アナリストが好業績を予想する中小型株6選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実
2023/11/22

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
新興株ウィークリー
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アナリストが好業績を予想する中小型株6選
中小型株は戻り歩調を辿っています。東証グロース市場指数は10/24(火)の取引時間中安値797ポイントをボトムに、11/20(月)には一時905ポイントまで上昇し、10/12(木)以来の900ポイント台を回復しました。11/8(水)~11/14(火)に伸び悩む局面となりましたが、テクニカル的には11/14(火)に25日移動平均に接触した後、再び上昇局面となりました。
11/14(火)に発表された米消費者物価指数、11/15(水)発表の同生産者物価指数がともに市場予想を下回り、米長期金利の低下が続きました。米小売決算で米個人消費の変調が報告されたことも、インフレ懸念をさらに後退させる要因になりました。また、東証スタンダード指数も11/20(月)に9月末以来の高値水準を回復しました。
こうした中、23年7~9月期の決算発表は前週までで終了しました。中小型株は、大型株に比べると流動性に乏しく、業績(予想)変動で株価が大きく傾向があります。決算発表の終了により、当面は業績予想の修正等も少なくなるとみられ、少し落ち着いて、銘柄間の比較を行える時期になったといえるでしょう。
そこで今回の「新興株ウィークリー」では、決算発表シーズンを経て、アナリストが好業績(増益)を予想している銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場
(2)11/20(月)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株超
(3)時価総額100億円以上1,000億円未満
(4)市場予想(Bloombergコンセンサス)EPSを公表しているアナリストが2名以上
(5)市場予想EPSが過去4週間で上昇
(6)今期・来期の市場予想営業利益が増益予想
(7)継続企業の前提に関する疑義が出ていないこと
図表の銘柄は上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は、今期・来期の2年累計増益率(来期市場予想営業増益率/前期営業利益)が大きい順としました。
【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 11/14(火)~21(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 アナリストが好業績を予想する中小型株6選
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (11/20・終値) |
今期市場予想営業増益率 | 来期市場予想営業増益率 | 2年累計市場予想営業増益率 |
4051 | 4051 | 4051 | 4051 | GMOフィナンシャルゲート | 10,170 | 30.4% | 32.5% | 72.8% |
3993 | 3993 | 3993 | 3993 | PKSHA Technology | 3,000 | 25.9% | 26.4% | 59.2% |
6086 | 6086 | 6086 | 6086 | シンメンテホールディングス | 1,550 | 16.8% | 11.4% | 30.0% |
6547 | 6547 | 6547 | 6547 | グリーンズ | 1,959 | 6.2% | 18.5% | 25.8% |
6366 | 6366 | 6366 | 6366 | 千代田化工建設 | 362 | 15.7% | 7.5% | 24.4% |
6199 | 6199 | 6199 | 6199 | セラク | 1,299 | 15.7% | 3.2% | 19.4% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
- ※市場予想はBloombergコンセンサス
- ※グリーンズ(6547)はSBI証券における信用取引規制等(代用掛目規制)の対象銘柄になっていますので、取引には十分ご注意ください(11/22時点)。
- ※千代田化工建設(6366)はSBI証券における信用取引規制等(委託保証金率の規制)の対象銘柄になっていますので、取引には十分ご注意ください(11/22時点)。
一部掲載銘柄を詳細に解説!
■PKSHA Technology(3993)~「AI関連の主力的存在」が業績拡大も継続中
★日足チャート(1年)

- ※データは2023/11/22(日足)10:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)

- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■AI関連の主力的存在。東大発ベンチャー
現社長の上野山氏が、日本のAI(人工知能)研究をリードする東京大学の松尾研究室で機械学習を学び、2012年に創業した企業で、AI技術を活用したソフトウェアの開発および提供を行っています。
「AI Research & Solution」では、研究・開発を通じ、個別業界・企業の業務を高度化する手助けを行っています。たとえば、小売業界で在庫を最適化をしたり、金融業界で与信審査の高度化をしたりと多岐にわたる事業領域で展開中です。
「AI SaaS」では、上記事業の開発成果を受け、汎用的なニーズに対応するプロダクトを提供しています。AIアシスタントの役割を果たすソフトウエアを顧客企業に提供。社内業務や顧客対応(特にコールセンター)のシステム化や自動化を可能にしています。
売上構成比(23.9期)は前者が56%、後者が44%となっています。
■売上増で先行投資を吸収
会社側は11/13(月)に23.9期本決算を発表。売上高は139億円(前期比20%増)、営業利益は17.1億円(同9%増)と増収増益となりました。
「AI Research & Solution」は売上高が78億円(前期比19%増)、セグメント利益が10.8億円(同59%増)と大幅増収・増益になりました。生成AIやLLM(大規模言語モデル)の追い風を受け、引き合いが強まり、共創パートナー企業および探索業界が拡大しました。
「AI SaaS」は売上高60億円(前期比22%増)、営業利益15.9億円(同5%増)となりました。人財採用や開発への投資を進めつつも、ARR(年次経常収益)は19%増と、ストック売上高を着実に積み上げました。話し言葉で誰もが使え、様々な業務をこなす約6,000体のAIエージェントが多くの産業で活躍しています。
24.9期はIFRS(国際会計基準)に移行するため、日本基準だった23.9期と正確な比較はできませんが、単純計算では売上高160億円(前期比15%増)、営業利益20億円(同16%増・日本基準で会社側が試算した参考値)が会社計画です。
「AI SaaS」を軸にストック収益を積み上げながら、強い引き合いと生成AIの技術進化を活かした先行投資で、成長ポテンシャルの拡大を図る方針です。
AI技術の進展スピードが高速化・指数関数化する一方、人材不足の加速化が予想される将来、AI市場の潜在規模は膨らんでいるとみられ、同社の成長持続に期待したいところです。
■シンメンテホールディングス(6086)~メンテナンス代行業大手。過去最高業績更新に向け順調
★日足チャート(1年)

- ※データは2023/11/22(日足)10:00時点。
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★業績推移(百万円)

- ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
■メンテナンス代行業。すかいらーくが大手顧客
店舗・施設の設備・機器等の不具合のメンテナンス代行を請け負う企業です。
大手飲食業界や物販・小売業、介護業などが主要顧客。外食業界向けの売上高が75%弱*で、ガストやしゃぶ葉を擁する「すかいらーく」が全体の約30%を占めています(23.2期)。
また、全国10,000社を超える協力業者を有します。顧客から依頼が舞い込んだ場合、地場のメンテナンス会社や電気工事店、工務店など全国各地の協力業者の中から、適切な業者を同社が選定・手配する形態です。
同社が一元管理することによる顧客側のメリットは、従来は各工務店等へ修理内容に合わせ各々依頼する必要があった場合も、トラブル内容・箇所問わずワンストップで依頼可能になる点などが挙げられます。業界最大規模の全国ネットワークを駆使した迅速かつローコストサービスを提供できることが強みです。
■テンバガー銘柄。今期は過去最高業績を更新予定
2015年11月以前からの株主にとってはテンバガー銘柄です。
夏場の猛暑や台風の影響で、機械故障が多発するため、業績は夏季偏重気味。冒頭で紹介した、外食業界向けが売上高に占める割合が多い点に起因しています。足元では、物販・小売・介護といった飲食業界以外の比率が上昇傾向です。今後も需要の高いPメンテ*の推進を続けていくとの会社側は言及しています。
*ビッグデータに基づき、各店舗に合わせた最適なメンテナンス計画を提案、実施する計画修繕(会社資料より)
10月末、繁忙期である夏が含まれる上期(24.3‐8期)決算を発表。売上高114億円(前年同期比15%増)、営業利益7.5億円(同22%増)と上半期として過去最高を更新しました。飲食業界の復調の他、物販・小売・介護向けのサービスでの伸長が寄与した形です。
通期計画に対する、各項目の進捗率も売上高54%、営業利益67%、経常利益68%、最終利益70%と順調。下期も既存業界での7-10%での安定成長、外食業以外の新市場の開拓、M&A等の成長戦略の下、業容拡大を目指すとしています。
インバウンドの流入や行動制限の解除等で、外食需要も高まっているとみられます。また、新市場の開拓も順調に進んでいることから、業績自体は堅調に推移するでしょう。中計は現状ないのですが、ある程度見通しがつき次第、作成を検討していると述べています。そこで発表された数値が期待感の持てる水準が示された場合、株価のさらなる飛躍もあるでしょう。
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