オルカンより低リスク!? NISAで買える好成績バランスファンドは?
投資情報部 川上雅人
2024/08/26
2024年夏の急落局面 オルカンの下落率は?
観測史上最も暑い夏だった昨年に続き、2024年夏も危険な暑さが襲来しています。そのような中で7月中旬から8月上旬にかけては、米国の景気減速懸念や日銀の追加利上げなどによって世界の株式市場は大幅下落し、為替市場では急速に円高(外国通貨安)が進みました。
これを受けて、NISAで人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)の基準価額は、7月11日の過去最高値27,282円から8月6日には22,688円まで下落し、下落率は16.8%となりました(図表1)。
オルカンについては、米ドルやユーロなどの外貨建て資産の割合が高いため、今回の下落局面では特に円高が影響しました。
8月上旬以降、株式市場は反発していますが、ドル円やユーロ円はほぼ横ばいとなっているため、オルカンの基準価額上昇は限定的となっています。
オルカンについては、世界の株式に分散投資していますが、株式の比率が100%であることと、外貨建て資産の比率が約95%となっていることから、株安・円高局面では基準価額の下落率がそれなりに大きくなるといえます。
長期の積立投資において、下落局面は多くの単位を購入できるため、あまり気にする必要はありません。しかし、ある程度まとまった資金で投資している方で、投資元本の安定性を考慮してリスクを抑えたいということであれば、オルカンよりも低リスクとなっている株式や債券など複数の資産に投資しているバランスファンドの活用が1つの選択肢といえます。
図表1 オルカンと主な株価指数・為替レートの比較 (2024月7月11日~8月6日 2024年7月11日=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
NISAで買える低リスク+好成績バランスファンド 5選
SBI証券の投信パワーサーチにおいて、リスクを抑えたファンドを探す基準としては、値動きの振れ幅を示す標準偏差を見ます。標準偏差はリスクと呼ぶときもあります。標準偏差(リスク)の値が小さいほど、値動きが相対的に小さいファンドといえます。
また、標準偏差の大きさをリスクメジャーで知ることもできます。リスクメジャーは標準偏差が全ファンドの中でどの程度の水準にあるかを示した値です。1(低)から5(高)まであります。
リスクを抑えた好成績バランスファンドを探す場合は、ファンド分類でバランスを選び、リスクメジャーで1(低い)または2(やや低い)のファンドに絞った上で、3年リターンなどを参考にある程度リターンが期待できるファンドを探すのが有効と考えます。
そのような視点で、リスクメジャー(2以下)と運用効率が優れたファンドといえるレーティング・4ツ星以上、3年リターンの3つを参考にして、NISAで買えるファンドに絞って、低リスク+好成績バランスファンドを一覧にしたものが図表2となります。
図表2 NISAで買える低リスク+好成績バランスファンド 5選
順位 | ファンド名 | 特徴 (資産構成) |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
NISA 対象 |
1 | ハッピーエイジング20(ハッピーエイジング・ファンド) | 国内株式52%、外国株式33%、新興国株式5%、外国債券6%、国内債券2%など | 25.23% | 18.49% | 15.60% | 7.83 | つみたて+成長 |
2 | ハッピーエイジング30(ハッピーエイジング・ファンド) | 国内株式44%、外国株式21%、新興国株式5%、外国債券20%、国内債券8%など | 20.58% | 14.74% | 12.51% | 6.47 | つみたて+成長 |
3 | ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス) | 株式43.5%、債券8.8%、金44.7%など | 21.85% | 13.20% | - | 8.93 | 成長 |
4 | 三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(愛称:マイパッケージ) | 国内株式50%、外国株式20%、国内債券15%、外国債券10%など | 16.96% | 11.86% | 11.62% | 8.68 | つみたて |
5 | 東京海上ターゲット・イヤー・ファンド2055(愛称:年金コンパス) | 2024年4月末で国内株式33%、外国株式33%、国内債券24%、外国債券10% | 15.89% | 11.13% | - | 8.82 | つみたて+成長 |
参考 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 国内・先進国・新興国の株式、国内・先進国・新興国の債券、国内・先進国のリート | 11.64% | 7.71% | 8.47% | 7.71 | つみたて+成長 |
参考 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 日本を含む全世界株式インデックスファンド | 25.10% | 17.36% | 18.40% | 13.62 | つみたて+成長 |
- ※SBI証券取り扱い・NISA対象のバランスファンドでレーティング4ツ星以上、リスクメジャー2以下を3年リターン順に表示(2024年7月末基準)
- ※販売金額ランキング上位のバランスファンドである8資産均等型とオルカンを参考として表示
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
低リスク+好成績バランスファンドの特徴は?
1位のハッピーエイジング20(ハッピーエイジング・ファンド)は、基準資産配分比率で株式が90%、債券10%のファンドです。株式の割合が高いですが、外貨建資産の比率が44%となっていることもあって、比較的リスクが抑えられています。
2位のハッピーエイジング30(ハッピーエイジング・ファンド)は、基準資産配分比率で株式が70%、債券30%のファンドで、外貨建て資産の比率は46%です。5ファンドの中で1年の標準偏差は最も小さくなっています。
3位のピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)は、株式、債券、金、リート等を投資対象として、世界の市場環境に応じて魅力的なリスクプレミアムが期待できる資産を選定し、配分比率の決定を行うファンドです。7月末時点では株式43.5%、債券8.8%、金44.7%などとなっており、外貨建て資産の比率が93%となっています。NISAでは成長投資枠のみで投資できます。
4位の三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(愛称:マイパッケージ)は、株式70%、債券30%の基本資産配分となっています。外貨建て資産の比率は30%となっていることもあって、比較的リスクが抑えられています。NISAではつみたて投資枠のみでの取り扱いとなります。
5位の東京海上ターゲット・イヤー・ファンド2055(愛称:年金コンパス)は、株式66%、債券34%の資産配分比率のファンドで、外貨建て資産の比率は43%となっています。ターゲットイヤーである2055年の10年前から株式の比率を大きく引き下げ、債券の比率を大きく引き上げる運用をめざします。
これら5つのバランスファンドとオルカンの直近下落局面を比較しました(図表3)。5ファンドはオルカンと比べて下落率が抑えられており、大きなリターンを狙わずにリスクを抑えた運用をめざすなら、これらの低リスク+好成績バランスファンドを活用することが有効といえます。
好成績のバランスファンドについては様々な切り口があります。7月8日のコラム、パリ五輪と長期投資で輝く金!? 金を組み入れた好成績バランスファンドは?もご参照ください。
図表3 低リスク+好成績バランスファンドとオルカンのパフォーマンス比較 (2024年7月11日~8月21日 2024年7月11日=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
免責事項・注意事項
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
【投資信託に関するご注意事項】
・投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
・投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
・ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。
【手数料及びリスク情報等】
SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。