徹底検証!本当にiDeCo(イデコ)は得なのかシミュレーションしてみた

将来における公的年金の受給に懸念が生じている中、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、老後の生活資金を貯めるための心強い制度の1つです。特に2017年1月以降、それまでは自営業者や企業年金のない会社員のみに限られていた加入対象が、公務員や企業年金のある会社員、専業主婦(主夫)など、ほぼすべての現役世代が利用できるようになりました。加入者数は2018年8月末時点で101万人に達し、改正前の2016年12月末の30万6,000人と比べて、2年足らずで3倍以上に増えています。

さて、iDeCoは、会社が掛金を拠出してくれる企業型確定拠出年金(企業型DC)とは異なり、自分で掛金を支払わなければなりません。では、実際にiDeCoを活用した場合、税負担の軽減額(節税効果)はどれくらいになるでしょうか。iDeCoにはいくつもの節税効果がありますが、中でも、今回は掛金を拠出しながら所得税と住民税の負担が軽減される効果に注目します。

本稿では、企業型DC(選択制)を利用して毎月2万円ずつ拠出した場合と、iDeCoを利用して毎月2万円ずつ拠出した場合で、所得税と住民税を比較してみます。なお、モデルは年収500万円(月収35万円・年間賞与80万円)、40歳の会社員です。

所得税の算出方法

会社員(給与以外の収入はない)の所得税は、おおまかに次のように算出します。

・所得税={給与収入−(経費+所得控除)}×税率−税額控除

経費

会社員の経費は、給与収入に応じて算出する給与所得控除です。今回のモデルでは、年収が500万円であるため、給与所得控除の算出方法は「年収×20%+54万円」となります。

所得控除

今回は、以下の所得控除を適用できるものとします。
・基礎控除:38万円(すべての人が控除できます)
・社会保険料控除:給与から差し引かれた健康保険、介護保険(40歳以上)、厚生年金、雇用保険の保険料の金額
・小規模企業共済等掛金控除:iDeCoなどに拠出した金額

税率

総所得金額「給与収入−(経費+所得控除)」によって異なりますが、今回のモデルでは税率10%で計算し、9万7,500円を控除します。

税額控除

税額控除には、住宅ローン控除などがあります。今回のモデルでは適用するものがないこととします。

住民税の算出方法

会社員の概算での住民税(給与以外に収入がない場合)は、次のように算出します。

・住民税={給与収入−(経費+所得控除)}×税率−税額控除

経費

所得税と同様です。

所得控除

所得税と一部金額が違うものがあります。今回のモデルで違うのは基礎控除のみです。所得税における基礎控除の額は38万円であったのに対し、住民税における基礎控除の額は33万円になります。

税率

住民税の税率は一律10%です。

iDeCo(イデコ)における所得税・住民税の比較

企業型DCもiDeCo(イデコ)も利用しなかった場合、所得税と住民税の合計額は概算で39万1,864円となります。企業型DC(選択制)を利用した場合、掛け金は給与扱いになりません。そのため、社会保険料の算出の基礎となる標準報酬月額が利用しなかった場合の36万円から、34万円へと下がります。その結果、社会保険料の負担額も下がることになります。

また、掛金額分だけ小規模企業共済等掛金控除を適用できます。結果、所得税と住民税の合計額は概算で31万2,782円となります。iDeCoを利用した場合、標準報酬月額は利用しなかった場合と変わりません。しかし、掛金額分だけ小規模企業共済等掛金控除を適用できます。結果、所得税と住民税の合計額は概算で34万3,868円となります。それぞれの比較の詳細は以下の表の通りです。


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利用は無理のない範囲で

これまで見てきたように、企業型DCが選択できる場合、節税面で比較すると企業型DCの方がiDeCoよりも効果が高くなり、また、口座管理手数料などを企業が負担してくれることも多いようです。

一方、企業型DCで運用できる商品は、企業が選択した運営管理機関の商品に限られます。仮に運用したいと思う商品を会社の運用管理機関で扱っていないようであれば、希望する商品を扱っている運営管理機関を自ら探してiDeCoを利用してみてもいいでしょう。

そもそも、iDeCoも企業型DCも、あくまでも老後に備えた資産運用が本来の目的ですので、原則60歳になるまで引き出すことができません。あくまでも無理のない範囲内で拠出しましょう。

今回は会社員の方のモデルケースを取り上げて概算を算出しましたが、個別の節税額は人それぞれです。また、iDeCoの利用による節税メリットは他にもあります。ぜひ一度、お近くの金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。

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