テンバガー候補!?~2022年上場の高成長中IPO銘柄は?

テンバガー候補!?~2022年上場の高成長中IPO銘柄は?

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2022/12/07

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高値形成後の一服場面

11/29(火)~12/6(火)の東証マザーズ指数は3.6%下落しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは-0.5%、TOPIXは-2.1%であり、それらを下回りました。

東証マザーズ指数は10/3安値(取引時間中)681.06から12/1高値(同)813.79まで19.5%も上昇しましたが、そこをピークに下落に転じており、上記期間はその入り口に相当する格好です。米インフレ・金利上昇懸念が一服し、グロース銘柄が買われやすい投資環境を味方に買われてきましたが、現地時間12/2(金)に発表された米雇用統計(11月)では米国労働市場の強さが続いていることを印象付け、グロース銘柄にも逆風となりました。

もっとも、米10年国債利回り自体は、米国景気への不透明感もあって、反発力は強くないようです。外為市場では一時に比べ円高・ドル安が進んでいますが、東証マザーズ指数構成銘柄は、情報通信やサービス等の業種に属する内需系の企業が多いため、目下進行中の円高・ドル安による逆風はそれ程強くないとみられます。

図表2の銘柄の中ではANYCOLOR(5032)の下落が目立ちました。同社が4月に発行した「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」によると、12/4(日)までが主要株主のロックアップ期間になっており、12/5(月)からは解除となりました。需給悪化を見込んだとみられる売りが増え、12/5(月)には17.5%、12/6(火)には11.3%の大幅安となりました。

図表3の銘柄の中では、業務用不動産賃貸を手掛けるグローム・ホールディングス(8938)の上昇が目立ちました。株価は年初来高値更新となっています。2018年11月にインサイダー取引事件が起きた後、本年も子会社において不適切な取引が行われていた可能性があるとされ、株価は長く低迷していました。ただ、11/10(木)に中間決算発表、11/18(金)に代表取締役の異動、12/2(金)に不適切な取引に関する社内処分の決定等があり、不透明感がその分後退した可能性がありそうです。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

図表2 主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き

図表3 11/29(火)~12/6(火)で株価上昇が大きかった東証マザーズ指数構成銘柄

テンバガー候補!?~2022年上場の高成長中IPO銘柄は?

上記したように、東証マザーズ指数やその主要構成銘柄であるグロース銘柄は、総じて上昇一服場面となっています。今後はどうなるのでしょうか。

一般的に、東京株式市場の12月相場は「師走相場」と呼ばれ、日経平均株価の平均騰落率も過去10年はプラスであり、年末ラリーに期待がかかる所です。ただ、12月の東証マザーズ指数の騰落率は2021年-7.8%、2020年-2.9%、2019年-1.9%、2018年-19.7%とマイナスが続いており、注意が必要です。

12月の東証マザーズ指数が冴えない傾向にある一因としては、この月にIPO(新規上場)が多いためです。昨年は東証に123社がIPO(テクニカル上場、TOKYO PRO Marketを除く)しましたが、うち32社が12月にIPOしました。本年は昨年ほどではないですが、24社が12月にIPOを予定しており、年間では88社になる見込みです。IPOが多いと、投資資金が新しい銘柄に流れやすくなり、既存の銘柄が注目されず、安値で放置されるケースが増えてくるとみられます。

ただ、逆にいえば、12月は直近にIPOした銘柄や既存のグロース銘柄に投資するチャンスかもしれません。現在であれば、

2023年以降までも見据えた中長期のスタンスに立ち、2022年のIPO銘柄への投資を再考するチャンスではないでしょうか。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)2022年1~11月に東証グロース市場に新規上場

(2)直近2期の売上高が前期比10%超増加

(3)直近2期の経常利益が前期比10%超増加、または黒字転換

(4)今期の会社予想経常利益が増益見通し

(5)直近決算が四半期決算の場合、経常利益(累計)の通期会社予想に対する進捗率が「標準」以上

  ※直近決算が本決算の場合は、同決算が前期比10%超の増益

  ※進捗率が「標準」とは、例えば第3四半期累計の場合、通期会社予想の4分の3(75%)超の進捗率を指す。

(6)信用規制銘柄に指定されていないこと

IPOしたばかりの企業は、若い企業が相対的に多いと思いますが、その段階で売上高や利益が増えないようでは、高い成長は期待しにくいと思います。利益に関しては、企業が思い切った投資に踏み切る時に減益に陥ることもありますが、投資を回収できないケースも多くみられます。投資家が投資(企業が行う投資)の中身を理解して、減益見通しの企業に投資し成果を上げていくのは、実際には難しいと思います。利益を確保しながら、投資(企業が行う投資)を継続していく企業の方が、投資家には受け入れられやすいのが現実だと考えられます。

