レーザーテックに続け!~中小型の半導体関連銘柄

レーザーテックに続け!~中小型の半導体関連銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2022/11/30

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東証マザーズ指数は、主要指標に対して堅調な動き

11/22(火)~11/29(火)の東証マザーズ指数は3.0%上昇しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは-0.3%、TOPIXは-0.1%でした。11/21(月)~11/28(月)の米国市場ではNYダウが+0.4%、ナスダック+0.2%で、米10年国債利回りは3.83%から3.63%に低下しました。

11/23(水)の米国において、11/1~11/2に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨が公表され、FOMCメンバーの「かなり多数」が近いうちに利上げペース鈍化が適切になるとみていることが判明しました。これを受けて、市場では金融引き締め懸念が後退し、株価を下支えする要因となりました。ただ、金融引き締め後退の見方について織り込みが進んでいたことに加え、ゼロコロナ政策をめぐる中国の混乱もあり、日米主要株価指数の多くは、動きが小幅にとどまりました。

そうした中、東証マザーズ指数の動きは相対的に堅調でした。東証マザーズ指数は4/6以来、約7ヵ月半ぶりに800ポイント台を回復(11/28・終値ベース)しました。同指数の25日移動平均かい離率は5.4%(11/29時点)、200日移動平均かい離は12.2%(同)に達しており、株価上昇が加速し始めているようにも見受けられます。東証マザーズ指数を構成する銘柄は情報通信関連銘柄が多く、グローバル景気の影響を受けにくいことが、相対的強さの一因であると考えられます。

図表2「主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き」では、メドレー(4480)の上昇が目立ちました。11/21(月)に東証の承認を受け、東証グロース市場から東証プライム市場へ上場市場区分を変更(11/28付)すると発表し、11/22(火)と11/24(木)の2営業日で13.4%も上昇しました。同社は東証マザーズ指数構成銘柄の中でも時価総額が大きい方です。そのため、長きにわたって「図表2 主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き」の掲載常連銘柄であり、今回も掲載されていますが、次号からは掲載対象外となります。

図表3 11/21(火)~11/29(火)で株価上昇が大きかった東証マザーズ指数構成銘柄では、廃棄物リサイクル事業を手掛けるアミタホールディングス(2195)の株価上昇が目立ちました。11/25(金)に独自経済圏「トークン(電子証票)エコノミー」の設計・開発を行う子会社を1月に設立すると発表し、期待感から11/28(月)にストップ高となりました。すでに、11/16(水)から取引量の急増とともに大きく株価が動き始めており、投資マインドが温まっていたことも、株価上昇につながったとみられます。ただ、11/29(火)は反落となりました。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

図表2 主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き

図表3 11/22(火)~11/29(火)で株価上昇が大きかった東証マザーズ指数構成銘柄

レーザーテックに続け!~中小型の半導体関連銘柄

こうした中、東京株式市場では、半導体関連銘柄の一角が賑わっています。特にフォトマスク検査装置を手掛けるレーザーテック(6920)は、連日で東証プライム市場の売買代金首位を占めています。その背景としては、

(1)内外株式市場で金融引き締めへの懸念が後退し、半導体関連銘柄を含むグロース株が買われやすくなったこと。

(2)半導体関連銘柄の値動きを示すフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が、一時に比べ大きく値下がりし、値頃感が強くなったこと。

(3)一部で、半導体の在庫調整の進展を指摘する向きが台頭してきたこと。

等があげられます。

半導体の長期的な展望については、5G(第5世代携帯電話)やIoT(モノのインターネット)の普及・拡大、自動車の電動化・高性能化等を背景に、需要は拡大するとの見方は根強いと思われます。半導体市場の強弱を示す代表的な指数であるフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は、2022年に入り、メモリの出荷減少等を先取りする形で下げてきましたが、10月に一時5年移動平均を割り込んだことで、値頃感が台頭し、反発に転じました。

11/29(火)にWSTS(世界半導体市場統計)が発表した「2022年秋季予測」によると、世界半導体市場の成長率は2021年の26.2%から2022年は4.4%に急減速し、2023年は-4.1%と4年ぶりに後退する見込みです。DRAMやNANDといったメモリは2022年、2023年とマイナス成長になると予想され、市場成長の重しとなる見通しです。ただし、上記した5GやIoTの普及、それらを支えるデータセンタ投資の拡大、自動車の電動化・高性能化は相対的に堅調が続きそうで、これらが「2023年後半の市場回復をけん引する」(WSTS)見通しです。

