決算発表が終了し、四半期大幅増益の中小型8銘柄

決算発表が終了し、四半期大幅増益の中小型8銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2022/10/19

信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

金利上昇傾向継続も、東証マザーズ指数は堅調

10/11(火)~10/18(火)の東証マザーズ指数は2.3%上昇しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは+2.9%およびTOPIXのパフォーマンスは+1.6%でした。株式市場全般が反発する中、東証プライム市場の銘柄と遜色ないパフォーマンスになりました。

10/13(木)の米国市場で、消費者物価指数(9月)が市場予想を上回り、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めが長期化するとの見方が継続しました。その後、米10年国債利回りは4%台まで上昇しています。しかし、事前に消費者物価指数の上振れを織り込む動きが強まっていたためか、10/13(木)の米国株式市場、10/14(金)東京株式市場は大幅高となりました。

インフレ・金利上昇懸念がくすぶり続け、グロース銘柄には不向きな流れとなることが多い中で、米国ではナスダック指数の相対的な弱さが目立っています。しかし、国内のグロース銘柄は総じて底堅い動きが続いています。ANYCOLOR(5032)や、ティーケーピー(3479)、メドレー(4480)など時価総額上位銘柄が上昇しました。

個別には、決算発表を終えた2月・8月決算の銘柄が一部買われました。ブランド品の買取販売を手掛けるバリュエンスホールディングス(9270)は10/14(金)に本決算を発表しました。前期(2022/8期)の営業利益が前期比61%増となり、今期(2023/8期)営業利益も32%増となる見通しを示しました。株価は10/14(金)~10/18(火)に3連騰し、その間に29%も上昇しています。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

図表2 主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き

図表3 10/11(火)~10/18(火)で株価上昇が大きかった東証マザーズ指数構成銘柄

決算発表が終了し、四半期大幅増益の中小型8銘柄

米国では10/14(金)に大手銀行株の一角が決算を発表し、いよいよ2022/7~9月期の決算発表が始まりました。日本でも一部の企業で2022/7~9月期の決算発表がスタートしており、11月第2週には発表社数でピークを迎える予定です。

世界的に景気・企業業績については、減速・悪化する可能性が強まっています。長期投資・分散投資スタンスの投資家は別として、中短期スタンスの投資家であれば、特定の銘柄を保有し、決算発表日をまたいで保有する際は、業績変動で株価が大きく動くリスクに配慮し、十分な注意が必要であると考えられます。

特に今後11月中旬ごろまで、3月・6月・9月・12月に本決算を迎える銘柄について、本決算や四半期決算の発表が相次ぐはこびとなっています。決算発表日に至らなくても、新聞等による事前の業績観測報道で株価が上下する可能性も出てきます。これらの決算期の銘柄をこれから投資する際には、十分な注意が必要だと思われます。

反面、2月・5月・8月・11月決算の銘柄については、10/14(金)頃までで、原則決算発表が終わっています。これらの銘柄については、当面、業績修正等のリスクが後退することもあり、腰を据えた投資が容易になると思われます。市場の関心が、3月決算銘柄等の決算発表に向かっている陰で、2月・5月・8月・11月決算の好業績銘柄が買われる可能性も十分あると思います。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、以下のスクリーニングを行ってみました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証スタンダード市場、または同グロース市場に上場

(2)10/17(月)まで20営業日の1日当たり平均出来高が20,000株超

(3)2月決算または8月決算銘柄

(4)2022/6~8期の営業利益が前年同期比20%超の増益

(5)2月決算銘柄の場合、2022/3~8期(上半期)の営業利益が黒字転換、または前年同期比10%超の増益

(6)8月決算銘柄の場合、2023/8期(通期)の営業利益が10%超の増益予想 

図表4の銘柄は、上記のすべてを満たしており、(4)の営業増益率が高い順に並べています。

図表4 決算発表が終了し、四半期大幅増益の中小型8銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価(10/18) 22/6~8期
営業増益率
今期予想
営業増益率
6668 6668 6668 6668 アドテック プラズマ テクノロジー(8) 1,406 145.0% 13.3%
3479 3479 3479 3479 ティーケーピー 2,909 115.4% 黒字転換
3562 3562 3562 3562 No.1 1,053 110.8% 14.8%
8260 8260 8260 8260 井筒屋 402 75.0% -6.5%
7610 7610 7610 7610 テイツー 138 66.2% 8.2%
4429 4429 4429 4429 リックソフト 1,883 38.0% 3.1%
9270 9270 9270 9270 バリュエンスホールディングス(8) 3,065 33.8% 32.4%
3498 3498 3498 3498 霞ヶ関キャピタル(8) 4,690 27.3% 49.4%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄名右の(8)は8月決算銘柄で、無印は2月決算銘柄。
  • ※2022/10/19(水)時点で、バリュエンスホールディングス(9270)は貸株注意喚起銘柄となっています。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

ティーケーピー(3479)~コロナ禍からの回復が継続し、営業利益進捗率が96%に

★週足チャート(2年)

  • ※データは2022/10/19(週足) 11:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■フレキシブルオフィス事業を展開

当社は「フレキシブルオフィス事業」を中核事業としています。取り壊しの決まったビルを会議室にしたり、業績悪の宿泊施設を研修施設にしたりするなど、遊休不動産を仕入れ(保有ではなく賃貸契約で確保)、付加価値を加えて再生し、企業に提供しています。

