「NISA」「S株投資」活用も~好業績期待・高配当利回り銘柄12選

「NISA」「S株投資」活用も~好業績期待・高配当利回り銘柄12選

投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実

2023/11/17

好業績期待・高配当利回り銘柄12選

日本株が急速に値を戻しています。

日経平均株価は10/26(木)終値30,601円から11/15(水)終値33,519円まで9.5%上昇し、年初来高値(終値ベース)33,753円奪回が意識される水準となりました。米国でインフレ懸念が後退し、同期間に米長期金利が低下したことで、グロース株を中心に上昇傾向が強まりました。

なお、同期間に日経平均株価の予想EPS(1株利益)は8.9%上昇し、過去最高水準となりました。日経報道によると、東証プライム市場上場企業(親子上場を除く1,020社)の24.3期予想純利益(前期比)は、9月時点の6%増から11/4(火)時点で13%増に上振れたとのことです。企業業績が市場予想を上回っていることも、株価上昇の要因となりました。

ただ、10/26(木)終値に対し、TOPIXバリュー株指数は11/15(水)時点で4.6%上昇にとどまり、日経平均を大きくアンダーパフォームしました。バリュー株は米金利上昇局面では相対的に強かったものの、米金利低下局面ではやや勢いを失いました。

さて、決算発表が一巡し、業績変動リスクが大きい時期もピークアウトしました。最近は高配当利回り銘柄に対する関心が高まっていますが、配当取りが目的の投資でも、業績・配当予想の修正が多い決算発表シーズンでの投資は少々やりづらいものです。当面、業績・配当予想の修正は落ち着くとみられ、高配当利回り銘柄への投資を比較的落ち着いて考えられる季節になったと思われます。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、好業績で高配当利回りが期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。条件は以下の通りです。

(1)東証プライム市場上場(広義の金融を除く)

(2)11/13(月)までに四半期決算の発表を終えた3月決算銘柄

(3)時価総額1,000億円超

(4)予想EPS(1株利益)を公表しているアナリストが3名以上

(5)市場予想EPS(ブルームバーグコンセンサス)が過去4週で上昇

(6)市場予想配当利回り3.5%以上

(7)今期市場予想純利益が増益予想

(8)証券・商品先物を除く

図表1の銘柄は上記(1)~(8)の条件をすべて満たしています。掲載は(6)の予想配当利回りが高い順になっています。東証プライム市場の平均予想配当利回りは2.2%なので、本レポートでは(6)の条件(市場予想配当利回り3.5%以上)を満たすことで「高配当銘柄」と位置付けております。

■図表1 掲載銘柄の業績・株主還元方針概要

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 終値(円)(11/15) 市場予想配当利回り 配当・株主還元の方針など
5406 5406 5406 5406 神戸製鋼所 1727.5 5.1% 純利益の15~25%程度の配当を目安としつつ、24.3期以降は引き上げを含めて見直す方針。中間期終了段階の会社計画1株配当は中間期45円、期末45円で年間90円
2914 2914 2914 2914 日本たばこ産業(12) 3750 5.0% 「資本市場における競争力ある水準」として配当性向75%が目安。23.12期は、中間期にすでに1株94円の配当を実施。期末も94円の配当、年間で188円が会社計画
5334 5334 5334 5334 日本特殊陶業 3427 4.5% 配当政策は完全業績連動型。純利益に対し、配当性向40%が基本。10/30付で中間期が66円→80円、期末67→80円に修正され、年間160円を計画。自社株買い実施中
6301 6301 6301 6301 小松製作所 3730 4.2% 連結配当性向を40%以上とする方針。10/27付で中間期が69円→72円に修正され、期末1株配当計画72円と合わせ、年間144円を計画
6113 6113 6113 6113 アマダ 1486.5 3.9% 連結配当性向50%を目安に、DOE(純資産配当率)3%~4%の範囲内で決定の方針。24.3期は中間期25円に続き、期末配32円、年間57円の1株配当を計画
7994 7994 7994 7994 オカムラ 2172 3.9% 「中期経営計画2025」において、「税引後利益の40%以上を安定的に維持する」としている。24.3期は中間期43円に続き、期末43円、年間86円が会社計画1株配当
7272 7272 7272 7272 ヤマハ発動機(12) 3764 3.8% 安定的かつ継続的な配当実施が基本方針。総還元性向は中計(22~24年)累計で40%が目安。今期(24.3期)は3期連続で増配実施を予定
6305 6305 6305 6305 日立建機 4056 3.8% 業績に連動した剰余金の配当を原則に、安定的かつ継続的に配当を実施する方針。配当性向の目安は30~40%。今期(24.3期)は、過去最高益を更新予定
5020 5020 5020 5020 ENEOSホールディングス 579.3 3.8% 中期的な業績推移と見通しを反映した利益還元を基本としながら、安定的な配当の継続にも努める方針。24.3期は中間期1株11円に続き期末も11円、年間22円が会社計画の1株配当
7164 7164 7164 7164 全国保証 4784 3.6% 安定的・継続的な配当実施が基本方針。24.3期は12期連続での増配となる予定。企業価値向上に向けた取り組みの一つに、配当性向の段階的な引き上げを掲げる
6952 6952 6952 6952 カシオ計算機 1248 3.6% 業績連動かつ安定配当が基本方針。24.3期~26.3期の3年間平均での目標は、配当性向60%水準、DOE5%水準、総還元性向80~120%
7267 7267 7267 7267 本田技研工業 1602.5 3.5% 配当性向の目安は30%。2Q(7-9月期)決算では、年間予想配当を150円→174円(株式分割前基準)への増配実施を発表
  • ※会社公表データ、Bloombergデータ、をもとにSBI証券が作成
  • ※市場予想はBloombergコンセンサス
  • ※銘柄名右横に(12)と記載された日本たばこ産業とヤマハ発動機のみ12月決算銘柄で、他はすべて3月決算銘柄
  • ※配当性向・・・1株利益に対して1株配当が何%かを示す投資指標
  • ※DOE(純資産配当率)・・・1株純資産に対して1株配当が何%かを示す投資指標

