速報!好決算を発表し株価上昇期待の中小型株7選

速報!好決算を発表し株価上昇期待の中小型株7選

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/11/08

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速報!好決算を発表し株価上昇期待の中小型株7選

東証グロース市場指数は6/21(水)取引時間中高値1,100.78ポイントから10/24(火)同安値797.08ポイントまで27.6%下落しました。その後は反発に転じ、11/7(火)終値は887.05と上記安値比で11.2%上昇しました。

米長期金利の上昇が一服し、金利上昇に弱いグロース銘柄への逆風がいったん止まったことが要因とみられます。バリュー銘柄が多く含まれ、値動きが相対的に堅調だった東証スタンダード市場指数は、10/24取引時間中安値から11/7終値まで4.4%の上昇にとどまりました。

今後はどうなるでしょうか。米国経済は予想外に粘り強さをみせているものの、バブル禍で実施された経済対策の効果が切れる時期が近づいているとみられ、今後加速するとは考えにくくなっています。米長期金利の上昇は最終局面にあり、腰を据えてグロース銘柄を買える局面も近いかもしれません。

そうした中、中小型株市場では、DeIta-Fly Phama(4598・第三者割当増資他)など、個別材料で買われた銘柄の値上がりが目立ちました。また、好決算を発表した銘柄も物色されたもようです。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、佳境を迎えつつある決算発表で、好業績を発表した銘柄をご紹介すべく以下のスクリーニングを行なってみました。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場に上場

(2)11/2(木)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株超

(3)10/20(金)~11/6(月)に決算発表

(4)2023.7-9期(3ヵ月)の営業増益率(前年同期比)が10%超

(5)2023.7-9期(3ヵ月)の営業増益率(前年同期比)が通期会社予想営業増益率を上回っている

図表の銘柄は、上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は営業増益率順となっています。

なお、中小型株の決算発表は特に11/10(金)~14(火)頃が佳境で、発表済みの企業はまだまだ少数派です。そのため、中小型株市場全般における決算の趨勢はいまだはっきりしませんが、今回は発表を終了した銘柄をいち早くご紹介するとという意味で「速報」になっています。

【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 10/31(火)~11/7(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 速報!好決算を発表し株価上昇期待の中小型株7選

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(11/7・終値)
23.7-9期営業増益率 今期会社予想増益率 決算発表後の株価騰落率
5204 5204 5204 5204 石塚硝子(10/25) 3,185 235.8% 81.0% 21.9%
7687 7687 7687 7687 ミクリード(10/31) 1,790 219.2% 54.6% 13.7%
2112 2112 2112 2112 塩水港精糖(11/2) 243 124.3% -16.4% -2.4%
9914 9914 9914 9914 植松商会(10/26) 1,045 66.7% 37.1% 17.5%
5906 5906 5906 5906 エムケー精工(10/27) 389 34.1% -11.5% 2.6%
7775 7775 7775 7775 大研医器(10/31) 534 28.1% 23.3% 0.4%
2477 2477 2477 2477 (6)手間いらず(10/31) 2,586 13.5% -2.6% 25.9%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※銘柄名右横カッコ内の日付は直近決算発表実施日
  • ※手間いらず(2477)は6月決算銘柄であり、銘柄名左に(6)と記載。他の銘柄は3月決算銘柄
  • ※2023.7-9期は3月決算銘柄の2Q、6月決算銘柄の1Qに相当。「2023.7-9期営業増益率」は前年同期比増益率。
  • ※「決算発表後株価騰落率」は、決算発表が取引終了後の場合は決算発表日終値と11/7終値を比較した騰落率。決算発表が取引時間中の場合は決算発表日前日終値と11/7終値を比較した騰落率。図表では石塚硝子(5204)のみ10/25の取引時間中発表のため、比較対象株価は前日10/24終値。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■石塚硝子(5204)~昭和レトロブームも追い風。さらなる業績上方修正・株主還元強化へ期待大

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2023/11/8(日足)10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■江戸時代からつづく容器の総合メーカー。プラ容器関連が稼ぎ頭

1819年(文政2)創業、200年以上の歴史を有する老舗企業です。

祖業はガラス製造で、初代石塚氏は長崎でオランダ人から技術を習得。現在では、ペットボトルや紙パック等も扱う容器の総合メーカーです。

前述のように、ガラスが祖業ですが、現在の利益の柱はプラスチック容器です。前期(23.3期)は、営業利益2.2億円のうち、2.0億円分をプラスチック容器関連セグメントが押し上げています。

