決算発表接近!上方修正期待の中小型株10銘柄

決算発表接近!上方修正期待の中小型株10銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/07/12

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決算発表接近!上方修正期待の中小型株10銘柄

東京株式市場では、日経平均株価が7/11(火)に6営業日ぶりに反発しました。7/10(月)の米国株市場が反発したことが追い風となったこと、足元の需給悪化要因(ETFの分配金捻出に伴う売り)が一巡したとみられること等が要因とみられます。

ただ、日経平均株価は6/19(月)取引時間中高値33,772円、7/3(月)同33,762円で「ダブル・トップ」となり、7/11(火)終値時点では、ネックラインとなる6/27(火)安値32,306円を下回っています。さらに、当面の強弱感を左右する25日移動平均線に対しても下回っています。これらから、当面は株価が下向きに波乱となる可能性に注意したい所です。

反面、7/3(月)発表の日銀短観(6月調査)で、大企業製造業の業況判断指数が7四半期ぶりに改善するなど、日本経済のファンダメンタルズは上向きに転じているとみられます。製造業の国内回帰の動きも続きそうです。このため、全般的な株価調整は、例えば好業績が期待される銘柄にとっては、買い場になる可能性もありそうです。

また、東証グロース市場は調整が進展。グロース指数は6/21(水)高値1,100.78ポイントに対し、7/7(金)取引時間中の安値988.15は下落率10.2%の水準であり、値頃感が強まっています。大型株の調整で中小型株がツレ安となる場面は押し目買いのチャンスになる可能性もありそうです。

そうした中、株式市場では、7月下旬以降は上場企業の2023.4-6期決算発表が本格化してきます。決算発表で好業績、ひいては業績上方修正が見込めるような銘柄にスポットが当たりやすくなりそうです。そこで、今回の新興株ウィークリーでは、通期業績見通しの上方修正も期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場
(2)時価総額100億円以上1,000億円未満
(3)7/7(金)までの20営業日、1営業日当たりの平均出来高が2万株超
(4)決算月が9月、または12月の銘柄
(5)通期会社予想営業利益が増益予想
(6)四半期(累計)営業損益が前年同期比で黒字転換、または増益率が10%超で通期会社予想営業増益率以上
(7)直近四半期営業利益(累計)の通期会社予想営業利益に対する進捗率
    →9月決算銘柄で50%超、12月決算銘柄で25%超
(8)信用取引上の規制・注意喚起がない

図表の銘柄は、上記の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、(6)の四半期営業増益率が大きい順(ただし、黒字転換が最上位)としました。

