日経平均 33年ぶり高値! 日本株ファンド 長期積立投資の成果は?

日経平均 33年ぶり高値! 日本株ファンド 長期積立投資の成果は?

投資情報部 川上雅人

2023/05/29

日経平均 33年ぶり高値! 33年超の実績がある日本株ファンドは?

2023年5月19日に日経平均は、海外投資家による日本株買いなどを背景に2021年9月の直近高値(30,670円)を抜き、33年ぶりの高値を更新しました(図表1)。22日は終値ベースで1990年7月31日以来の31,000円台をつけています。

長期33年間では、1990年の急落も含めて2012年までの22年間は長い低迷が続き、直近11年間では上昇となった日経平均ですが、この間に日本株ファンドで積立投資をしていたらどうなっていたのかを確認します。

まず、SBI証券取り扱いで33年間運用を継続しているファンドを探すと、わずか16本でした。その16本はすべて国内株式カテゴリーのファンドで、内訳はインデックスファンドが10本(日経平均:6本、TOPIX:4本)、アクティブファンドが6本となっています。
このアクティブファンド6本とインデックスファンド2本(日経平均とTOPIXをそれぞれベンチマークとする残高上位ファンド)を10年リターン(2023年4月末基準)でランキングしたものが図表2になります。

10年間ではTOPIXインデックスファンドよりも日経平均インデックスファンドが上昇しましたが、その日経平均インデックスファンドを上回ったアクティブファンドが5本ありました。

1位の情報エレクトロニクスファンドはエレクトロニクス関連株(業種では電気機器、機械、情報通信など)に投資するファンドで、10年で年率+14.65%と日経平均インデックスファンド(年率+9.05%)を大きく上回るパフォーマンスとなっています。組入上位銘柄はソニーグループ、日立製作所、ローム、ディスコ、日本電信電話などとなっています(※)。

2位のMHAM株式オープンは日本の優良成長株を中心に海外の株式にも投資するファンドです。組入上位銘柄はトヨタ自動車、ソニーグループ、アズーム、三菱UFJフィナンシャルグループ、三井物産、外国株式ではマイクロソフトや信用リスク分析・コンサルティング会社のフェア・アイザックなどとなっています(※)。

3位のスーパー トレンド オープンは、日経平均採用銘柄を中心に投資し、一定の基準で割安株と小型株にも投資するファンドです。組入上位銘柄は、ファーストリテイリング、中外製薬、アステラス製薬、デンソー、日立製作所などとなっています(※)。

4位はキャピタルオープン、5位はシステム・オープンとなっています。ここまでが10年で日経平均インデックスファンドを上回るファンド群です。

なお、33年超の実績がある長寿ファンドは、金額指定で購入できないファンドが一部存在し、それらのファンドはSBI証券では積立投資と一般NISAには対応していません。4位のキャピタルオープン、5位のシステム・オープン、7位の大型株ファンドがそれに該当します(図表2参照)。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。各ファンドの組入上位銘柄の情報は2023年4月末基準

図表1 日経平均 長期月足チャート (1989年12月~2023年5月*)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230529_01_01.png

※QUICKデータをもとにSBI証券作成 (2023年5月は26日までのデータ)

図表2 長寿(33年超)日本株ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年リターン 3年リターン
(年率)
10年リターン
(年率)
積立投資
可否
1 情報エレクトロニクスファンド エレクトロニクス関連株(電機、機械など) 4.85% 17.61% 14.65%
2 MHAM株式オープン 優良成長株(30%上限に外国株へ投資) 8.34% 14.80% 9.80%
3 スーパー トレンド オープン 日経平均採用銘柄+割安株+小型株 10.03% 15.67% 9.51%
4 キャピタルオープン 成長性や収益性などから選定した成長株 -2.26% 10.79% 9.44% ×
5 システム・オープン 変率リバランス・システムによる運用 12.21% 19.59% 9.23% ×
6 インデックスファンド225 日経平均インデックス 9.34% 14.17% 9.05%
7 大型株ファンド 資本金100億円以上の大型株 5.45% 16.03% 8.58% ×
8 インデックスファンドTSP TOPIXインデックス 10.66% 14.06% 7.61%

※SBI証券取り扱い「国内株式」カテゴリー実績33年超の10年リターンランキング(2023年4月末基準)
※インデックスファンドは日経平均とTOPIXの残高上位ファンドを表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

日本株ファンド 33年間の積立投資の成果は?