なお、かつて日本メーカーの「お家芸」であったDRAMやNAND等のメモリは、日本市場での存在感が薄まっています。逆に、パワー半導体や車載向け半導体メーカー等は、好業績を維持しており、世界半導体市場の中で、日本は好調を維持しそうです。円安効果も手伝い、日本市場の成長(円ベース)は、2021年+23.4%から2022年+30.7%と加速し、2023年は+6.2%と「過去最高を更新し続ける」(WSTS)見通しです。

今回の「新興株ウィークリー」では、投資家の関心を集め続ける半導体関連銘柄について、投資妙味の大きそうな銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。条件は以下の通りです。

(1)東証グロース市場、または同スタンダード市場に上場

(2)SBI証券Webサイトの銘柄検索ウィンドウに「半導体」と入力した時に、出力される銘柄であること

(3)過去20営業日(10/28~11/28)の1営業日当たり平均出来高が2万株超

(4)過去1ヵ月(10/28~11/28)の株価上昇率が10%超

(5)今期会社予想営業増益率が10%超

(6)直近四半期決算(本決算の場合は年度決算)の累計営業損益が黒字転換、または50%超の増益

図表5の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。掲載は、(4)過去1ヵ月変化率が高い順となっています。なお、(4)の条件を満たしているうえ、(3)も満たし、一定以上の商いをこなしていることから、掲載銘柄は出来高を伴い上昇しているとみなすことが可能となります。

図表4 いったん底入れとみられるフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図表5 レーザーテックに続け!~中小型の半導体関連銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  直近値(11/28) 過去1ヵ月変化率 今期予想営業増益率 直近四半期営業増益率
6337 6337 6337 6337 テセック 3,590 56.8% 35.6% (Q2)56.1%
6521 6521 6521 6521 オキサイド(G) 7,970 35.3% 50.8% (Q2)61.1%
4055 4055 4055 4055 ティアンドエス(G) 1,543 29.0% 33.2% (Q3)52.1%
1966 1966 1966 1966 高田工業所 1,561 28.0% 69.2% (Q2)42.2%
6668 6668 6668 6668 アドテックプラズマテクノロジー 1,764 26.5% 13.3% (Q4)148.1%
6627 6627 6627 6627 テラプローブ 1,791 19.8% 53.8% (Q3)73.5%
3374 3374 3374 3374 内外テック 2,786 16.6% 11.2% (Q2)74.4%
6927 6927 6927 6927 ヘリオステクノホールディング 462 13.5% 31.0% (Q2)黒字転換
6125 6125 6125 6125 岡本工作機械製作所 5,000 10.5% 17.6% (Q2)79.5%
  • ※Bloombergデータ、決算短信等をもとにSBI証券が作成。
  • ※直近四半期営業増益率の欄で、例えばテラプローブ(6627)の場合、第3四半期まで累計の営業増益率(前年同期比)が+73.5%であることを示しています。

図表5で掲載した銘柄の概要・業績等については以下の通りです。

■テセック(6337)

半導体製造装置メーカー。前期(2022/3期)の売上高構成比は「ハンドラ」53.0%、「テスタ」28.3%他で、海外売上高(同)が80.3%のグローバル企業です。「テスタ」は半導体の電気特性を高速・高精度に測定し、「ハンドラ」は接続された「テスタ」から測定結果に応じ各種半導体を自動的に分類・選別できる装置です。扱う電流・電圧が大きく、電力損失を抑えることが特性のパワー半導体向けに強みをもち、パワー半導体を手掛ける米テキサス・インスツルメンツ(TI)が大口取引先です。

今期(2023/3期)は、「テスタ」、「ハンドラ」ともに大きく伸長しており、会社側は予想営業利益を18.0億円→23.7億円(前期比35.6%増)に上方修正しました。パワー半導体市場は今後も拡大が見込まれ、大口取引先である米TIもEV向けに売り上げ倍増を狙い、半導体工場を増設する計画で、当社の展望も開けていると言えそうです。

■オキサイド(6521)

主に光学関連製品を開発・製造・販売する会社で、半導体とヘルスケアが中核セグメントです。当社のレーザ光源は、半導体製造に使用されるシリコンウエハの品質検査装置に使用されています。つくばの国立研究所(NIMS)発企業であり、技術力の高さは折り紙付きで「SMALL GIANTS AWARD 2021」や「第29回日本結晶成長学会技術賞」などを受賞しています。11/15(火)から株価も出来高も急激に右肩上がりです。