「NISA」「S株投資」活用も

■配当重視の投資で理解しておきたいNISA(少額投資非課税制度)

配当を重視した投資で、おさえておきたい制度がNISAです。いよいよ11月も後半戦に突入し、2024年からの新NISAがスタート目前です。

NISAとは節税しながら資産運用ができる制度で、国が国民の資産形成を図るために導入しました。NISAを利用した場合、株や投資信託の取引等での売買益や配当・分配金などにかかる約20%の税金が免除されます。

2014年の制度導入後、段階的制度拡充が行われてきました。NISAは年間の投資枠や、また現行制度では非課税保有期間が定められておりますが、2024年からの「新NISA制度」では大規模な改正が盛り込まれ話題となっています。大きな変更点として、①制度の恒久化、②年間投資枠の拡大、③非課税保有期間の無期限化などが挙げられます。 

*制度の概要や変更点に関し、詳しくはコチラ(金融庁HPに遷移します) をご確認ください。

今回は高配当銘柄をご紹介しましたが、特定口座や一般口座で株式を保有する場合、配当金は課税対象です。しかし、NISA口座で保有する場合、配当金は非課税の対象となります。(※配当金の受取方法を株式数比例配分方式に選択必須。)

NISA利用でどのくらいおトク(非課税)になるのか具体的な数値を当てはめ想定してみます。


2023年までの一般NISAでは、年間120万円までの投資に対する配当や売買益が非課税で、5年間保有できます。
現行NISAで、毎年上限枠(120万円)いっぱいまで上場株式を買い、配当金の利回りが5%と仮定(配当金・株価変わらず)した場合、5年間で、

 受け取れる配当金:90万円 ▹NISAでおトク(非課税)になる金額:約18万円 となります。

つぎに、2024年に導入予定の新NISAで想定してみます。

上場株式等に投資ができる『成長投資枠』の年間投資枠(240万円)いっぱいまで上場株式を買い、配当金の利回りが5%と仮定(配当金・株価変わらず)した場合、5年間で、
▹ 受け取れる配当金:180万円 ▹NISAでおトク(非課税)になる金額:約36万円 と、個別株に年間で投資できる枠も現行の2倍(240万円)となる予定のため、NISAを使用するか否かで大きな開きが出た形です。制度の拡充でNISA利用者が受けられる恩恵もより大きくなるでしょう。

さらに、配当金の受取を株式保有の目的とする方にとって、新NISAで非課税期間が無期限化することは大きなメリットとなります。前述の想定パターン(下図参照)の場合、投資開始から5年目で成長投資枠の上限(1,200万円)に到達します。しかし、配当金目当てで6年目以降も株式を保有し続ける限り、無期限で配当に対する非課税の恩恵が続く形です。

■図表2 新NISA利用で、どの程度お得になるか(シュミレーション)

  • ※上記は簡易なシミュレーションであり、これらの金額を示唆・保証するものではありません。

■投資の「初めの一歩」で活用を検討したい?「S株投資」

これまでしてきた計算では、NISAの年間投資枠(成長投資枠)を上限いっぱいでの仮定でした。ただ現実的には、枠をフルで使えるという方はあまりいないのではないでしょうか(筆者含め)。また、株式投資に対し、ある程度の資金が必要というイメージを持たれている方もいらっしゃると考えられます。米国株などが1株から売買できるのに対し、日本株は最低投資単位が100株のため、特にまとまった資金が必要なイメージが強いのかもしれません。

SBI証券では、1株から購入可能な「S株(単元未満株)」サービスをご用意しております。さらに、NISA枠での利用が可能で、手数料も無料。はじめて株を買ってみたいという方にピッタリなサービスです。

S株投資に関してのメリットは、主に以下2点が考えられます。

① まとまった資金がなくても株取引ができる(数百円から買える銘柄も)

さらに、NISA口座を利用する際には、

② 値がさ株をNISA口座で買付できる 

 

②に関し具体的な例として、衣料品大手ユニクロ等で有名なファーストリテイリング(9983)を挙げてみます。

11/16(木)時点の株価は36,850円なので、単元株で購入する場合

36,850 円 × 100 株 = 368.5万円 > 120万円(一般NISAの使用可能限度額)

となり、NISAを利用しての買付ができません。また、新NISAでも成長投資枠の限度額は240万円なのでNISA買付は不可です。

しかし、「S株(単元未満株)」サービスでは1株から購入のため、NISA使用限度額に合わせ買付することが可能となります。

資産運用に関しては、少しずつでもいいので、できるだけ早いうちから、無理のない範囲で始めること、慣れておくことというのが大事なポイントとなります。「NISA」と「S株(単元未満株)」を活用し、はじめの一歩を踏み出してみましょう。

*「S株(単元未満株)」サービス、詳しくはコチラをご確認ください。

✓要チェック

2023年末までの一般NISA枠120万円またはつみたてNISA枠40万円を使って投資した商品は、
”新しいNISA”における非課税保有限度額(1,800万円)には含まれません。なお、今年のうちにNISA口座を開けば2024年開始の新しいNISA口座は自動的に開設されます。年末まで残すところ僅かですが、2023年までのNISA枠もご活用いただければ幸いです。NISAは1人1口座のみ開設可能で、金融機関をまたいでの複数の口座開設はできません。2023年までのNISA口座開設希望・金融機関変更をご希望の方はお早めにお手続きの程お願い申し上げます。

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※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。詳細はこちら

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