個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は税制面で手厚い優遇を受けられることから、ますます注目されています。2016年12月末までは、専業主婦や企業年金のある会社員はiDeCoに加入することができませんでした。2017年1月からは加入者範囲が拡大したことにより、原則20歳から60歳未満の全ての人が加入できるようになったのです。
iDeCoは自分でコツコツお金を積み立て、60歳以降で受け取れるという自分のための私的年金制度です。ただ、お金に余裕があってきちんと積み立てにまわせる時はいいけれど、収入がダウンして、どうしても拠出できなくなってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
iDeCo(イデコ)は途中解約できない。掛金の変更は可能
iDeCoはあくまで老後に備える年金なので、途中解約してそれまでの積立金を引き出す、ということができません。60歳まで引き出すことができないからこそ、金庫代わりの手段となってくれます。また、60歳で受け取りを開始するためには、加入期間が10年以上であることが条件として定められています。
途中解約ができない代わりに、掛金を下げることはできます。毎年4月から翌年3月までの間で1回のみ、「加入者掛金額変更届」を金融機関に提出することで、掛金を変更することができます。1,000円単位で変更が可能で、最低掛金は5,000円となっています。
途中解約・引き出しができる3つの例外
ただし、iDeCoを途中解約できる例外として、以下の3つがあります。
1つ目が、「脱退一時金」を受け取る場合です。この制度が適用されるのは、離転職などによりiDeCoの加入者資格を喪失していて、さらに通算拠出期間が3年以下・資産が25万円以下などの支給要件(資格を喪失した日によって条件は異なります。上記は2017年1月以降に資格喪失した方の条件です)をすべて満たしている場合です。
2017年1月からは再加入や継続運用が可能になったので、一時金を受け取れる人はごく一部に限られるのが現状です。自分が要件を満たしているかどうかは、iDeCoポータルの「脱退一時金支給判定」でチェックできます。
2つ目が、加入者が死亡した場合です。この場合、積立金を遺族が「死亡一時金」として受け取る形になります。自動的には支給されず、支給を受けるためには加入者の死亡から5年以内に、一時金を受け取る権利があるかどうかについての裁定請求の手続きをする必要があります。
3つ目が、加入者の方がケガや病気などで所定の障害状態になった場合です。この場合は、積立金を「障害一時金」として受け取るか、「障害年金」として受け取るかを選ぶことができます。こちらも同様に裁定請求の書類を提出しなければなりません。
無理のない額から始めること。家計が苦しいなら掛金額を下げよう
iDeCoを始めようと思い立ったときは、途中解約できないことを念頭に置きつつ、出産や転職・退職などライフスタイルの変化も考慮しながら、無理なく負担できる金額から積み立てることが大切です。どうしても家計が苦しいときには最低額の月5,000円に下げて、また余裕ができたときに柔軟に金額を変更するといいでしょう。
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