バイデン VS トランプ 米国株式のパフォーマンスと10年好成績ファンドは?
投資情報部 川上雅人
2024/04/01
バイデン VS トランプ 米国株式ファンドのパフォーマンスは?
2024年度がスタートしました。2024年度の最も注目されるイベントの1つとして、11月5日のアメリカ大統領選挙が挙げられます。
今回の大統領選挙では前回同様にバイデン現大統領とトランプ前大統領の一騎打ちとなる可能性が高いと思われます。大統領選挙の年は株高になりやすいという傾向がありますが、夏以降は大統領選挙を控えた不透明要因調整局面も予想されています(アメリカ大統領選挙に関する投資視点などは、弊社外国株アナリストのレポート「米国大統領選挙と米国株式市場 バイデン大統領VSトランプ前大統領」をご参照ください)。
そこで今回は、バイデン大統領の3年5ヵ月間とトランプ前大統領の4年間のマーケットを振り返ります。
トランプ前大統領の当選が決まった前月2016年10月末から2024年3月までの米国株式(S&P500指数(配当込み))とドル円レート、その2つの掛け算に近いイメージとなっているS&P500インデックスファンドのパフォーマンスは図表1となります。
トランプ前大統領の4年間(2016年10月末から2020年10月末)では、2020年にはコロナショックによる一時的な下落もありましたが、S&P500(配当込み)は66%上昇しました。一方でバイデン大統領の3年5ヵ月間(2020年10月末~2024年3月)では、2022年に高インフレに見舞われて政策金利の大幅引き上げが行われたことなどによる株式市場の下落局面がありましたが、S&P500(配当込み)は69%の上昇となりました。米巨大IT企業を中心とした企業業績の拡大が主な要因といえますが、両大統領ともに逆風を克服して株式市場の上昇をもたらした大統領であったといえます。
為替市場においては、トランプ前大統領の4年間は、米国においても低金利政策が取られたことで日米の金利差が小さかったことなどから、ドル円の動きは4年間ではほぼ横ばいの動きでした。101円台から118円台までのレンジ内で推移し、トランプ大統領就任直後にドル円が上昇する局面も見られましたが、米ドルの上値が重い展開となりました。一方でバイデン大領領の期間は、高インフレに対応するための大幅利上げが行われたことで、日米の金利差が拡大したことなどから大幅な円安ドル高が進み、米ドルは対円で44%上昇しました。
このような投資環境下における米国株式ファンドの長期パフォーマンスを確認します。トランプ前大統領とバイデン大統領、2人の大統領の在任期間に好成績を上げた米国株式ファンド(新NISAで買えるSBI証券取扱いの10年リターン)を一覧にしたのが図表2となります。1位から8位までを表示しました。8位がインデックスファンドで最上位のiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンドとなりました。S&P500インデックスファンドの10年リターンを上回った米国株式ファンドは7本となっています。なお、NASDAQ100インデックスファンドであるiFreeNEXT NASDAQ100インデックスは10年の実績はありませんが、5年リターンで10年リターンの1位のファンドを上回る実績となっていたため比較対象として表示しました。
図表1 S&P500インデックスファンド、S&P500(配当込み)、ドル円レートのパフォーマンス比較 (2016年10月~2024年3月* 月末値 2016年10月=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(2024年3月は28日迄)
- ※S&P500インデックスファンドは10年以上の運用実績があるiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンドを表示
図表2 新NISAで買える10年好成績 米国株式ファンド
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
10年 リターン (年率) |
1 | 米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし) | 成長性、収益性、安定性等を総合的に勘案して選択したNASDAQ上場株式 | 76.51% | 23.46% | 25.80% | 19.15% |
2 | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし) | 高い利益成長もしくは持続的な利益成長の可能性が高いと判断される米国株式 | 55.55% | 24.13% | 22.91% | 19.07% |
3 | netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし) | 主にテクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式 | 69.13% | 19.58% | 23.12% | 18.87% |
4 | 三菱UFJ NASDAQオープン Bコース | 新技術・開発力、ビジネスモデル等から成長が期待できるNASDAQ銘柄 | 70.48% | 22.95% | 25.28% | 18.12% |
5 | 野村クラウド関連株式投信 Bコース(為替ヘッジなし) | 世界のクラウド関連企業の株式 | 64.80% | 15.83% | 26.10% | 17.06% |
6 | 米国成長株式ファンド | 将来の成長余地等が市場で過小評価されている優れた企業で、株価上昇が期待できる銘柄 | 58.67% | 20.82% | 21.91% | 16.61% |
7 | 米国製造業株式ファンド(愛称:USルネサンス) | 米国の製造業に関連した株式 | 29.97% | 23.30% | 22.18% | 16.54% |
8 | iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド | S&P500インデックスファンド | 42.53% | 24.53% | 21.00% | 16.17% |
参考 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | NASDAQ100インデックスファンド | 64.15% | 25.71% | 27.98% | - |
- ※SBI証券取り扱いの新NISA・成長投資枠の米国株式ファンド(ウエルスアドバイザー分類の国際株式・北米)を10年リターン順に表示(2024年2月末基準)
- ※比較対象(参考)としてNASDAQ100インデックスファンドを表示
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
10年好成績 米国株式ファンドの特徴は?
