目指せテンバガー!(2)~四半期・通期予想が大幅増益の中小型株

目指せテンバガー!(2)~四半期・通期予想が大幅増益の中小型株

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/05/24

信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

引き続き大型株に対して劣後する展開~決算発表集中日経過で個別物色の動き

5/16(火)~5/23(火)の東京株式市場では、日経平均株価が3.7%、TOPIXが1.6%それぞれ上昇しました。対して、東証グロース市場指数は上昇したものの、上昇率は0.6%にとどまりました。

NISA(少額投資非課税制度)拡充、東証によるPBR1倍割れ銘柄への対策要請、ウォーレン・バフェット氏による日本株買い増し意向示唆等、東京株式市場の変化を期待させる材料が引き続き評価されています。4月初め以降5月第2週まで、海外投資家による日本株の買い越し額は4.2兆円に達し、アベノミクス相場のスタート時期(12年12月初めからの6週間)の買い越し額2.4兆円を上回っています。日経平均株価は5/11(木)~5/22(月)に、22/3(9営業日続伸)以来の8営業日続伸となり、5/22(月)終値は90/7/31(火)以来の31,000円台を回復しました。

ただ、日本株見直し買いの対象は引き続き、PBR1倍割れ銘柄に象徴されるような割安株であり、中小型のグロース銘柄はやや「蚊帳の外」といった状況です。それでも、5/12(金)・5/15(月)の決算発表集中日の終了で、業績変動リスクが低下していることは確かで、個別物色から買われる銘柄は目立ちました。

東証グロース市場の時価総額上位銘柄の中では、前週に続きVTuberプロダクションを運営するカバー(5253)の上昇率が目を引きました。同業で6/14(水)に本決算の発表を控えるANYCOLOR(5032)にも期待感からの連想買いが入ったとみられます。

時価総額100億円以上で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄では、世界有数のGPU* IPベンダーとしてAI・アミューズメント(パチンコ・パチスロ遊技機)業界で活躍するディジタルメディアプロフェッショナル(3652)が首位です。5/12(金)の23.3期の本決算発表では、アミューズメント分野で大幅増収となり上場後初の黒字を達成。2022年のアミューズメント業界では、6.5号機やスマートパチスロ導入による入れ替え需要増で、関連銘柄が総じて業績が堅調です。アミューズメント分野での安定成長を背景に、今期(24.3期)は売上高26億円(前期比12%増)、営業利益1.5億円(455%増)の高成長となる見通しを示し、株価は連騰となっています。

(*GPU...画像表示や処理に特化した半導体チップ)

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 5/16(火)~23(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

目指せテンバガー!(2)~四半期・通期予想が大幅増益の中小型株

上記したように、日経平均株価が33年ぶりの高値回復に沸いているのに対し、グロース市場は相対的に出遅れ感が目立っています。PBR1倍割れ銘柄の是正や、ウォーレン・バフェット氏の商社株買い等が株高の契機になったこともあり、プライム市場のバリュー銘柄にスポットが当たりやすく、中小型は注目されにくかったかもしれません。

しかし、小型株指数も90年以来の高値水準を回復しようとしており、中小型株が無視されている訳ではありません。大型株に過熱感が高まりつつあることも確かで、仮に日経平均やTOPIXの騰勢が一服してくれば、値動きの軽い中小型株に資金が巡ってくる可能性もありそうです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、中小型株に資金が回ってきた時にけん引役となりそうな大幅増益銘柄を抽出すべく、以下の条件で、スクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場またはスタンダード市場に上場
(2)時価総額100億円超
(3)決算期末が3月、または12月
(4)2023.1-3期の営業利益が前年同期比で黒字転換、または50%超の増益
(5)今期の予想営業増益率が10%超の増益
(6)5/22(月)まで過去20日間の1営業日当たり平均出来高が2万株超

図表4の銘柄は、上記(1)~(6)の条件をすべて満たしており、(5)の予想営業増益率(前期比)が高い順に掲載されています。(4)の条件を満たし、足元の業績も好調な銘柄であることから、その分、(6)で示された業績の達成に向け「勢い」をもっている銘柄であると考えられます。

なお、前週とスクリーニング条件がやや似ていますが、やや(4)の足元の増益率の勢いをより重視するとともに、スタンダード市場の銘柄も含めることにした点が異なります。それでも、前週と重複した銘柄については、今回は除外させていただきました。

図表4 目指せテンバガー!(2)~四半期・通期予想が大幅増益の中小型株

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(5/23) 23.1-3期営業増益率 今期予想営業増益率
6425 6425 6425 6425 ユニバーサルエンターテインメント(12) 2,571 104.7% 94.5%
5013 5013 5013 5013 ユシロ化学工業 981 375.5% 92.4%
6357 6357 6357 6357 三精テクノロジーズ 1,203 67.0% 44.5%
4107 4107 4107 4107 伊勢化学工業(12) 7,970 70.3% 19.8%
7794 7794 7794 7794 イーディーピー 2,728 68.4% 14.0%
6249 6249 6249 6249 ゲームカード・ジョイコホールディングス 3,595 447.7% 12.0%
8844 8844 8844 8844 コスモスイニシア 587 57.5% 11.7%
  • ※各社株価データ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横に(12)と記載された銘柄は12月決算銘柄、他は3月決算銘柄。
  • ※今期予想営業増益率は会社予想ベース。
  • ※「今期」の対象について、3月決算企業は24.3期、12月決算企業は23.12期となります。
  • ※イーディーピー(7794)は、東証より日々公表銘柄に指定されています。(2023/5/24現在)


