冬到来!ファーストリテイリングが日経平均の行方を占う?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実
2022/11/29
11月FOMC議事要旨で、リスクセンチメントが改善
11月第4週(11/21-25)の日経平均株価は、前週末比383円26銭高(+1.4%)と週足ベースで反発しました。同期間の米国市場でも、NYダウは+1.8%と堅調に推移し、本年8月中旬以来の高値水準まで株価を戻しています。
日米両市場で株価が堅調に推移した背景には、同週半ばの11月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨後、FRBによる利上げペースの減速観測が継続したことがあります。同議事要旨では、利上げペース減速が間もなく適切になると多くの当局者が判断したことが判明。市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)による過度な金融引き締めに対する懸念が後退し、リスクセンチメントが改善されました。
FRBによる利上げ鈍化観測が強まったことで、11月第4週末の米長期金利(10年債利回り)も3.68%と2ヵ月弱ぶりの低水準です。金利低下時は投資家のリスク許容度が拡大し、グロース株がバリュー株よりも優位なパフォーマンスとなりやすいというセオリーがあります。
しかし、11月第4週の結果は以下の通りでした。
《11/21-25 前週末比の株価騰落率 》
@東京市場 : TOPIXグロース指数⇒+1.9% TOPIXバリュー指数⇒+3.3% (TOPIXは+2.6%)
@米国市場 : S&P500⇒+1.5% ナスダック⇒+0.7%
日米両市場で共に、上記セオリーに逆行し、バリュー株がグロース株を上回るパフォーマンスです。
要因として、11/10(木)に米10月CPI(消費者物価指数)発表が終わった後、市場でインフレ鈍化期待が一定以上まで高まっていたことが指摘されます。11月第4週に突入した時にはグロース株への買いは、既にある程度一巡していたことが想定されます。
図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(11/21~28)では、トップの東電力HD(9501)は家庭向け電気料金の値上げ観測が報じられ大幅高となりました。同社は電気・ガス業であり、他のランクインした銘柄も銀行業・保険業と代表的なバリューセクターの銘柄の上昇が目立った結果です。他には、高配当銘柄の筆頭格である海運大手も2社も名を連ねています。
図表8 日経平均株価採用銘柄の下落率上位(11/21~28)では、際立って下落率の大きい銘柄はなかったものの、電気機器、機械、鉄鋼等のいわゆる、景気敏感株がほとんどです。
11月第5週の日経平均は、前週終盤の米国市場で休場・短縮取引から閑散商状になった流れが続き、方向感に乏しい中、続落スタートとなっています。ただ、中国によるゼロコロナ政策に対して大規模抗議活動は相場の重しとなっており、米国市場にも大きな影響を与えそうです。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(11/21~28)

図表8 日経平均株価採用銘柄の下落率上位(11/21~28)

冬到来!ファーストリテイリングが日経平均の行方を占う?
今週から12月に入り、株式市場は師走相場となります。これから冬本格化でどんどん寒くなり、外出する際には、コートやマフラーといった防寒具が手放せなくなるでしょう。では、こうした冬の気候と株価にはどういった関係があるのでしょうか。本稿では冬の気候が日経平均に及ぼす影響について考えてみます。
まず、日経平均の構成銘柄の中で、株価指数の値動きに最も大きく影響する銘柄と言えば・・・アパレル大手で”ユニクロ(UNIQLO)”を運営するファーストリテイリング(銘柄コード:9983)です。日経平均に占める同銘柄のウェイトは9.74%(11/28時点)と1割近くに達しています。日経平均の値動きを読む上で、同銘柄の値動きを無視することは出来ないと言えるでしょう。
図表9 日経平均株価 構成比上位10銘柄

- ※QuickをもとにSBI証券が作成。
- ※構成比は2022/11/28時点
一方、冬の気候に関し、気象庁は11/10発表のエルニーニョ監視速報において、現在は”ラニーニャ現象”が発生し、今後、冬の半ばにかけて継続する可能性が高いと指摘しています。ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルー沖にかけての海域において、水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象です。逆に同海域の水温が高い状態が続くとエルニーニョ現象と言われています。どちらの現象も、日本を含めて世界的な異常気象を引き起こす要因の1つになりうると言われています。
ラニーニャ現象の発生時、冬の日本では西日本や東日本を中心に冬型の気圧配置が強まり、寒気の影響を受けやすくなるとのことで、つまり今シーズンの日本の冬は”厳冬”になる可能性があるいうことになります。アパレル企業にとって冬は書き入れ時であり、天候は冬物衣料の売れ行きを占う上で重要です。厳冬となれば、衣替えが一気に進んで冬物衣料へのニーズが一気に高まるため、アパレル業界にとって大きな追い風になることが想定されます。
ラニーニャ現象は昨年(2021年12月~22年2月頃)、一昨年(20年12月~21年2月頃)も発生しました。いずれも厳冬となりましたが、当時は新型コロナ感染の影響もあり、厳冬効果とアパレル業界の業績や株価に対する相関はやや見えにくかったように思えます。更に前にラニーニャ現象が発生したのは、17年12月~18年2月頃ですが、この時は気温の低下とともにファーストリテイリングの既存店売上高は堅調に推移し、株価もTOPIX(東証株価指数)をアウトパフォームしました。
今冬シーズンは、新型コロナ感染第8波の広がりも予想されていますが、現状では行動規制の強化といった施策が行われる公算は小さく、消費者の消費行動に影響が出る可能性は低いと見られます。厳冬効果によりファーストリテイリング株の上昇につながれば、日経平均上昇のけん引役の1つになる可能性があるでしょう。
図表10 国内ユニクロ事業既存店売上高とファーストリテイリング株価

- ※ファーストリテイリング株価の相対騰落率は、プラスが月次騰落率においてTOPIXをアウトパフォームしたことを示す。
- ※グラフ中のシャドー部分はラニーニャ現象発生時期。
- ※ファーストリテイリング資料、BloombergをもとにSBI証券が作成。
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