目指せテンバガー!「AI」「チャットGPT」etc.で成長中の中小型10銘柄
投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2023/06/21
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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グロース指数が日経平均をアウトパフォーム
6/13(火)~20(火)の東京株式市場では、日経平均株価が+1.1%、TOPIXが+0.8%、東証グロース市場指数が+6.0%と週足ベースで続伸。グロース指数の出遅れ修正がさらに進みました。
6/16(金)まで開催の日銀金融政策会合で金融緩和の維持が決定されたことが、金利上昇に弱いグロース株にとって、買い安心感につながりました。大型株が好調に上昇した後、過熱感から上値が重くなる局面は、値動きの軽い中小型株に資金が流れやすい局面とみられ、現在は、その典型的な場面であると考えられます。
今回の「新興株ウィークリー」のテーマでもありますが、AI(人工知能)関連銘柄への人気も続いています。東証グロース市場は、企業のDXを推進する情報通信分野の銘柄が中心的な存在ですが、AIはそれらの銘柄に追い風になるとみられます。
東証グロース市場の時価総額上位の中では、M&A総研ホールディングス(9552)が19%の大幅高となりました。引き続き新たな材料はみられない中、業績成長が見込まれる主力新興グロース株として選好されたもようです。Vtuberのマネジメントを展開するカバー(5253)も上昇が目立ちました。ライバルのANYCOLOR(5032)も、6/14(水)の決算発表を経て、6/19(月)・6/20(火)に急騰し、カバーとの相乗効果が強まりました。
時価総額100億円以上の企業の中では、英語コーチングサービスを提供するプログリット(9560)の上昇が目立ちました。5/17(水)に1株→3株の株式分割(基準日6/30)を発表し、その後堅調に推移してきました。6月末の接近で、分割後の株価上昇に期待した買いが入った可能性もありそうです。ただ、6/21(水)付で「日々公表銘柄」に指定されました。
グーグルやエヌビディアが出資しているAI開発企業のABEJA(5574)(上場日6/13 公開価格1,550)が6/14(水)に初値4,980円を付けました。企業のDXを推進するためには、人とAIの協調が必要との考え方のもと、「ABEJA Platform」を提供し、企業のDXを推進しています。6/20(火)には8,940円の高値を付け、公開価格比5.7倍、初値比79%高となりました。6/13(火)の株価がなかったことで、値上がり率上位に入りませんでしたが、実質的にはトップのパフォーマンスでした。
図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移
図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き
図表3 6/13(火)~20(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄
目指せテンバガー!「AI」「チャットGPT」etc.で成長中の中小型10銘柄
株式市場では引き続き、AI(人工知能)や半導体に関連した銘柄が人気です。AI領域で使われるGPU(高速な画像処理を行う半導体)を提供する米エヌビディアが5/24(水)に市場予想を上回る好決算を発表。その後は、AIに関連した銘柄はもちろん、その発展で半導体需要が底上げされるとの期待から半導体関連も買い直されました。
6/16(金)付の「日本株投資戦略」では、東証プライム市場に上場しているAI関連銘柄、とくに最近話題の「生成AI」に関連した銘柄をご紹介しました。今回は、AI(人工知能)、生成AI、チャットGPT、チャットボット等に関連する中小型株をご紹介すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。
(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場
(2)次のいずれかの条件を満たしていること
・SBI証券テーマ株分析ツール「テーマキラー!」で「AI」または、「生成AI」、「チャットボット」関連銘柄として紹介されている
・SBI証券銘柄検索ウィンドウに「AI(人工知能)」または「チャットボット」、「ChatGPT」と入力して出力される銘柄
(3)6/19(月)まで20営業日の1日当たり平均出来高が2万株以上
(4)前期・前々期の営業利益が前期比10%以上の増益
(5)今期会社予想営業利益が増益予想
(6)今期会社予想売上高営業利益率が10%以上
(7)信用取引上の規制銘柄になっていないこと
図表4の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。(6)の数字が高い順に並べました