ちなみに、(4)において、なぜ3月決算、6月決算を除いたのでしょうか。そもそも決算発表の主力は3月決算銘柄です。しかし、3月決算銘柄が今回発表を予定しているのは第1四半期の業績です。第1四半期だけをみて、業績予想修正を決断する企業は、相対的に少なそうです。また6月決算企業の場合は、新たに会社側から発表される24年6月期の業績予想が読み切れない(必要以上に保守的な予想をしてくるリスクがある)ため、分析対象から外しました。
12月決算銘柄の場合は第2四半期なので、好業績ならば、通期業績予想の上方修正につながる可能性はありそうです。さらに9月決算企業は、第3四半期が発表対象なので、好調であれば、上方修正につながる確率は高くなるとみられます。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 7/4(火)~11(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 決算発表接近!上方修正期待の中小型株10銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(7/11)
四半期営業増益率 今期会社予想増益率 備考
9522 9522 9522 9522 リニューアブル・ジャパン(12)(8/14) 795 黒転 155.9% 再生可能エネルギーによる発電所をトータルで手掛ける。再エネ導入は政府が支援。4-6月の発電事業は前年同期比2.7%減、計画比0.4%増
7082 7082 7082 7082 ジモティー(12)(8/14) 1,841 黒転 9.9% 地元に根差した掲載無料のプラットフォームを運営。収益源は広告料。利益率の高い自社営業に注力。自社株買いを複数回実施
4264 4264 4264 4264 セキュア(12)(8/10) 2,255 472.4% 黒転 監視カメラシステム、入退室管理システム。AI技術を活用し成長図る。前期は人件費、戦略費の先行投資で赤字
4258 4258 4258 4258 網屋(12)(8/14) 2,160 104.5% 21.4% サイバーセキュリティ製品/サービスを開発・製造・販売。値上げによる原価率の改善が奏功し、2Qに利益目標を上方修正
6176 6176 6176 6176 ブランジスタ(8/10) 673 95.2% 56.3% 電子メディア事業。雑誌「旅色」で観光需要回復を図る自治体とのタイアップが拡大
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート(8/9) 11,130 71.4% 37.7% クレジットカード、デビットカード、電子マネーなどによる対面型決済を行う決済端末および決済処理サービスを提供。キャッシュレス化が追い風
4476 4476 4476 4476 AI CROSS(12)(8/14) 1,532 62.4% 11.9% 法人向けSMS配信サービス。参入障壁が高く、需要拡大見込まれる市場で成長見込む
2987 2987 2987 2987 タスキ※(8/1) 1,056 62.3% 32.4% 新築投資用 IoT レジデンスの企画、開発、販売及びコンサルティング等。5期連続2桁台以上の増収増益を見込む
3359 3359 3359 3359 cotta(8/14) 576 46.0% 41.4% お菓子・パン作り専門・業界最大級のECサイト「cotta」。BtoB向け重視で利益成長続く
5704 5704 5704 5704 JMC(12)(8/14) 639 22.6% 19.6% 3Dプリンターの出力、鋳造、CTの3事業。ものづくりのトータルサポート。EV向け試作、FA機器部品が好調
  • ※Bloombergデータ、会社公表データ、各種報道等をもとに、SBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横に(12)と記載された銘柄は12月決算銘柄で、他は9月決算銘柄。
  • ※銘柄名右横カッコ内に記載された月日は決算発表予定日。
  • ※「四半期営業増益率」は、9月決算銘柄の場合23.9期2Q累計(22.10-23.3)、12月決算銘柄は23.12期1Q(23.1-23.3)の営業増益率(前年同期比)です。
  • ※「今期会社予想営業増益率」は9月決算銘柄の場合23.9期、12月決算銘柄は23.12期が対象です。
  • ※スクリーニング条件をすべて満たしていても、過去1年以内に、コンプライアンス上の問題を引き起こしているため、除外している銘柄があります。
  • ※タスキ(2987)は22.9期4Q以降連結決算を作成しています。「四半期営業増益率」は23.9期2Q累計連結営業利益と22.9期2Q累計単独営業利益を単純比較しました。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■GMOフィナンシャルゲート(4051)~決済システムでキャッシュレス社会をリードする

★週足チャート(2年)

  • ※データは2023/7/12(週足)10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■経済正常化やインバウンド回復が追い風

GMOペイメントゲートウェイ(3769)の子会社(22.9期・持株比率57%)です。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、ポイントなどによる対面型決済を行う決済端末および決済処理サービスを提供しています。

売上構成比(22.10-23.3期)は決済端末販売による「イニシャル」が最も大きい71%、システム利用料として決済事業者や加盟店から月額固定で受け取る「ストック」 が7%、決済処理件数に応じた処理料としての「フィー」が15%、決済処理金額に応じて発生する「スプレッド」 7%となっています。

5/11(木)に発表された23.9期上半期(22.10-23.3期)決算では、売上高が72億円(前期比62.6%増)、営業利益が6.3億円(同71.4%増)と大幅増収増益となりました。

経済活動正常化やインバウンド需要の回復を受け、同社決済プラットフォーム利用加盟店において、決済取扱件数・金額とも増えました。これを受け会社側は、23.9期の予想売上高を124億円→136億円(前期比32%増)、営業利益を9.3億円→10.2億円(同37%増)に上方修正しました。

