半導体株下落局面でオルカン超えは3本 5ツ星ファンド12本の明暗

半導体株下落局面でオルカン超えは3本 5ツ星ファンド12本の明暗

投資情報部 川上雅人

2026/09/07

6月下旬以降、AI関連株の過熱感などを背景に世界的な半導体株の調整が続いています。7/27付のコラム 「半導体株▲20%超の急落 1ヵ月で逆行高となったファンドは?」 でも触れた通り、日米の半導体株指数は6/22の高値をピークに潮目が変わりました。

米国上場企業で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の高値自体は6/22(現地時間)で、海外株式を組み入れるファンドの基準価額への反映は6/23以降となります。一方、日経半導体株指数も6/22に高値をつけており、今回対象ファンドには国内株式カテゴリーが多いことから、本稿では基準日を6/22に統一して比較しています。

今回の下落局面への対応としては、大きく二つの見方が考えられます。一つは、半導体株はもともと値動きの大きさが特徴であり、こうしたリスクは織り込み済みとして、中長期の成長を期待し、短期の下落で売買せず保有を継続するという考え方です。もう一つは、急速な調整を受けてポートフォリオ全体における半導体株の比率を見直し、リバランスを検討するという判断です。いずれの対応が適切かは、投資スタンスやリスク許容度によって異なります。
今回はその判断材料として、2026年7月末時点で5ツ星評価の3年リターン上位にあった12本のファンドが、実際にこの下落局面でどういった値動きをしたのかをデータで振り返ります。なお、5ツ星評価の金関連ファンドは複数存在するため、より幅広いテーマのファンドを取り上げる観点から、3年リターン最上位の1本のみを採用しています。

7月末基準・5ツ星評価・3年リターン上位ファンド12本

まず、7月末基準の3年リターン(年率)上位12本を確認すると、半導体関連の野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)が55.24%で首位となり、情報エレクトロニクスファンド43.40%、WCM世界成長株厳選ファンド40.76%と、テクノロジー・グロース系が上位を占めていました。一方、比較対象であるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)の3年リターンは23.32%で、12本すべてがこれを上回る好成績を残していたことになります。5年リターンで見ても、多くのファンドがオルカン(19.37%)を上回る実績となりました。

図表1 NISA・成長投資枠対象の5ツ星評価・3年リターン上位ファンド(2026年7月末)

順位 ファンド名 カテゴリー(イメージ) 1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
1 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) 世界半導体 72.40% 55.24% 44.13%
2 情報エレクトロニクスファンド 国内テクノロジー 93.79% 43.40% 29.44%
3 WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)(愛称:ネクスト・ジェネレーション) 世界グロース 30.21% 40.76% -
4 キャッシュフロー経営評価オープン(愛称:選球眼) 国内バリュー 75.86% 36.47% 28.00%
5 SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし) コモディティ(金) 34.57% 32.93% 26.16%
6 中欧株式ファンド 欧州株式(中欧) 39.32% 32.45% 29.38%
7 三菱UFJ バリューオープン 国内バリュー 45.88% 31.58% 25.29%
8 One割安日本株ファンド(年1回決算型) 国内バリュー 50.98% 30.59% 24.77%
9 日本株配当オープン(愛称:四季の実り) 国内高配当 48.90% 30.07% 25.09%
10 アジア・オセアニア配当利回り株オープン(愛称:アジア配当物語) アジア高配当 60.16% 29.48% 18.70%
11 大和住銀日本グロース株ファンド(愛称:海のくに) 国内グロース 45.79% 28.97% 21.37%
12 NZAM 日本好配当株オープン(3ヵ月決算型)(愛称:四季の便り) 国内高配当 47.75% 28.69% 26.89%
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン) 全世界株式インデックス 29.48% 23.32% 19.37%
  • ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成(2026年7月末基準)
  • ※SBI証券で購入可能なNISA・成長投資枠対象ファンドのうち、5ツ星評価・3年リターン上位のファンドを表示(金関連ファンドは3年リターン最上位の1本のみを掲載)
  • ※参考としてeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)を表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

半導体株調整局面(6/22〜8/31)での騰落率とリスクの関係

しかし、6月22日を起点に8月31日までの騰落率で並べ直すと、様相は一変します。上昇したのはSMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)+4.62%、中欧株式ファンド+4.08%、NZAM 日本好配当株オープン+2.43%の3本のみで、いずれもオルカンの+1.56%を上回りました。金や中欧株式、日本の高配当株といった、AI・半導体関連株とは値動きの連動性が低い資産が、下落局面で分散効果を発揮した形です。