図表4の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。掲載は、初値から直近値(12/5終値)までの上昇率が高い順となっています。

図表4 来年も活躍期待の2022年高成長中IPO銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  直近値(12/5) 初値→直近値 騰落率 高値→直近値 騰落率
9556 9556 9556 9556 イントループ(7/8) 5,060 60.6% -8.8%
9219 9219 9219 9219 ギックス(3/30) 1,217 10.6% -31.5%
5038 5038 5038 5038 eWeLL(9/16) 4,295 9.8% -12.3%
5127 5127 5127 5127 グッピーズ(9/30) 1,769 -12.4% -25.5%
9563 9563 9563 9563 Atlas Technologies(10/26) 2,012 -13.3% -24.4%
7112 7112 7112 7112 キューブ(10/7) 1,465 -33.1% -35.6%
9561 9561 9561 9561 グラットキューブ(9/28) 924 -38.4% -41.5%
  • ※Bloombergデータ、報道等をもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄名右のカッコ内数字は上場日。
  • ※高値は上場来高値を指します。

イントループ(9556)~フリーランス人材を活用したコンサルティングサービス

★日足チャート(6ヵ月)

  • ※データは2022/12/6(日足) 15:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■フリーランス人材を活用したコンサルティングサービス

フリーランス人材を活用したコンサルティングサービスを展開する会社です。
案件を依頼された企業から得る業務委託料が当社の収益源です。

正社員×フリーランスのハイブリットでのサービス提供が可能な点が当社の強みです。当社は正社員のみならず、約27,700人ものフリーランスがいるため、国内大手IT企業と同規模での提案が可能です。

専門性を有するフリーランス人材が多数いることで、顧客の多様なニーズに柔軟に合わせながら、上流から下流まで広範な範囲の案件を請け負うことができます。稼働人数の大多数はフリーランスが占めており、比率としてはフリーランス:正社員=9:1となっています。

2014年に行ったフリーランスコンサルタントのマッチングサイトを大幅にリニューアルしたことや、積極採用によって売上を急拡大させてきました。他にも、コロナ禍によるDX化も同社業績にとっての追い風となりました。会社資料では、顧客向けのマーケティング活動を特別行うことなく、顧客企業数が増加傾向にあると明らかにしています。

■業績推移は良好。11期連続の増収を見込む

2022/7に上場後、9/14(水)に2022/7期の本決算を発表しました。
内容は好調で10期連続での増収を達成。経常利益も7.7億円と前年同期比84%増と高い成長力を示すものでした。市場では、同決算が素直に好感され、株価も順調に推移しています。

会社予想では、2023/7期の通期業績は売上高170億円(前年同期比30%増)、経常利益11.9億円(同55%増)を見込んでいます。計画通りとなれば、11期連続の増収を達成です。

12/14(水)には、2023/7期第1四半期決算が発表される予定です。
四半期ごとの売上推移の特徴として、第1四半期の売上が低く、第4四半期が最も高い売上となりやすい傾向があります。
(売上の季節変動要因としては、日本では3月決算企業が多いため、第1四半期は駆け込み需要の反動で、売上が低下する傾向があることを挙げています。)

1点、注意していただきたいのはロックアップ解除が2023年初頭に予定されていることです。前述のANYCOLOR(5032)は、ロックアップ期間解除後、株価は急落しています。

ただ、ANYCOLOR(5032)とは異なる点として、当社の株主状況は林博文代表とその資産管理会社が、96%を占めており、安定株主の割合が大きいことが挙げられます(2022/7期末時点)。

eWeLL(5038)~在宅医療・介護分野でDXを実現。新たなサービス追加で成長継続に期待

★日足チャート(3ヵ月)

  • ※データは2022/12/6(日足) 15:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■増加する訪問介護ステーションの業務を支援するサービスを提供

社会の高齢化が加速しつつあり、2060年には日本の人口の40%が高齢者(内閣府)になると予想されています。こうした中、現在は医療・介護の中心は病院や施設になっています。一方で、高齢化が加速すると、病院や施設の不足が深刻化してゆくと予想されます。

そうした中、2012年4月に「介護保険法」が改正され、高齢者が住み慣れた地域で自立して生活できるよう、医療・介護・予防・住まい生活支援サービスが切れ目なく提供されるシステムの構築が目指されることになりました。
地域の医療・介護については、訪問介護ステーションがその要になっていくと考えられます。このような経過から、日本の訪問介護ステーション数は2012年の6,300ヵ所弱から2022年は14,000ヵ所超へと急拡大しています。