2005年に貸会議室の運営等を目的に当社は設立され、着実に業績を拡大してきました。2019/5には、シェアオフィス世界最大手のスイスIWG社から、日本でレンタルオフィスを展開する運営会社を買収しました。2020/2期の売上高は543億円、営業利益は63億円と5期連続2桁増収・営業増益を記録しました。

しかし、2020年初め頃から新型コロナウイルスの感染拡大の本格化に伴い、貸会議室需要が急減し、当社は2021/2期に35億円、2022/2期には32億円の最終赤字に転落しました。株価も2019年には一時6,000円手前まで上昇していましたが、2020/3には915円、本年1月には1,108円の安値をつけています。

■今期は業績予想上方修正の余地が拡大

株価は上記の本年安値をつけた後も一進一退でしたが、4/11(月)に2022/2期の予想営業損益等について、赤字が予想以下に収まるとの修正見通しを示しました。これを受け、株価は4/11(月)~4/21(木)で9連騰し、49%もの上昇となりました。

その後、7/14(木)に2023/2期第1四半期決算を発表し、営業損益が12.1億円と、前年同期の8.29億円赤字から黒字転換を果たしています。その直後2営業日に株価は続伸し、27%も上昇しました。

そうした中、10/13(木)に当社は2023/2期・第2四半期(6~8月期)の決算を発表し、営業利益は7.1億円(前年同期比115.4%増)と好調な内容が続きました。TKP本体の事業で貸会議室・宿泊事業へ与えるコロナの影響が後退したことに加え、子会社の「日本リージャス」の業績拡大が寄与しました。

結局、同第2四半期累計(2023/3~8月期)の営業利益は19.2億円と前年同期の赤字4.9億円から黒字転換し、通期計画(20億円)に対する進捗率は96%に達し、業績予想上方修正の可能性が高まっています。市場では、2023/2期(通期)の営業利益を37億円と予想しています。

株価は第2四半期決算発表後の10/14(金)と10/17(月)に続伸となり、16%上昇しました。業績予想に上方修正期待が台頭していることは株価上昇要因になると考えられます。当面は、2021/2につけた高値3,150円が意識される展開と思われます。

テイツー(7610)~「古本市場」を中心に展開。今期はピーク時と同水準まで利益が復活予想

★週足チャート(2年)

  • ※データは2022/10/19(週足) 11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「古本市場」や「トレカパーク」を展開。トレカが好調

「古本市場」や「トレカパーク」を中心に全国で約100店舗を展開している会社です。岡山発であり、約30年前に当時としては珍しい古本屋のチェーン店、「古本市場」1号店をオープンしたことが創業の始まりです。

現在、当社はもっとも得意としている実店舗ビジネスを行う「店舗領域」他、ネット販売を行う「EC販売領域」、リユース事業のノウハウを法人に提供する「BtoB事業領域」の3つの領域で事業展開をしています。このうち「BtoB事業領域」では、AI(人工知能)を使ったトレカ自動査定機・販売機の販売等を手掛けるなど新たな事業にも注力しています。

近年では、当社が取り扱うトレカ(トレーディングカード)の市場拡大が、業績に好影響をもたらしている面があります。有名なものには、「ポケモンカード」や「デュエル・マスターズ」、「遊戯王」があります。トレカは単に使用し遊ぶ用途だけではなく、収集品、ある意味で“資産”としての一面を併せ持っています。

トレカ業界は、モバイルゲームの流行によって相乗効果が紙のカードで生まれました。他にも、発売開始に子供だった世代が成人し、購買力が増した等で、近年盛り上がりを見せています。今や1枚数百万円以上の値打ちとなるカードも多々あります。市場規模は年々拡大傾向にあり、2021年度は前年度比145%となる1,782億円まで成長し、国内玩具市場全体が過去最高規模まで躍進した要因となりました。

■原点回帰とEC強化・BtoBで再成長期に移行

当社は2004年に株式を店頭登録を取消し、ジャスダック市場に上場しています。そして、数年が経った2007年度に業績のピークを迎えて以降、業績・株価ともに下落傾向が続いていました。その後、赤字事業の撤退や固定費削減等を行い2020年度から売上高が回復傾向となりました。2022年度は、通期ベースの営業利益は2007年度のピーク水準まで回復予定で、株価推移も復調気味です。会社側は現時点でのフェーズを再成長期と位置付けています。

また、EC戦略強化のための子会社取得や、AI機能を搭載した自社開発トレカ読み取り査定機「TAYS(テイズ)」の外販といったリユース事業者向けの新たなBtoBビジネスの成長等により、2026年度に売上高354億円、営業利益20億円の達成を目指しています。

直近では今中間決算発表の直前となる10/3(月)に、売上高・利益の通期業績予想を上方修正し(営業利益は11.0→14.1億円)、株価は大幅高となっていました。以降10/14(金)に発表された中間決算においても上方修正した業績予想に対して、全利益項目において進捗率が60%超と順調な内容を示し、株価はさらに一段高となっています。

通期業績予想の上方修正理由としては、トレカ商材等の売上高が伸びたことに加え、第3四半期に入ってからゲーム新品の大型タイトルの発売があること等を挙げているため、今後の販売動向には注視しておきたいところです。

おすすめ記事(2022/10/19 更新)

口座開設・管理料は
無料!

信用取引口座開設

信用取引を行うには、信用取引口座の開設が必要になります。 WEBサイト上でのお手続きだけで「最短翌日」口座開設完了!

※信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

ご注意事項

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。詳細はこちら

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。