オルカン・S&P500が下落した3ヵ月! NISAで買える好成績ファンドは?
投資情報部 川上雅人
2024/09/09
オルカン・S&P500が下落した3ヵ月のマーケットは?
株式市場が乱高下し、円高が進んだ2024年8月の国内追加型株式投信(ETF除く)の資金流入額は、QUICK集計の速報ベースで1兆3,400億円程度となり、好調だった7月から27%減となりました。投資信託への資金流入の大幅減は、2024年の資金流入を牽引していた海外株式ファンドが8月は8,500億円程度まで縮小したことが要因といえます(図表1)。
海外株式ファンドの資金流入額ランキングから見た代表ファンドはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(以下、Slim S&P500)になりますが、それぞれのファンドの基準価額は7月11日に過去最高値をつけた後は円高(外国通貨安)と株安によって下落しています。
海外株式の時価がファンド基準価額への反映されるのは1日遅れとなりますが、3ヵ月間のオルカン、Slim S&P500と主な株価指数と基準価額の算出に使われるドル円TTM・ユーロ円TTMのパフォーマンス比較は図表2となります。
3ヵ月間ではオルカン、Slim S&P500はわずかに下落しています。この間、株価指数のS&P500は上昇しているため、2ファンドの基準価額下落要因は主に7.6%下落したドル円が要因といえます。Slim S&P500はほぼ100%、オルカンは約6割が米ドル建て資産となっています。
8月の海外株式ファンドにおける資金流入の落ち込みは、8月中旬からの株高でも円高外国通貨安によって主要ファンドの基準価額の戻りが鈍いことが意識されて投資家の買い控えにつながったものと考えられます。
このようにオルカン、Slim S&P500がマイナスリターンとなった3ヵ月間で、プラスリターンとなっているファンドをチェックします。今回は対象ファンドをNISAで買える長期投資×好実績ファンドを厳選したSBIセレクト(2024年8月末時点で51ファンド)に絞って、直近3ヵ月リターンがプラスとなったファンドを一覧にしたものが図表3になります。
図表1 国内追加型株式投信(ETF除く)/海外株式ファンドの資金流入額の推移 (2024年1月~8月 月次)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
図表2 オルカン、Slim S&P500と主な株価指数等のパフォーマンス比較 (2024/5/31~8/30 2024/5/31=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
図表3 NISAで買える3ヵ月好成績ファンド(SBIセレクト)
順位 | ファンド名 | カテゴリー | 特徴 | 3ヵ月 リターン |
1年 リターン (年率) |
3年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
1 | ダイワ・US-REITオープン(年1回決算型)為替ヘッジなし | 国際REIT | 安定的な配当が見込まれる米国リートに投資 | 6.96% | 18.41% | 11.97% | 16.84 |
2 | SBI・UTIインドファンド | 国際株式・インド | インド国内最大級の運用会社UTIグループがインドの優良株に投資 | 5.70% | 21.17% | 11.80% | 13.30 |
3 | ラサール・グローバルREITファンド(1年決算型) | 国際REIT | 日本を含む世界のリートに投資、ラサール社による運用 | 5.28% | 15.89% | 9.99% | 15.60 |
4 | DIAM VIPフォーカス・ファンド(愛称:アジアン倶楽部) | 国際株式・エマージング・複数国 | ベトナム、インドネシア、フィリピンを中心にアジア諸国の株式に投資 | 4.69% | 12.66% | 15.97% | 15.62 |
5 | 野村Jリートファンド | 国内REIT | 個別銘柄の流動性、収益性・成長性等を勘案し国内のリートに投資 | 2.65% | -1.66% | -1.75% | 9.62 |
6 | イーストスプリング・インド消費関連ファンド | 国際株式・インド | インドの消費関連株式に投資 | 2.35% | 29.81% | 23.09% | 12.43 |
7 | フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(資産成長型) | 国内REIT | バリュエーションが割安で投資価値の高いと判断する国内リートに投資 | 1.17% | -3.76% | -1.09% | 9.53 |
8 | HSBC インド・インフラ株式オープン | 国際株式・インド | インドのインフラ関連株式に投資 | 1.09% | 51.32% | 35.14% | 16.54 |
9 | モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし) | 国際株式・グローバル・除く日本 | 世界のプレミアム企業の株式に投資 | 1.07% | 10.61% | 12.69% | 13.48 |
10 | スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資) | 国内株式・大型グロース | 今後グローバルで活躍が期待できる日本企業を中心に厳選投資 | 0.77% | 32.12% | 11.43% | 13.93 |
参考 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 国際株式・北米 | S&P500インデックスファンド | -1.06% | 24.15% | 19.11% | 16.06 |
参考 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 国際株式・グローバル・含む日本 | 日本を含む全世界株式インデックスファンド | -1.77% | 21.16% | 15.78% | 14.15 |
- ※SBIセレクトを対象に3ヵ月リターンでプラスリターンとなったファンドを3ヵ月リターン順に表示(2024年8月末基準)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
NISAで買える3ヵ月好成績ファンドは?
SBIセレクトにおいて3ヵ月でプラスリターンのファンドは10本となりました。
カテゴリー毎では国際REITが2本、国内REITが2本、国際株式・インドが3本、国際株式・エマージングが1本、国際株式・グローバルが1本、国内株式が1本となりました。円高外国通貨安局面でも国際株式や国際REITのファンドの一部はプラスリターンとなりました。
国際REITについては、3ヵ月間では海外の金利低下を受けて堅調に推移しました。国内REITについては、これまで上昇していなかったこともあって国内株式市場の下落局面で相対的に堅調に推移したことに加え、国内の金利低下を受けて上昇しました。
3ヵ月間ではインド株式市場が堅調に推移したことからインド株式ファンドが3本となりました。また、東南アジアの株式市場も堅調に推移したことからアジア株式ファンドが1本となりました。
国際株式・グローバルと国内株式のファンドが1本ずつとなっていますが、この2つのファンドは優良株を中心に厳選投資を行うファンドとなっており、不透明な投資環境下で相対的に好パフォーマンスとなりました。
上記10ファンドの中で各カテゴリーの代表ファンドとオルカン、Slim S&P500の2021年末からのパフォーマンスを比較したものが図表4となります。
オルカンやSlim S&P500が伸び悩んだ2022年は、3ヵ月好成績ファンドは異なる値動きをしており、かつインド株式ファンドやアジア株式ファンドはオルカンやS&P500よりも好パフォーマンスとなりました。
オルカンやSlim S&P500と異なる値動きとなっている3ヵ月好成績ファンドをバランス良く組み合わせて保有することが、不透明な投資環境においてはパフォーマンスの安定化につながることが期待されます。
図表4 3ヵ月好成績ファンドとオルカン、Slim S&P500のパフォーマンス比較 (2021年12月30日~2024年9月5日 2021年12月30日=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は愛称または略称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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