4月は国内株式の資金流入が拡大! オルカンを上回る長期好成績ファンドは?

投資情報部 川上雅人
2024/05/13
4月の調整局面で国内株式ファンドへの資金流入が拡大
新NISAがスタートした2024年1月から投資信託(追加型株式投信(ETF除く))へ高水準の資金流入が続いています。1月から4月まで4ヵ月連続で月間1兆円を超える資金流入(買付金額-売却金額)となっており、4月は2007年7月以来、17年ぶりの1兆5,000億円を超える資金流入となりました(図表1)。
カテゴリー別では、4月は新NISAでの資金流入を牽引していた海外株式が高水準ながらやや縮小し、国内株式の資金流入拡大が目立ちます。国内株式の資金流入拡大については、4月に入って日経平均株価が一時的に約1割程度下落したことで、国内株式ファンドの押し目買いが強まったようです(図表2)。
日本政府によるドル売り・円買い介入観測がゴールデンウィークにみられたことから、為替市場ではドル円レートが不安定な動きとなっています。
5月8日に発表されたトヨタ自動車の決算では、ドル円の想定為替レート(2024年度)は145円としています。想定為替レートは5月9日時点の155円台よりも10円の円高ドル安水準です。今後予想される日米の金利差縮小で2021年からの円安ドル高傾向が一旦終了すると見込まれるなら、2024年度は通貨分散の観点から国内資産見直しの動き、円資産へのシフトが起こるのではないかと予想します。
そこで今回は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)の5年リターンを上回る国内株式ファンドをご紹介します。
図表1 追加型株式投信(ETF除く) 月間資金流入額の推移 (2023年12月~2024年4月)

- ※QUICKデータ(5/1公表の速報ベース)をもとにSBI証券作成
- ※海外株式、国内株式以外のカテゴリーの資金流入額は省略
図表2 2024年 主な株価指数とドル円のパフォーマンス (2023年末~2024/5/9 2023年末=100)

- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
オルカンを上回る 5年好成績 国内株式ファンドは?
オルカンを上回る5年好成績の国内株式ファンド(SBI証券取り扱い)は図表3の9ファンドとなります。
情報エレクトロニクスファンド、明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん)、小型ブルーチップオープン、日経平均高配当利回り株ファンド、三井住友DS日本バリュー株ファンド(愛称:黒潮)の5ファンドは、SBI証券が厳選した「長期投資×好実績」のSBIセレクト(詳細ページはこちら)のファンドです。
参考としてオルカンに加えて、S&P500、TOPIX、日経平均のインデックスファンドとも比較しました。なお、2024年4月末までの5年間ではドル円(TTM)は40.3%の上昇(111.85円 → 156.90円)、年率換算で7.0%の上昇となりました。また、同期間のユーロ円(TTM)は35.2%の上昇(124.38円 → 168.12円)、年率換算で6.2%の上昇でした。オルカンやS&P500インデックスファンドのパフォーマンスは円安外国通貨高によって、5年リターンが嵩上げされています。S&P500インデックスファンドは5年で年率+21.28%ですが、為替要因の+7.0%を差し引くと年率+14.28%となります。株式要因のみの現地通貨(米ドル)ベースでは年率+14%程度の上昇といえます。為替要因を除くS&P500のパフォーマンスはTOPIXや日経平均と同程度です。オルカン5年リータンを上回る国内株式ファンドは、米ドルベースのS&P500を上回るパフォーマンスとなっています。加えて、国内株式インデックスファンドであるTOPIXや日経平均の5年リターンを大きく上回る実績です。
日本における足元のインフレは一時的なものではなく、デフレのトレンドが転換した可能性が高いとみられます。デフレ時代からインフレ時代への転換においては、インフレに強い株式を組み入れた資産への投資が有効といえます。
全世界の株式を投資対象とするオルカンの日本の比率は5.6%(2024年3月末)で、それ以外の約94%は外貨建て資産となります。今後予想される日本の金利上昇と米国の金利低下によって2021年からの円安ドル高傾向が転換点を迎えるなら、オルカンに加えて国内株式ファンドにも分散投資することが長期のパフォーマンス向上に寄与すると思われます。その中で国内株式ファンドの選択肢としては、インデックスファンドよりも長期好成績のアクティブファンドが有望と考えます。
図表3 オルカン 5年リータンを上回る長期好成績の国内株式ファンド
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
新NISA | 備考 |
1 | 情報エレクトロニクスファンド | エレクトロニクスに関連する企業群や情報通信に関連する企業群の株式 | 49.33% | 14.05% | 22.26% | 成長 | SBIセレクト |
2 | 明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん) | 今後成長が期待できる産業分野の中から継続して成長が期待でき、質の高いと判断される銘柄 | 30.44% | 20.37% | 19.95% | 成長 | SBIセレクト |
3 | 小型ブルーチップオープン | 中長期的視点に立った成長性に焦点を当て、バリュエーションを勘案して銘柄を選択 | 38.46% | 16.25% | 19.74% | 成長 | SBIセレクト |
4 | 大和住銀DC国内株式ファンド | ファンダメンタル価値比割安性(バリュー)を重視し、収益性・成長性を勘案し銘柄を選定 | 48.31% | 22.21% | 18.90% | つみたて | |
5 | トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド | トヨタ自動車株式会社とそのグループ企業の株式にバランス良く投資 | 72.40% | 24.89% | 18.83% | 成長 | |
6 | 日経平均高配当利回り株ファンド | 日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資 | 51.86% | 32.55% | 18.66% | つみたて+成長 | SBIセレクト |
7 | DIAM割安日本株ファンド(年1回決算型) | 株価バリュエーションに着目しつつ、企業のファンダメンタルズ等も勘案 | 48.86% | 21.69% | 18.56% | 成長 | |
8 | 三井住友DS日本バリュー株ファンド(愛称:黒潮) | 中長期的な観点から個別企業のファンダメンタルズ分析により銘柄を選定 | 45.87% | 20.96% | 17.85% | 成長 | SBIセレクト |
9 | ダイヤセレクト日本株オープン | 三菱グループ企業の株式の中から、流動性や信用リスク等を勘案して銘柄を決定 | 63.76% | 29.89% | 17.81% | 成長 | |
参考 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 日本を含む全世界株式インデックスファンド | 40.04% | 17.98% | 17.62% | つみたて+成長 | |
参考 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500インデックスファンド | 46.58% | 22.04% | 21.28% | つみたて+成長 | |
参考 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | TOPIXインデックスファンド | 36.22% | 15.70% | 13.69% | つみたて+成長 | |
参考 | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 日経平均インデックスファンド | 35.37% | 12.08% | 13.54% | つみたて+成長 |
- ※SBI証券取り扱いの国内株式カテゴリーの新NISA対象ファンド(積立可)でオルカン5年リターンを上回るファンドを表示(2024年4月末基準)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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