これに対し、WCM世界成長株厳選ファンドが▲3.81%、アジア・オセアニア配当利回り株オープンが▲3.86%、大和住銀日本グロース株ファンドが▲7.60%、そして3年リターン上位の常連であった野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)が▲11.96%、情報エレクトロニクスファンドが▲16.34%と、大きく調整したファンドも見られました。

今回の期間では、3年標準偏差が特に大きい情報エレクトロニクスファンド(30.76%)や野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)(36.32%)が大きく下落した一方、標準偏差が比較的小さい日本株配当オープン(14.29%)やオルカン(14.25%)、三菱UFJバリューオープン(15.38%)などは、下落幅が限られました。高いリターンを上げてきたファンドでは、相場局面によって値動きの大きさが表れやすいことが、今回の結果からも確認できます。ただし、標準偏差は値動きの大きさを示す指標であり、上昇・下落の方向を示すものではありません。標準偏差だけで下落耐性を判断できない点には注意が必要です。

図表2 半導体株調整局面(6/22~8/31)でのファンド騰落率と3年標準偏差

ファンド名 6/22以降騰落率 3年
標準偏差
(年率)
SMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし) +4.62% 21.56%
中欧株式ファンド +4.08% 18.07%
NZAM 日本好配当株オープン(3ヵ月決算型)(愛称:四季の便り) +2.43% 15.39%
【参考】 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン) +1.56% 14.25%
三菱UFJバリューオープン ▲0.60% 15.38%
キャッシュフロー経営評価オープン(愛称:選球眼) ▲1.02% 18.42%
One割安日本株ファンド(年1回決算型) ▲1.54% 15.68%
日本株配当オープン(愛称:四季の実り) ▲1.81% 14.29%
WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)(愛称:ネクスト・ジェネレーション) ▲3.81% 22.36%
アジア・オセアニア配当利回り株オープン(愛称:アジア配当物語) ▲3.86% 20.96%
大和住銀日本グロース株ファンド(愛称:海のくに) ▲7.60% 20.28%
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) ▲11.96% 36.32%
情報エレクトロニクスファンド ▲16.34% 30.76%
  • ※ウエルスアドバイザー・QUICKデータをもとにSBI証券作成(6/22以降騰落率は8/31までのデータ、3年標準偏差は2026年7月末基準)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません



    12本とオルカンの値動きは、大きく3つのグループに分けられます。


    ①オルカンを上回って上昇した3本 金・中欧株式・日本高配当など、AI・半導体関連株とは異なる値動きを示し、この期間では分散先としての効果が表れた形です。

    ②オルカン近辺で踏みとどまった横ばいの4本 国内バリュー株や国内高配当株が中心で、下落は▲2%以内にとどまりました
    (三菱UFJバリューオープン、キャッシュフロー経営評価オープン、One割安日本株ファンド、日本株配当オープン)。

    ③オルカンを大きく下回って下落した5本 半導体・グロース系テーマが中心で、下落幅は▲3%台後半から▲16%台まで幅がありました(WCM世界成長株厳選ファンド、アジア・オセアニア配当利回り株オープン、大和住銀日本グロース株ファンド、世界半導体株投資、情報エレクトロニクスファンド)。

まとめ:半導体株下落、分散投資のチェックポイント

・7月末時点で5ツ星評価だった掲載12本は、3年リターンではすべてがオルカンを上回りました。5年リターンでも、実績のないWCM世界成長株厳選ファンドと、オルカンをわずかに下回ったアジア・オセアニア配当利回り株オープンを除く10本が、オルカンを上回りました。

・6月下旬以降の調整局面では、金・中欧株式・日本高配当などオルカンを上回った資産と、半導体・グロース系を中心に大きく下落した資産とに明暗が分かれました。
今回の対象ファンドや対象期間の数値からは、今回の下落率の大きさは3年標準偏差(値動きの振れ幅)とおおむね連動しています。

・3年好成績というリターンだけでファンドを選ぶと、値動きの荒いテーマ株ファンドを選んでしまう可能性があり、購入時にはリターンに加えて標準偏差などのリスク指標もあわせて確認しておくことが望ましいです。

半導体株の下落にどう対応すべきかに正解はなく、投資スタンスやリスク許容度によって最適な考え方は変わります。今回の下落局面において5ツ星ファンドがどういった値動きをしたのかを一つの参考として、保有ファンドのリスク水準や資産配分を定期的に点検する機会としていただければと思います。

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