クオンツ分析コロナ禍で投資の世界に起きた変化、2021年のリスクや投資機会になりうるポイント

「社会(S)」と「環境(E)」投資への関心・需給の高まり

2020年は、新型コロナウィルスの猛威からESG投資の「S(社会)」が注目され、後半では「E(環境)」の期待が高まりました。9月に中国習近平国家主席が2060年までにカーボンニュートラルを実現すると発表、10月に菅首相が2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロに掲げると宣言、11月は環境政策を発表していたバイデン氏が米国大統領選挙で当選を確実にするなど、いよいよ世界がベクトルを合わせた形で地球温暖化対策への取組が加速していきます。サステナブル投資における株式投資残高から需給をみると、前年変化が横ばいであるものの、約1兆ドルの米国上場のグローバルETFスマートベータの内訳では、2020年6月~12月間でESGが3.3%から5.0%に上昇しており、引き続き底堅い需要が見込まれています。

低リスク銘柄として注目できる「環境(E)」銘柄

グローバルで高まるESG投資需給を背景に、「環境(E)」への感応度が高い銘柄は、特に米国大統領選挙時での強い物色変動下でも安定した株価リターン推移を示しました。2020年9月末以降の分析では、これらの銘柄において低リスク特性やリスク分散効果が確認されています。また、サプライチェーン全般におけるESGリスク排除の推進、消費者のマインド変化、規制の前倒し、増加する天災などを考慮すると、ESG優良企業は将来を見通したリスクを低減している本質的な部分にも注目できるでしょう。

2020年の環境変化が招く中小型お宝銘柄への期待

2020年に起きた環境変化を反発材料として2021年は、コロナ禍で割安に低迷してきた中小型株が急反発するなどの変化が多くなるとみています。コロナ禍の出口が見えてくることによるショートカバーの解消、新たに発表された環境技術等が好感されるなど、低迷してきた銘柄がお宝銘柄に化ける機会が多々ありそうです。

波多野 紅美
SBI証券 金融調査部 チーフクオンツアナリスト

事業会社、外資系証券会社を経て、2010年MSCI入社、2019年6月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券より転籍。日経ヴェリタス誌ランキングは、2019年はテクニカルアナリスト7位とクオンツアナリスト8位。セールストレーディングや定量リサーチ分野で実務経験を積む。アナリスト業務では、主にESG投資や定量分析に従事する。ロンドンImperial College工学部、東京工業大学総合理工学部修士課程卒業。

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