20万円未満で買える!割安・増益予想の中小型株

20万円未満で買える!割安・増益予想の中小型株

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/05/31

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大型株への出遅れが続く

5/23(火)~5/30(火)の東京株式市場では、日経平均株価が1.2%上昇、TOPIXが0.1%下落、東証グロース市場指数が0.2%下落となりました。

同期間、日経平均採用銘柄の中ではアドバンテスト(6857)、SCREENホールディングス(7735)、東京エレクトロン(8035)といった半導体関連株が物色の中心となりました。また、丸紅(8002)などの商社株も買い直され、過去最高値を更新する展開になりました。東証グロース市場は引き続き、物色面で「蚊帳の外」的な状態になっています。

なお、図表1でも明らかな通り、5月・月間(5/30現在)の騰落率では日経平均株価+8.6%に対し、東証グロース市場指数は+0.4%と低調で、「ワニの口」のように、2指数の格差が拡大しました。東証で物色対象が、割安株から半導体関連に広がりを見せる中、東証グロース指数の低調を尻目に、TOPIXグロース指数は同月間で5.7%上昇する展開になりました。

もっとも、東証グロース指数は5/26(金)に本年1月以来の安値を付けたことで、値頃感から押し目買いが入っており、5/30(火)には3/22(水)以来の上昇幅を記録。出遅れ修正の兆しをみせています。

東証グロース市場時価総額上位銘柄の中では、通信インフレのシェアリング事業を展開するJTOWER(4485)が上昇しました。終値ベースでは決算発表を実施した5/11(木)をピークに、今期予想経常利益の赤字見通しも手伝って、5/23(火)まで下落基調となっていました。ただ、その後は一部アナリストが営業利益の上振れ可能性を指摘したこともあり、戻りを試す展開になっています。

同市場時価総額100億円超の幅広い銘柄の中では、建設業界に特化したDX(デジタルトランスフォーメーション)を展開しているArent(5254)の上昇が目立ちました。5/11(木)に今期業績予想を上方修正し、流れが変わっていました。週末の5/26(金)にはチャート上の節目になっていた4,945円所を突破し、上昇に弾みが付きました。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 5/23(火)~30(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

20万円未満で買える!割安・増益予想の中小型株

上記したように、日経平均株価は90/7/26(木)以来の高値水準(取引時間中ベース)を回復しています。株価上昇の背景には、東証によるPBR1倍企業への対策要請や、ウォーレン・バフェット氏による商社株(割安株の象徴的存在)買いがあったことは確かであるとみられます。

株価上昇を受け、東証プライム市場のPBR(株価純資産倍率)は、本年大発会(1/4)には1.10倍の本年最低水準にありましたが、5/30(火)現在は1.25倍まで上昇しています。しかしそれでも、東証プライム市場銘柄の48%はPBR1倍割れの状態が続いています。また、東証スタンダード市場に至っては61%の銘柄で、PBR1倍割れの状態となっています。

東証スタンダード市場は、主力銘柄を含む東証プライム市場と、若いグロース銘柄が多い東証グロース市場にはさまれ、投資家の目が届きにくい市場になっているように思います。かつての東証2部やジャスダック市場の銘柄を中心に構成されており、市場平均のPBR自体が0.94倍と「解散価値割れ」になっています。しかし、過度な割安銘柄の解消が東証のテーマになった現在、中長期的には東証スタンダード市場の割安感も是正される可能性がありそうです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、東証の割安銘柄解消の波が東証スタンダード市場にも押し寄せてくると期待し、同市場の割安銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行なうこととしました。条件は以下の通りです。

(1)東証スタンダード市場に上場
(2)時価総額100億円超~1,000億円未満
(3)広義の金融を除く業種
(4)PBR(前期実績)1倍未満
(5)会社予想PER14倍未満(スタンダード市場の平均は14.7倍)
(6)今期の会社予想業績が増収・増益。うち営業利益が10%超増益予想
(7)今期末に会社見通しで配当実施予定
(8)5/29(月)まで過去20日間の1営業日当たり平均出来高が2万株超
(9)「継続企業の前提」に疑義等が生じていないこと
(10)株価2,000円未満

図表4の銘柄は、上記(1)~(9)の条件をすべて満たしており、(4)のPBRが低い順に並べられています。なお、(10)にあるように株価が2,000円未満であるため、最低売買単位(100株)でも、20万円未満で買えます。言い換えれば、投資金額100万円あれば、最低5銘柄以上に分散投資することが可能となっています。

図表4 20万円未満で買える!割安・増益予想の中小型株

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(5/30)
PBR
(倍)
今期予想PER(倍) 今期予想配当利回り
4231 4231 4231 4231 タイガースポリマー 547 0.30 7.9 2.6%
3434 3434 3434 3434 アルファCo 1,060 0.35 9.0 4.2%
5013 5013 5013 5013 ユシロ化学工業 977 0.37 8.2 4.1%
8289 8289 8289 8289 Olympicグループ 527 0.46 12.3 3.8%
8844 8844 8844 8844 コスモスイニシア 592 0.48 6.1 2.7%
6357 6357 6357 6357 三精テクノロジーズ 1,212 0.65 11.7 3.3%
1967 1967 1967 1967 ヤマト 909 0.71 10.3 3.0%
9368 9368 9368 9368 キムラユニティー 1,092 0.73 9.2 3.8%
7991 7991 7991 7991 マミヤ・オーピー 1,374 0.78 7.1 3.6%
3321 3321 3321 3321 ミタチ産業 1,328 0.82 6.4 4.9%
6257 6257 6257 6257 藤商事 1,389 0.85 9.7 4.0%
3361 3361 3361 3361 トーエル 752 0.88 11.2 2.7%
9268 9268 9268 9268 オプティマスグループ 1,040 0.99 6.9 5.3%
  • ※各社株価データ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※PBRは時価総額/純資産(直近会計年度、または四半期末)として計算。
  • ※今期予想PERの計算に使われる予想純利益、予想配当金は会社予想ベース。
  • ※ミタチ産業(3321)は5月決算銘柄で、5/30(火)に配当落ちになりましたのでご注意ください。