普及著しいAI(Artificial Intelligence)は、人間の持っている知能をコンピュータ上に作り上げようとしているものです。さらに、生成AIは、膨大なデータから学習し、テキストや画像、音声を生み出すことができます。生成AIは、AIを専門とする米国の非営利研究機関である「Open AI」(2015年設立)が開発。同組織が、昨年11/30(水)に、どんな質問にも人間らしい自然な口調で答えてくれる「Chat GPT」を公開。本年1/23(月)には米マイクロソフトが、「Open AI」に100億ドル出資することを表明し、一気に話題に火が付いて来ました。
「Chat GPT」は公開後2ヵ月で利用者数が1億人に到達しました。この数字を獲得するために要した期間は、動画共有アプリ「TikTok」が9ヵ月、写真共有アプリ「インスタグラム」が28ヵ月であり、いかに「Chat GPT」が急激に普及しているかがお分かりいただけるでしょう。
東証プライム市場にとどまらず、東証スタンダード市場や同グロース市場には、数多くのAI関連銘柄が上場しています。AI市場の発展が、個々の企業に与える影響度は、企業規模がいまだ小さい分、東証スタンダード市場や同グロース市場銘柄に対しての方が、総じて大きいように思われます。
今回のスクリーニング条件では、予想ベースで売上高営業利益率や営業増益率を加えました。「AI」に関連した技術等をテコに、収益が伸びつつある企業を抽出できていると考えられます。
図表4 目指せテンバガー!「AI」「チャットGPT」etc.で成長中の中小型10銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価(6/20) | 今期会社予想営業増益率 | 業務概要 |
5250 | 5250 | 5250 | 5250 | プライム・ストラテジー(S) | 3,340 | 20.9% | Web高速化、セキュリティのソリューション。AI全自働Webサイト診断機能とチャットGPTを連携。今期は営業利益20%増(利益率39%)予想 |
4071 | 4071 | 4071 | 4071 | プラスアルファ・コンサルティング | 3,525 | 27.6% | テキストマイニングやAI、機械学習等の技術を用い、人事やマーケティングの業務を支援。今期は営業利益27%増(利益率32%)予想 |
5136 | 5136 | 5136 | 5136 | tripla | 2,989 | 205.3% | ホテルや旅館等の公式予約サイトを提供。顧客からの問い合わせに対応するチャットボットも提供。今期は営業利益3倍増(利益率22%)予想 |
3773 | 3773 | 3773 | 3773 | アドバンスト・メディア | 2,074 | 11.0% | 音声認識技術AmiVoiceを活用したソリューション。コールセンターでは通話全文即時テキスト化。今期は営業利益11%増(利益率20%)予想 |
4075 | 4075 | 4075 | 4075 | ブレインズテクノロジー | 1,537 | 4.5% | 企業向けAI(人工知能)ソフトウエア開発、データ検索、データ分析などのサービスを提供する。今期は営業利益4%増(利益率16%)予想 |
2987 | 2987 | 2987 | 2987 | タスキ | 1,132 | 32.4% | おもに不動産開発業者が建築プランや事業収支表の作成が可能なAIサービスを展開。今期は営業利益4%増(利益率16%)予想 |
3993 | 3993 | 3993 | 3993 | PKSHA Technology(S) | 3,330 | 5.4% | AI技術を中心に、自社開発アルゴリズムを多数保有し、ソリューションを提供。トヨタ、マイクロソフトと提携。今期は5%増益予想 |
6769 | 6769 | 6769 | 6769 | ザインエレクトロニクス(S) | 930 | 17.4% | 売上構成比(23.12期1Q)68%のLSI事業(ファブレス)の他に、AIOT事業(同32%)では、遠隔監視システム等が伸長 |
3796 | 3796 | 3796 | 3796 | いい生活(S) | 650 | 28.1% | 不動産会社向けに業務支援システムをクラウドで提供。賃貸仲介会社向けにAIを活用した業務支援サービスを展開も |
4371 | 4371 | 4371 | 4371 | コアコンセプト・テクノロジー | 2,943 | 41.5% | 製造業・建設業等のDXを、AI等を活用して支援するコンサルティングやシステム開発。大手システム会社の人材調達支援も。 |
- ※Bloombergデータ、会社公表データ、各種報道等をもとに、SBI証券が作成。
- ※銘柄名右に(S)と記載した銘柄は東証スタンダード市場銘柄で、他は東証グロース市場銘柄。
- ※プラスアルファ・コンサルティング(4071)の今期予想営業増益率は、23.9期の予想連結営業利益を、22.9期の単独営業利益と単純比較したものです。
- ※ザインエレクトロニクス(6769)、コアコンセプト・テクノロジー(4371)は6月中間・12月本決算の銘柄です。6/28(水)が権利付最終日ですのでご注意ください。
以下、図表4に掲載した銘柄について、詳細をコメントします。
■プラスアルファ・コンサルティング(4071)~ビッグデータを見える化し、企業がビジネスに活用
