新NISAの6ヵ月 インデックスを上回る日本株高配当ファンドは?
投資情報部 川上雅人
2024/07/29
新NISAの6ヵ月リターン 好成績日本株高配当ファンド 7選
新NISAがスタートして半年が経過しました。6月10日のコラムでもコメントしましたが新NISAにおいては、成長投資枠を使った個別株投資による国内株の割合が高くなっています。その国内株投資については大半が高配当の株式となっていることが、SBI証券のNISAランキングからも確認できます。
そこで今回は高配当株を投資対象とする国内株ファンド(=日本株高配当ファンド)における新NISA期間の6ヵ月パフォーマンスに着目します。NISAで人気の日本株インデックスファンド(日経平均とTOPIX)の6ヵ月リターンを超えたSBI証券取り扱い・新NISA対象の日本株高配当ファンドは図表1の7本となります。これらのファンドは6ヵ月リターンだけでなく、1年・3年リターンともに日経平均やTOPIXのインデックスファンドを上回っています。
日本では近年の東証による資本効率改善(割安感解消)の要請等から、株主還元強化の流れが好感され、高配当株式のパフォーマンスが向上しています。高配当を継続している企業の多くは安定的な利益成長が実現できていることも好パフォーマンスの要因といえます。そのためファンドによる日本株投資については、インデックスファンドだけではなく、好成績の日本株高配当ファンドを活用することが有効だったといえます。
図表2では日本の高配当株指数で、予想配当利回りが高い70銘柄で構成される野村日本株高配当70指数の約10年リターンを指数化して示したものです。配当込指数と配当なし指数の差分を配当の積み上げ効果(配当の再投資を含む)とすると、配当なし指数は約10年で2.03倍となりましたが、配当込指数は配当の再投資効果もあって2.89倍となりました。配当の積み上げ効果は長期で見ると大きくなり、高配当株投資の魅力の1つといえます。
以下、好成績日本株高配当ファンド7本の特徴についてコメントします。
図表1 新NISA対象の日本株高配当ファンド 6ヵ月リターンランキング
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
6ヵ月 リターン |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
1 | ダイワ好配当日本株投信(季節点描) | 予想配当利回りが高いと判断される銘柄を中心に、成長性、割安性等に着目 | 25.71% | 33.97% | 20.14% | 12.09 |
2 | ニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語) | 予想配当利回りが市場平均と比較して高いと判断される銘柄を中心に投資 | 24.80% | 35.16% | 22.83% | 10.98 |
3 | 日本株配当オープン(愛称:四季の実り) | 相対的に配当利回りが高い銘柄を中心に、増配期待銘柄にも投資 | 23.87% | 32.38% | 20.62% | 11.60 |
4 | フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型) | ポートフォリオの平均予想配当利回りが市場平均以上となることを目指して運用 | 23.60% | 30.29% | 20.36% | 9.88 |
5 | 新光日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型) | 予想配当利回りが高いと判断される株式ならびにREITに分散投資 | 23.26% | 30.28% | 25.55% | 10.93 |
6 | 日経平均高配当利回り株ファンド | 日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資 | 22.05% | 42.42% | 33.11% | 11.47 |
7 | One高配当利回り厳選ジャパン | 配当利回りと長期にわたる配当の持続性・成長性に着目、20~40銘柄程度に厳選 | 21.68% | 29.69% | 21.37% | 11.23 |
参考 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | TOPIXインデックスファンド | 20.04% | 25.43% | 15.72% | 10.65 |
参考 | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 日経平均インデックスファンド | 19.22% | 21.28% | 13.25% | 15.97 |
- ※SBI証券取り扱い・新NISA対象の日本株高配当ファンド(国内株式カテゴリー、ファンド名を「配当」または「インカム」で検索)を6ヵ月リターン順に表示(2024年6月末基準)
- ※NISAで人気となっている日本株インデックスファンド(TOPIXと日経平均)の6ヵ月リターンを上回るファンドのみを表示
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
図表2 日本株高配当指数における配当の積み上げ効果(2014年7月末~2024年7月25日 2014年7月末=100)
- ※野村日本株高配当70(配当込)から野村日本株高配当70(配当なし)を差し引いた分を配当の積み上げ効果として表示
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
好成績日本株高配当ファンドの特徴は?
1位のダイワ好配当日本株投信(季節点描)は、予想配当利回りが高いと判断される銘柄を中心に、成長性、企業のファンダメンタルズ、株価の割安性等に着目し、投資銘柄を選定しているファンドです。組入上位銘柄は東京海上ホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、小松製作所、日立製作所などとなっており、組入銘柄数は93銘柄です(※)。
2位のニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語)は、予想配当利回りが市場平均と比較して高いと判断される銘柄を中心に、財務内容の健全性、業績動向、配当方針等を考慮して投資銘柄を選定しています。組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、日立製作所、東京海上ホールディングス、ソフトバンクなどとなっており、組入銘柄数は67銘柄で、予想配当利回りは3.02%です(※)。
3位の日本株配当オープン(愛称:四季の実り)は、相対的に配当利回りが高い銘柄を中心に、増配期待銘柄にも投資しているファンドです。組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、信越化学工業、三井住友フィナンシャルグループ、日立製作所、MS&ADインシュアランスグループホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は75銘柄で、予想配当利回りは2.72%です(※)。
4位のフィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)は、ポートフォリオの平均予想配当利回りが市場平均以上となることを目指して運用を行い、投資価値の高い銘柄に厳選して投資しています。組入上位銘柄は三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、伊藤忠商事、東京エレクトロンなどとなっており、組入銘柄数は70銘柄で、予想配当利回りは3.0%です(※)。
5位の新光日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型)は、予想配当利回りが高いと判断される株式ならびにREITに分散投資し、業績動向、株価指標ならびに流動性などを勘案して銘柄を選定しています。組入上位銘柄は東京海上ホールディングス、伊藤忠商事、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、豊田通商などとなっており、組入銘柄数は47銘柄で、予想配当利回りは3.14%です(※)。
6位の日経平均高配当利回り株ファンドは、日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資しているファンドです。組入上位銘柄はMS&ADインシュアランスグループホールディングス、アステラス製薬、小松製作所、神戸製鋼所、武田薬品工業などとなっており、予想配当利回りは4.1%です(※)。
7位のOne高配当利回り厳選ジャパンは、配当利回りと長期にわたる配当の持続性・成長性に着目し、20~40銘柄程度に厳選して投資しています。組入上位銘柄は三井住友フィナンシャルグループ、東京海上ホールディングス、伊藤忠商事、日立製作所、豊田通商などとなっており、組入銘柄数は37銘柄です(※)。
これら7ファンドの共通点としては、6位のファンドを除き、金利上昇で恩恵を受ける金融株(銀行業や保険業など)のウエイトを高めていることが好パフォーマンスにつながっていると考えられます。
図表3で上位2ファンドとTOPIXと日経平均のインデックスファンドのパフォーマンスを直近(7/25)までで比較しました。日経平均やTOPXIが高値をつけた7月11日以降の下落局面において、日本株高配当ファンドはインデックスファンドと比べて下落率が抑えられています。攻めと守りのバランスが取れている好成績日本株高配当ファンドを分散投資の1つとして活用するのが有効と考えます。
(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年6月末基準(フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)のみ2024年5月末基準)。
図表3 好成績日本株高配当ファンドのパフォーマンス比較 (2023年12月末~2024年7月25日 2023年12月末=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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