以下、図表4に掲載した銘柄について、詳細をコメントします。

■キムラユニティー(9368)~物流サービス事業が主軸。3期連続で最高業績更新見通し

★週足チャート(1年)

  • ※データは2023/5/31(週足) 11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■物流サービス事業が主軸。主要顧客はトヨタ

1881年(明治4年)に創業、名古屋が拠点の企業です。自動車産業の複数領域で事業活動を行っています。

トヨタ自動車(7203)とグループ企業が、全売上高の45%を占めます(23.3期)。海外売上高は17%で、中国と米国に子会社、メキシコやブラジル、タイに関連会社があります(同)。おもな事業と、23.3期の売上構成比は以下の通りです。

▶物流サービス(72%)

自動車部品等の包装・梱包がメインです。トヨタ生産方式をベースに、物流センターの企画から輸配送の手配に至るまでサービスを提供。物流機器や付帯設備の設計・製造も行っています。

▶自動車サービス(24%)

車両リース、メンテナンス、保険等の総合的な管理サービスを行います。顧客対象は個人と法人の両方です。

その他には、「情報サービス事業」や「人材サービス事業」を行っています。


■3期連続で過去最高業績更新見通し

23.3期は売上高・営業利益ともに2期連続での増収増益となり、過去最高を達成しました。海外子会社を中心に、物流サービス事業で受注量が増加したことや、生産性の向上が奏功したもようです。

今期(24.3期)の会社見通しも売上高・ 各利益項目で、過去最高を連続で更新するとしています。稼ぎ頭である物流サービス事業の他、全ての事業領域で、同社は拡販を見込んでいます。

前期、今期ともに懸念事項であった半導体不足による工場停止等の影響に関しては、明るい兆しが見えています。主要顧客であるトヨタ自動車(7203)が5/10(水)の23.3期本決算発表で、半導体供給問題の改善見通しを明らかにしました。

2021年に32万株、2022年に135万株の自社株買いを実施しています。また、5/30(火)時点で予想配当利回りはおよそ4%弱と高水準といえそうです。

■藤商事(6257)~ パチンコ・パチスロ業界の回復を織り込む?低PER・低PBRで予想配当利回り4.0%

★週足チャート(1年)

  • ※データは2023/5/31(週足) 11:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「パチスロ6.5号機」登場で2Qから回復傾向
パチンコ・パチスロ機器の製造・販売メーカーです。

この業界は、ギャンブル性に対する規制強化や、景観に配慮した地方自治体の規制強化等の逆風にさらされ、ジリジリと市場が縮小してきました。全国のパチンコ店数は2022年末で7,665店舗と2018年末比24%減少、同期間にパチンコ・パチスロ機の設置台数も17%減少しました。

業界縮小にコロナの影響もあり、同社営業損益は、20.3期20億円赤字、21.3期4億円弱黒字、22.3期7億円弱赤字と低迷。株価も昨年11月中旬までは低迷が続いてきました。

しかし、昨年11/7(月)に発表された23.3期2Q(22.7~9期)決算で、同社営業利益(累計)が25億円の黒字に転換(前年同期比59億円改善)し、株価も11月下旬あたりから上昇基調に転じました。「一撃性」が高まったとされるパチスロ6.5号機の投入で、市場に回復傾向が強まったようです。最終的に、23.3期は営業利益が38億円と黒字転換しました。

■スマート機の投入で業績はさらなる拡大へ
パチンコ・パチスロ機業界では、コロナ禍での教訓もあり、遊戯玉やコインを使わない「スマート機」への期待が高まっています。今後、スマート機への移行が、同社を含むパチンコ・パチスロ機業界の業績拡大につながりそうです。

スマート機の投入等もあり、同社は24.3期について売上高420億円(前期比20%増)、営業利益50億円(同29%増)を見込みます。同業のユニバーサルエンターテインメント(6425)の23.12期、SANKYO(6417)の24.3期、円谷フィールズホールディングス(2767)の24.3期も会社予想営業利益は増益が見込まれています。

昨年12/9(金)にパチスロ機について、本年4/6(木)にパチンコ機について、スマート機の第1号が型式試験「適合」となり、その後は「好材料出尽くし」から株価は下落傾向です。5/12(金)の本決算発表を好感し、一時上昇しましたが、足元は調整気味です。

ただ、業界環境の好転で業績拡大が継続できそうなこと、PBRが0.85倍、予想PERが9.7倍と低いことは投資上の魅力になると考えられます。24.3期の会社予想1株配当金は55円で、5/30(火)時点での予想配当利回りは約4%と計算されます。

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