投資信託「インフレ・円安」という新しい時代の投資信託の活用法

インフレと地政学的リスクで高いボラティリティ

「まさか」と思われるロシアのウクライナ侵攻に始まり、予想だにしなかった日銀の金融政策の変更で終わった2022年は、金利上昇で債券市場が低迷し、株価も不調という非常に厳しい資産運用環境になった。特に、為替市場で日本円が1ドル=115円から150円を超える円安になった後で急速に130円に切り返すなど、ボラティリティ(価格変動率)が大きな相場であった。
米短期金利がゼロから4%以上にまで急速に上昇した影響は、これから本格的に出てくるだろう。また、NASDAQが30%以上下落して「弱気相場」に入った株式市場は簡単には復調しない。今後も価格変動リスクに十分に備えて、資産クラスや投資地域の分散を心掛けたい。

バリュー株や新興国株に注目

インフレと金利上昇によって、これまで「成長株」を中心に形成されてきた株式市場の物色の流れが転換する可能性がある。金融緩和でジャブジャブにお金が溢れた市場では、「成長株」中心に投資家の資金が向かったが、金融引締めが進み、しかもインフレによって金利が高止まりすることが考えられる環境では、「バリュー株」や、地域では「新興国株」など、これまで物色の外にあった銘柄に資金が向かうと考えられる。これらの銘柄は、これまで長きにわたり株価が割安な水準に置かれていたことも重要なポイントだ。
また、2022年に大荒れだった為替相場は米ドルの独歩高は修正されるにしても、円ドル相場で、大きく円高に振れることにはならないだろう。いずれにしても、為替の方向感を読むのは難しく、日本円だけでなく、通貨分散の観点で、海外資産に投資することを考えることが大切だ。

NISAの恒久化が開く本格的な長期投資の時代

「資産所得倍増プラン」によってNISAの恒久化が重要な取り組みになったことは、これからの資産運用のあり方を大きく変えるきっかけになると考えられる。これまでも「長期・分散・積立投資」などのスローガンはあったが、その受け皿となる「非課税証券投資口座」が「5年」、「20年」など期間限定の口座だった。恒久化によって、文字通り「長期資産形成」を投信で行う時代がやってくる。
途中解約ができる「NISA」と、60歳まで解約できない「iDeCo(個人型確定拠出年金)」または「企業型確定拠出年金」によって、両輪で長期の資産形成が可能になる。運用会社も投信の販売会社も、長期投資を支える運用商品の提供が求められる。

朝倉 智也
ウエルスアドバイザー 代表取締役社長

1989年慶應義塾大学卒。95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社を経て、98年ウエルスアドバイザー株式会社設立に参画し、2004年より現職。 第三者の投信評価機関として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。資産運用にかかわるセミナー講師を多数務め、各種メディアにおいても、個人投資家への投資教育、啓蒙活動を行う。

著書:『一生モノのファイナンス入門』(ダイヤモンド社)、『ものぐさ投資術』(PHP研究所)、『マイナス金利にも負けない究極の分散投資術』(朝日新聞出版)『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『つみたてNISA』(ダイヤモンド社)、『ものすごく真っ当で、ありえないほど簡単な お金の増やし方』(幻冬舎)、『怖がりの人ほど成功する! 丸投げ投資生活』(ナツメ社)、『お金の未来年表』(SBクリエイティブ)、「全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと」(ダイヤモンド社)、『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』、(ダイヤモンド社)等。

2022年SBI証券・注目ワード

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