続いて日本株ファンドにおける33年間の積立投資の成果を確認します。

33年間で見ると、日経平均インデックスファンドよりもTOPIXインデックスファンドの方がパフォーマンスは良好でしたが、図表3では日経平均33年ぶりの高値にあわせて日経平均インデックスファンドの33年間のパフォーマンスと積立投資シミュレーションを示しました。

シミュレーションスタート時点の33年前、1990年5月末の日経平均は33,130円でした。2023年5月25日時点の日経平均は30,801円のため7%の下落となっています。一方で日経平均インデックスファンドの基準価額(課税前分配金再投資)は6%の上昇となっています。日経平均は下落でも日経平均インデックスファンドが上昇している主な要因は、日経平均は配当なしの指数となっている一方で、日経平均インデックスファンドは配当分が考慮されているため、長期の配当の積み上げ効果といえます。

毎月一定額(3万円)購入による33年間の積立投資シミュレーションでは、時価評価額は2.44倍となりました(1,188万円の積立投資額の時価評価が約2,893万円へ)。これは日経平均の低迷が長かった分、その低迷の期間に安い価格で多くの口数を購入できたことに加えて、その後の上昇局面が積立投資のパフォーマンス向上に寄与しました。

インデックスファンドの基準価額(言い換えると一括投資)は6%しか上昇していないのに対して、積立投資は2.44倍と大きな差になりました。

次に10年リターン1位の情報エレクトロニクスファンドの33年間のパフォーマンスと積立投資シミュレーションが図表4になります。こちらは日経平均インデックスファンドとは基準価額推移がやや異なり、2000年のITバブルの時期に基準価額が2倍まで大きく上昇したあとに急落(ただし日経平均よりも下落は小さい)、その後の直近11年では日経平均インデックスファンドよりも大きく上昇しました。そのため、33年間の基準価額(課税前分配金再投資)は3.75倍になっています。

そして、情報エレクトロニクスファンドの積立投資シミュレーションでは、時価評価額は4.32倍となりました。

相対的にパフォーマンスが良かった情報エレクトロニクスファンドについては、一括投資(3.75倍)と積立投資(4.32倍)の差は小さかったですが、長期33年間では積立投資が優位となりました。

こうしてみると、日本株ファンドの33年間は、失われた22年間の後、取り返した11年間だったといえます。

日経平均 33年ぶり高値更新で日本株の上昇が今後も続くことが期待されますが、そうなった場合はインデックスファンドに勝ち続けることができる一部のアクティブファンドが引き続き存在感を高めると予想します。

今回ご紹介したファンドは、対象ファンドが少ない中での、直近10年でインデックスに勝ったファンドになります。

また、10年の好成績ファンドは過去の貯金(好成績)によってランキングが上位になっているファンドも一部ではあるため、3年リターンや1年リターンでも好成績かどうかをしっかりチェックする必要があるといえます。

ファンド選びの一例として、直近3年でインデックスに勝ち続けている日本株ファンドについては下記レポートをご参照ください。

G7広島サミットで注目!? インデックスに勝ち続けている日本株ファンドは?(2022年5月15日公開)

図表3  インデックスファンド225の積立投資シミュレーション (1990年5月~2023年5月*  月末値)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230529_02_01.png

※QUICKデータをもとにSBI証券作成(2023年5月は25日までのデータ)
※毎月末に当該ファンドを3万円ずつ購入したと仮定し、基準価額(課税前分配金再投資)の月次騰落率で積立投資額の時価評価を算出(購入は2023年4月末まで、手数料等は考慮せず)
※上記は過去のシミュレーション結果を示したものであり、投資元本の安全性および将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。

図表4  情報エレクトロニクスファンドの積立投資シミュレーション (1990年5月~2023年5月* 月末値)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230529_02_02.png

※QUICKデータをもとにSBI証券作成(2023年5月は25日までのデータ)
※毎月末に当該ファンドを3万円ずつ購入したと仮定し、基準価額(課税前分配金再投資)の月次騰落率で積立投資額の時価評価を算出(購入は2023年4月末まで、手数料等は考慮せず)
※上記は過去のシミュレーション結果を示したものであり、投資元本の安全性および将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。

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