パリ五輪と長期投資で輝く金!? 金を組み入れた好成績バランスファンドは?
投資情報部 川上雅人
2024/07/08
パリ五輪開催で輝く金に注目!? 金への長期投資の成果は?
2024年最大のスポーツイベントの1つである夏季オリンピック(パリ五輪)が7月26日に開幕となります。
パリ五輪で実施されるのは全32競技329種目となっています。日本勢はテコンドーを除く31競技で出場権を獲得しており、海外開催の夏季五輪では過去最大となる400人超が出場する見込みです。2021年のコロナ禍での開催となった東京五輪では、自国開催ということもあってメダル獲得数は過去最大の58個(金:27、銀:14、銅:17)となりました。今回も東京五輪に近づくメダル獲得数となるのか、その中でも世界の頂点となる金メダルの獲得数がどうなるのか、日本選手団の活躍が期待されます。
個人的には、柔道の阿部兄妹、バレーボールの石川兄妹に注目しています。
さて、資産運用の世界でも最近は金への関心が高まっています。金はインフレに強い資産といわれており、コロナショック後の先進国におけるインフレ率の高止まりや世界情勢の不安定化などにより金価格は堅調に推移しました。
金を含む代表的な7資産の20年パフォーマンス(円ベース)を比較したものが図表1となります。過去20年間では金は好調だった海外株式と同等のリターンを獲得しています。
金価格が長期的に上昇している理由としては、①金の需要に対して供給が追い付いていないこと、②世界情勢の不安定化で安全資産としての金の需要が高まっていること、③各国の中央銀行(特に中国、インド)が外貨準備として金を積極的に購入していること、などが挙げられます。
7資産のリスクとリターン(20年)を示した図表2を見ると金は、海外株式よりも低リスクとなっていることに加えて、株式や債券などと異なる値動きが期待できることから分散投資先として有望な資産といえます。
リスクとリターンのバランスを考慮するなら長期の分散投資においては金を一定程度組み入れるのが有効と考えられます。
このような背景から今回は金を組み入れたバランスファンドに注目します。6月の国内公募株式投資信託(ETF除く)の資金流入をみるとカテゴリー別では海外株式が突出して多くなっていますが、次に多いのがバランスとなっており、バランスファンドはリスクを抑えて投資を行いたい投資家層向けに一定の支持を得ているといえます。
図表3がSBI証券取り扱いの金を組み入れたバランスファンド(NISA・成長投資枠対象)で新NISAの期間といえる6カ月のリターンの上位ファンド一覧となります。
図表1 7資産(円ベース)の20年パフォーマンス (2004年6月~2024年6月 月末値 2004年6月=100)
- ※BloombergのデータをもとにSBI証券作成
- ※国内株式はTOPIX(配当込み)、海外株式はMSCIコクサイ(配当込み・円ベース)、国内債券はNOMURA-BPI総合、海外債券はFTSE世界国債インデックス(日本を除く・円ベース)、国内REITは東証REIT指数(配当込み)、海外REITはS&P先進国REIT指数(配当込み・日本を除く・円ベース)、金はLBMA金価格(円ベース)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
図表2 7資産(円ベース)の20年リスク/リターン (2004年6月~2024年6月 月末値)
- ※BloombergのデータをもとにSBI証券作成
- ※リターンは20年の期間騰落率を年率換算、リスクは月次騰落率の標準偏差を年率換算
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
図表3 金を組み入れた6カ月好成績バランスファンド一覧
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
6ヵ月 リターン |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
ファンド レーティング |
1 | ダイワFEグローバル・バリュー(為替ヘッジなし) | 割安と判断される世界の株式と金ETF、債券、転換社債などに投資 | 21.03% | 22.70% | 17.04% | 8.47 | ★★★★ |
2 | ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス) | 主に日本を含む世界の様々な資産クラス(株式、債券、金、リート等)投資 | 20.98% | 24.99% | 14.84% | 7.87 | ★★★★★ |
3 | ROBOPROファンド | 世界の株式、債券、リート、コモディティに分散投資、AIが配分比率を決定 | 18.93% | *22.61% | *14.16% | - | - |
4 | SBIグローバル・ラップファンド(積極型)(愛称:My-ラップ(積極型)) | 世界各国の様々な資産(株式、債券、リート、コモディティ(金))へ分散投資 | 18.76% | 24.15% | 11.97% | 9.06 | ★★★ |
5 | ピクテ新興国ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:新興国ポラリス) | 主に新興国の株式および債券、金等様々な資産に投資 | 18.25% | - | - | - | - |
参考 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 国内・先進国・新興国の株式、国内・先進国・新興国の債券、国内・先進国のリート | 11.31% | 14.73% | 8.30% | 6.96 | ★★★ |
- ※SBI証券取り扱いのバランスカテゴリー(NISA・成長投資枠対象)で金を組み入れたファンドを6カ月リターン順に表示(2024年6月末基準)、参考としてNISAで人気のバランスファンドを表示
- ※BOBOPROファンドの1年/3年リターンは、設定前の2023年12月27日まではROBOPROの実績パフォーマンス(運用手数料控除前)から年率1.562%の信託報酬支払いを考慮したデータを用いて計算
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
金を組み入れた好成績バランスファンドの特徴は?