■ティアンドエス(4055)

システム開発をメインとする会社です。半導体工場内のシステム運用及び保守、並びにインフラ構築等の支援を行っています。キオクシアグループ、東芝グループ、日立グループが長年の重要顧客であり、前期(2021/11期)は販売額の74%が前述の3社によるものです。事業の中では、半導体は顧客の工場が稼働する限り安定的なカテゴリーとされています。主要顧客であるキオクシアが製造するNAND型フラッシュメモリは、近年のIoTの普及等によるデータ量の急激な増大に伴い今後も市場が拡大すると当社は独自に予想しています。10/26(水)にはキオクシアは新たな製造棟を三重県四日市に竣工しました。ただ、NANDを含むメモリ市況は、当面は軟調との見通しが大勢である点に、注意が必要とみられます。

■高田工業所(1966)

当社は主にプラント事業を展開しています。完成工事高(前期)の43.4%が化学プラント、同24.7%が鉄鋼プラント、エレクトロニクス関連設備が11.9%他で国内向けが中心です。三菱ケミカル、日本製鉄、AGC等が主要顧客となっています。「装置事業」として、超音波カッティング装置や各種洗浄装置を販売しています。パワー半導体分野への販路拡大も取り組んでいました。今年度上半期の営業利益は前年同期比42.2%増と伸長。化学プラントの定修工事やエレクトロニクス関連工事の増加が貢献。通期は69.2%営業増益の予想です。

■アドテックプラズマテクノロジー(6668)

「プラズマ用高周波電源」という半導体製造装置に不可欠な部品を開発・製造し、世界各国に販売する会社です。海外展開に注力しており、「北米市場」、「欧州市場」、「アジア市場」を主要3市場と定め、営業体制を整えています。2022/8期時点での海外売上高比率は全体のおよそ半分です。前期(2022/8期)は半導体関連の投資が活発であったことを背景に、業績は好調な推移でした。今期(2023/8期)は最先端ロジックや中国の国産化投資に基づく投資は堅調に推移する見込みです。一方で、半導体等の部材供給不足などによる部材の長納期化や価格上昇は、前期に続き今期も業績の重しとなると当社は想定しています。

■テラプローブ(6627)

半導体の「テスト」に特化した会社です。半導体製造におけるテスト工程を受託しています。業績は長らく低迷していましたが、車載向けをはじめとするロジック製品の受託量増加を背景に、前期(2021/12期)から急激に業績回復しています。今期(2022/12期)の最終四半期決算は、5G基地局向けやサーバー用CPUなどのロジック製品の受託量は増加するものの、コンシューマー向け製品(ディスプレイコントローラー等)の需要調整を見込んでいます。通期ベースでは、好調であった前期の売上高・利益を更新する計画です。

■内外テック(3374)

半導体メーカーや半導体製造装置メーカー向けの専門商社です。販売事業のみならず、受託製造事業も展開しており売上高の約1割(2022/3期・調整前)を占めています。 会社方針としては「半導体製造装置の゛高真空分野のNo1プロバイダー゛」になる事を目指しています。前期(2022/3期)は当初計画を大幅に上回り3期連続の増収増益を達成。上場来で最高決算となりました。今期(2023/3期)に関しても、データセンター投資やEV需要等が押し上げ要因となり、前期の上場来最高決算を更新する見通しです。

■ヘリオス テクノ ホールディング(6927)

「配向膜」という液晶パネルの部品の印刷製造装置が主力製品です。新たな分野の開発として半導体業界向けの開発や関連部材の拡販売に取り組んでいる最中です。前期(2022/3期)は、半導体業界向け装置及び新規事業開発装置等に総額で5,800万円の設備投資を行っています。

■岡本工作機械製作所(6125)

研削・研磨用の砥粒加工機の世界的企業で、半導体製造装置も手掛けています。11/7(月)に2023/3期第2四半期決算を発表。内容は前年同期比で大幅な増収増益となったものの、市場で期待されていた通期業績予想の上方修正がなかったため、一旦株価は急落していました。今期(2023/3期)の通期業績は、パワー半導体デバイスにかかわる投資意欲が旺盛であること等から前期比で売上高・営業利益は2桁台での成長見通しです。株価も見直されているようで、11/29(火)終値は直近決算前の水準まで回復しています。

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