飲料メーカーのOEM*で、主要顧客にはコカ・コーラ ボトラーズジャパン(全売上高の23%、23.3期)やアサヒ飲料(同14%、同)があげられます。

*「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」=他社ブランド製品の製造を担う

昭和レトロブームで、ポップで可愛いプリントが人気の「アデリアレトロ」のガラス製品が人気です(セグメントはハウスウェア)。かつてのデザインをそのまま、最新の技術で製造し、18年より再販。数万個でヒットといわれる世界で、23年9月までで累計販売数量は140万個にのぼります。

■利益予想を大幅上方修正。PBRは0.5倍未満

前期(23.3期)は、諸資材価格やエネルギーコストの高騰に価格転嫁が追いつけず、営業利益は22.3期比で16%の減益となりました。さらに、姫路工場の閉鎖に関し特損が発生。最終損益は22.3期比89%減の大幅減益で着地しました。(姫路工場は、赤字のガラスびん関連事業で利用されていました。閉鎖後は、新たに稼ぎ頭のプラスチック容器関連の工場が建設予定)

今期(24.3期)は2Q時点で業績は好調です。エネルギー価格が当初想定より落ち着いていることや、コスト低減の取り組みなどが奏功。2Q決算発表と同時に通期利益予想の大幅な上方修正を実施しました。

営業利益:従来18億円 ▹ 修正後40億円(122%増)

最終利益:従来12億円 ▹ 修正後30億円(150%増)

なお、上方修正したものの進捗率は2Q時点で既に営業利益ベースで80%弱を達成。今後、更なる業績予想の上振れに期待感が持てるでしょう。

また、業績堅調を背景に、今期会社予想1株配当金の増額も発表しています(40円▹50円)。しかし、今期計画より半分程度の利益水準の際、1株当たり65円の配当実績があることから更なる増配実施の発表の可能性が考えられます。PBRが0.5倍未満であり、株主還元意欲向上が株主から求められる水準です。

上記の業績・配当予想の上方修正が好感され、株価は急騰。11/7(火)時点で18年1月以来の水準まで駆け上っています。しかし、業績拡大や株主還元強化の余地が依然として十分あり、一段の株価上昇の期待感もまだまだ持てそうです。

■ミクリード(7687)~29人の「持たざる経営」で全国1万件の中小飲食店に食材を販売

★日足チャート(6カ月)

  • ※データは2023/11/8(日足)10:30時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★四半期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■ミスミ時代以来の「持たざる経営」が強み

東証グロース市場銘柄。ミスミグループ本社(9962)の多角化事業の一環であったフード事業がルーツ。現在は居酒屋を中心に、個人事業の中小飲食店を対象とした業務用食材の通信販売を行っています。

中小飲食店の経営は仕入・調理・接客・決済等に少人数で対応しなければならないのが現実です。しかし、大手・中堅食品卸の多くは大・中規模外食チェーンを主要顧客とし、訪問してくれることも少ないため、自ら買い出しにでるなど、中小小売店の経営は非常に手間がかかっています。

同社は全国で1万件を数える中小小売店を主要顧客とし、肉・野菜・串・揚げ物・デザートなど4千品目について即日出荷で対応。飲食店が閉店後に発注できるよう受注センターを午前2時まで営業しています。

食品の調達は、約1千社の仕入先から行っていますが、大株主(保有比率18.26%・23.3期末)であり、食品卸・製造(K&Kなど)の国分グループ本社からの仕入が42%(23.3期)と多めになっています。

ミスミ時代から「持たざる経営」を信望。中核事業以外は専門業者に事業を委託しており、従業員数は29名(23.9末時点)と軽量経営になっています。

■利益が過去のレンジを上抜ける方向

同社の営業利益と経常利益は差が少ない傾向です。より長くデータの取れる経常利益は15.3期~20.3期には1~2億円台で推移していました。コロナ禍で飲食店の経営が悪化した21.3期、22.3期は赤字に転落。ようやく23.3期は営業利益・経常利益ともに1.9億円の黒字を回復しました。

10/31(火)に24.3期上半期(4~9月期)の決算を発表。売上高は29億円(前年同期比36%増)、営業利益1.6億円(同136%増)と大幅増益となりました。営業利益は4~6月期の前年同期比88%増から、7~9月期は同219%増と加速しました。

好業績を受け、24.3通期については、売上高56→59億円、営業利益2.5億円→3.0億円に会社予想を上方修正。物価高、配送料上昇、人件費高、社員増、本社移転費用を見込みますが、左図の通り、年度後半(特に3Q)が稼ぎ場となる傾向で、不安は少ないでしょう。

株価は9/20(水)に上場来最高値2,211円を付けましたが、営業・経常利益が過去のレンジ(1~2億円)を上抜けつつある現状では妥当であると思われます。新規顧客のほとんどがWEB経由で、ネット受注率が19.3期初頭の30%台から23.9末現在で72%まで上昇していることも心強い材料です。

最高益更新後も増益予想が継続すれば、現在の押し目は投資チャンスの可能性もありそうです。

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