10年リターン1位の米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし)は、成長性、収益性、安定性等を総合的に勘案して選択したNASDAQ上場株式に投資しているファンドです。組入上位銘柄はマイクロソフト、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズなどとなっており、組入銘柄数は37銘柄です(※)。1年リターンでもS&P500インデックスファンドを大きく上回っており、NASDAQ100インデックスファンドの1年リターンも上回る実績となっています。
2位のアライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)は、高い利益成長もしくは持続的な利益成長の可能性が高いと判断される米国株式に投資している純資産総額1兆円超のファンドです。組入上位銘柄はマイクロソフト、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、VISAなどとなっており、組入銘柄数は52銘柄です(※)。10年でトップクラスの成績かつどの期間でも安定して好成績を上げているファンドといえます。
3位のnetWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)は、主にテクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式に投資している純資産総額1兆円超のファンドです。組入上位銘柄はマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、エヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイセズなどとなっており、組入銘柄数は34銘柄です(※)。1年リターンでもS&P500インデックスファンドを大きく上回っており、NASDAQ100インデックスファンドの1年リターンも上回る実績となっています。
4位の三菱UFJ NASDAQオープン Bコースは、新技術・開発力、ビジネスモデル等から成長が期待できるNASDAQ銘柄に投資しているファンドです。組入上位銘柄はアマゾン・ドット・コム、エヌビディア、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズなどとなっており、組入銘柄数は48銘柄です(※)。1年リターンでもS&P500インデックスファンドを大きく上回っており、NASDAQ100インデックスファンドの1年リターンを上回る実績となっています。
5位の野村クラウド関連株式投信 Bコース(為替ヘッジなし)は、世界のクラウド関連企業の株式に投資しているファンドで、運用会社は野村アセットマネジメントですが、実際の運用は米国の資産運用会社であるヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーが行っています。組入上位銘柄はエヌビディア、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、オン・セミコンダクターなどとなっており、組入銘柄数は53銘柄です(※)。1年リターンでもS&P500インデックスファンドを大きく上回っており、NASDAQ100インデックスファンドの1年リターンもわずかに上回る実績です。
6位の米国成長株式ファンドは将来の成長余地等が市場で過小評価されている優れた企業で、株価上昇が期待できる銘柄に投資しているファンドで、運用会社は三井住友トラスト・アセットマネジメントですが、実際の運用はスイスのグローバルな総合金融機関であるUBSグループ傘下のUBSアセットマネジメントが行っています。組入上位銘柄はマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アップル、エヌビディア、メタ・プラットフォームズなどとなっており、組入銘柄数は43銘柄です(※)。どの期間でも安定して好成績を上げているファンドといえます。
7位の米国製造業株式ファンド(愛称:USルネサンス)は、米国の製造業に関連した株式に投資しているファンドで、組入上位銘柄はインガソール・ランド、ダナハー、アメテック、イルミナ、ボストン・サイエンティフィックなどとなっており、組入銘柄数は34銘柄です(※)。業種別ではヘルスケアや資本財・サービスの企業が多く、1位から6位のファンドとは異なる組入上位銘柄となっています。米国製造業の株価パフォーマンスが伸び悩んだことから1年リターンでは劣後していますが、3年・5年・10年では安定して好成績を上げているファンドになっています。
アメリカ大統領選挙を控えて、トランプ政権誕生の可能性などによる様々な不透明要因が取り上げられていますが、中長期の視点に立って積立投資などによる時間分散を意識しながら、好成績の米国株式ファンドを活用した分散投資が有効と考えます。
(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年2月末基準。
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