6ヵ月リターン1位のダイワFEグローバル・バリュー(為替ヘッジなし)は、割安と判断される世界の株式を中心に金ETF、債券、転換社債などにも投資を行うファンドです。運用会社は大和アセットマネジメントですが、実際の運用は米国のファースト・イーグル・インベストメント・マネジメントが行っています。資産別の構成比率は北米株式が46.6%、欧州株式が18.7%、日本株式が7.0%、その他株式が6.0%、金関連が14.7%(ETF関連10.9%、金関連株式3.7%)、債券0.2%などとなっています(※)。ほぼ株式と金関連資産に投資しているファンドといえます。
2位のピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)は、主に日本を含む世界の様々な資産クラス(株式、債券、金、リート等)に投資し、世界の市場環境に応じて魅力的なリスクプレミアムが期待できる資産を選定し、配分比率の決定を行うファンドです。基本資産配分の見直しは原則として月次で行います。資産別の構成比率は株式44.6%、債券10.3%、金42.6%などとなっています(※)。2020年6月の設定以来、金のウエイトを高めに維持しているファンドです。
3位のROBOPROファンドは世界の株式、債券、リート、コモディティに分散投資しています。各資産配分にあたっては、マーケットデータ、対象資産の期待収益率、リスク、各資産間の相関等に基づく合理的判断によりAIが配分比率を決定し、毎月見直しを行います。資産別の構成比率は米国不動産(リート)36.5%、米国債券24.5%、金13.7%、米国株式11.1%、新興国株式7.9%などとなっています(※)。
4位のSBIグローバル・ラップファンド(積極型)(愛称:My-ラップ(積極型))は世界各国の様々な資産(株式、債券、リート、コモディティ(金))へ分散投資するファンドで、運用調査機関のウエルスアドバイザー社からの助言により投資比率を決定しています。資産別の構成比率は株式59.0%、債券23.6%、コモディティ(金)9.5%、リート3.3%などとなっています(※)。
5位のピクテ新興国ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:新興国ポラリス)は、主に新興国の株式および債券、金等様々な資産に投資し、世界の市場環境に応じて魅力的なリスクプレミアムが期待できる資産を選定し、配分比率の決定を行うファンドです。2位のファンドの新興国資産版で、資産配分の見直しも月次で行います。資産別の構成比率は株式44.3%、債券8.7%、金39.0%などとなっています(※)。ポートフォリオ構築の2023年10月以降、金のウエイトを一貫して高くしているファンドです。
上記のバランスファンドは、新NISAの6カ月で、NISAで人気のバランスファンド8資産均等型を大きく上回るパフォーマンスとなっています。これらのファンドにおける金の組入比率は投資環境に応じて流動的なものとなりますが、複数の資産への分散投資においては、金を組み入れた好成績バランスファンドを活用するのが有効と考えます。
※資産別の構成比率は2024年5月末基準
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