07年以来の大相場!?次の大台到達に向けた物色は?

07年以来の大相場!?次の大台到達に向けた物色は?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2023/06/20

日経平均は週足で10連騰、海外勢の勢い止まず。バークシャーが商社株を追加取得

6月第2週(6/12-16)の日経平均は前週末比1,440円91銭高(+4.5%)と週足ベースで10連騰。33年ぶりに3万3千円の大台を突破しました。海外投資家による日本株買いの勢いは止まらず、6月第1週(6/5-9)までで11週連続での買越しです。円安進行も海外投資家からの買いが入りやすくなった要因として挙げられます。週内最終日には、日銀の金融政策決定会合にて大規模金融緩和の維持が決定しました。主要値がさ株や円安恩恵銘柄の他、盛り上がりをみせる株式市場を背景に、証券会社の株も選好されました。6/13(火)-15(木)の東証プライム市場の売買代金は連日4兆円を超え、6/16(金)は、5兆5,600億円の大商いでした。

同期間は出遅れ感のあった中小型株へも物色が広がり、同期間の東証グロース市場指数は+6.9%と日経平均を上振れるパフォーマンスとなりました。米国で大型ハイテク株やAI関連株等の上昇が継続したことや、6月FOMCで市場予想通り追加利上げが一時停止となったことが、高PER銘柄への追い風となったもようです。

日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(6/12~19・図表7)では、前週に続き大手商社から3社ランクインしました。6/19(月)の大引け後、ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが、日本の5大商社株の出資比率を平均8.5%超まで引き上げたことを発表。さらに、バークシャー社は5大商社の出資比率を9.9%まで引き上げたいと述べています。同ランキング首位は一眼レフで人気のニコン(7731)でした。6/13(火)に、フルサイズミラーレスカメラ「ニコン Z9」の大型アップデートとなるファームウエアを公開し、好感されました。価格.comカメラカテゴリランキングの1位は最安値でも約54万円の同社製品で、根強い人気が窺えます(23.6.19時点)。

日経平均株価採用銘柄の下落率上位(6/5~12・図表8)の1位は、エーザイ(4523)です。前週は上昇率1位であったことから、反動や利益確定で売りがあったとみられます。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(6/12~19)

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(6/12~19)

07年以来の大相場!?次の大台到達に向けた物色は?

日経平均は春以降、堅調な値動きが続いています。特に5/17(水)に3万円の大台を回復してからは、株高に拍車がかかっており、ここ1ヵ月ほどは連日のように33年ぶり高値を更新してきました。一方、日本株以外に目を向けても、多くの株価が堅調に推移しています(図表9)。世界的にリスクテイクの動きが広がっていることが見て取れます。

また、もう1つ注目されるのは、最近、日経平均と円相場(対ドル、対ユーロ)の相関が改善してきていることです。図表10は、日経平均と円相場(対ドル、対ユーロ)の動きを示したグラフですが、日経平均が大きく上昇する中で、円相場は対ドルで141円台後半、対ユーロで155円前後と、昨年の円安を除けば1998年以来の円安水準に到達しております。株高と、円独歩安が同時に進む状況となる中、市場では円キャリー取引が活発化していると指摘する声が強まっています。

図表9 主要株価指数の騰落率(3ヵ月間)

  • ※BloombergよりSBI証券作成

図表10 日経平均と円相場

  • ※BloombergをもとにSBI証券が作成


円キャリー取引とは、低金利通貨である円を調達して、それを外貨に交換して高金利資産で運用する取引と言われています。具体例を挙げると、海外に拠点を持つヘッジファンドが、自国の銀行などから円の借り入れを申請します。この銀行は日本拠点での銀行間取引などを通じて低金利で円を調達し、それを本国に送金します。そして銀行はヘッジファンドに貸し出しを行い、資金を調達したヘッジファンドは、高金利通貨や高い運用益が見込まれる金融商品で運用し、利ザヤを稼ぎます。

この円キャリー取引の動向を反映していると言われる、外国銀行在日支店から海外本支店への円の貸出(日銀が公表)は、今年4月時点で12.9兆円と21年末比で48%増加しております。円キャリー取引がもっとも活発に行われていた07年頃のピーク水準(23.1兆円、07年2月)には、まだまだ及ばず、今後も円キャリー取引が一段と活発化する余地が残されていると言えるでしょう。

そもそも円安だから株高となるのか、株高だから円安となるのか、その主従関係には一考の余地あります。ただ、円相場の先行きについては、先週のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加利上げの可能性が示された米国の金融政策に対し、日本の金融政策については、依然として大規模な金融緩和を継続する方針が示されるなど、日米金利差の観点から見れば、円安・ドル高進行の余地は残されていると考えられます。

もちろん、足元の日経平均は短期的な過熱感が指摘されるとともに、バリュエーション面で見ても12ヵ月先予想PER(Quick予想)で15倍台に到達するなど、割高とはいえないまでもヒストリカルに見て割安感が薄れていることも確かです。そのため、短期的には利益確定の売りに押される場面も想定されますが、中長期的に見れば、円キャリー取引による株高、円安は期待されるところだと考えられます。ちなみに、07年の円キャリー取引時に物色されたのは、輸送機などの輸出株や、海運、素材、卸売などでした。日経平均が一段と上昇して次の大台である3万4,000円を突破して上昇するには、こうした銘柄が相場をけん引していく必要があると考えられます。

図表11 日経平均と予想PERのレンジ

  • ※Quick Workstation Astra ManagerをもとにSBI証券が作成

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