■25.9期営業利益計画15億円の確度が向上

上方修正後の23.9期会社計画営業利益10.2億円(前期比37%増)に対し、上半期営業利益の進捗率は62%と順調で、さらなる上方修正も可能とみられます。中期計画では25.9期に営業利益15億円を目指しますが、「達成確度が向上」(会社資料コメント)しているとみられます。

同社の強みは、三井住友カード、ビザ・ワールドワイド・ジャパンと2019年に共同で立ち上げた決算サービスである「ステラ」です。店舗にクレジットカードや、電子マネー、QRコードに対応した端末を置き、カードごとに決済データをカード会社にフィードバックします。こうした決済サービスの手数料は通常3%とのことですが、これを2%に抑えることで、資金力の小さい中小事業者からの需要に応えています。

日本のキャッシュレス比率は拡大途上にあり、現状では36%(経済産業省)程度となっています。しかし、韓国(2020年 93.6%)、中国(同83.0%)、アメリカ(同55.8%)等に比べるとはるかに低く、いまだ拡大余地は大きいとみられます。このことだけでも、当社の成長余地は大きいとみられます。

さらに次世代マルチ決済端末の投入により、多業種・高成長企業の獲得が見込まれることや、非接触化・無人対応によるIoT決済(インターネットにつながる様々なモノが決済のトリガーになっている決済)等による売り上げ拡大も見込めそうです。

当面は売上高、および営業利益を年率25%で成長させ、株主還元比率を50%としたい方針です。今期(23.9期)3Q決算発表予定日は、8/9(水)です。

■cotta(3359) ~ 業界最大規模のお菓子・パン作り専門のECサイト。単価の高いBtoB事業で成長中

★週足チャート(5年)

  • ※データは7/12(週足) 10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■お菓子・パン作り専門のECサイト「cotta」

お菓子・パン作りに必要な包装資材、食材、器具等を販売する企業です。商品取扱数が業界最大規模の専門ECサイト「cotta」を運営。「小ロット」「短納期」「低価格」での商品提供が可能なことが特徴です。

創業者である先代社長は、中小規模店舗における資材のデッドストックの多さに注目。菓子用資材を全国の菓子店向けに、小ロットで通信販売する事業をスタートしました。その後、コンビニスイーツの台頭で菓子店が減少。一般消費者向け事業に活路を見出し成長を遂げました。

全国の菓子店や料理教室などプロから個人向けまで幅広い層が顧客です。売上高構成比はBtoC事業が38.5%、BtoB事業が36.9%となっています(22.9期)。

「cotta」は物販のみならず、季節に合わせたレシピや器具、雑学などのコンテンツ提供を展開。菓子製パン業界最大のプラットフォームとしても面も持ち合わせています。

ブロガーやインスタグラマーが同社のパートナーやアンバサダーとして活躍しており、お菓子・パン作り界隈では一種のステータスともいえる存在になっています。

株主優待は、100株以上保有で「cotta」の15%オフクーポン(期限内は何度でも利用可)、3年以上継続保有で25%オフクーポン(同)。「cotta」利用者にとって充実した内容です。

■BtoB事業に注力。利益重視戦略を掲げる

コロナの巣ごもり需要が追い風となり、20.9期に売上と認知度が拡大しました。ただ22.9期から反動で売上高は減少しています。

一方、利益は堅調に上がっています。顧客単価の高いBtoB事業を最優先とする経営戦略に切り替えたことが奏功しました。一般消費者向けより安価な商品が多い、法人向けサイト「コッタ ビジネス」での新規会員数増加や年間購入金額の増加による成長を目指しています。平均単価はBtoBが12,000円、BtoCが6,000円です。販売単価が上昇すれば、運賃コストや物流人件費が削減できるというEC事業にとって大きなメリットあります。

今期中間決算(23.9期2Q)時点では、売上高49億円(前年同期比3%減)と減収。対して、営業利益は6億円(同46%増)と2Q累計で過去最高を更新。営業利益の通期目標を6.2億円→7.8億円に上方修正しました。前述したBtoB事業での顧客獲得、それに伴うコスト減が順調であったと述べています。

今期(23.9期)3Q決算発表予定日は、8/14(月)です。

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