家族信託の手続きと信託監督人の重要性 (株式会社ファミトラ 2025.3.6)

家族信託は、高齢化社会における財産管理の有効な手段として注目を集めています。しかし、組成の検討から契約締結までの手続き、また信託契約終了までの運営は多くの人にとってなじみの薄いものです。

また、信託契約の中で重要な役割を担う信託監督人についても、十分に理解されていないことが多いようです。

この記事では、家族信託の手続きの流れと、信託監督人の役割や重要性について詳しく解説します。

家族信託の手続きの流れ

家族信託を設定する際の一般的な手続きの流れは以下の通りです。各ステップについて詳しく見ていきましょう。

1. 事前相談と情報収集

家族信託を検討する最初のステップは、情報収集と専門家への相談です。

専門家には、弁護士、司法書士、税理士、家族信託の組成サポートを行う民間企業等があります。

まずはこれらの専門家に相談し、自分の状況に家族信託が適しているかどうかを確認します。

確認すべき主な点は以下の通りです。

  • 家族信託が自身の状況に適しているかの確認
  • 想定される費用
  • その他選択肢(任意後見制度など)との比較

専門家との相談を通じて、家族信託のメリットとデメリットを十分に理解することが重要です。

2. 家族間での話し合い

家族信託は、文字通り家族の同意と協力が不可欠です。特に財産を預かる役割を担う人(受託者)と話し合いの場を持ち、次の点について合意を形成することが重要です。

  • 信託の目的(どのような目的で財産を使うか)
  • 信託財産の範囲(どの財産を家族に託すか)
  • 受託者の選定(誰が財産を管理するか)
  • 委託者逝去後の信託財産の取り扱い(財産を預けた人が亡くなったあとはどうするか)

組成を検討する段階で、家族間でよく話し合い、疑問点や懸念点を解決しておくことで将来のトラブルを防ぐことができます。

3. 信託契約書の作成

家族間で合意が得られたら、次は信託契約書の作成です。信託契約書は家族信託の根幹となる重要な文書で、通常は弁護士や司法書士などの専門家が当事者の希望を確認しながら作成します。

信託契約書に記載すべき主な項目は以下の通りです。

  • 誰が委託者(財産管理を任せる人)、受益者(信託財産から利益を受ける人)、受託者(財産を預かる人)となるか
  • 信託財産の特定(どの財産を管理してもらうか)
  • 信託目的(家族信託を行う目的)
  • 信託財産の管理・運用方法(信託財産を具体的にどのように管理等するか)
  • 信託の終了事由(家族信託がいつ終わるのか)
  • 信託監督人に関する事項(設置する場合)

特に、信託目的は重要です。信託財産は信託契約書に記載された目的に沿った使い方しかできないため、十分に検討し、記載する必要があります。

4. 信託財産の所有権の移転

家族信託は、所有権を委託者から受託者に移転することにより、受託者による柔軟な財産管理が実現できます。

そのため、金銭を信託する場合は、家族信託のために新たに開設した口座に、振込等で資金を移動させる必要があります。

また、信託財産に不動産が含まれる場合は、登記が必要です。これは、不動産登記簿に信託財産である旨を記載する手続きです。信託登記には以下の書類が必要となります:

  • 信託契約書
  • 登記申請書等各種書類
  • 委託者の印鑑登録証明書と受託者の住民票
  • 登録免許税

有価証券などその他の財産を信託する場合には、その財産に応じた手続きが必要になります。

5. 信託の実行と運用

信託契約の締結と所有権の移転が完了したら、いよいよ受託者による財産の管理がスタートします。

受託者の主な業務は以下の通りです:

  • 信託財産の管理(預金の出し入れ、不動産の維持管理など)
  • 信託財産の運用(資産の売却・購入、投資など)
  • 受益者への利益の分配
  • 定期的な収支報告の作成

受託者は誠実かつ忠実に、財産を預けた委託者や財産から利益を受ける権利を持つ受益者のために、財産を管理、運用、処分等していきます。

信託監督人の役割と重要性

信託監督人は、受託者の業務を監督し、受益者の利益を守る重要な役割を担います。信託監督人の設置は任意ですが、その重要性から設置を推奨する専門家が多くなっています。

信託監督人の主な役割

1..受託者の監督: 信託監督人は、受託者が信託契約に基づいて適切に業務を遂行しているかを監督します。不適切な行為があれば、是正を求めることができます。

2.受益者の利益保護: 受益者、特に判断能力が不十分な受益者の利益を守ります。例えば、受託者が不適切な投資判断をしようとしている場合に、それを阻止することができます。

3.利益相反の防止: 受託者と受益者の間に利益相反が生じる可能性がある場合、信託監督人がチェック機能を果たします。

4.信託事務の円滑化: 信託契約の解釈に疑義が生じた場合や、契約に定めのない事態が発生した場合に、判断を下すことができます。

信託監督人の主な役割

家族信託は、裁判所が監督する成年後見制度に比べ、家族間による柔軟な財産管理を実現する制度です。

しかしその反面、受託者による不正や信託財産の私的流用が起こりやすいことも事実です。

実際、近年、家族信託に関する訴訟が増えていますが、その大半が家族間で争われています。

こういったリスクを回避するために、信託監督人の役割は需要であると考えられます。

信託監督人の選任

信託監督人は一般的に、以下のような人物が適していると考えられています:

  • 弁護士や司法書士など法律の専門家
  • 税理士など財務の専門家
  • 家族の事情をよく知る信頼できる第三者(親族や友人など)

信託監督人を選任する際は、その人物の専門知識、信頼性、公平性などを総合的に判断することが重要です。

ファミトラの信託監督人サポートサービス

ファミトラは、上記理由から信託監督人の設置が重要と考えています。

そのため、ファミトラの家族信託コーディネートサービスでは、お客様のニーズに合わせて最適な信託スキームを提案し、信託監督人の設定を含めた包括的なサポートを提供しています。

まとめ

家族信託は、高齢化社会における資産凍結リスクの回避に有効な手段ですが、その組成手続きには専門的な知識が必要です。また、信託監督人の存在は、家族信託の安全性を高め、円滑に運用する上で非常に重要です。

ファミトラでは、お客様の大切な財産を守り、円滑に管理・承継するためのお手伝いをさせていただきます。家族信託について詳しく知りたい方、具体的な相談をしたい方は、ぜひお問い合わせください。

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