以下、図表4に掲載した銘柄について、詳細をコメントします。

■三精テクノロジーズ(6357)~ 経済再開の業績回復はこれから!遊園地やコンサートホールで活躍

★週足チャート(2年)

  • ※データは2023/5/23(週足) 15:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■遊園地やホール、舞台などで不可欠な企業

遊戯機械・舞台機構・昇降機の3事業を主軸とする企業です。1951年に大阪で創業され、日本で初めてジェットコースターを納入した企業でもあります。

遊戯機械(売上高:46%、23.3期)
▶ジェットコースターを筆頭に、遊園地などで遊ぶ機械を指します。パンデミック前まで積極的に海外企業を買収。同事業では、世界トップクラスのシェアを誇ります。富士急ハイランドやナガシマスパーランド、サンリオピューロランドなど国内外テーマパークに納入実績があります。

舞台機構(同上:37%)
▶舞台機構とは、劇場やホールで演出効果用の機械類の総称です。国内トップクラスのシェアを誇ります。歌舞伎座、帝国劇場、各地の県民・市民会館などでの納入実績があります。

昇降機(同上:17%)
▶昇降機とは、いわゆるエレベーターです。ギネス記録に認定された世界一の大型エレベーター(新国立劇場)も同社が手がけました。

企画、設計、製造、施工、保守改修まで一貫して手掛けているのが強みです。

■パンデミックからの回復本格化!万博にも期待

パンデミック前の19.3期は売上高527億円、営業利益43億円と積極的なM&Aなどを行い、業績を拡大していました。しかし、コロナ発生後の22.3期は売上高344億円、営業利益は約4分の1、10億円まで沈んでいました。

行動規制緩和が本格化した23.3期は売上高406億円(前期比18%増)、営業利益20億円(同93%増)とパンデミックにより低迷が続いていた業績に回復の兆しが見える結果でした。遊戯機械事業で赤字が大幅に縮小したことが貢献しました。経常利益が予想を上回ったことで、増配実施を発表。助成金などの営業外収益によるものですが、株主還元意欲が窺えます。

今期(24.3期)は、売上高470億円(前期比15%増)、営業利益29億円(同44%増)と国内外で経済再開の追い風が吹き、順調な業績回復を見込んでいます。

中計では25.3期の目標に、売上高600億円、ROE11%を掲げています。また、2025年には大阪万博が開催される予定です。同社は1970年の大阪、つくば、愛知と豊富な納入実績を有しており、2025年の大阪万博は業績回復の大きな材料として期待されます。

■伊勢化学工業(4107)~ 主力製品の「ヨウ素」は日本が誇る「唯一」の輸出資源

★週足チャート(2年)

  • ※データは2023/5/23(週足) 15:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■ヨウ素で国内45%、世界15%の生産シェア

「ヨウ素及び天然ガス事業」が売上高(23.12期1Q)の83%を占め、残りは塩化ニッケル等の金属化合物となっています。AGC(5201)が持株比率52.8%(22.12末)を占める親会社で、三菱商事(8058)も同11.3%の大株主です。

数百万年前の有機物からでき、地下深く眠っている古代海水の「かん水」は、くみ上げられるとヨウ素と天然ガスに分離されます。このうちヨウ素は、チリ(生産シェア6割)と日本(同3割)を中心に生産され、資源の乏しい日本にとって、産業化された唯一の輸出資源となっています。

ヨウ素は殺菌性が強いため、古くから消毒・殺菌剤に用いられてきましたが、現在はX線等の造影剤が中心で、その他液晶パネルに使われる偏向フィルム、自動車のシートベルト・エアバック用繊維の安定剤、甲状腺ホルモン剤等の医薬品等に用いられています。

ヨウ素の国内生産の約8割は千葉県産といわれ、同社も千葉県に複数の工場を有しています。

■ヨウ素需要は中長期的に拡大へ

4/27(木)に発表された23.12期1Q決算では、販売先の在庫調整を受け、売上高は51億円(前年同期比0.7%減)と若干の減少。しかし、造影剤、医薬品、偏光フォルム等へと用途が拡大しており、ヨウ素の市況は堅調に推移しています。それを受けて、営業利益は9.7億円(同70%超)と大幅増益になりました。

今期(2023.12期)は営業利益45億円(前期比19%増)が会社計画です。2年連続最高益更新の見込みで、順調な滑り出しと言えそうです。

ヨウ素剤は放射能を吸い込んだ時に癌を防ぐ役割もあります。このため、ロシアによる核兵器使用不安で、22年以降、欧州においてヨウ素剤の需要が急増したこともあり、市況高騰や株価上昇に拍車をかけた可能性もありそうです。逆に、その反動等で、短期的に市況が緩む場面が訪れるリスクは残ります。

次世代太陽電池といわれるペロブスカイト型太陽電池にはヨウ素が使われています。ヨウ素の需要は中長期的に拡大が期待できそうで、中長期的には同社業績も成長が見込めそうです。

おすすめ記事(2023/05/24 更新)

口座開設・管理料は
無料!

信用取引口座開設

信用取引を行うには、信用取引口座の開設が必要になります。 WEBサイト上でのお手続きだけで「最短翌日」口座開設完了!

※信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

ご注意事項

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。詳細はこちら

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。