当社は2012年に設立され、訪問介護ステーション向けに、業務全般にわたる課題の解決に対処するSaaS(クラウドで提供されるソフトウェア)の提供を行っています。

訪問介護ステーションは、高齢者等の看護を行うほか、国民保健連合会にレセプト(訪問看護療養費明細書)を提出する等の業務を行っています。当社は訪問介護ステーションに対し、訪問介護用電子カルテ、勤怠システム、保険システム等の業務を効率化させるクラウドサービスを提供しています。

■BPO(アウトソーシング)サービスにも展開

前述したように、医療・介護市場が成長し、訪問介護ステーションの増加が続く中、2017/12期から2021/12期にかけ、当社の契約数は年率56.3%で伸び、同期間の売上高も前期比64.0%のペースで拡大してきました。

好調な売り上げに対し、当社の経常利益は2019/12期までは赤字でしたが、2020/12期に2.03億円、2021/12期に4.03億円と急速に立ち上がり、今期(2022/12期)も5.22億円と3割弱の成長を予想(会社側)されていました。しかし、11/11(金)に発表された第3四半期決算では経常利益が5.29億円と当初予想を突破。今期(2022/12期)予想経常利益は改めて5.76億円に上方修正されました。

民保健連合会にレセプト(訪問看護療養費明細書)を提出する業務は、訪問介護ステーションには不可欠な業務でありながら、その作業は非常に煩雑で、関連する医療事務資格の試験の中でも難関であると言われています。当社は2021/1より、このレセプト作業を代行するBPO(業務の一部を他社にアウトソーシングすること)サービスの提供を開始し、新たな成長の材料となりつつあります。当社は今後も、提供するサービスに追加機能をリリースすることで、契約の新規獲得を目指す方針です。

なお、ロックアップ期間は上場後180日目(2023/3/14)までであり、短期的には需給悪化の懸念は小さいと思われます。株価は、上記の業績予想上方修正後に上昇し、11/29(火)には4,900円まで上昇しましたが、その後は自律調整となっています。

グッピーズ(5127 )~医療に特化した有資格者向け求人サイトを運営

★日足チャート(3ヶ月)

  • ※データは2022/12/6(日足) 15:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■医療に特化した有資格者向け求人サイトを運営

医療・介護・福祉に特化した人材サービス事業と健康管理アプリを扱うヘルスケア事業を行っています。(※以下データは全て、2022/8期時点のもの)

人材サービス事業が売上高のおよそ9割を占めています。2000年に日本初となる医療系求人サイト「GUPPY(現:GUPPY求人)」を立ち上げたのを機に、当社は事業をスタートしました。現在では、当社が運営する求人サイトの年間アクセス数は500万に上り、約6.3万件もの求人が掲載されてます。主要顧客は歯科業界で、人材サービス事業の売上高の9割弱を占めています。

当社は他の求人サービスとは、一線を画す料金体系で事業を展開しています。通常、求人サービスでは掲載期間に応じた料金を支払うことや成功報酬型が一般的です。

それに対して、当社の中途転職者向けの求人サイト「GUPPY求人」では、主にWEB広告などで一般的な閲覧課金(クリック課金)型の料金システムを適用しています。求職者が求人情報の詳細を閲覧した時や、求職者にスカウトを送った際などに顧客が有するポイントが消費されるシステムです。

料金体系別での売上高比率では、閲覧課金(クリック課金)型が約94%を占めています。

求人情報は、ポイントが全て消費されるまで、掲載される仕組みになっており、顧客にとってはコスパが良いという面もありそうです。顧客ニーズも高まっており、クリック単価は2020/8期、2022/8期と直近でも2回の値上げをしています。5期連続で増収増益が続く右肩上がりの業績推移です。

■6期連続で増収増益見込むも、株価は安値水準

2022/9末に当社は新規上場しました。初値は公開価格を30%上回る2,020円をつけました。

上場後の株価は、多少乱高下があったものの半月ほどは横ばいでの推移でした。10/13(木)の大引け後、2022/8期の本決算を発表。株価は急落し、現在も安値水準にあります。

同決算では、今期(2023/8期)業績見通しに関しても過去最高売上・利益を6期連続で更新予定です。それにも関わず、株価が下落した要因の1つとして想定されるのは、今期(2023/3)見通しについて業績成長の失速感があった点です。

2019/8期~2022/8期にかけては前期比3桁増の期も珍しくなく勢いよく伸びていた業績が、今期(2023/8期)会社予想では売上高が前期比18.9%増、経常利益7.9%増とここもとで最も小幅な成長予想を示しています。

今期(2023/8期)に関しては、新規上場で得た資金を会社が示した「資金使途の目的」通りに人材投資・広告宣伝費に充て、効果的に作用し、業績見通しの上方修正があれば好材料として市場で受け止められそうです。

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