズ(VZ)42.40ドル9.3

【重要経営指標に改善の兆し】

・10-12月期のワイヤレス・サービス収入は同2.6%増、また、携帯電話の後払い契約の純増が44.9万人と市場予想の22.9万人を大きく上回り、重要指標に改善の兆しが見られます。また、ブロードバンドの契約純増(家庭+企業)は5四半期連続で40万以上と好調です。

・ただし、古い通信ケーブルの鉛による環境汚染の可能性が懸念材料です。市場には撤去に数10億ドルレベルの費用がかかるのではとの見方もあり、株価の重石として意識されています。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、ラムリサーチが2024年6月期、その他はいずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
29(月)   スーパーマイクロコンピューター
30(火) ・ユーロ圏景況感(1月)
・ユーロ圏実質GDP(10-12月期、速報値)
・S&PコアロジックCS住宅価格(11月)
・米コンファレンスボード消費者信頼感(1月)
・米求人労働異動調査(12月)
マイクロソフトアルファベットAMDファイザー
スターバックス、スカイワークスソリューションズ
ダナハー、UPS
31(水) ・中国製造業・非製造業PMI(1月)
・米ADP雇用統計(1月)
・米FOMC政策金利
ボーイング、マスターカード
2月
1(木)
・米チャレンジャー人員削減数(1月)
・米新規失業保険申請件数(1月27日に終わる週)
・米自動車販売台数(1月)

・米ISM製造業景気指数(1月)
アップルアマゾンドットコムメタプラットフォームズ
アルトリアグループ
メルク
2(金) ・米雇用統計(1月)
・ミシガン大学消費者信頼感(1月、確報値)
・米製造業受注(12月)
アッヴィエクソンモービルシェブロン
リジェネロンファーマシューティカルズ、
4(日) ・グラミー賞授賞式  
5(月) ・ISM非製造業景況指数(1月)
・アトランタ連銀ボスティック総裁があいさつ
パランティアテクノロジーズマクドナルド、キャタピラー
6(火) ・ユーロ圏小売売上高(12月)
・クリーブランド連銀メスター総裁が講演
・3年国債入札
イーライリリィ
7(水) ・クーグラーFRB理事が講演
・10年国債入札
・米貿易統計(12月)
アームホールディングスウォルトディズニー
ペイパルホールディングス
8(木) ・中国生産者・消費者物価指数(1月)
・ネバダ州党員集会(共和党)
・米新規失業保険申請件数(2月3日に終わる週)
・30年国債入札
ブリティッシュアメリカンタバコフィリップモリスインターナショナル
9(金)   ペプシコ

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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