★週足チャート(2年)
- ※データは2023/6/21(週足) 13:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★通期業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■人材情報の見える化が全体の67%
世の中にあふれるビッグデータを、テキストマイニング(大量の文章データから有用な情報を取り出すこと)、データマイニング(収集された情報から傾向や関連性を見出す手法)、AI等の技術を用い、すべての企業が活用できるように「見える化」することがコンセプトの会社です。
「見える化エンジン事業」(23.9期・2Q累計の売上構成比17%)では、コールセンターやマーケティング部門、SNS上に集まる顧客の声・口コミ等を分析するツールを提供しています。
「カスタマーリングス事業」(同16%)では、おもにEC・通販事業者向けに、顧客属性、購入履歴、メールへの反応情報等をもとに、最適なキャンペーンを打てる統合マーケティングツールを提供しています。
「タレントパレット事業」(同67%)では、企業内に散在している人材情報を集約して、分析し、「見える化」できるツールを提供しています。
23.9期から連結決算となり、単独決算であった22.9期との正確な比較はできませんが、単純計算では、23.9期2Q累計の売上高は51億円(前年同期比38%増)、営業利益17億円(同31%増)と大幅な増収増益になりました。通期では営業利益34億円(前期比27%増)を見込んでいます。
■急成長が継続中
同社は、ビッグデータの「見える化」からマーケティング分野へ、2016年頃から人事分野へと展開してきました。16.9期から22.9期にかけては、人事分野の「タレントパレット事業」の急成長をけん引役に、売上高が年平均29%増、経常利益が同34%のペースで拡大してきました。
少子高齢化が進み、働き方改革が問われる中、企業は人材を最大限活用し、社員のリスキリング(新しいスキルを身に着けること)に注力していく必要があります。その中で、優秀な人材の流出を避ける意味でも「科学的人事」が目指される可能性は大きく、人事分野でのAI活用は進むとみられます。
当銘柄については、SBI証券企業調査部の調査対象になっています。同部では6/2(金)付で「安心感のある業績及びKPI(重要業績評価指標)推移」というタイトルで、投資判断「買い」を継続し、目標株価を前回比40円引き上げて5,600円とするレポートを作成しています。
同レポートでは、営業利益(※)について22.9期26億円から23.9期35億円、24.9期51億円、25.9期68億円と、成長継続を予想しています。
※ここでは億円未満は切り捨てていますが、同レポートでは百万円単位で表現されています。22.9期までは単独決算で、23.9期以降は連結決算です。
■PKSHA Technology(3993)~AI関連の本命!?東大発のベンチャー、上場来一貫して黒字。日本マイクロソフトとも連携
★週足チャート(2年)
- ※データは2023/6/21(週足) 13:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★通期業績推移(百万円)
- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■AI関連の本命!?東大発ベンチャー
現社長の上野山氏が、日本のAI研究をリードする東京大学の松尾研究室で機械学習を学び、2012年に創業した企業です。
主軸となる事業は2つです。
AI SaaS事業では、AIアシスタントの役割を果たすソフトウエアを顧客企業に提供。社内業務や対顧客(特にコールセンター)のシステム化や自動化を可能にします。
AI Research & Solution事業では、パートナー企業の要望に合わせた共同研究からソリューション提供までを一気通貫で実施。小売業界で在庫最適化をしたり、金融業界で与信審査の高度化をしたりと多岐にわたる事業領域で展開中です。
フロー収益が34%で、ソフトウェアの初期設定や共同研究での売上から構成されています(22.9期)。
ストック収益が66%で、特にAI SaaS事業での継続課金が要であり、今後の成長ドライバーとして期待されいます(同)。
また、2019年に駐車場機器メーカーを買収。駐車場機器販売等を行うモビリティ事業は安定的な収益源で、全売上高の39%を占めています(同)。
■マイクロソフト等と連携。創業来の黒字が継続
2017年の新規上場以降、一貫して売上高の前期比2桁台超の成長と黒字が続いています。
直近の23.9期2Q決算発表と同時、通期業績の上方修正を実施。収益性の高いAI SaaS事業で高い成長率が維持され、業績拡大に弾みをつけた形です。
日本マイクロソフトとも連携をしており、Teams内で「問合せ管理・FAQ自動生成・AIチャットボット」全てをワンシステムで導入・連携できるPKSHA AIヘルプデスク for Microsoft Teamsを展開中です。
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