オルカン超え!? 好調のアジア株式! NISAで買える新興国株式ファンドは?

オルカン超え!? 好調のアジア株式! NISAで買える新興国株式ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2025/11/10

オルカン超え!? 好調のアジア株式!

2025年も10ヵ月が経過しました。10月は日本の代表的な株価指数である日経平均株価が初の5万円を突破し、月間で+16.6%という高いパフォーマンスを記録しました。

2025年10月末までの10ヵ月間における主要国・地域の株価指数のパフォーマンスを比較したものが図表1となります。

好成績となった日本(日経平均株価:+31.4%)を大きく上回ったのは、韓国(韓国総合指数:+71.2%)でした。韓国株式の上昇要因は、政府による企業統治改革やAI(人工知能)向け半導体の需要拡大期待に加え、割安度に注目した買いといえます。日本に続くのが中国(香港ハンセン指数)で、中国のAIに対する期待が株価を押し上げたといえます。

他にもブラジルや台湾が、米国(S&P500指数)や欧州主要国の株価指数を上回る結果となり、アジアを中心とした新興国株式の好調が目立ちます。

2025年における韓国、日本、中国、台湾の株価指数の上昇は、アジア株式に対する世界的な関心の高まりを示しているといえます。

日本を除くとアジア株式のほとんどは新興国株式に分類され、代表的な新興国株式インデックスであるMSCIエマージング・マーケット・インデックスにおいて、アジア株式は約8割という高いシェアを占めています(図表2)。

こうした環境から今回は、1年リターンが好成績の新興国株式を取り上げます。10月6日付のコラム、2025年 好調の新興国株式!? オルカンと組み合わせたい新興国株式ファンドは? においては、複数の国に投資している分散型の新興国株式ファンドをランキングしましたが、今回は単一国を含む新興国株式ファンドまで対象を広げました。

2025年9月末までの1年リターンで、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)を上回る新興国株式ファンド(NISA成長投資枠対象でSBI証券取り扱い)は20本以上あるため、ファンドレーティングが平均以上(3ツ星以上)、つまり長期の運用効率が同一カテゴリーで平均以上となっているファンドを対象として、上位10本に絞り込んだ一覧が図表3となります。それぞれのファンドについてコメントします。

図表1 主な株価指数のパフォーマンス比較 (2024年末~2025/10/31 2024年末=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
  • ※韓国は韓国総合指数、日本は日経平均株価、中国は香港ハンセン指数、ブラジルはボベスパ指数、台湾は台湾加権指数、ドイツはDAX指数、英国はFTSE100指数、米国はS&P500指数、フランスはCAC40指数、インドはニフティ50指数

図表2 MSCI エマージング・マーケット・インデックスの国・地域別構成比率 (2025年3月末)

  • ※三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 交付目論見書より抜粋

図表3 NISAで買える 1年好成績 新興国株式ファンド

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
5年
標準偏差
(年率)
1 深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型) 深セン証券取引所に上場されている、人民元建ての中国本土株式(中国A株)に投資 69.10% 6.54% 5.65% 30.02
2 チャイナ・リサーチ・オープン(愛称:孔明) 中国の経済成長の恩恵を受ける企業群へ投資 40.85% 12.15% 4.77% 25.34
3 中欧株式ファンド ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアを中心に、それらの周辺諸国を含む株式等に投資 39.91% 45.02% 29.18% 20.68
4 HSBC チャイナ オープン 主に中華人民共和国の証券取引所(香港・上海・深セン)に上場している株式に投資 34.62% 13.60% 5.45% 22.76
5 HSBC 中国株式ファンド(3ヶ月決算型) 中国(香港を含む)の証券取引所に上場している株式に投資 34.54% 13.49% 5.41% 22.72
6 三菱UFJ チャイナオープン 香港および上海・深センの証券取引所に上場されている株式に投資 33.23% 13.44% 3.36% 24.35
7 メキシコ株式ファンド メキシコの金融商品取引所に上場している企業または同国において主な事業を展開する企業の株式等に投資 30.49% 18.46% 25.09% 21.18
8 損保ジャパン拡大中国株投信 中国、香港及び台湾の株式(DR(預託証書)を含む)に投資 26.29% 18.25% 12.07% 18.66
9 JPMアジア株・アクティブ・オープン 日本を除くアジア諸国の株式が投資対象、成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に投資 25.95% 16.26% 8.87% 19.36
10 アジア・オセアニア配当利回り株オープン(愛称:アジア配当物語) 安定した好配当が見込めるアジア・オセアニアの株式に投資 25.08% 20.14% 14.33% 15.64
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン) 日本を含む全世界株式インデックスファンド 22.06% 23.83% 21.68% 13.95
  • ※新興国株式カテゴリー(単一国も含む)のNISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い)、ファンドレーティング3ツ星以上を1年リターン順に表示(2025年9月末基準)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

1年好成績 新興国株式ファンドの特徴は?

