今週の5銘柄 ~好決算かつ「目標株価乖離率」大の銘柄:アマゾン、マイクロソフトほか~ アメリカNOW!

今週の5銘柄 ~好決算かつ「目標株価乖離率」大の銘柄:アマゾン、マイクロソフトほか~ アメリカNOW!

投資情報部 榮 聡

2024/02/26

先週の米国株式市場はエヌビディアの決算がポジティブサプライズとなってテクノロジー株を刺激、S&P500指数は再び最高値を更新しました。今週の株価材料として、1月個人消費支出物価指数、10-12月期実質GDP改定値、2月ISM製造業景気指数、などが注目されます。

今回は過去1ヵ月間に当レポートで好決算として取り上げてきた銘柄から、目標株価との乖離率を主に考慮して上昇余地が大きいと考えられる銘柄として、アマゾン ドットコム(AMZN)マイクロソフト(MSFT)サービスナウ(NOW)アプライド マテリアルズ(AMAT)メタ プラットフォームズ A(META)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数のローソク足(週足、2年)

2022年10月の底入れから「N字波形」を形成、2023年7月~10月の押し幅に対する「倍返し」を達成しました。テクニカル的には一旦上昇波が出尽くした可能性がうかがえます。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(「5日」は2/15(木)終値~2/23(金)終値によります)

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
素材 2.4% 5.1% 7.2%
生活必需品 2.3% 3.0% 6.8%
ヘルスケア 1.8% 6.1% 12.8%
金融 1.3% 4.1% 13.9%
S&P500 1.2% 4.0% 11.6%
資本財・サービス 1.2% 5.8% 13.2%
情報技術 1.2% 3.4% 13.9%
一般消費財・サービス 1.1% 6.1% 9.5%
公益事業 1.0% 0.7% -1.0%
エネルギー 0.4% 1.3% 1.1%
コミュニケーションサービス -0.1% 2.5% 14.4%
不動産 -0.1% 0.5% 6.8%
騰落率上位(5日) 騰落率
エヌビディア 8.5%
アボットラボラトリーズ 5.1%
ブリストル マイヤーズ スクイブ 4.5%
リンデ 4.4%
ウォルマート 3.7%
騰落率下位(5日) 騰落率
ブッキング・ホールディングス -6.5%
アドビ -6.3%
テスラ -4.2%
ウォルト・ディズニー・カンパニー -4.2%
フォード・モーター -3.0%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.7%、NYダウは1.3%、ナスダック指数は1.4%の上昇でした。S&P500指数とNYダウは史上最高値を更新しました。

注目されたエヌビディアの決算は、11-1月期実績売上が221億ドル(市場予想は204億ドル)、2-4月期ガイダンス売上が240億ドル±2%(市場予想は219億ドル)と市場予想を大きく上回り、テクノロジー株に対する物色を刺激しました。決算結果が反映された2/21(水)にS&P500指数は2.1%の大幅上昇となりました。

FOMC議事要旨(1月30日、31日開催分)では、FOMCメンバーの多くが利下げに対して慎重な姿勢をとっていることが改めて確認されました。また、多数あった金融当局者の発言もこれに沿うものとなり、FedWatchの3月政策金利では、据え置きの確率が米国時間の2/23(金)時点で98%まで上昇しています。

業種指数では、騰落率トップの「素材」は、リンデなど産業ガス銘柄が引き続き物色され、同2位の「生活必需品」はP&G、ウォルマート、コカコーラなどの上昇が寄与しています。

個別株では、ブッキング ホールディングス(BKNG)の下落が目立ちました。2/22(木)に発表の10-12月期決算で、1-3月期と2024年12月期の予約総額見通しが市場予想を下回って嫌気されました。ただし、過去1年で50%以上の株価上昇となっていたことも要因とみられます。

今週の米国株式

当レポートの先週号ではエヌビディアの11-1月期決算がポジティブサプライズとなるのは、売上が「例えば前四半期比40億ドル程度増加の220億ドルを超えるような数字と考えられます」としましたが、実際に221億ドルを達成して、ポジティブサプライズとなりました(図表3)。

