スマートフォン決済、ロボアドバイザーによる投資助言などのフィンテックサービスが身近になってきました。これらはとても便利なサービスですが、技術をうまく使いこなすためには金融リテラシーを身に付けることも重要だといわれています。
しかし、金融リテラシーは大人になってから簡単に身に付けられるものばかりではなく、子どもの時からのマネー教育も必要です。欧米各国の例も見ながら、家庭でのマネー教育について考察していきましょう。
子どもにパーソナルファイナンスを考えさせよう!
子どもへのマネー教育といえば、第一に「お小遣い帳を付けさせる」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。確かにそれも大事ですが、お金について子ども自身の将来の生き方も含めて考える「パーソナルファイナンス」という、大きな視点で考えることも必要です。
例えば、お小遣いをもらった場合「本を買って、その金額をお小遣い帳に付ける」というだけではなく、限られた金額を「どう分配するか」、「その中で貯蓄をいくらするか」、「貯蓄が増えたら何に使うか」まで考えさせるのです。年齢が上がってきたら、税金や資産運用、金融商品についても学ばせます。
将来も含めてお金をどう使っていきたいか、使えるお金を増やすにはどうすればいいのか、そして運用で増やす方法まで学ばせるのがパーソナルファイナンス教育です。
パーソナルファイナンスを知ることで、どうやってお金が自分の元にやってくるのかが分かり、経済の動きにも敏感になります。結果として金融リテラシーを育てることもできるでしょう。
欧米のマネー教育
このような子どもに対してのマネー教育は、日本と比べ欧米の方が進んでいるといわれています。欧米ではどのようなマネー教育が行われているのでしょうか。
例えば米国には、パーソナルファイナンスについての授業を必須にしている学校もあります。クレジットカードの使い方、家を借りる際の契約書の読み方、学生ローンについても学ぶそうです。
英国では、国民が老後に向けた貯蓄をしていないことや、計画的なお金の使い方をしていないことを政府が懸念し、2010年に消費者金融教育機関(2011年に「マネー・アドバイス・サービス」に改称)が設立されました。この機関ではオンライン、電話、対面によって国民に情報を提供しています。若年層に対しては、公立学校の算数や公民の授業でマネー教育を行っています。英国の子どもにお金について学ばせるのは、豊かな老後を過ごしてもらうためなのです。
日本のマネー教育の現状と課題とは?
日本でも、他国のように金融リテラシーを身に付けることの大切さが認識されつつありますが、学校でのマネー教育は現在どうなっているのでしょうか。2014年に日本証券業協会がまとめた「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書」を見ていきましょう。
まず「マネー教育に年間どのくらいの授業時間を使っているか」という問いに対し、中学校のうち74.2%の学校が、中学1年時点で0時間と回答しています。中学3年になると0時間の学校は14.7%にまで下がりますが、44.6%の学校は授業時間1〜5時間程度と非常に短時間です。高校でも同様で、マネー教育の授業はあるものの、多くの学校が1〜5時間程度と回答しています。
授業では、商品売買のトラブルなどの「消費者問題」についての内容が多くなっています。一方で、お金の計画的な使い方などの生活設計に関する授業は少ないようです。生命保険や損害保険など、リスク管理についての授業もほとんど行われていません。
教員へのアンケートでも、「マネー教育が用語解説のみに留まっている」という問題点が指摘されています。今後は、子どもたちがより実践的な知識を身に付けることのできる教育が望まれます。
家庭でのマネー教育は何から始める?
学校での授業も大切ですが、家庭でのマネー教育も重要です。しかしまだ子どもが小さい家庭の場合、「どこから始めていいのか分からない」ということもあるでしょう。
そのようなときには、まず親子で「お小遣いの額を決める」、「使い道を話し合う」ところから始めてみてはいかがでしょうか。毎月決まった金額を計画的に使うことで、パーソナルファイナンスの基本を理解することができます。お金の使い道に慎重になることで、金融リテラシーを高めることも期待されます。
子どもたちにマネーリテラシーの大切さを伝えよう
インターネット経由で気軽に買い物ができる環境、返済義務のある奨学金の利用など、これからの子どもたちはお金をより身近に感じながら生活していくことでしょう。家庭や学校のマネー教育は今後ますます役割が大きくなっていくことが予想されます。
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