1位の深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)は、深セン証券取引所に上場されている、人民元建ての中国本土株式(中国A株)に投資し、中国のシリコンバレーとして知られる深センに着目し、イノベーション企業の成長を積極的に捉えるファンドです。組入上位銘柄はコンテンポラリー・アンぺレックス・テクノロジー、ジョンジ・イノライト、エオプトリンク・テクノロジー、ビクトリー・ジャイアント・テクノロジー、サングロー・パワー・サプライなどとなっており、名の知られていない中国テクノロジー株が並んでいます。組入銘柄数は64銘柄です(※)。1年での上昇は大きくなっていますが、3年、5年リターンでは2022年から2024年にかけての株価低迷により相対的に低水準です。

2位のチャイナ・リサーチ・オープン(愛称:孔明)は、中国の経済成長の恩恵を受ける企業群へ投資しているファンドです。組入上位銘柄はテンセント、アリババ・グループ・ホールディングス、シャオミ、トリップ・ドットコム・グループ、中国建設銀行などとなっており、組入銘柄数は41銘柄です(※)。中国株ファンドは総じて1年では上昇が目立ちますが、5年では相対的には低水準といえます。

3位の中欧株式ファンドは、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアを中心に、それらの周辺諸国の株式等に投資しているファンドです。投資国比率は、ポーランド74.9%、ハンガリー10.9%、チェコ4.2%となっています(※)。安定した経済成長などを背景に投資している3ヵ国の株価指数は好パフォーマンスとなっていることから、3年、5年でも好成績のファンドです。

4位のHSBC チャイナ オープンと5位のHSBC 中国株式ファンド(3ヶ月決算型)は、決算回数が年1回と年4回で異なりますが、同じマザーファンドに投資している中国株のファンドです。組入上位銘柄はアリババ・グループ・ホールディングス、テンセント、シャオミ、ネットイーズ、中国建設銀行などとなっており、組入銘柄数は78銘柄です(※)。

6位の三菱UFJ チャイナオープンは、香港および上海・深センの証券取引所に上場されている株式に投資しているファンドです。組入上位銘柄は、テンセント、アリババ・グループ・ホールディングス、香港交易所、AIAグループ、シェンヂョウ・インターナショナル・グループなどとなっており組入銘柄数は47銘柄です(※)。

7位のメキシコ株式ファンドは、メキシコの金融商品取引所に上場している企業または同国において主な事業を展開する企業の株式等に投資しているファンドです。組入上位銘柄はグルポ・メヒコ(鉱山)、セメックス(セメント)、アメリカ・モバイル(通信サービス)、ウォールマート・デ・メヒコ(小売)、グルポ・フィナンシエロ・バノルテ(銀行)などとなっており、メキシコの代表的な企業が名を連ねており、組入銘柄数は13銘柄です(※)。メキシコ株式市場は過去5年間で相対的に堅調だったことに加え、メキシコペソも同期間において対円で上昇基調となっていることから5年でも好成績です。

8位の損保ジャパン拡大中国株投信は、中国、香港及び台湾の株式(DR(預託証書)を含む)に投資するファンドです。組入上位銘柄はアリババ・グループ・ホールディングス、テンセント、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、AIAグループ、中国建設銀行などとなっており、組入銘柄数は51銘柄です(※)。中国株だけでなく台湾株の構成比率が22.3%となっているのが特徴といえます。

9位のJPMアジア株・アクティブ・オープンは、日本を除くアジア諸国の株式が投資対象で、成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に投資しているファンドです。上位組入銘柄は、テンセント、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、サムスン・エレクトロニクス、香港交易所、デルタ・エレクトロニクス(台湾)などとなっており、組入銘柄数は44銘柄です(※)。広くアジアに分散投資されたファンドといえます。

10位のアジア・オセアニア配当利回り株オープン(愛称:アジア配当物語)は、安定した好配当が見込めるアジア・オセアニアの株式に投資しているファンドです。組入上位銘柄は、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、アリババ・グループ・ホールディングス、テンセント、DBSグループ・ホールディングス(シンガポールの銀行)、サムスン・エレクトロニクスなどとなっており、組入銘柄数は41銘柄です(※)。オーストラリアを含む広くアジア・オセアニアの株式に分散投資されたファンドです。

上記10ファンドのうち、中欧株式ファンドとメキシコ株式ファンド以外の8ファンドは、アジアの高成長を享受することが期待できる好成績ファンドといえます。

オルカンでは新興国株式にも投資していますが、日本を除くアジア株式の構成比率は9%程度です。

アジア企業の成長に期待し、オルカンとは異なる値動きを求めるなら、オルカンに加えてこれらのファンドを組み合わせて分散投資することが有効と考えます。また、広く分散投資された新興国株式インデックスファンドでもアジア株式の構成比が高いため、同様の効果が期待できるといえます。

(※)ポートフォリオの情報は2025年9月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

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