エヌビディアの株価は最高値を大幅に更新して、テクノロジー株への物色が強まりました。ただし、テクノロジー株の相場は一旦材料出尽くしの可能性があるとみられ、全般相場は引き続き調整の可能性を警戒しておいたほうがよさそうです。

S&P500指数の中期的な動きをテクニカルに見ると図表1の通り、2022年10月の底入れから「N字波形」を形成、2023年7月~10月の押し幅に対する「倍返し」を達成しています。上昇波動の一旦出尽くしを示唆しているとみられます。

今週の株価材料として、1月個人消費支出物価指数、10-12月期実質GDP改定値、2月ISM製造業景気指数、などが注目されます。

先々週に発表された1月の消費者物価指数、生産者物価指数とも市場予想を上回る強い数字が出て、米金利の上昇に寄与した経緯がありますので、2/29(木)に発表予定の1月個人消費支出物価指数も同様の傾向を示すか注目されます。市場予想は、総合指数が前年比+2.4%(前月は同+2.6%)、コア指数が同+2.8%(前月は同+2.9%)です。

2/28(水)に発表予定の米国の10-12月期実質GDP改定値は、速報値と同じ前期比年率+3.3%が予想されています。速報値は市場予想の前期比年率+2.0%を上回って、米景気の強さを印象付けました。この数字が改定値でも確認されると、金利押し上げに作用する可能性がありそうです。

3/1(金)に発表予定の2月ISM製造業景気指数は、前月の49.1から49.5への改善が予想されています。一方、先行して発表されているS&Pグローバル米国製造業PMIは1月、2月と50を超えた水準となっているため、強い数字が出るとこれも金利上昇の要因になる可能性がありそうです。

経済指標では上記のほか、2/26(月)に米国の1月新築住宅販売件数(前月比+3.0%の予想)、2/27(火)に米国の1月耐久財受注(前月比-5.0%の予想)、米国の2月コンファレンスボード消費者信頼感(前月の114.8から115.0に改善の予想)、2/29(木)に中国の2月製造業PMI(前月の49.2から49.0に悪化の予想)・非製造業PMI(前月の50.7から51.0に改善の予想)、などが発表予定です。

今週の5銘柄

今回は当レポートの1/29(月)号から2/19(月)号で取り上げてきた10-12月期、11-1月期の好決算銘柄(先週に決算を発表した銘柄については個別に取り上げていないものも含みます)について、目標株価との乖離を中心に考慮して銘柄をご紹介いたします。

S&P500指数の予想PERは21.1倍(今期予想基準)に達して、市場には高値警戒もあるとみられますので、株価が行き過ぎていない銘柄を選んでご紹介しようという意図です。

図表4に抽出した銘柄から、「目標株価乖離率」と「通期EPS修正率(1ヵ月)」を主に考慮して、アマゾン ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、サービスナウ(NOW)、アプライド マテリアルズ(AMAT)、メタ プラットフォームズ A(META)を選んでご紹介いたします。

尚、このスクリーニングは2/21(水)時点のデータで行っている点にはご注意ください。同日に決算を発表したエヌビディアは、その後にアナリストによる目標株価の上方修正が相次ぎ、2/23(金)時点では874.01ドルにまで引き上がっています。2/23(金)終値788.17ドルに対する乖離率は10.9%に拡大しています。

