決算発表一巡!好業績で株価上昇期待の中小型株10選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2023/11/15

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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決算発表一巡!好業績で株価上昇期待の中小型株10選
中小型株もようやく落ち着きを取り戻してきました。東証グロース市場指数は10/24(火)の取引時間中安値797.08ポイントをボトムに、11/8(水)には899.30ポイントまで回復しました。その後は米長期金利が再び上昇基調になったことが逆風となり、冴えない展開が続きました。
ただ、11/14(火)に発表された米消費者物価指数が市場予想を下回り、米長期金利が9月下旬以来の低水準まで低下。11/15(水)の東証グロース市場を含む東京株式市場は大幅高での寄り付きとなりました。米長期金利の低下傾向が続けば、中小型株への見直しも本格化が期待できそうです。
こうした中、23年7~9月期の決算発表が11/14(火)をもって、おおむね一巡しました。東証スタンダード市場やグロース市場に上場する中小型株については、11/13(月)・11/14(火)が発表日の企業もかなりあり、足元の中小型株市場の様子見ムードにつながってきた可能性があります。しかし、決算発表シーズンの終了で、業績変動リスクも後退し、そのことも中小型株市場の見直しにつながりそうです。
さて、今回の「新興株ウィークリ」では、中小型株の決算発表もほぼ一巡したことを受け、今後の株式相場で活躍を期待できそうな好業績銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行なってみました。
(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場
(2)11/13(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株超
(3)11/7(火)~11/13(月)に決算発表
(4)23.7-9期(3ヵ月)の営業増益率(前年同期比)が1億円以上で、黒字転換、または50%超の増益
(5)3月決算企業の場合、以下の条件を満たしていること
・24.3期2Q(23.7-9期)の前年同期比営業増益率(または金額)が4-6期を上回っていること※
・24.3期2Q累計(23.4-9期)営業利益が前年同期比で黒字転換、または増益率が通期会社予想増益率を上回っていること、または進捗率が50%以上
(6)6月決算企業の場合24.6期1Q(2023.7-9期)が営業利益が前年同期比で黒字転換、または増益率が通期会社予想増益率を上回っていること、または進捗率が25%以上
(7)9月決算銘柄は、新たに発表された24.9期会社予想営業利益が10%以上の増益予想
(8)信用取引に関する各種規制や継続企業の前提に関する疑義が出ていないこと
※12月決算銘柄は抽出されませんでした。
※(5)および(6)は通期業績予想の下方修正リスク低下を狙ったスクリーニング条件です。本決算発表直後の9月決算銘柄は対象にしていません。9月決算銘柄は、今期の増益予想が評価対象になりやすいので、(7)の条件を入れています。
図表の銘柄は上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は(4)の2023.7-9期(3ヵ月)の営業増益率順(ただし、黒字転換が最優先)になっています。
【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 11/7(火)~14(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 決算発表一巡!好業績で株価上昇期待の中小型株10選
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (11/14・終値) |
23.7-9期営業増益率 | 四半期累計営業増益率 | 今期会社予想営業増益率 |
8869 | 8869 | 8869 | 8869 | 明和地所(11/13) | 1,140 | 黒転 | 2326.8% | 6.0% |
3242 | 3242 | 3242 | 3242 | アーバネットコーポレーション(11/8)(6) | 396 | 黒転 | 黒転 | 2.9% |
7819 | 7819 | 7819 | 7819 | 粧美堂(11/13)(9) | 526 | 黒転 | 36.9% | 15.0% |
6428 | 6428 | 6428 | 6428 | オーイズミ(11/13) | 385 | 310.5% | 83.4% | 3.7% |
4414 | 4414 | 4414 | 4414 | フレクト(11/7) | 4,725 | 179.0% | 420.7% | 114.5% |
4488 | 4488 | 4488 | 4488 | AIinside(11/13) | 5,640 | 161.5% | 22.2% | -34.6% |
4485 | 4485 | 4485 | 4485 | JTOWER(11/8) | 5,930 | 160.1% | 86.5% | 463.8% |
6547 | 6547 | 6547 | 6547 | グリーンズ(11/13)(6) | 1,795 | 125.8% | 126.0% | 0.1% |
3773 | 3773 | 3773 | 3773 | アドバンスト・メディア(11/7) | 1,523 | 99.4% | 72.6% | 11.0% |
4350 | 4350 | 4350 | 4350 | メディカルシステムネットワーク(11/7) | 526 | 67.9% | 55.7% | 10.6% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
- ※銘柄名右横カッコ内の日付は直近決算発表実施日
- ※銘柄名右横(6)とあるのは6月決算銘柄、(9)とあるのは9月決算銘柄。無印は3月決算銘柄
- ※2023.7-9期は3月決算銘柄の2Q、6月決算銘柄の1Q、9月決算銘柄の4Qに相当。「2023.7-9期営業増益率」は前年同期比増益率
- ※「四半期累計」は3月決算銘柄の2Q累計(23.4-9期)、6月決算銘柄の1Q(23.7-9期)、9月決算銘柄の通期に相当。営業増益率は前年同期比増減率
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■粧美堂(7819)~販路を有する化粧品・雑貨メーカー。「ちいかわ」商品も販売
★日足チャート(1年)

- ※データは2023/11/15(日足)10:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)

- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■販路を有する化粧品・雑貨メーカー。多数の人気キャラクターのライセンサー
第2次世界大戦直後の1948年(昭和23年)に大阪で創業。「戦後の日本は豊かになり、化粧道具が必要になる」との創業者の信念から、問屋業から始まった会社です。
時代の潮流に合わせ業態を変化させてきました。卸売業から、徐々にメーカーとしての機能を充実。現在は、自社グッズとOEM*で化粧品や雑貨などをメインに扱うメーカーとなっています。全売上のうち、自社企画製品が8割弱を占めています(22.9期)。
*「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」=他社ブランド製品の製造を担う
前述の沿革から、販路を持ったメーカーとしての強みを有します。そのため企画・製造・販売を一手に担えることから、キャラクターとのライセンス(商品化許諾権)を取得。「ディズニー」や「サンリオ」、「ポケットモンスター」など世界中で人気を博す、有名キャラクターが多数です。
ダイソー、セリア、ドン・キホーテ、しまむら、ロフトなどの小売業態トップ20社を重点販売先として、集中してリソースを投下するという戦略を掲げています。近年では、セリア(均一ショップ)のジェルネイル等が売切続出となり話題となりました。
■4期連続増収・3期連続増配の計画。「ちいかわ」商品も販売
前期(23.9期)は、売上高204億円(前期比18%増)、営業利益8.6億円(同36%増)と増収増益でした。円安の影響で粗利率が低下したものの、アフターコロナとなりメインユーザーである若年層の女性の外出機会が増えたこと等が追い風となったもようです。
また、営業利益ベースでは3期連続増益でした。しかし、中国事業の縮小による特損を計上したため、最終利益は4.7億円と前期から7%の減益となりました。同損失を加味しない場合、前期比でおよそ18%の増益です。足元の株式市場全体で、中国リスクが意識されています。そのため、迅速な同判断に関しては市場で好感される面があると考えられます。
今期(24.9期)は売上高210億円(前期比2%増)、営業利益10億円(同15%増)と4期連続で増収増益見通しです。堅調な業績計画を踏まえ、3期連続で増配も実施される予定です。キャラクターのライセンサーとしての強みや長年の知見を活かしながら、成長を目指してゆくとしています。大人気「ちいかわ*」関連の商品も、売り切れが出ているとSNS等で評判です。ただ、円安は懸念材料として挙げています。
*「ちいかわ」=【「ちいかわ ~なんか小さくてかわいいやつ~」】 二頭身の動物キャラクターが登場するX(旧Twitter)発の漫画。22年4月よりアニメ化。「日本キャラクター大賞2022」でグランプリを受賞。数々の大手企業とコラボ。ファンシーな世界観のなか、人間生活の不条理さなども描かれている。
会社計画の業績見通しは保守的に発表される傾向です。直近3期(21.9期~23.9期)では、いずれも期中と本決算発表直前に上方修正しています。前期(23.3)に至っては期中に3回実施しており、今期も堅調な業績推移及び期中の上方修正にも期待感が持てるでしょう。
■フレクト(4414)~「あるべき未来」をクラウドで形に。大手を中心とし安定した顧客基盤が強み
★日足チャート(6カ月)

- ※データは2023/11/15(日足)10:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)

- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■大手を中心とした安定した顧客基盤
企業が収益を獲得するために、あるいは顧客満足度を高めるために行うシステム開発を受託し、企業のDXを支援しています。最終ユーザーが直接利用する顧客接点となるシステムの開発が得意です。
大手を中心とし安定した顧客基盤が強みです。大手企業の売上構成比が高く、また、それらとの継続した取引が中心となっています。たとえば、コマツ(6301)向けには、ダンプトラックの動態管理アプリを開発し、効率的かつ安全な運行を支援。ANA(9202)向けには、顧客データ等とシステムを連携させるシステムを開発しています。
セールスフォース、アマゾン・ウェブ・サービス他、グローバルに展開されているクラウドサービスを、システムが動作する各種プラットフォームを利用し、開発。各種クラウドプラットフォームを適材適所で活用する高い技術力により、「DXによるビジネスを変革を実現できる数少ないプレーヤー」(会社側)となっています。
※プラットフォーム~その上でアプリが動く動作環境
■2Q累計としては過去最高業績
左図にもあるように、業績は21.3期を底に拡大傾向に転じています。
24.3期2Q累計(4-9月期)の売上高は30億円(前年同期比26%増)、営業利益は2.4億円(同420%増)と増収増益でした。前期から続いていた不採算プロジェクトの収束もあり。2Q累計としては、売上高・営業利益とも過去最高になりました。
新規顧客増大と既存顧客の契約継続の両方を実現できているようです。将来の成長の種になるエンジニアの獲得も順調なようです。
24.3期(通期)は、売上高63.9億円(前期比20%増)、営業利益5.5億円(同114%増)が会社計画です。会社側としては下期を慎重にみるとともに、将来をにらんだ投資拡大の可能性を示唆しています。
22.3期(売上高36.4億円)を起点に、年率30%で売上成長をはかる中長期成長計画を立案。仮に計画通りに進捗すれば売上高は25.3期83億円前後を経て、26.3期に100億円を超える計画。27.3期にはプライム市場上場を目標(会社資料)としています。
車載デバイス・スマホアプリを用い、企業の商用車に関する業務を効率化する「Cariot」を展開。運転手不足が深刻化する「2024年問題」へ対応していることも興味深い点と言えそうです。
24.3期通期でも最高業績が確実になってくれば、株価も「最高」更新が可能になりそうです。
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