S&P500 NASDAQ100 など 米国株式インデックス比較 ラッセル1000 とは?

S&P500 NASDAQ100 など 米国株式インデックス比較 ラッセル1000 とは?

投資情報部 川上雅人

2025/01/27

米国株式インデックス比較 ラッセル1000 とは?

2024年に好パフォーマンスとなった米国株式インデックスについて、今回は長期のパフォーマンス比較とその特徴を解説します。
米国株式インデックスはさまざまな指数がありますが、ここではNISAで人気のS&P500とNASDAQ100に加えて、ラッセル1000、ラッセル2000の4指数で比較しました。
あらためて各株価指数について解説しますと、S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している株価指数で、市場規模、流動性、業種等を勘案して選ばれたニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している約500銘柄を時価総額で加重平均された株価指数です。
NASDAQ100とは、ナスダックに上場している金融を除く時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均によって算出される株価指数です。同インデックスは米国の巨大IT企業であるマグニフィセント・セブンの割合が4割以上と高くなっているのが特徴です。
ラッセル1000とは、FTSEラッセルが公表している時価総額が最も大きい1,000銘柄で構成された時価総額で加重平均された株価指数で、米国の大型株式市場全体を幅広くカバーしています(図表1)。銘柄数は異なりますが、米国の大型株式500銘柄をカバーしているS&P500に近い株価指数といえます(図表2)。
ラッセル2000とは、FTSEラッセルが公表している時価総額が上位1001位から3000位までの銘柄の時価総額加重平均型の株価指数で、代表的な中小型株式の指数として知られています(図表1)。
これら4つの株価指数(米ドル建て・配当込み)を1999年末から2024年末までの25年間で比較したものが図表3となります。

図表1 ラッセル1000とラッセル2000について

  • ※三井トラスト・アセットマネジメントの資料より抜粋

図表2 S&P500のイメージ図

  • ※日興アセットマネジメントの資料より抜粋

図表3 米国株式インデックス(米ドル建て・配当込み)の25年パフォーマンス比較 (1999年末~2024年末 月末値 1999年末=100)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

4指数ともに2000年のITバブルの崩壊や2008年の金融危機、2020年のコロナショックなどの下落局面はありましたが、長期で右肩上がりの推移となりました。
NASDAQ100は2000年のITバブル崩壊後の下落が大きかったため、2002年以降は大きく上昇して25年間で見るとトップではあるもの、その他3指数とは大きく変わりませんでした。
中小型株式の指数であるラッセル2000は、ITバブル崩壊後の下落が相対的に小さかったこともあり、2021年までは好調でしたが、その後は伸び悩み、4つの指数の中ではわずかに最下位となりました。
S&P500とラッセル1000は同じ大型株式の指数であるためにほぼ似たような値動きとなりましたが、25年間ではラッセル1000がS&P500を上回りました。
図表3データをもとにラッセル1000とS&P500の暦年ベースのパフォーマンスで比較したものが、図表4となります。
ラッセル1000 vs S&P500は25年間でラッセル1000の13勝12敗。2013年までの前半はラッセル1000が好調でしたが、2014年以降はS&P500が優位となりました。
2013年までラッセル1000が好調で、25年間でもラッセル1000がS&P500を上回った要因の1つとしては、構成銘柄の選定方法の違いによるものといえます。
ラッセル1000は米国株式市場の時価総額上位 1,000 銘柄で構成されていますが、S&P500 は一般的なイメージとは異なり、必ずしも米国株式市場の上位 500 銘柄で構成されるわけではありません。代わりに、S&P Dow Jones Indices の専任スタッフで組織される委員会が、必要に応じて構成銘柄を入れ替えています。
また、ラッセル1000 は四半期ごとに適格な新規公開株 (IPO) をインデックスに追加していますが、S&P500 には定期的な IPO 追加プロセスは設けられていません (ただし、IPO の組み入れ条件として 12 か月間の取引実績を求めるルールは存在します)。
過去の代表的な新規上場銘柄のインデックスへの追加時期の違いとその期間の株価パフォーマンスを示したものが図表5です。
マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、テスラの場合、ラッセル1000への組み入れ時から S&P500 に組み入れられるまでの間に、2,000~17,000%もの株価上昇を遂げています。
こうした特徴などにより、ラッセル1000は投資のプロである世界の機関投資家から米国市場のダイナミズムをタイムリーに取り込むことができる指数として支持を集めているようです。
2021年以降は図表5のような事例が少なくなったため、ラッセル1000と比べてS&P500が相対的に優位となっていますが、大型のIPO銘柄が大きく成長するという米国株式市場のダイナミズムが復活してくれば、ラッセル1000がより注目されるのではないかと考えます。

図表4 ラッセル1000 vs S&P500 暦年ベースでのパフォーマンス比較 (2000年~2024年) 

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成
  • ※勝敗の○がラッセル1000優位、×がラッセル1000劣後
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

図表5 ラッセル1000とS&P500 代表的な新規上場銘柄のインデックスへの追加時期の違いと その期間の株価パフォーマンス

  • 出所:FTSEラッセル

日本籍初のラッセル1000ファンドとは?

ラッセル1000は日本においてこれまでは海外ETFを通じてしか購入できませんでしたが、この度、日本籍初のラッセル1000インデックスへの連動型投資信託、「My SMTラッセル1000米国株式インデックス(ノーロード)」(以下、ラッセル1000ファンド)が2025年1月15日に設定されました。ラッセル1000ファンドはNISA・成長投資枠で購入できます。
ラッセル1000ファンドはつみたて投資枠では購入できませんが、ラッセル1000については前述のように世界の機関投資家から支持されている幅広く分散投資が可能な米国株式インデックスであることから、S&P500やCRSP USトータル・マーケット・インデックスに次ぐ、つみたて投資枠対象の米国株式インデックスとして登録されることも期待されます。

代表的な米国株式のインデックスファンドを3年リターン順に並べたものが図表6になります。6ファンドいずれもNISA・成長投資枠で買えるファンドとなっており、SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・米国高配当株式)以外は、つみたて投資枠でも購入できるファンドです。
それぞれ対象となるインデックスの特徴を理解した上で、これらの米国株式インデックスファンドを分散投資のツールとして活用してみてはいかがでしょうか。

図表6 米国株式インデックスファンド 3年リターンランキング

順位 ファンド名 特徴
(対象インデックス)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 iFreeNEXT FANG+インデックス FANG+(米国IT企業10銘柄)インデックスファンド 70.75% 35.00% 26.36
2 eMAXIS NASDAQ100インデックス NASADAQ100 インデックスファンド 42.19% 21.80% 19.85
3 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) S&P500 インデックスファンド 40.78% 21.19% 15.01
4 SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全米株式) CRSP USトータル・マーケット・インデックス 39.12% 19.96% 14.14
5 SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・米国高配当株式) FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス 31.27% 19.42% 11.25
6 iFree NYダウ・インデックス NYダウ インデックスファンド 28.90% 19.28% 11.52
  • ※NISA・成長投資枠対象のSBI証券取り扱いファンドの中から米国株式インデックスファンドを3年リターン順に表示(2024年12月末基準)
  • ※同一の対象インデックスへの連動をめざしているファンドは3年リターン上位ファンドのみを表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

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