図表3 エヌビディアの四半期売上

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 当レポートで取り上げてきた決算好調銘柄

決算
発表日
コード 銘柄名 目標株価
乖離率
(%)
通期EPS
修正率
(%)
株価
(2/21)
(ドル)
目標株価
(ドル)
予想
PER
(倍)
01/30 GM ゼネラル・モーターズ 27.1 -0.3 39.49 50.2 4.5
02/01 AMZN アマゾン・ドット・コム 22.9 15.3 168.59 207.2 33.1
01/30 MSFT マイクロソフト 15.5 5.7 402.18 464.5 33.2
01/24 NOW サービスナウ 12.4 4.0 747.94 840.5 56.4
02/15 AMAT アプライド・マテリアルズ 12.0 10.3 190.33 213.1 22.7
02/20 WMT ウォルマート 10.8 -1.9 173.7 192.4 24.6
02/01 META メタ・プラットフォームズ 10.7 17.4 468.03 518.1 22.3
02/20 MDT メドトロニック 9.6 -0.3 85.9 94.1 16.0
02/21 NVDA エヌビディア 8.9 3.3 674.72 734.5 30.8
02/13 LDOS レイドス・ホールディングス 8.7 -3.2 123.95 134.7 15.8
01/23 VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 8.6 0.3 41.1 44.7 9.0
02/07 DIS ウォルト・ディズニー・カンパニー 8.1 4.1 107.67 116.4 22.7
02/14 MLM マーチン・マリエッタ・マテリアルズ 7.9 -21.6 536.3 578.8 25.6
02/12 CDNS ケイデンス・デザイン・システムズ 7.4 -19.9 290.76 312.3 49.0
01/31 BSX ボストン・サイエンティフィック 7.3 -2.1 65.75 70.5 29.1
02/06 LIN リンデ 3.9 -0.2 439.46 456.5 28.5
01/23 NFLX ネットフリックス 2.2 0.1 573.35 585.8 33.2
02/06 LLY イーライリリー 2.0 1.6 745.91 760.6 59.4
02/21 GRMN ガーミン 1.6 -0.8 133.58 136.0 24.8
01/24 IBM IBM 1.5 1.0 179.7 182.3 17.9
01/24 LRCX ラムリサーチ -1.6 4.7 901.93 887.5 28.9
02/13 ABNB エアビーアンドビー -4.0 17.9 149.24 143.3 31.8
02/05 PLTR パランティア・テクノロジーズ -17.5 14.5 22.74 18.8 68.1
02/07 ARM ARM Holdings PLC -21.8 35.1 123.39 96.5 94.3

注:データは2/21(水)時点です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(2/23)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートアマゾン ドットコム(AMZN)174.99ドル35.3

【年末商戦が好調】

・10-12月期決算は、年末商戦が好調で売上・EPSとも市場予想を上回りました。また、広告売上が前年同期比26%増とけん引するほか、クラウドサービスは同13%増と7-9月期の同12%増から加速したことも好感されました。

・1-3月期は売上を1,380億~1,435億ドル(前年同期比8%増~13%増)、営業利益を80億~120億ドル(前年同期は48億ドル)のガイダンスで、営業利益は市場予想を上回りました。ネット通販事業でのシェア拡大、AWSおよび広告事業の10%以上の成長によって2030年の売上は1.3兆ドル(2023年実績は5,748億ドル)に達すると期待されます。

買付チャートマイクロソフト(MSFT)410.34ドル35.3

【AIが業績に貢献し始める】

・10-12月期決算は前年同期比で大きく伸び、また、市場予想も上回って好調です。クラウド収入は前年同期比24%増で7-9月期の伸びに並び、AI機能を付加した「Office365」(法人向け)の売上は前年同期比17%増と伸びました。

・部門別売上は、プロダクティビティ&ビジネス・プロセスが前年同期比13%増、インテリジェント・クラウドが同20%増、モア・パーソナル・コンピューティングが同19%増と、全部門が10%以上の伸びを記録しています。ソフトウェア株は昨年後半に好調であった反動で、年明け以降は一部の半導体銘柄ほどには買われていない印象で、買い余地がありそうです。

買付チャートサービスナウ(NOW)770.97ドル58.3

【企業のAI対応で活躍が期待される】

・人事関連業務やIT関連業務の自動化を進めることができる企業向けソフトウェアを提供している会社です。AIとの親和性が高いことから、企業によるAI活用が活発化する局面で同社の売上が加速すると期待されます。1-3月期の売上見通しは前年同期比24%増で市場予想を上回り、2024年の売上見通しも前年比22%増で、市場予想をわずかながら上回りました。

