個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の最大のメリットは、税制優遇として節税ができることにあります。メリットの内容は大きく以下の3つあります。
1. 掛け金として支払った分が所得控除される
2. 運用益に税金がかからない
3. 受け取り時にもかかる税金を減らすことができる
1に関しては、掛け金が所得控除の対象になるということなのでわかりやすいのですが、2と3に関しては少しわかりづらい点もありますので、ここでは、2と3を中心に解説し、iDeCoがどのような節税効果を持っているかを理解していきましょう。
iDeCo(イデコ)の運用益は非課税
まずは2の「運用益に税金がかからない」とはどういうことでしょうか。基本的に一般の証券口座で運用をすると、その運用で出た利益分(運用益)に約20%の税金がかかります。しかしiDeCoの口座を利用すると、運用益に税金がかからないのです。
例として、以下の条件で30年間運用した場合で考えてみましょう。
会社員(企業年金なし)
年齢:30歳
年収:500万円
掛け金:2万円 /月
運用収益:5% /年
この条件の場合、積み立てたお金は720万円になります。それに運用益約944万円が加わっていきます。しかし、一般の証券口座で運用すると、運用益の約20%、約944万円のうち約189万円弱の税金がかかります。最終的には約1,475万円の受取額になります。
一方でiDeCoならば、運用益には税金がかからないため、約1,664万円もの受取額になります。税金がかかるのとかからないのでは、約189万円もの違いが出るのです。このように、運用して出た利益に税金がかからないというのは、非常に大きな魅力であるといえます。(上記はシミュレーション上の数字なので、実際とは異なる可能性があります)
受け取るときの節税の仕組み
iDeCoは、積み立て・運用時には税金がかかりませんが、受け取り時には税金がかかります。しかしそれも工夫をすることで節税することが可能なのです。そこで「受け取り時の節税の仕組み」について解説していきます。
iDeCoで積み立てた資産は、「一時金形式」か「年金形式」のどちらかで受け取るのが一般的です(場合によっては併用することもできます)。
● 一時金形式
一時金形式は、運用した資産を手数料・税金を引いた分一括で受け取る方法です。こちらは退職所得とみなされるため、実は「退職所得控除」という非課税枠を利用することができます。一時金で受け取る時は、退職控除の枠を超えた金額の半額に所得税・住民税がかかることになっています。
「退職所得控除」は掛け金の拠出年数で決まり、20年以下ならば「40万円×掛け金の拠出年数」、20年超ならば「800万円+70万円×(掛け金の拠出年数−20年)」と計算できます。つまり30年積み立てをしていれば、800万円+70万円×10年=1,500万円が退職所得控除という非課税枠になります。
退職所得控除を増やすには、iDeCoに早めに加入して、掛け金の拠出年数を増やすということが重要になるのです。
また、iDeCoを受け取る時に会社の退職金も受け取ることになると、合計額に対して退職所得控除が適用されることになってしまい、非課税枠を超えてしまう可能性大となります。そのため、受け取る年をずらすようにすることも大切となります。
● 年金形式
年金形式は受け取る期間や1年に受け取る回数を指定して受け取る方法です。こちらは雑所得となり、「公的年金控除」を利用することができます。
雑所得の課税額は、「公的年金等の収入金額(iDeCo等含む)×割合(収入金額で変わる)−公的年金等控除額」で求められます。つまり、毎年受け取る金額を公的年金等控除の非課税枠内に収めるようにすれば、税金はかからないということです。
例えば公的年金が65歳からの場合は、60歳から64歳のうちに「年金形式」としてiDeCoで積み立てたお金を受け取っておいて、65歳になって年金収入が増えた際に「一時金形式」で受け取る方法に切り替える、というのも一つの手です。ただし、給付の方法を指定するごとに事務手数料が432円かかるため、給付の回数は減らしたほうがお得になります。
節税で効率よくお金を増やそう
以上のように、iDeCoには3つの節税メリットがあります。1と2に関しては、特に意識することなくメリットを得られますが、3に関しては控除額との兼ね合いがあるため、賢く受け取る必要があることを覚えておくといいでしょう。
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