・昨年後半にAI機能を付加して価格を引き上げた製品を投入しており、これが順調に拡大すれば、売上の加速が可能と期待されています。

買付チャートアプライド マテリアルズ(AMAT)197.16ドル23.8

【5四半期連続で業界平均を上回る】

・半導体製造装置の大手企業で、日本の東京エレクトロンに似た事業内容の会社です。11-1月期の売上は前年同期比0.4%減でしたが、5四半期連続で業界平均をアウトパフォームしたとコメントしています。

・2-4月期の売上見通しを65億ドル(前年同期比2%減相当)±4億ドルとして、中央値は市場予想の63.2億ドルを上回りました。半導体製造装置の売上は前年同期比3.5%減の約48億ドルとして、11-1月期の同5.0%減から減少率が縮小して、半導体市場の底入れを示唆するものとなりました。

買付チャートメタ プラットフォームズ A(META)484.03ドル23.6

【初めての配当支払いを発表】

・10-12月期決算は売上・EPSとも市場予想を上回り、1-3月期の売上見通しは最大370億ドルとし、市場予想の336億ドルを大きく上回りました。また、初の四半期配当として1株50セントを支払うとともに追加で500億ドルの自社株購入枠を設定したことを発表しました。

・同社は2022年末から、投資の抑制、費用の削減に務め、事業の拡大よりも収益性の改善に重点を置いて経営を進めてきましたが、その成果が現れていると言えそうです。また、アルファベットのネット広告が予想を下回る中でメタプラットフォームズの売上が好調となったことは、マクロ的要因による改善よりもソーシャルメディア向け広告の改善によると言えそうです。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、マイクロソフトが2024年6月期、アプライドマテリアルズが2024年10月期、その他はいずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
26(月) ・米新築住宅販売件数(1月) ユニティソフトウェアズームビデオコミュニケーションズ
27(火) ・米耐久財受注(1月)
・S&PコアロジックCS住宅価格(12月)
・米コンファレンスボード消費者信頼感(2月)
ビヨンドミートヴァージン ギャラクティック
28(水) ・米実質GDP(10-12月期、改定値)
・アトランタ連銀ボスティック総裁が討論に参加
・ボストン連銀コリンズ総裁が講演
・ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁が講演
シースリーエーアイマルケタ、セールスフォース
TJX
29(木) ・日本鉱工業生産(1月)
・中国製造業・非製造業PMI(2月)
・米個人所得・個人支出(1月)
・米個人消費支出物価指数(1月)
・米新規失業保険申請件数(2月24日に終わる週)
・米中古住宅販売成約(1月)
・アトランタ連銀ボスティック総裁が討論に参加
・シカゴ連銀グールズビー総裁の講演
・ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁の講演
・クリーブランド連銀メスター総裁の講演
ベストバイ
3月
1(金)
・財新中国製造業PMI(2月)
・ワーズ自動車販売台数(2月)
・ミシガン大学消費者信頼感(2月、確報値)
・米ISM製造業景気指数(2月)
・サンフランシスコ連銀デイリー総裁の講演
 
4(月)    
5(火) ・スーパーチューズデー(予備選挙集中日)
・米製造業受注(1月)
・米ISM非製造業景気指数(2月)
クラウドストライクホールディングスニオ
ターゲット、ロスストアーズ
6(水) ・米ADP雇用統計(2月)
・米求人労働異動調査(1月)
・地区連銀経済報告(ベージュブック)
・パウエルFRB議長の議会証言(下院金融委員会)

・サンフランシスコ連銀デイリー総裁の講演
 
7(木) ・中国貿易統計(2月)
・ECB主要政策金利
・パウエルFRB議長の議会証言(上院銀行委員会)
・米チャレンジャー人員削減(2月)
・米貿易統計(1月)
・米家計純資産変化(10-12月期)
コストコホールセール
8(金) ・ユーロ圏実質GDP(10-12月期、確報値)
・米雇用統計(2月)
オラクル

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

おすすめ記事(2024/02/26 更新)

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。